ガートレーパターンとは
ガートレーパターンとは、ハーモニックパターンの中で、最も基本とされる形で、Dが、XAの78.6%戻しの付近になるものです。英語では、「Gartley Pattern(ガートレー・パターン)」と呼ばれます。買いの形は、アルファベットの「M」に、売りの形は、「W」に、似た形になります(買いと売りの、見え方は、点の取り方で、変わります)。
1930年代に、H.M.ガートレーが、著書の中で、紹介した形が、原型とされ、後に、この形が、「ガートレー」と、呼ばれるようになった、と言われています(出典により、説明は違います)。ハーモニックパターン全体の考え方は、別の記事で解説しています。この記事では、ガートレーの、比率の条件と、D点の考え方を、中心に、解説します。
X → A:最初の動き(XA)
A → B:XAの 61.8 % 戻し(AB)
B → C:ABの 38.2〜88.6 % 戻し(BC)
C → D:XAの 78.6 % 戻し(Dが、PRZの中心。Xは、超えない)

上の図は、売りの形の例です。Xの高値から、Aの安値まで、下落し(XA)、Bまで戻し(AB)、Cまで下げ(BC)、Dまで、再び上昇して(CD)、Dの付近で、反転しています。DはXの水準を、超えていません。この図は、説明のために作った例で、実際の相場が、このように、きれいに動くことは、少ないです。
ガートレーの、比率の条件
ガートレーの条件として、よく紹介される、比率は、次のとおりです(解説書やソフトによって、数値や範囲は、違います)。
| 区間 | 比率の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| B | XAの約61.8%戻し | ABが、XAの約61.8% |
| C | ABの約38.2〜88.6%戻し | BCが、ABの38.2〜88.6% |
| D | XAの約78.6%戻し | PRZの中心。Xを、超えない |
| CD | BCの約113〜161.8% | BCに対する、CDの長さ(範囲は、解説書により、異なる) |
78.6%は、フィボナッチ数列の比率(61.8%など)では、なく、61.8%の、平方根(√0.618 ≒ 0.786)に、あたる、数値です。フィボナッチ比率については、別の記事で解説しています。
計算例(売りの形)
Xが150.00円(高値)、Aが148.00円(安値)で、BがXAの61.8%戻し、CがABの50%戻し、DがXAの78.6%戻しになる例を、計算します(例の数値です)。
XA = 150.00 − 148.00 = 2.00円(200pips)
B = 148.00 + 2.00 × 0.618 = 148.00 + 1.236 = 149.236円 ≒ 149.24円
AB = 1.236円(XAの 61.8 %)
C = 149.236 − 1.236 × 0.5 = 149.236 − 0.618 = 148.618円 ≒ 148.62円
BC = 0.618円(ABの 50 %)
D = 148.00 + 2.00 × 0.786 = 148.00 + 1.572 = 149.572円 ≒ 149.57円
CD = 149.572 − 148.618 = 0.954円(約95pips)
CD ÷ BC = 0.954 ÷ 0.618 ≒ 1.54
| 確認する項目 | 例の値 | 目安の範囲 | 判定 |
|---|---|---|---|
| AB ÷ XA | 0.618 | 約0.618 | 範囲内 |
| BC ÷ AB | 0.500 | 0.382〜0.886 | 範囲内 |
| CD ÷ BC | 約1.54 | 約1.13〜1.618 | 範囲内 |
| XAに対するD | 0.786 | 約0.786 | 範囲内 |
| DとX | 149.57円 < 150.00円 | Xを超えない | 範囲内 |
すべての条件が、範囲内に、収まっているため、「ガートレーに、近い形」と、いえます。ただし、実際の相場では、ここまで、きれいに、そろうことは、少ないです。
Dの位置で、名前が変わる
Dの位置が、少し、違うだけで、別の形になります(ここでの数値は、例です)。
| Dの価格 | XAに対する位置 | 見方 |
|---|---|---|
| 149.57円 | 78.6% | ガートレー |
| 149.60円 | 80.0% | ガートレーに近い(78.6%との差が、小さい) |
| 149.77円 | 88.6% | バットに近い(別の記事で解説) |
| 150.10円 | 105% | Xを超えた。ガートレーの形は崩れた |
Dが149.60円の場合:(149.60 − 148.00)÷ 2.00 = 0.80 → 80.0 %
Dが149.77円の場合:(149.77 − 148.00)÷ 2.00 = 0.885 → 約88.6 %
Dが150.10円の場合:(150.10 − 148.00)÷ 2.00 = 1.05 → 105 %(Xを超える)
78.6%に、どのくらいまで、近ければ、ガートレーといえるかは、決まっておらず、ずれの許容を、広げるほど、後から、当てはめやすくなります。
他のハーモニックパターンとの違い
| ガートレー | バット | バタフライ | |
|---|---|---|---|
| B(XAの戻し) | 約61.8% | 約38.2〜50% | 約78.6% |
| D(XAに対する位置) | 約78.6%戻し | 約88.6%戻し | 約127%(Xを超える) |
| Xを超えるか | 超えない | 超えない | 超える |
| 特徴 | 基本の形。Bが深い | Bが浅く、Dが深い | Dが、Xを超えて伸びる |
バットとバタフライは、別の記事で解説しています。ガートレーは、「Bが深く(約61.8%)、Dが、Xの手前で止まる」点が、特徴です。
基本の使い方
1. XとAを決める
直近の、はっきりした、高値と安値を、XとAに、決めます。点の取り方で、形が変わるため、取り方を、事前に、決めておきます。
2. Bを確認する
BがXAの、約61.8%戻しの付近かを、確認します。大きく、ずれている場合は、別の形か、形ではない、可能性が、あります。
3. Cを確認する
CがABの、約38.2〜88.6%戻しの範囲かを、確認します。
4. Dの水準(PRZ)を、計算する
B・Cが、確定したら、XAの78.6%戻しの水準を、計算し、PRZ(反転が起きやすい、と考える範囲)を、考えます。ABとCDの比率(AB=CDなど)も、重なる場合は、PRZが、狭くなり、反転の根拠が、重なる、と考えます。
5. 反転のサインを、確認する
Dに到達しても、そのまま、動き続けることが、あります。ローソク足の、反転の形などを、確認します。
6. 損切りと、目標を決める
損切りは、Xの水準の、少し外側に、置く考え方が、あります(Xを超えると、形が崩れる、ため)。目標は、AからDの動きの、一部を、戻した水準(61.8%、C付近など)と、する考え方が、あります。
計算例:Dで、売る場合
D=149.57円(XAの78.6%戻し)で、売る場合を、考えます。損切りは、Xの150.00円より、15pips上の150.15円、利益確定は、DからAへの、動きの61.8%の水準(149.57円 − 1.572円 × 0.618 ≒ 148.60円)とします(例の数値です)。
D(149.57円)に、指値で売る場合
エントリー 149.57円、損切り 150.15円、利確 148.60円
リスク = 150.15 − 149.57 = 0.58円(58pips)
リワード = 149.57 − 148.60 = 0.97円(97pips)
リスクリワード比 = 97 ÷ 58 ≒ 1.7
陰線が確定した足の終値(149.35円)で売る場合
エントリー 149.35円、損切り 150.15円、利確 148.60円
リスク = 150.15 − 149.35 = 0.80円(80pips)
リワード = 149.35 − 148.60 = 0.75円(75pips)
リスクリワード比 = 75 ÷ 80 ≒ 0.9
反転が進んだことを確認した後の、149.05円で売る場合
エントリー 149.05円、損切り 150.15円、利確 148.60円
リスク = 150.15 − 149.05 = 1.10円(110pips)
リワード = 149.05 − 148.60 = 0.45円(45pips)
リスクリワード比 = 45 ÷ 110 ≒ 0.4
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 |
|---|---|---|---|---|
| 指値(D) | 149.57円 | 58pips | 97pips | 1.7 |
| 陰線の確定を確認 | 149.35円 | 80pips | 75pips | 0.9 |
| 反転が進んだのを確認 | 149.05円 | 110pips | 45pips | 0.4 |
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。指値は、価格がDに届かず、エントリーできないことも、あります。また、Dに到達しても、Xを超えて、上昇し続け、損切りに、かかることも、あります。確認が遅れて、リスクリワード比が、1を下回るときは、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。
注意点
1. 比率が合っても、反転するとは、限らない
ガートレーの条件が、そろっても、Dで、反転するとは、限りません。Dを、通り過ぎて、Xを超えることが、あります。
2. 点の取り方で、形が変わる
ヒゲで取るか、終値で取るかで、比率が、変わります。同じチャートでも、人によって、異なる形に見えることが、あります。
3. 許容する、ずれの範囲で、形が変わる
Dが、78.6%から、どこまで、ずれても、ガートレーとするかで、バットなど、別の形との、境目が、曖昧になります。事前に、ずれの許容を、決めて、後から、変えないようにしましょう。
4. 形が、完成しないことが多い
B・Cまでは、形に見えても、Dが、期待した水準に、ならないことが、多く、形が、成立するのは、一部と、考えられます。
5. 数値の基準は、出典で違う
Cの範囲や、CD÷BCの範囲は、解説書やソフトによって、違います。使う基準を、決めておきましょう。
6. ダマシ・負けが、続くことがある
たとえば、Dでの売りが、損失40pipsで、5回続くと、合計−200pipsの損失です。その後の1回の利益が、250pipsなら、合計は+50pips、150pipsなら、合計は−50pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
7. 足が確定するまで、分からない
足の途中では、Dの水準に、到達したように見えても、確定する前に、さらに動くことが、あります。確定するまで、分からないことを、忘れないようにしましょう。
初心者が間違えやすいポイント
「Dで、必ず反転する」と考える
ガートレーは、反転が「起きやすい」と、考える形で、必ず反転する、ものでは、ありません。Xを超えたら、形が崩れた、と考えて、損切りを、先に決めておきましょう。
78.6%を、フィボナッチ数列の、比率と、思い込む
78.6%は、61.8%の、平方根にあたる、数値で、数列の比率とは、違います。ソフトによっては、表示が、異なります。
ずれを、広く許容して、形を、見つける
ずれを、広く許容するほど、どのチャートにも、ガートレーが、見えるようになります。
Dに到達する前に、エントリーする
Dの予想だけで、エントリーすると、形が、崩れた場合に、損失が、広がります。
検証せずに、使う
「ガートレーは、よく当たる」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- ガートレーは、Bが、XAの約61.8%戻し、Dが、XAの約78.6%戻しで、Xを超えない、ハーモニックパターンの基本の形
- Cは、ABの約38.2〜88.6%戻し、CDは、BCの約113〜161.8%が、目安(解説書により、異なる)
- 例では、X=150.00円、A=148.00円で、B=149.24円、C=148.62円、D=149.57円。Dが88.6%付近ならバットに近く、Xを超えると形は崩れる
- 例では、指値(1.7)、陰線の確定の確認(0.9)、反転が進んだのを確認(0.4)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
- 比率が合っても、反転するとは限らない。点の取り方や許容するずれで、形が変わり、後から当てはめやすい
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。チャート分析の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
