メリマンサイクルの延長・短縮・オーブとは?周期のばらつきの扱い方

目次

周期は、一定ではない

メリマンサイクル理論では、周期の長さに、「本数の目安」を、決めて使います(PCは週足24〜35本、MCは日足35〜45本、TCは4時間足60〜80本。別の記事で解説しています)。しかし、実際の周期は、いつも、この範囲に、収まるとは、限りません。範囲より長くなることを「延長」、短くなることを「短縮」、範囲の外側の、許容範囲を「オーブ」と、呼びます。

FXのサイクル分析を解説した、ある記事では、延長を「エクステンション」、短縮を「カーテイルメント」と、呼んでいました。呼び方は、解説書によって、違う可能性が、あります。

用語意味
延長目安の範囲より、周期が、長くなること
短縮目安の範囲より、周期が、短くなること
オーブ目安の範囲の外側にある、許容範囲(この範囲なら、通常の周期と、見なす)

延長・短縮の、具体的な基準は、解説によって、違います。ある解説では、「TCの目安が60〜80本なら、55本や85本付近の安値も、許容範囲(オーブ)の中」と、されていました。メリマン本人の、1999年の解説記事には、「プライマリーサイクルは、通常17週で、窓(オーブ)は、4週間」と、書かれていました(日足で、17週は約85本、4週間は約20本。1週間 = 日足5本として換算)。窓の取り方も、解説によって、違います。

上の図は、4時間足の説明用の例です。3つとも、起点の安値(0本目)から、安値までの本数が、違います。実際の相場が、このようにきれいに動くことは、少ないです。

判定の目安(この記事の例)

この記事では、次の目安を、使います(例です。決まった基準は、ありません)。

周期通常の範囲オーブを含めた範囲延長短縮
TC(4時間足)60〜80本55〜85本(解説の例)85本より長い55本より短い
MC(日足)35〜45本32〜48本(この記事の例)48本より長い32本より短い
PC(週足)24〜35本22〜37本(この記事の例)37本より長い22本より短い

TC以外のオーブは、解説にある、TCのオーブ(±5本)を、割合に直して、当てはめた、この記事の例です。

TCのオーブ ±5本:下限の 5 ÷ 60 ≒ 8.3 %、上限の 5 ÷ 80 ≒ 6.3 %
MCに当てはめる:35 × 8.3 % ≒ 2.9本、45 × 6.3 % ≒ 2.8本 → 約±3本 → 32〜48本
PCに当てはめる:24 × 8.3 % ≒ 2.0週、35 × 6.3 % ≒ 2.2週 → 約±2週 → 22〜37週

このオーブの割合(約6〜8%)は、メリマンが、示したものでは、ありません。解説の、TCの例から、計算した、目安です。

計算例

周期の長さの判定

TCの周期の長さを、7回測った、例です(例の数値です)。

周期の長さ通常の範囲(60〜80本)オーブ(55〜85本)判定
66本内内通常
70本内内通常
74本内内通常
83本上限+3本内オーブの中(長め)
57本下限−3本内オーブの中(短め)
91本上限+11本上限+6本延長
52本下限−8本下限−3本短縮
平均 = (66 + 70 + 74 + 83 + 57 + 91 + 52)÷ 7 = 493 ÷ 7 ≒ 70.4本
通常の範囲(60〜80本)に入る割合 = 3 ÷ 7 ≒ 42.9 %(66・70・74)
オーブを含めた範囲(55〜85本)に入る割合 = 5 ÷ 7 ≒ 71.4 %(66・70・74・83・57)
範囲の外(延長・短縮)= 2 ÷ 7 ≒ 28.6 %(91・52)
91本は、平均70本の 91 ÷ 70 = 1.30倍(+30%)、52本は 52 ÷ 70 ≒ 0.74倍(−26%)

平均は、範囲の中(70.4本)ですが、個々の周期は、通常の範囲から、外れることが、多くなっています。この例では、オーブを含めて、7回中5回が、範囲の中でした。この割合は、作った数値で、実際の相場では、確認が、必要です。

オーブの、広げすぎの注意

通常の窓の幅 = 80 − 60 = 20本分
オーブを含めた窓の幅 = 85 − 55 = 30本分
窓の幅の比 = 30 ÷ 20 = 1.5倍

オーブを含めると、範囲に入る確率は、上がりますが、窓の幅が、1.5倍になり、「いつ」を、絞り込む力は、弱くなります。

下の周期の誤差が、積み重なる

MCは、3つ(または、4つ)のTCで、できています(構造は、別の記事で解説しています)。TCが、少しずつ、短いと、MC全体の長さは、大きく、ずれます。

TCが 55本・58本・60本(すべて、オーブの範囲内):合計 173本(4時間足)
 日足に換算 = 173 ÷ 6 ≒ 28.8本 → MCの範囲(35〜45本)・オーブ(32〜48本)の下限より、3.2本短い → MCは短縮

TCが 80本・82本・84本(82本と84本は、上限を少し超える):合計 246本
 日足に換算 = 246 ÷ 6 = 41.0本 → MCの範囲(35〜45本)の中

1つ1つの、TCが、オーブの範囲内でも、MC全体では、短縮と、判定される場合が、あります。

延長・短縮と、トランスレーション

周期の長さが、変わると、中心の位置が、変わり、山が、右寄りか、左寄りかの判定も、変わります(トランスレーションは、別の記事で解説しています)。山が44本目の場合、周期の長さ別に、計算します。

周期が 52本(短縮):中心 26本目 → 44 ÷ 52 ≒ 84.6 %(右寄り。さらに強い)
周期が 70本(通常):中心 35本目 → 44 ÷ 70 ≒ 62.9 %(右寄り)
周期が 91本(延長):中心 45.5本目 → 44 ÷ 91 ≒ 48.4 %(左寄り)
周期が 100本(延長):中心 50本目 → 44 ÷ 100 = 44.0 %(左寄り)

周期が、延長すると、右寄りが、左寄りに、変わります。周期が確定するまで、トランスレーションも、確定しません。

延長・短縮が、起きる理由(解説による)

ある解説では、次のような例が、示されています。

例
延長強いトレンドが続き、TCが、80本を超えて、100本近くまで、続く例
短縮重要な経済指標の発表などで、急に動き、TCが、60本に満たずに、終わる例

これらは、解説による、例で、必ず、そうなるわけでは、ありません。メリマンの公式サイトの用語集には、延長や短縮についての、記載は、確認できていません。経済指標については、別の記事で解説しています。

基本の使い方

1. 通常の範囲と、オーブを、決める

使う周期の本数の範囲と、オーブを、決めて、固定します。後から、変えないことが、重要です。

2. 窓の入口を、待つ

前の安値から、通常の範囲の下限の本数が、たった後を、窓の入口と、考えます。

3. 窓の中で、反応を確認する

窓に入ったあと、反発の形を、確認します。窓の中で、反応がなければ、オーブの終わり(上限)まで、待つか、延長と、見なして、見送ります。

4. 延長と判断したら、見方を、変える

オーブも、超えたときは、延長の可能性が、あります。このとき、トランスレーションの判定も、変わるため、決めつけず、安値の形を、確認します。

5. 損切りと、目標を決める

損切りは、起点の安値や、周期の安値の外側に、置く考え方が、あります。目標は、直前の山と、する考え方が、あります。

計算例:延長の周期で、買う場合

図の中段(延長の例)で、買う場合を、計算します。山は150.60円、周期の安値は149.40円(91本目)、損切りは、その15pips下の149.25円、目標は、直前の山150.60円とします(例の数値です)。

窓の入口(60本目)の終値(149.85円)で買う場合

エントリー 149.85円、損切り 149.25円、利確 150.60円
リスク   = 149.85 − 149.25 = 0.60円(60pips)
リワード = 150.60 − 149.85 = 0.75円(75pips)
リスクリワード比 = 75 ÷ 60 = 1.25 ≒ 1.3

周期の安値の、あとの陽線(92本目)の終値(149.55円)で買う場合

エントリー 149.55円、損切り 149.25円、利確 150.60円
リスク   = 149.55 − 149.25 = 0.30円(30pips)
リワード = 150.60 − 149.55 = 1.05円(105pips)
リスクリワード比 = 105 ÷ 30 = 3.5

反発が進んだのを確認した、97本目の終値(149.95円)で買う場合

エントリー 149.95円、損切り 149.25円、利確 150.60円
リスク   = 149.95 − 149.25 = 0.70円(70pips)
リワード = 150.60 − 149.95 = 0.65円(65pips)
リスクリワード比 = 65 ÷ 70 ≒ 0.9
エントリー価格リスクリワードリスクリワード比損益分岐の勝率
窓の入口(60本目)149.85円60pips75pips1.3約43.5%
安値のあとの陽線(92本目)149.55円30pips105pips3.5約22.2%
反発が進んだのを確認(97本目)149.95円70pips65pips0.9約52.6%
損益分岐の勝率 = 1 ÷(1 + リスクリワード比)
リスクリワード比 1.3 → 1 ÷ 2.3 ≒ 43.5 %
リスクリワード比 3.5 → 1 ÷ 4.5 ≒ 22.2 %
リスクリワード比 0.9 → 1 ÷ 1.9 ≒ 52.6 %

この例の、損切り149.25円は、周期の安値(149.40円)を、見てから、決めた位置です。窓の入口(60本目)で買った場合、価格は、その後、149.40円まで、45pips下がります(損切りには、かかりませんでした)。窓の入口で、買い、浅い損切りを置いていると、延長のとき、損切りに、かかりやすくなります。逆に、短縮の例(図の下段)では、安値が、窓の前に、できるため、窓の入口を、待っていると、上昇に、乗れません。スプレッドや、約定のずれは、考慮していません。

確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります。確認が遅れて、リスクリワード比が、1を下回るときは、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。

注意点

1. オーブの基準は、決まっていない

オーブの大きさは、解説によって、違います。この記事の、MCやPCのオーブは、TCの例から、計算した、例です。

2. オーブを広げるほど、当たりやすく、役に立たなくなる

窓を、広げれば、安値は、窓の中に、入りやすくなりますが、「いつ」を、絞り込む力は、弱くなります。

3. 延長・短縮は、後から、分かる

周期の安値が、できてから、延長だったか、短縮だったかが、分かります。リアルタイムでは、周期が、続いているのか、延長なのかは、分かりません。

4. 下の周期の誤差が、積み重なる

TCが、少しずつ、長い(短い)と、MCやPCの長さも、ずれます。

5. 延長・短縮の理由は、確認できない

強いトレンドや、経済指標が、理由と、されますが、実際に、そうだったかは、後から、決めつけることは、できません。

6. ブローカーによって、足の区切りが違う

ブローカーによって、サーバー時間が違い、4時間足や、日足の区切りが、違います。そのため、同じ期間でも、本数が、前後することが、あります。レートも、違うため、安値の位置が、微妙に、違うことが、あります。

7. ダマシ・負けが、続くことがある

たとえば、安値のあとの陽線(92本目)の終値(149.55円)で買い、損切り149.25円にかかる場合、損失は30pipsです。これが3回続くと、合計−90pipsです。その後の1回の利益が、105pipsなら、合計は+15pips、75pipsなら、−15pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。

初心者が間違えやすいポイント

範囲から外れたら、サイクルが「終わった」と考える

延長や短縮は、サイクル分析の中で、想定されている、ばらつきです。範囲から外れても、サイクルが、なくなったとは、限りません。

オーブを、後から、決める

結果に、合わせて、オーブを、広げると、どんな安値も、当てはまります。先に、決めて、固定しましょう。

窓の入口だけで、買う

延長のときは、窓の入口で、買うと、さらに、下がることが、あります。反発の形を、確認しましょう。

上の周期を、見ない

下の周期だけでなく、上の周期の、長さと、位置も、確認しましょう。

検証せずに、使う

オーブの中なら、通常の周期」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。

まとめ

  • 延長は、周期が、範囲より、長くなること。短縮は、短くなること。オーブは、範囲の外側の、許容範囲
  • 解説の例では、TCの60〜80本に対し、55〜85本がオーブ(±5本)。この記事では、MCは32〜48本、PCは22〜37週と、割合から計算した(例)
  • 例では、TCの7回の周期(66・70・74・83・57・91・52本)のうち、通常の範囲に入るのは3回(42.9%)、オーブを含めると5回(71.4%)。窓の幅は、20本分から30本分(1.5倍)に広がる
  • TCが、少しずつ短いと(55・58・60本)、MCは、日足28.8本で、短縮になる
  • 山が44本目なら、周期52本は84.6%(右寄り)、70本は62.9%(右寄り)、91本は48.4%(左寄り)。延長でトランスレーションが変わる
  • 例(延長の周期)では、窓の入口(1.3)、安値のあとの陽線(3.5)、反発が進んだのを確認(0.9)の順で、リスクリワード比が変わる。損益分岐の勝率は、約43.5%・約22.2%・約52.6%(スプレッド除く)
  • メリマンの公式サイトの用語集には、延長・短縮の記載は、確認できていない
  • 単独では判断できない。必ず機能するわけではない

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。チャート分析の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。

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