ヒドゥン・ダイバージェンスとは
ヒドゥン・ダイバージェンス(Hidden Divergence)とは、価格と、オシレーター(RSI・MACD・ストキャスティクスなど)の動きが逆行する、ダイバージェンスの一種で、「トレンドが、継続する」可能性を、示すサインとして、使われるものです。「隠れた(Hidden)」という名前は、通常のダイバージェンス(レギュラー・ダイバージェンス)と、比べて、見つけにくいことから、そう呼ばれると、言われています。通常のダイバージェンスが、「トレンドの反転」を、示すのに対して、ヒドゥンは、「トレンドの継続」を、示す点が、大きな違いです。通常のダイバージェンスについては、別の記事で解説しています。
強気のヒドゥン・ダイバージェンス(上昇トレンドの継続の目安)
価格 :安値を切り上げる(押しが、浅い)
オシレーター:安値を切り下げる(押しで、深く、売られた)
弱気のヒドゥン・ダイバージェンス(下降トレンドの継続の目安)
価格 :高値を切り下げる(戻りが、浅い)
オシレーター:高値を切り上げる(戻りで、強く、買われた)

図は、ローソク足と、RSI(14)を、並べた例です。この図は、説明のために作った例で、ヒドゥン・ダイバージェンスの後に、必ず、このように、動くわけでは、ありません。RSIについては、別の記事で解説しています。
通常のダイバージェンスとの違い
| 通常(レギュラー) | ヒドゥン | |
|---|---|---|
| 示すもの | トレンドの反転の可能性 | トレンドの継続の可能性 |
| 強気の形 | 価格:安値を切り下げ / オシレーター:安値を切り上げ | 価格:安値を切り上げ / オシレーター:安値を切り下げ |
| 弱気の形 | 価格:高値を切り上げ / オシレーター:高値を切り下げ | 価格:高値を切り下げ / オシレーター:高値を切り上げ |
| 出る場面 | トレンドの、終盤 | トレンドの、途中の押し・戻り |
| 使い方 | 反転の、可能性を、探す | 押し目・戻りの、終わりを、探す |
考え方は、「価格の動きと、オシレーターの動きの、どちらが、強いか」です。通常のダイバージェンスでは、価格が、強く見えるのに、オシレーターが、弱い(勢いが落ちている)、ヒドゥンでは、オシレーターが、深く動いたのに、価格は、あまり動かなかった(価格が、強い)と、解釈されます。
見つけ方と、手計算の例
見つけ方の手順は、次のとおりです。
1. 上昇トレンドなら、押しの安値(下降トレンドなら、戻りの高値)を、2つ選ぶ
2. 同じ位置(同じ足)の、オシレーターの値を、比べる
3. 価格は、切り上げ(切り下げ)、オシレーターは、逆なら、ヒドゥン・ダイバージェンス
計算例:強気のヒドゥン・ダイバージェンス
上昇トレンドの途中の、押しの安値が、1つ目は43本目、2つ目は80本目で、終値で、比べるとします(図と同じ数値、例です)。
| 1つ目の安値 | 2つ目の安値 | 変化 | |
|---|---|---|---|
| 価格(終値) | 149.60円 | 149.90円 | +30pips(切り上がり) |
| RSI(14) | 39.6 | 34.3 | −5.3(切り下がり) |
価格の変化 = 149.90 − 149.60 = +0.30円(+30pips) → 安値を切り上げ
RSIの変化 = 34.3 − 39.6 = −5.3 → 安値を切り下げ
2つの安値の間隔 = 80 − 43 = 37本
価格の傾き = +30pips ÷ 37本 ≒ +0.81 pips/本
RSIの傾き = −5.3 ÷ 37本 ≒ −0.14 /本
価格は、切り上がっているのに、RSIは、切り下がっているため、強気のヒドゥン・ダイバージェンスと、判断できます。2つ目の押しは、急に下がったため、RSIは、低くなりましたが、価格は、前の安値より、高い位置で、止まっています。
計算例:弱気のヒドゥン・ダイバージェンス
下降トレンドの途中の、戻りの高値が、1つ目は151本目、2つ目は179本目とします(図と同じ数値、例です)。
| 1つ目の高値 | 2つ目の高値 | 変化 | |
|---|---|---|---|
| 価格(終値) | 150.90円 | 150.60円 | −30pips(切り下がり) |
| RSI(14) | 56.7 | 63.5 | +6.8(切り上がり) |
価格の変化 = 150.60 − 150.90 = −0.30円(−30pips) → 高値を切り下げ
RSIの変化 = 63.5 − 56.7 = +6.8 → 高値を切り上げ
2つの高値の間隔 = 179 − 151 = 28本
価格の傾き = −30pips ÷ 28本 ≒ −1.07 pips/本
RSIの傾き = +6.8 ÷ 28本 ≒ +0.24 /本
価格は、切り下がっているのに、RSIは、切り上がっているため、弱気のヒドゥン・ダイバージェンスです。
| 種類 | 価格 | オシレーター | 見方の目安 |
|---|---|---|---|
| 強気のヒドゥン | 安値を切り上げ | 安値を切り下げ | 上昇トレンドが、続く可能性 |
| 弱気のヒドゥン | 高値を切り下げ | 高値を切り上げ | 下降トレンドが、続く可能性 |
他の分析との違い
| ヒドゥン・ダイバージェンス | 押し目・戻りの、水準分析 | 移動平均線 | |
|---|---|---|---|
| 見るもの | 価格と、オシレーターの、逆行 | フィボナッチ水準・水平線など | 平均線の向きと、価格の位置 |
| 使う場面 | 押し目・戻りの、終わりの、確認 | 押し目・戻りの、終わりの、場所 | トレンドの向きの、確認 |
| 主観の入りやすさ | 高値・安値の選び方で、変わる | 起点・終点の選び方で、変わる | 期間の設定で、変わる |
ヒドゥン・ダイバージェンスは、フィボナッチ・リトレースメントや、移動平均線などで、見つけた、押し目・戻りの場所を、「確認する材料」として、使われることが、多いです。フィボナッチ・リトレースメント、移動平均線については、別の記事で解説しています。
基本の使い方
1. トレンドの方向を、確認する
ヒドゥンは、トレンドの継続を見る、サインです。まず、トレンドの方向(上昇か、下降か)を、確認します。トレンドが、はっきりしていない場面では、使いにくいです。環境認識については、別の記事で解説しています。
2. 押し・戻りの安値・高値を、比べる
トレンドの途中の、押しの安値(戻りの高値)を、2つ選び、オシレーターの値を、比べます。
3. 反転の確認ではなく、再開の確認を、待つ
ヒドゥンは、「押し・戻りが、終わって、トレンドが、再開する」ことを、示すサインです。押しの安値を、割り込まず、再び上昇し始めたか(ローソク足の形、直近の高値の更新など)を、確認するのが、一般的です。
4. 上位足の方向を、確認する
上位足の、トレンドと、同じ方向の、ヒドゥンは、使いやすいと、考えられています。上位足の、トレンドと逆の場合は、短い調整で、終わることが、あります。
計算例:強気のヒドゥンで、押し目を買う場合
図の例(押しの安値149.90円)で、強気のヒドゥン・ダイバージェンスを、確認して、買う場合を、考えます。損切りは、2つ目の安値(149.90円)の下の149.75円、利益確定は、前の高値(150.80円)とします(例の数値です)。
2つ目の安値の近く(149.95円)に、指値で買う場合
エントリー 149.95円、損切り 149.75円、利確 150.80円
リスク = 149.95 − 149.75 = 0.20円(20pips)
リワード = 150.80 − 149.95 = 0.85円(85pips)
リスクリワード比 = 85 ÷ 20 ≒ 4.3
陽線が確定して、RSIが、上がり始めた足の終値(150.15円)で買う場合
エントリー 150.15円、損切り 149.75円、利確 150.80円
リスク = 150.15 − 149.75 = 0.40円(40pips)
リワード = 150.80 − 150.15 = 0.65円(65pips)
リスクリワード比 = 65 ÷ 40 ≒ 1.6
押し後の戻りの高値(150.50円)を、上抜けた足の終値で買う場合
エントリー 150.50円、損切り 149.75円、利確 150.80円
リスク = 150.50 − 149.75 = 0.75円(75pips)
リワード = 150.80 − 150.50 = 0.30円(30pips)
リスクリワード比 = 30 ÷ 75 = 0.4
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 |
|---|---|---|---|---|
| 指値(2つ目の安値の近く) | 149.95円 | 20pips | 85pips | 4.3 |
| 反発を確認(足の確定) | 150.15円 | 40pips | 65pips | 1.6 |
| 戻りの高値を上抜けた(継続の確認) | 150.50円 | 75pips | 30pips | 0.4 |
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。指値は、安値が、確定する前に、置くため、さらに、安値を更新されて、損切りに、なることも、あります。戻りの高値の上抜けまで待つと、前の高値までの値幅が、小さくなるため、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。
注意点
1. 継続しないことも、ある
ヒドゥン・ダイバージェンスの後に、トレンドが、続かず、反転することも、あります。図は、継続した例ですが、継続しない場合も、多いです。
2. 高値・安値の選び方で、見え方が、変わる
どの安値・高値を、比べるかで、ヒドゥンが、「ある」「ない」が、変わります。同じチャートでも、人によって、判断が、分かれます。
3. 通常のダイバージェンスと、混同しやすい
通常と、ヒドゥンは、価格とオシレーターの、向きが、逆の関係です。どちらの形かを、確認せずに、使うと、反対の意味に、取ってしまいます。
4. 時間足・指標の設定で、見え方が、変わる
RSIの期間(14など)や、MACDの設定、時間足によって、ヒドゥンの、出方が、変わります。設定を変えると、ヒドゥンが、消えたり、現れたりします。
5. レンジ相場では、機能しにくい
方向感のない、レンジ相場では、押し・戻りの、高値・安値が、はっきりせず、ヒドゥンが、ダマシに、なりやすいです。
たとえば、ヒドゥンでの押し目買いが、損失20pipsで、7回続くと、合計−140pipsの損失です。その後の1回の利益が、200pipsなら、合計は+60pips、120pipsなら、合計は−20pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
6. 足が確定するまで、分からない
確定前の足では、オシレーターの値が、動くため、ヒドゥンが、「出ている」ように、見えても、確定したときには、消えていることが、あります。足が確定してから、確認するようにしましょう。確定するまで、分からないことを、忘れないようにしましょう。
初心者が間違えやすいポイント
「ヒドゥンが出たら、必ず、トレンドが続く」と考える
ヒドゥンは、「継続の可能性」を示す、目安で、保証では、ありません。損切りを、先に、決めておくことが、必要です。
通常と、ヒドゥンの、向きを、逆に、取る
価格が、安値を切り上げ、オシレーターが、切り下げ、は、ヒドゥン(継続)です。価格が、安値を切り下げ、オシレーターが、切り上げ、は、通常(反転)です。表で、確認しましょう。
トレンドが、ないところで、使う
ヒドゥンは、トレンドの、途中の押し・戻りで、使うものです。レンジ相場や、トレンドの転換点では、意味が、変わります。
後から、当てはめる
トレンドが、続いた後に、「ここに、ヒドゥンが、あった」と、線を引くのは、後付けです。リアルタイムで、確認できるかを、検証しましょう。
検証せずに、使う
「ヒドゥンで、トレンドの継続が、分かる」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・指標・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- ヒドゥン・ダイバージェンスは、価格とオシレーターが、逆行する、ダイバージェンスのうち、トレンドの継続を、示すもの。通常のダイバージェンスは、反転の目安
- 強気は、価格が安値を切り上げ、オシレーターが安値を切り下げ。弱気は、価格が高値を切り下げ、オシレーターが高値を切り上げ
- トレンドの途中の、押し・戻りの、終わりの確認に、使われる
- 例では、強気は、価格+30pips・RSI−5.3(39.6→34.3)、弱気は、価格−30pips・RSI+6.8(56.7→63.5)
- 例では、指値(4.3)、反発の確認(1.6)、戻りの高値の上抜け(0.4)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、安値を、更新されることもある
- 継続しないことも多い。高値・安値の選び方で、見え方が変わる。レンジ相場では、ダマシが多い
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
