構造(入れ子)とは
メリマンサイクル理論では、周期が、「大きい周期の中に、小さい周期が、入っている」という、入れ子の構造になっている、と考えます。メリマン(Raymond A. Merriman)の公式サイトの用語集では、「プライマリーサイクル(PC)は、3つのメジャーサイクル(MC)を含む」と、されています。FXで使う本数の目安(別の記事で解説しています)では、PCは3〜4つのMC、各MCは3〜4つのトレーディングサイクル(TC)で、形成される、という見方が、あります。
| 周期 | 見る時間足 | 本数の目安 | 中に入る、下の周期の数 |
|---|---|---|---|
| プライマリーサイクル(PC) | 週足 | 24〜35本 | MCが3〜4つ |
| メジャーサイクル(MC) | 日足 | 35〜45本 | TCが3〜4つ |
| トレーディングサイクル(TC) | 4時間足 | 60〜80本 | (最も短い周期) |
「3〜4つ」は、考え方の目安です。必ず、その数になるわけでは、ありません。この記事では、本数の目安と、整合するかを、計算で確認します。
PC(週足24〜35本)
└ MC(日足35〜45本)× 3〜4つ
└ TC(4時間足60〜80本)× 3〜4つ

上の図は、日足の、説明用の例です。日足150本(週足30本)のPCが、4つのMCで、できており、各MCの中に、TCの安値(橙の三角)が、あります。実際の相場が、このようにきれいに動くことは、少ないです。
本数の整合性を確認する
「PCは3〜4つのMC」が、本数の目安と合うかを、計算します。1週間 = 日足5本、1日 = 4時間足6本として、換算します。
PCとMC
MCが3つのとき:PC(日足)= 3 × 35 = 105 〜 3 × 45 = 135本 → 21〜27週
MCが4つのとき:PC(日足)= 4 × 35 = 140 〜 4 × 45 = 180本 → 28〜36週
PCの目安(週足24〜35本)との重なり
3つ:24〜27週(日足120〜135本)
4つ:28〜35週(日足140〜175本)
PCが、24〜27週なら、MCは、3つで、28〜35週なら、4つで、辻褄が、合います。27週と28週の間(日足135〜140本)は、どちらも、きれいには、当てはまりません。5つの場合は、35週(日足175本)の端でだけ、当てはまります(5 × 35 = 175)。
MCとTC
TCが3つのとき:MC(4時間足)= 3 × 60 = 180 〜 3 × 80 = 240本 → 日足30〜40本
TCが4つのとき:MC(4時間足)= 4 × 60 = 240 〜 4 × 80 = 320本 → 日足40〜53.3本
MCの目安(日足35〜45本)との重なり
3つ:日足35〜40本(4時間足210〜240本)
4つ:日足40〜45本(4時間足240〜270本)
MCが、日足35〜40本なら、TCは、3つで、40〜45本なら、4つです。40本(4時間足240本)は、3つ(3 × 80)でも、4つ(4 × 60)でも、当てはまります。
この整合性は、本数の目安を、そのまま、使った計算です。実際の相場では、周期が、延びたり、縮んだりするため、数は、前後します。
フェーズ(局面)
メリマンの用語集では、フェーズ(Phase)を、「大きい周期の中の、どの小さい周期に、いるか」と、説明しています。PCの中の、MCを、順に、第1・第2・第3(・第4)フェーズと、見ることが、できます。用語集には、「周期のフェーズは、重要」と、書かれています。
| 見る場所 | 内容 |
|---|---|
| 第1フェーズ | PBの後の、最初のMC。新しいPCの始まり |
| 途中のフェーズ | MBで区切られる、中間のMC |
| 最後のフェーズ | 次のPBに向かう、最後のMC |
フェーズごとの、値動きの特徴は、解説によって、違います。この記事では、「いま、PCの何番目のMCにいるか」を、数えて、次のPBまで、あと、どれくらいかを、見る、使い方を、示します。
安値の重なり
サイクル理論では、一般に、「上の周期の安値は、下の周期の安値と、同じ位置に、なる」と、考えられています(メリマンの用語集に、この点の明記は、確認できていません)。つまり、PBは、MBでもあり、TBでもあります(図では、0本目と150本目の安値)。MBも、TBでもあります(図の、38本目・75本目・112本目)。逆に、TBのすべてが、MBになるわけでは、ありません。図では、橙の三角が、各MCの中の、TBです。
この「安値の重なり」を使うと、次の安値の窓を、絞り込めます(後の計算例で、確認します)。
計算例
例の数値は、次のとおりです(例の数値です)。
PCの長さと、MCの長さ
PCの長さ = 150 − 0 = 150本(日足)= 150 ÷ 5 = 30週(24〜35週の範囲内)
MCの長さ = 38 − 0 = 38本、75 − 38 = 37本、112 − 75 = 37本、150 − 112 = 38本
平均 = (38 + 37 + 37 + 38)÷ 4 = 37.5本(35〜45本の範囲内)
MCの数 = 4つ(30週は、28〜35週の範囲 → 4つで、整合)
MCとTCの長さ
MC 1つの長さ = 37.5本(日足)= 37.5 × 6 = 225本(4時間足)
TCの数 = 3つ(日足37.5本は、35〜40本の範囲 → 3つで、整合)
TC 1つの長さ = 225 ÷ 3 = 75本(4時間足)(60〜80本の範囲内)
TCの総数 = 4つのMC × 3つ = 12個
合計の確認 = 12 × 75 = 900本(4時間足)= 900 ÷ 6 = 150本(日足)
日足150本のPCは、4つのMC、12個のTCで、できており、本数の目安と、辻褄が、合っています。
山(PT)の位置
PTは95本目(第3フェーズの中)→ 95 ÷ 150 ≒ 63.3 %(中央より後ろ)
中央(75本目)より後ろに、山があり、右寄りです。トランスレーションは、別の記事で解説しています。
MBの安値の切り上がり
PB(0本目)145.00円 → MB 146.00円(+100pips)→ 147.40円(+140pips)→ 148.80円(+140pips)
MBの安値は、切り上がっています。最後は、PB(150本目)が148.20円と、MB(148.80円)より、60pips低く、なっています。これは、例の数値です。
次のPBの窓を、絞り込む
前のPB(0本目)から、PCの目安(週足24〜35本 = 日足120〜175本)を、足した窓と、直前のMB(112本目)から、MCの目安(日足35〜45本)を、足した窓を、重ねます。
PCの窓 = 0 + 120 = 120 〜 0 + 175 = 175本目(幅 55本分)
MCの窓 = 112 + 35 = 147 〜 112 + 45 = 157本目(幅 10本分)
重なり = 147〜157本目(幅 10本分)
窓の幅の比 = 10 ÷ 55 ≒ 18.2 %
実際のPB = 150本目 → 重なりの中
2つの窓を、重ねると、窓の幅が、55本分から10本分に、絞れました。ただし、周期が、延びたり縮んだりすると、窓から、外れることも、あります。また、窓が、狭くなっても、後から、当てはめやすい点は、変わりません。
他の分析との違い
| メリマンの構造(入れ子) | サイクル理論(一般) | 時間論(日柄) | |
|---|---|---|---|
| 入れ子の数 | 3〜4つ(公式サイトでは3つ) | 2倍の関係、とする考え方もある | 基本数値を使う |
| 周期の名前 | PC・MC・TC | 解説によって、違う | 変化日 |
| 使い方 | 上の周期と下の周期で、窓を重ねる | 周期の長さを、測る | 数値の前後を、見る |
サイクル理論(一般)と、時間論は、別の記事で解説しています。
基本の使い方
1. PCの起点(PB)を決める
週足で、目立つ安値を、PBとして、記録します。
2. MBを数える
日足で、PBから、MBを、数えます。何番目のMCにいるか(フェーズ)を、確認します。
3. 窓を重ねる
PCの窓と、MCの窓を、重ねて、次のPBの、予想の範囲を、出します。
4. 窓の中で、反応を確認する
窓に入っただけでは、判断できません。4時間足のTBなど、下の周期の、安値の形や、反発を、確認します。
5. 損切りと、目標を決める
損切りは、PBの安値の外側に、置く考え方が、あります。目標は、直前のPTと、する考え方が、あります。
計算例:窓の重なりの中で、買う場合
PB(150本目)の安値は148.18円、その約28pips下の147.90円を損切り、目標は、直前のPT(95本目)の高値150.65円とします(例の数値です)。
150本目の終値(148.50円)で買う場合(PBの足)
エントリー 148.50円、損切り 147.90円、利確 150.65円
リスク = 148.50 − 147.90 = 0.60円(60pips)
リワード = 150.65 − 148.50 = 2.15円(215pips)
リスクリワード比 = 215 ÷ 60 ≒ 3.6
153本目(陽線)の終値(148.90円)で買う場合
エントリー 148.90円、損切り 147.90円、利確 150.65円
リスク = 148.90 − 147.90 = 1.00円(100pips)
リワード = 150.65 − 148.90 = 1.75円(175pips)
リスクリワード比 = 175 ÷ 100 ≒ 1.8
158本目の終値(149.60円)で買う場合(上昇が進んだのを確認)
エントリー 149.60円、損切り 147.90円、利確 150.65円
リスク = 149.60 − 147.90 = 1.70円(170pips)
リワード = 150.65 − 149.60 = 1.05円(105pips)
リスクリワード比 = 105 ÷ 170 ≒ 0.6
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 | 損益分岐の勝率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 150本目の終値 | 148.50円 | 60pips | 215pips | 3.6 | 約21.7% |
| 153本目の終値 | 148.90円 | 100pips | 175pips | 1.8 | 約35.7% |
| 158本目の終値 | 149.60円 | 170pips | 105pips | 0.6 | 約62.5% |
損益分岐の勝率 = 1 ÷(1 + リスクリワード比)
リスクリワード比 3.6 → 1 ÷ 4.6 ≒ 21.7 %
リスクリワード比 1.8 → 1 ÷ 2.8 ≒ 35.7 %
リスクリワード比 0.6 → 1 ÷ 1.6 ≒ 62.5 %
この例の、損切り147.90円は、PBの安値(148.18円)を、見てから、決めた位置です。150本目の時点では、これが、PBかどうか、分かりません。日足の損失は、60〜170pipsと、大きくなり、資金管理が、重要です。スプレッドや、約定のずれは、考慮していません。
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります。確認が遅れて、リスクリワード比が、1を下回るときは、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。
注意点
1. 「3〜4つ」は、目安で、必ず、そうなるわけではない
周期は、延びたり、縮んだりします。MCが、2つや、5つに、見えることも、あります。公式サイトの用語集は、3つと、していますが、この記事の「3〜4つ」は、本数の目安を、もとにした見方です。
2. 数え方で、結果が、変わる
どの安値を、MBやTBと見なすかで、周期の数が、変わります。後から、数え直すと、結果に、合わせることに、なります。
3. 安値は、必ずしも、重ならない
上の周期の安値が、下の周期の安値と、同じ位置に、ならないこともあります。数本の、ずれが、出ることも、あります。
4. 窓が狭くなっても、当たるとは、限らない
窓を、重ねて、狭くしても、周期が、延びたり縮んだりすると、窓から、外れます。窓が、狭いほど、外れやすくなる点にも、注意が、必要です。
5. 検証できていない
この記事の本数の目安と、「3〜4つ」の見方は、通貨ペアごとの成績を、確認していません。公式サイトの数値とも、違います。自分で、検証してください。
6. ブローカーによって、足の区切りが違う
ブローカーによって、サーバー時間が違い、4時間足や、日足の区切りが、違います。そのため、同じ期間でも、本数が、前後することが、あります。レートも、違うため、安値の位置が、微妙に、違うことが、あります。
7. ダマシ・負けが、続くことがある
たとえば、150本目の終値(148.50円)で買い、損切り147.90円にかかる場合、損失は60pipsです。これが3回続くと、合計−180pipsです。その後の1回の利益が、215pipsなら、合計は+35pips、150pipsなら、−30pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。
初心者が間違えやすいポイント
「必ず、MCは、3つ(または4つ)」と考える
周期の数は、目安です。本数の整合性を、確認し、数が、合わないときは、見方を、見直しましょう。
時間足を、混ぜて、数える
PCは週足、MCは日足、TCは4時間足で、数えます。時間足を、混ぜると、数が、合わなくなります。
窓を、狭くしすぎる
窓を、重ねて、狭くしても、周期の、ばらつきは、残ります。窓から、外れることを、前提に、損切りを、置きましょう。
上の周期を、見ない
TCだけを、見ても、いまの、PCの位置は、分かりません。フェーズを、確認しましょう。
検証せずに、使う
「PCは3〜4つのMC」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- メリマンサイクルの構造(入れ子)は、PCの中に、MCが、MCの中に、TCが、入る、という見方
- 公式サイトの用語集では、PCは、3つのMCを含む。FXの本数の目安では、PCは3〜4つのMC、MCは3〜4つのTCで、形成される、という見方が、ある
- 本数の整合性:PCが24〜27週なら、MCは3つ。28〜35週なら、4つ。MCが日足35〜40本なら、TCは3つ、40〜45本なら、4つ
- 例では、日足150本(30週)のPCが、38・37・37・38本の4つのMCで、できており、各MCは、4時間足75本のTCを、3つずつ(合計12個)含む
- 上の周期の安値は、下の周期の安値でもある(PB = MB = TB)。窓を重ねると、PCの窓(120〜175本目)が、MCの窓との重なり(147〜157本目)に、絞れた(幅は約18.2%)
- 例では、150本目の終値(3.6)、153本目の終値(1.8)、158本目の終値(0.6)の順に、リスクリワード比が下がる。損益分岐の勝率は、約21.7%・約35.7%・約62.5%(スプレッド除く)
- 周期の数は、目安で、窓が狭くても、外れることがある。通貨ペアでの検証は、確認できていない
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。チャート分析の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
