N波動・V波動・E波動とは
N波動・V波動・E波動とは、直近の波の「3つの点(A・B・C)」から、次の波の目標値(価格目標)を、3通りの方法で、計算する考え方です。日本では、「N計算値」「V計算値」「E計算値」と呼ばれ、一目均衡表の「値幅観測論」の中で、紹介されていると、されています(一目均衡表は、一目山人(細田悟一)が、考案したと、されています)。一目均衡表については、別の記事で解説しています。
N値 = C + (B − A) … Cから、AB と同じ値幅だけ、進んだ位置
V値 = B + (B − C) … Bから、BC(押しの幅)と同じだけ、進んだ位置
E値 = B + (B − A) … Bから、AB と同じ値幅だけ、進んだ位置
NT値 = C + (C − A) … Cから、AC と同じ値幅だけ、進んだ位置
A = 波の起点、B = 最初の波の終点、C = 押し・戻りの終点
(上昇の場合。下落の場合は、足し算と引き算を、逆にします)
名前は、波の形(アルファベット)から、来ていると、言われています。N波動は、A→B→C→Dと動く、Nの字の形、V波動は、押し(C)から、Bを超えて、上昇する形、E波動は、BからさらにABと同じ値幅を、伸ばす形と、説明されることが、あります(解説書によって、表現は、違います)。

図は、A(149.00円)からB(150.00円)まで上昇し、C(149.40円)まで押した後、N値・V値・E値の3本の水準を、引いた例です。この図は、説明のために作った例で、必ず、このように動くわけでは、ありません。
3つの値の意味
| 値 | 計算 | 意味 | 見方の目安 |
|---|---|---|---|
| N値 | C + (B − A) | 最初の波(AB)と、同じ値幅の、2つ目の波 | 最初の、目標値 |
| V値 | B + (B − C) | 押しの幅(BC)だけ、Bを超える | 押しが深いほど、遠くなる |
| E値 | B + (B − A) | Bから、AB と同じ値幅、進む | N値より、遠い、目標値 |
| NT値 | C + (C − A) | Aから、Cまでの幅だけ、Cから進む | 近い、目標値(保守的) |
N値・V値・E値の、どれを、使うかは、使う人が、決めます。一般には、「N値に達したら、一部を、利益確定し、V値・E値まで、残りを、保有する」といった、段階的な、使い方が、紹介されることが、あります(必ず、そうすべきという、意味では、ありません)。
目標値の手計算の例
A=149.00円、B=150.00円、C=149.40円とします(例の数値です)。AB=1.00円(100pips)、BC=0.60円(60pips)、AC=0.40円(40pips)です。
N値 = C + (B − A) = 149.40 + 1.00 = 150.40円
V値 = B + (B − C) = 150.00 + 0.60 = 150.60円
E値 = B + (B − A) = 150.00 + 1.00 = 151.00円
NT値 = C + (C − A) = 149.40 + 0.40 = 149.80円
| 値 | 目標値 | Cからの幅 | Bからの幅 |
|---|---|---|---|
| NT値 | 149.80円 | +40pips | −20pips(Bより下) |
| N値 | 150.40円 | +100pips | +40pips |
| V値 | 150.60円 | +120pips | +60pips |
| E値 | 151.00円 | +160pips | +100pips |
この例では、NT値(149.80円)が、Bの高値(150.00円)より低いため、Bを超える目標としては、使いにくいことが、分かります。そのため、N値・V値・E値が、主に、使われます。
N値とV値の、位置関係
V値とN値の差は、次のように、表せます。
V値 − N値 = [B + (B − C)] − [C + (B − A)] = 2 × BC − AB
この例: 2 × 60 − 100 = +20pips → V値(150.60円)は、N値(150.40円)より、20pips上
BCの割合 = 60 ÷ 100 = 60 %(ABに対する押しの深さ)
BCが、ABの50%より、深ければ、V値は、N値より、上になります。押しが、浅く(BCが、ABの50%より、小さく)なると、V値は、N値より、下になります。押しの深さで、順序が、変わる点に、注意が必要です。
実際の値動きとの、比較
図の例では、価格は、150.95円まで、上昇しました。
N値(150.40円) → 超えた
V値(150.60円) → 超えた
E値(151.00円) → 届かなかった(151.00 − 150.95 = 5pips手前)
N値・V値は、通過し、E値の、少し手前で、反落したことが、分かります。目標値は、「目安」であり、手前で、反転することも、超えて伸びることも、あります。
計算例:下落の場合
A=152.00円、B=150.50円、C=151.30円とします(例の数値です)。AB=1.50円(150pips)、BC=0.80円(80pips)です。
N値 = C − (A − B) = 151.30 − 1.50 = 149.80円
V値 = B − (C − B) = 150.50 − 0.80 = 149.70円
E値 = B − (A − B) = 150.50 − 1.50 = 149.00円
下落の場合は、Cから(Bから)、下に向かって、計算します。
他の分析との違い
| N・V・E値 | フィボナッチ・エクスパンション | サポート・レジスタンス | |
|---|---|---|---|
| 計算に使う点 | A・B・C | A・B・C | 過去の、高値・安値 |
| 値幅の使い方 | AB・BCの値幅そのもの(1倍) | ABの値幅に、フィボナッチ比率をかける | 計算しない |
| N値との関係 | N値は、AB と同じ値幅 | エクスパンションの100%が、N値と同じ | ― |
| 主観の入りやすさ | A・B・Cの選び方で、変わる | A・B・Cの選び方で、変わる | 線の引き方で、変わる |
N値は、フィボナッチ・エクスパンションの「100%」と、同じ値です(図の例で、150.40円)。E値(151.00円)は、フィボナッチ・エクスパンションの161.8%(151.018円)と、近い値です(差は、約1.8pips)。ただし、計算の考え方は、違い、一致するのは、この例の数値の、偶然です。フィボナッチ・エクスパンション・プロジェクションについては、別の記事で解説しています。
基本の使い方
1. A・B・Cを、決める
直近の、大きな波(A→B)と、その後の、押し・戻りの終点(C)を、決めます。Cは、押し・戻りが、終わったと、確認できてから、決まるため、Cが、確定する前の、目標値は、仮のものです。
2. 3つの目標値を、計算する
N値・V値・E値を、計算し、「どこで、利益確定を、考えるか」を、決めます。N値を、最初の目標、V値・E値を、次の目標として、使う方法が、紹介されます。
3. 他の根拠と、重なる場所を、探す
前の高値・安値、水平線、切りのよい価格などと、目標値が、重なる場所は、意識されやすいと、考えられています。
計算例:Cの反発で、買う場合
図の例(A=149.00円、B=150.00円、C=149.40円)で、Cからの反発を、買う場合を、考えます。損切りは、Cの安値の少し下の149.30円、利益確定は、V値(150.60円)とします(例の数値です)。
Cの付近(149.45円)に、指値で買う場合
エントリー 149.45円、損切り 149.30円、利確 150.60円
リスク = 149.45 − 149.30 = 0.15円(15pips)
リワード = 150.60 − 149.45 = 1.15円(115pips)
リスクリワード比 = 115 ÷ 15 ≒ 7.7
反発を確認した足の終値(149.65円)で買う場合
エントリー 149.65円、損切り 149.30円、利確 150.60円
リスク = 149.65 − 149.30 = 0.35円(35pips)
リワード = 150.60 − 149.65 = 0.95円(95pips)
リスクリワード比 = 95 ÷ 35 ≒ 2.7
Bの高値(150.00円)を、上抜けた足の終値(150.05円)で買う場合
エントリー 150.05円、損切り 149.30円、利確 150.60円
リスク = 150.05 − 149.30 = 0.75円(75pips)
リワード = 150.60 − 150.05 = 0.55円(55pips)
リスクリワード比 = 55 ÷ 75 ≒ 0.7
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 |
|---|---|---|---|---|
| 指値(Cの付近) | 149.45円 | 15pips | 115pips | 7.7 |
| 反発を確認(足の確定) | 149.65円 | 35pips | 95pips | 2.7 |
| Bの高値を上抜けた(継続の確認) | 150.05円 | 75pips | 55pips | 0.7 |
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。指値は、価格が、届かずに、反発して、エントリーできないことも、あります。また、「Cの終点」は、後から分かるもので、さらに、下がることも、あります。
目標値による、リスクリワード比の違い
反発を確認した足の終値(149.65円)で買い、損切りが149.30円(リスク35pips)の場合、目標値を、変えると、次のようになります。
N値(150.40円) リワード 75pips → 75 ÷ 35 ≒ 2.1
V値(150.60円) リワード 95pips → 95 ÷ 35 ≒ 2.7
E値(151.00円) リワード 135pips → 135 ÷ 35 ≒ 3.9
| 目標値 | 価格 | リワード | リスクリワード比 |
|---|---|---|---|
| N値 | 150.40円 | 75pips | 2.1 |
| V値 | 150.60円 | 95pips | 2.7 |
| E値 | 151.00円 | 135pips | 3.9 |
遠い目標値ほど、リスクリワード比は、大きくなりますが、そこまで、届かない可能性も、高くなります。図の例でも、E値には、届きませんでした。N値で、一部を、利益確定するなどの方法も、考えられます。
注意点
1. A・B・Cの選び方で、目標値が、変わる
「どの高値・安値を、A・B・Cにするか」は、人によって、違います。同じチャートでも、人によって、目標値が、違います。
2. 目標値は、「目安」で、保証ではない
目標値に、届く前に、反転することも、目標値を、通り過ぎて、さらに、伸びることも、あります。この例でも、E値(151.00円)には、届いていません。
3. Cは、後から、確定する
押し・戻りの終点Cは、その後に、価格が、反転して、初めて、確定します。Cが、確定する前に、目標値を、決めても、Cが、さらに、更新される(押しが、深くなる)ことが、あります。
4. 押しの深さで、V値の位置が、変わる
V値は、BCの幅で、決まるため、押しが、深いと、V値は、遠くなり、浅いと、近くなります。押しが、極端に、深い(または、浅い)場合は、V値が、現実的な、目標に、ならないことも、あります。
5. レンジ相場では、機能しにくい
方向感のない、レンジ相場では、A→Bの波が、はっきりせず、伸びも、小さくなり、目標値に、届かないことが、多いです。
たとえば、Cからの反発を狙った買いが、損失15pipsで、10回続くと、合計−150pipsの損失です。その後の1回の利益が、200pipsなら、合計は+50pips、100pipsなら、合計は−50pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
6. 足が確定するまで、分からない
ヒゲで、一時的に、目標値に、届いても、足が確定したときには、戻っていることが、あります。終値で、確認するようにしましょう。確定するまで、分からないことを、忘れないようにしましょう。
初心者が間違えやすいポイント
「目標値まで、必ず、届く」と考える
目標値は、「進みやすい場所の目安」で、必ず、届く場所では、ありません。届かなかった場合の、損切り・利益確定を、先に、決めておくことが、必要です。
N・V・Eの式を、混同する
N値は、Cから、V値・E値は、Bから、計算します。式を、表で、確認しましょう。
目標値を、1つだけで、決める
目標値を、1つに、決めると、その手前で、反転した場合に、利益を、逃します。N値で、一部を、利益確定するなど、複数の目標値を、使う方法も、あります。
Cが、確定する前に、目標値を、決める
Cが、確定する前の目標値は、仮のものです。Cの更新で、水準が、変わることを、考えておきましょう。
検証せずに、使う
「N値・V値・E値で、相場の目標が、分かる」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- N波動・V波動・E波動は、A・B・Cの3点から、次の波の目標値(N値・V値・E値)を、計算する考え方。一目均衡表の値幅観測論の中で、紹介されていると、されている
- N値 = C + (B−A)、V値 = B + (B−C)、E値 = B + (B−A)。NT値 = C + (C−A)も、ある
- 例では、A=149.00円、B=150.00円、C=149.40円で、N値=150.40円、V値=150.60円、E値=151.00円(NT値=149.80円)。V値−N値=2×BC−AB=+20pips。実際の高値150.95円は、N値・V値を超え、E値には届かなかった
- N値は、フィボナッチ・エクスパンションの100%と、同じ値
- 例では、指値(7.7)、反発の確認(2.7)、Bの高値の上抜け(0.7)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
- A・B・Cの選び方で、目標値が変わる。Cは、後から、確定する。レンジ相場では、機能しにくい
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。チャート分析の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
