メリマンサイクル理論とは
メリマンサイクル理論とは、アメリカのレイモンド・メリマン(Raymond A. Merriman)が、まとめたとされる、相場のサイクル(周期)の分析手法です。メリマンは、市場分析会社「Merriman Market Analyst」の代表で、サイクル分析を教える講座も、運営している人物として、知られています(公式サイトの紹介による)。
この手法では、周期を、「大きさ」の違うものに、分けて、安値から次の安値までの、長さを、測ります。FXでは、周期ごとに、見る時間足と、ローソク足の本数を、決めて使う、という考え方が、あります。この記事では、次の目安を、使います。
| 周期 | 略称 | 見る時間足 | 本数の目安 |
|---|---|---|---|
| プライマリーサイクル | PC | 週足 | 24〜35本 |
| メジャーサイクル | MC | 日足 | 35〜45本 |
| トレーディングサイクル | TC | 4時間足 | 60〜80本 |
サイクル理論の一般的な考え方(周期の入れ子、山の位置など)は、別の記事で解説しています。この記事では、メリマンの、サイクル分析で使われる、用語と、「周期ごとに、時間足と本数を決めて、次の安値の窓を出す」方法に、絞ります。
メリマンは、サイクル分析のほかに、天体の配置(ジオコズミック)を使った分析も、行っています(公式サイトの解説による)。この記事では、扱いません。根拠や、検証方法は、この記事では、確認できていません。
サイクル = 一定の間隔で、繰り返し現れる、測定できる現象(安値から次の安値までを測る)
PC(週足24〜35本)= 長期の周期
└ MC(日足35〜45本)= 中期の周期
└ TC(4時間足60〜80本)= 短期の周期

上の図は、説明のために作った例です。どの時間足も、安値から安値までの本数を測り、前の安値から、本数の下限〜上限だけ後を、「次の安値の窓」として、橙の帯で、示しています。実際の相場が、このようにきれいに動くことは、少ないです。
周期の長さ(時間足と本数)
周期を、期間に、換算すると、次のようになります(1週間 = 日足5本、1日 = 4時間足6本として、換算した目安です)。
| 周期 | 時間足と本数 | 期間の目安 | 日足換算 | 4時間足換算 |
|---|---|---|---|---|
| PC | 週足24〜35本 | 24〜35週(約5.5〜8か月) | 120〜175本 | 720〜1,050本 |
| MC | 日足35〜45本 | 7〜9週(約1.6〜2.1か月) | 35〜45本 | 210〜270本 |
| TC | 4時間足60〜80本 | 10〜13.3日(約2〜2.7週) | 10〜13.3本 | 60〜80本 |
週数への換算:MC = 35 ÷ 5 = 7週 〜 45 ÷ 5 = 9週
日数への換算:TC = 60 ÷ 6 = 10日 〜 80 ÷ 6 ≒ 13.3日
周期の、入れ子の関係を、本数で確認します。
PCの中のMCの数 = PC(日足換算120〜175本)÷ MC(35〜45本)
= 120 ÷ 45 ≒ 2.7 〜 175 ÷ 35 = 5.0 → 約3〜5個
MCの中のTCの数 = MC(4時間足換算210〜270本)÷ TC(60〜80本)
= 210 ÷ 80 ≒ 2.6 〜 270 ÷ 60 = 4.5 → 約3〜4個
ブローカーによって、1日の区切りや、4時間足の区切りが、違うため、本数は、前後することが、あります。
参考:メリマンの公式サイトの用語集では、PBは「通常13〜21週」、MBは「約4〜7週間隔」、TBは「約2〜4週間隔」とされています。この記事の本数(PCは24〜35週、MCは7〜9週、TCは約2〜2.7週)とは、数値が違います。違いの理由は、確認できていません。使う本数は、自分で検証して、決めてください。
用語の整理
公式サイトの用語集を、もとに、整理します。
| 用語 | 略称 | 内容 |
|---|---|---|
| プライマリーサイクルの安値 | PB | PCの、始まりと終わりの、最も低い価格 |
| プライマリーサイクルの高値 | PT | 2つのPBの間の、最も高い価格 |
| メジャーサイクルの安値 | MB | MCの、始まりと終わりの安値 |
| メジャーサイクルの高値 | MT | 2つのMBの間の、最も高い価格 |
| トレーディングサイクルの安値 | TB | TCの、始まりと終わりの安値。公式サイトでは「あまり使わない」とされる |
| ハーフサイクルの安値 | 1/2-PB | PCの、中間あたりの安値 |
メリマンの用語集では、「PCは、3つのメジャーサイクルを含む」と、されています。この記事の本数では、換算すると、約3〜5個になり、必ず、3つとは、限りません。
公式サイトの用語集には、「ハーフサイクルの安値は、約65%の割合で、メジャーサイクルの安値は、約80%の割合で、現れる」という、趣旨の記載が、あります。これは、メリマン側の説明で、どの市場や、期間での割合かは、確認できていません。この記事では、検証していません。
山の位置(トランスレーション)
メリマンの用語集では、「上昇相場は、プライマリーサイクルの山が、周期の、中央より、後ろに、ある形(右へのトランスレーション)で、安値・高値が、切り上がる」「下降相場は、山が、前に、ある形(左へのトランスレーション)で、安値・高値が、切り下がる」と、説明されています。山の位置の見方は、別の記事の、サイクル理論でも、触れています。
方向の決め方
用語集には、「ある周期の方向は、1つ上の周期が、どの局面にあるかで、決まる」という、趣旨の記載が、あります。この記事の使い方では、「週足(PC)で、大きな方向を見て、日足(MC)で、中期の流れを見て、4時間足(TC)で、安値の窓を、探す」という、順番に、なります。マルチタイムフレーム分析にも、通じる考え方です。マルチタイムフレーム分析は、別の記事で解説しています。
計算例
次の安値の窓の出し方
次の安値の窓 = 前の安値の位置 + 本数の下限 〜 前の安値の位置 + 本数の上限
例の、3つの時間足は、次のとおりです(例の数値です)。
| 周期 | 時間足 | 安値の位置 | 周期の長さ | 平均 | 次の安値の窓 | 実際の安値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| PC | 週足 | 0・28・60本目 | 28本・32本 | 30本 | 28 + 24 = 52 〜 28 + 35 = 63本目 | 60本目 |
| MC | 日足 | 0・38・80本目 | 38本・42本 | 40本 | 38 + 35 = 73 〜 38 + 45 = 83本目 | 80本目 |
| TC | 4時間足 | 0・66・136本目 | 66本・70本 | 68本 | 66 + 60 = 126 〜 66 + 80 = 146本目 | 136本目 |
周期の長さ(PC)= 28 − 0 = 28本、60 − 28 = 32本 → 平均 (28 + 32)÷ 2 = 30本(24〜35本の範囲内)
周期の長さ(MC)= 38 − 0 = 38本、80 − 38 = 42本 → 平均 (38 + 42)÷ 2 = 40本(35〜45本の範囲内)
周期の長さ(TC)= 66 − 0 = 66本、136 − 66 = 70本 → 平均 (66 + 70)÷ 2 = 68本(60〜80本の範囲内)
窓の幅 = PC:63 − 52 = 11本分、MC:83 − 73 = 10本分、TC:146 − 126 = 20本分
この例では、3つとも、実際の安値が、窓の中に、ありました。ただし、窓の幅が、PCで11本分、MCで10本分、TCで20本分と、広く、後から、当てはめやすい点は、注意が、必要です。また、周期が、範囲を外れて、延びたり、縮んだりすることも、あります。
山の位置(週足のPC)
1つ目のPC(0〜28本目):中央 = 28 ÷ 2 = 14本目。PTは18本目 → 18 ÷ 28 ≒ 64.3 %(中央より後ろ)
2つ目のPC(28〜60本目):中央 = 28 + 16 = 44本目。PTは48本目(開始から20本目)→ 20 ÷ 32 = 62.5 %(中央より後ろ)
どちらも、山が、中央より後ろにあり、「右へのトランスレーション」にあたります。例の価格は、PBが、142.00円 → 143.50円 → 146.00円と、切り上がり(+150pips、+250pips)、PTも、148.00円 → 151.00円と、切り上がっています(+300pips)。メリマンの用語では、上昇相場の形です。
他の分析との違い
| メリマンのサイクル | サイクル理論(一般) | 時間論(日柄) | |
|---|---|---|---|
| 周期の分け方 | PC・MC・TCに分け、時間足と本数を決める | 周期を、2倍などで、入れ子にする考え方もある | 基本数値(9・17・26など)を、使う |
| 用語 | PB・MB・TBなど、独自の用語 | 解説によって、違う | 変化日 |
| 窓 | 本数の下限〜上限で、窓を出す | 解説によって、違う | 数値の前後を、見る |
| 方向の判断 | 1つ上の周期の局面で、決める | 山の位置などで、見る | 方向は、示さない |
一般の、サイクル理論と、時間論は、別の記事で解説しています。
基本の使い方
1. 上の時間足で、方向を確認する
週足で、PBやPTが、切り上がっているか(または、切り下がっているか)を、確認し、日足で、中期の流れを、確認します。
2. TCの安値の窓を、出す
4時間足で、直近のTBに、60〜80本を足し、次のTBの窓を、出します。
3. 窓の中で、価格の反応を、確認する
窓に入っただけでは、判断できません。ある解説記事(株価指数先物の例)では、「45日移動平均線を、上回ること」を、底の目安の一つにしていました。どの確認を使うかは、自分で、決める必要があります。
4. 損切りと、目標を決める
損切りは、TBの安値の外側に、置く考え方が、あります。目標は、直前のTT(周期の高値)などと、する考え方が、あります。
計算例:4時間足の窓の中で、買う場合
TB(136本目)の安値は149.60円、その15pips下の149.45円を損切り、目標は、前のTT(100本目)の高値150.60円とします(例の数値です。週足・日足の方向は、上向きと、確認できているものとします)。
136本目の終値(149.72円)で買う場合(窓の中で、安値をつけた足)
エントリー 149.72円、損切り 149.45円、利確 150.60円
リスク = 149.72 − 149.45 = 0.27円(27pips)
リワード = 150.60 − 149.72 = 0.88円(88pips)
リスクリワード比 = 88 ÷ 27 ≒ 3.3
138本目(陽線)の終値(149.90円)で買う場合
エントリー 149.90円、損切り 149.45円、利確 150.60円
リスク = 149.90 − 149.45 = 0.45円(45pips)
リワード = 150.60 − 149.90 = 0.70円(70pips)
リスクリワード比 = 70 ÷ 45 ≒ 1.6
141本目の終値(150.15円)で買う場合(上昇が進んだのを確認)
エントリー 150.15円、損切り 149.45円、利確 150.60円
リスク = 150.15 − 149.45 = 0.70円(70pips)
リワード = 150.60 − 150.15 = 0.45円(45pips)
リスクリワード比 = 45 ÷ 70 ≒ 0.6
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 | 損益分岐の勝率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 136本目の終値 | 149.72円 | 27pips | 88pips | 3.3 | 約23.3% |
| 138本目の終値 | 149.90円 | 45pips | 70pips | 1.6 | 約38.5% |
| 141本目の終値 | 150.15円 | 70pips | 45pips | 0.6 | 約62.5% |
損益分岐の勝率 = 1 ÷(1 + リスクリワード比)
リスクリワード比 3.3 → 1 ÷ 4.3 ≒ 23.3 %
リスクリワード比 1.6 → 1 ÷ 2.6 ≒ 38.5 %
リスクリワード比 0.6 → 1 ÷ 1.6 ≒ 62.5 %
この例の、損切り149.45円は、TBの安値(149.60円)を、見てから、決めた位置です。136本目の時点では、これが、TBかどうか、分かりません。また、136本目は、ほぼ、始値と終値が同じ足で、反発の確認には、なっていません。スプレッドや、約定のずれは、考慮していません。
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります。確認が遅れて、リスクリワード比が、1を下回るときは、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。
注意点
1. 周期は、一定では、ない
周期は、延びたり、縮んだり、することが、あります。例でも、PCは28本と32本、MCは38本と42本、TCは66本と70本で、違います。本数が、範囲を、外れることも、あります。
2. 窓が広く、後から当てはめやすい
窓の幅は、PCで11本分、MCで10本分、TCで20本分です。後から、チャートを、見ると、窓の中に、安値が、あるように、見えやすいです。リアルタイムでは、窓の中の、どの安値が、周期の安値か、分かりません。
3. 安値の選び方で、結果が、変わる
どの安値を、PBやTBと見なすかで、周期の長さも、窓の位置も、変わります。後から、選び直すと、結果に、合わせることに、なります。
4. 本数の目安は、検証できていない
この記事の本数(週足24〜35本、日足35〜45本、4時間足60〜80本)は、目安で、通貨ペアごとの成績は、確認できていません。メリマンの公式サイトの数値とも、違います。公式サイトの「約65%」「約80%」といった割合も、この記事では、検証していません。
5. 方向と、価格は、示さない
サイクルは、「いつ」を、考える手法で、「どこまで」は、示しません。価格の分析と、組み合わせる必要があります。
6. ブローカーによって、足の区切りが違う
ブローカーによって、サーバー時間が違い、4時間足や、日足の区切りが、違います。そのため、同じ期間でも、本数が、前後することが、あります。レートも、違うため、安値の位置が、微妙に、違うことが、あります。
7. ダマシ・負けが、続くことがある
たとえば、136本目の終値(149.72円)で買い、損切り149.45円にかかる場合、損失は27pipsです。これが3回続くと、合計−81pipsです。その後の1回の利益が、88pipsなら、合計は+7pips、70pipsなら、−11pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。
初心者が間違えやすいポイント
「窓の中に入れば、必ず、底になる」と考える
窓の中で、安値を、割ることも、窓の外で、底になることも、あります。損切りを、先に、決めておきましょう。
時間足を、混ぜて、本数を数える
週足のPCは、週足の本数、日足のMCは、日足の本数で、数えます。時間足を、混ぜると、周期が、合わなくなります。
「PB」「TB」を、後から決める
後から、見ると、どれが、周期の安値か、簡単に、見つけられます。リアルタイムでは、分かりません。
1つの周期だけで、決める
上の時間足の方向も、確認しましょう。
少ない回数で、周期を、決める
周期の、測定回数が、少ないと、平均が、不安定です。
検証せずに、使う
「メリマンの周期は、当たる」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- メリマンサイクル理論は、レイモンド・メリマンの、サイクル分析で、使われる、用語と、周期の分け方
- この記事の目安は、PCが週足24〜35本、MCが日足35〜45本、TCが4時間足60〜80本。換算すると、PCは約24〜35週、MCは約7〜9週、TCは約2〜2.7週
- 安値から安値までの本数を測り、前の安値から、本数の下限〜上限だけ後を、次の安値の窓にする
- 例では、PCの窓は52〜63本目(実際は60本目)、MCの窓は73〜83本目(実際は80本目)、TCの窓は126〜146本目(実際は136本目)。窓の幅は、11・10・20本分
- 山(PT)の位置(トランスレーション)や、1つ上の周期の局面で、方向を見る。例のPTは周期の64.3%と62.5%の位置(中央より後ろ)
- 例では、136本目の終値(3.3)、138本目の終値(1.6)、141本目の終値(0.6)の順に、リスクリワード比が下がる。損切り位置は、後から決めた例
- 損益分岐の勝率は、リスクリワード比3.3で約23.3%、1.6で約38.5%、0.6で約62.5%(スプレッド除く)
- 周期は一定でなく、窓が広いため、後から当てはめやすい。メリマンの公式サイトの数値とは違い、FXの通貨ペアでの検証は、確認できていない
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。チャート分析の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
