バットパターンとは
バットパターンとは、ハーモニックパターンの1つで、Bの戻しが浅く(XAの約50%以内)、Dが、XAの約88.6%戻しの、Xのすぐ近くまで、深く戻る形です。英語では、「Bat Pattern(バット・パターン)」と呼ばれます。名前は、コウモリ(Bat)の、羽を広げた形に、似ていることから、と言われています。
2001年ごろに、スコット・カーニー氏が、紹介した形とされています(出典により、説明は違います)。ガートレーとは、「Bが浅く、Dが深い」点が、逆になっています。ハーモニックパターン全体の考え方は、別の記事で解説しています。この記事では、バットの比率の条件と、ガートレーとの違いを、中心に、解説します。
X → A:最初の動き(XA)
A → B:XAの 38.2〜50 % 戻し(Bが浅い)
B → C:ABの 38.2〜88.6 % 戻し(BC)
C → D:XAの 88.6 % 戻し(Dが、Xの近くまで届く。Xは、超えない)

上の図は、買いの形の例です。Xの安値から、Aの高値まで上昇し(XA)、Bまで、浅く戻し(AB)、Cまで上昇し(BC)、Dまで、下げて(CD)、Dの付近で、反転しています。Dは、Xの水準の、すぐ上にあります。この図は、説明のために作った例で、実際の相場が、このように、きれいに動くことは、少ないです。
バットの、比率の条件
バットの条件として、よく紹介される、比率は、次のとおりです(解説書やソフトによって、数値や範囲は、違います)。
| 区間 | 比率の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| B | XAの約38.2〜50%戻し | ABが、XAの38.2〜50%。Bが浅い |
| C | ABの約38.2〜88.6%戻し | BCが、ABの38.2〜88.6% |
| D | XAの約88.6%戻し | PRZの中心。Xを、超えない |
| CD | BCの約161.8〜261.8% | BCに対する、CDの長さ(範囲は、解説書により、異なる) |
88.6%は、フィボナッチ数列の比率では、なく、78.6%の、平方根(√0.786 ≒ 0.886)に、あたる、数値です。フィボナッチ比率については、別の記事で解説しています。
計算例(買いの形)
Xが148.00円(安値)、Aが150.00円(高値)で、BがXAの50%戻し、CがABの61.8%戻し、DがXAの88.6%戻しになる例を、計算します(例の数値です)。
XA = 150.00 − 148.00 = 2.00円(200pips)
B = 150.00 − 2.00 × 0.5 = 149.00円
AB = 1.00円(XAの 50 %)
C = 149.00 + 1.00 × 0.618 = 149.618円 ≒ 149.62円
BC = 0.618円(ABの 61.8 %)
D = 150.00 − 2.00 × 0.886 = 150.00 − 1.772 = 148.228円 ≒ 148.23円
CD = 149.618 − 148.228 = 1.390円(約139pips)
CD ÷ BC = 1.390 ÷ 0.618 ≒ 2.25
| 確認する項目 | 例の値 | 目安の範囲 | 判定 |
|---|---|---|---|
| AB ÷ XA | 0.500 | 0.382〜0.50 | 範囲内 |
| BC ÷ AB | 0.618 | 0.382〜0.886 | 範囲内 |
| CD ÷ BC | 約2.25 | 約1.618〜2.618 | 範囲内 |
| XAに対するD | 0.886 | 約0.886 | 範囲内 |
| DとX | 148.23円 > 148.00円 | Xを、割らない | 範囲内 |
すべての条件が、範囲内に、収まっているため、「バットに近い形」と、いえます。ただし、実際の相場では、ここまで、きれいに、そろうことは、少ないです。
ガートレーとの違いを、数値で、比べる
同じ、X=148.00円、A=150.00円で、ガートレーとバットの、B・Dを、比べます(買いの形、例の数値)。
| ガートレー | バット | |
|---|---|---|
| B | XAの61.8%戻し → 148.76円 | XAの50%戻し → 149.00円 |
| D | XAの78.6%戻し → 148.43円 | XAの88.6%戻し → 148.23円 |
| DとXの差 | 43pips | 23pips |
ガートレー:B = 150.00 − 2.00 × 0.618 = 148.764 ≒ 148.76円
D = 150.00 − 2.00 × 0.786 = 148.428 ≒ 148.43円(Xとの差 約43pips)
バット :B = 150.00 − 2.00 × 0.5 = 149.00円
D = 150.00 − 2.00 × 0.886 = 148.228 ≒ 148.23円(Xとの差 約23pips)
バットは、Dが、Xに近いため、損切りを、Xの近くに置くと、損切り幅が、小さくなり、リスクリワード比を、確保しやすいと、考えられます。一方、Dが、Xに近い分、少しの、ずれで、Xを割り、形が、崩れやすいという、面も、あります。
他のハーモニックパターンとの違い
| ガートレー | バット | バタフライ | |
|---|---|---|---|
| B(XAの戻し) | 約61.8% | 約38.2〜50% | 約78.6% |
| D(XAに対する位置) | 約78.6%戻し | 約88.6%戻し | 約127%(Xを超える) |
| Xを超えるか | 超えない | 超えない | 超える |
| 特徴 | 基本の形 | Bが浅く、Dが、Xの近く | Dが、Xを超えて伸びる |
ガートレーとバタフライは、別の記事で解説しています。バットは、「Bが浅く、Dが、Xの手前の、深い位置で止まる」点が、特徴です。
基本の使い方
1. XとAを決める
直近の、はっきりした、高値と安値を、XとAに、決めます。点の取り方で、形が変わるため、取り方を、事前に、決めておきます。
2. Bを確認する
BがXAの、約38.2〜50%戻しの範囲かを、確認します。61.8%近くまで戻していれば、ガートレーの可能性が、あります。
3. Cを確認する
CがABの、約38.2〜88.6%戻しの範囲かを、確認します。
4. Dの水準(PRZ)を、計算する
B・Cが、確定したら、XAの88.6%戻しの水準を、計算し、PRZを、考えます。CDとBCの比率も、確認し、複数の比率が、重なる範囲を、PRZとして、考えます。
5. 反転のサインを、確認する
Dに到達しても、そのまま、動き続けることが、あります。ローソク足の、反転の形などを、確認します。
6. 損切りと、目標を決める
損切りは、Xの水準の、少し外側に、置く考え方が、あります(Xを超えると、形が崩れる、ため)。目標は、AからDの動きの、一部を、戻した水準(61.8%など)と、する考え方が、あります。
計算例:Dで、買う場合
D=148.23円(XAの88.6%戻し)で、買う場合を、考えます。損切りは、Xの148.00円より、15pips下の147.85円、利益確定は、AからDの下げの61.8%を戻した水準(148.23円 + 1.772円 × 0.618 ≒ 149.32円)とします(例の数値です)。
D(148.23円)に、指値で買う場合
エントリー 148.23円、損切り 147.85円、利確 149.32円
リスク = 148.23 − 147.85 = 0.38円(38pips)
リワード = 149.32 − 148.23 = 1.09円(109pips)
リスクリワード比 = 109 ÷ 38 ≒ 2.9
陽線が確定した足の終値(148.55円)で買う場合
エントリー 148.55円、損切り 147.85円、利確 149.32円
リスク = 148.55 − 147.85 = 0.70円(70pips)
リワード = 149.32 − 148.55 = 0.77円(77pips)
リスクリワード比 = 77 ÷ 70 = 1.1
反転が進んだことを確認した後の、148.90円で買う場合
エントリー 148.90円、損切り 147.85円、利確 149.32円
リスク = 148.90 − 147.85 = 1.05円(105pips)
リワード = 149.32 − 148.90 = 0.42円(42pips)
リスクリワード比 = 42 ÷ 105 = 0.4
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 |
|---|---|---|---|---|
| 指値(D) | 148.23円 | 38pips | 109pips | 2.9 |
| 陽線の確定を確認 | 148.55円 | 70pips | 77pips | 1.1 |
| 反転が進んだのを確認 | 148.90円 | 105pips | 42pips | 0.4 |
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。指値は、価格がDに届かず、エントリーできないことも、あります。また、Dに到達しても、Xを割り込んで、下げ続け、損切りに、かかることも、あります。損切り幅が、小さい分、スプレッドや、一時的な、値動きの影響を、受けやすいことも、考えられます。確認が遅れて、リスクリワード比が、1を下回るときは、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。
注意点
1. 比率が合っても、反転するとは、限らない
バットの条件が、そろっても、Dで、反転するとは、限りません。Dを、通り過ぎて、Xを割ることが、あります。
2. Dが、Xに近く、形が崩れやすい
Dは、Xの近くにあるため、点の取り方が、少し違うだけで、Xを割った、と判断されることが、あります。ヒゲで取るか、終値で取るかを、事前に、決めておくことが、必要です。
3. ガートレー・バタフライとの境目が曖昧
Dの位置が、78.6%と88.6%の間にある場合や、Xを少し超える場合は、別の形との、境目が、曖昧になります。ずれの許容を、広げるほど、後から当てはめやすくなります。
4. 形が、完成しないことが多い
B・Cまでは、形に見えても、Dが、期待した水準に、ならないことが、多く、形が、成立するのは、一部と、考えられます。
5. 数値の基準は、出典で違う
Bの範囲や、CD÷BCの範囲は、解説書やソフトによって、違います。使う基準を、決めておきましょう。
6. ダマシ・負けが、続くことがある
たとえば、Dでの買いが、損失40pipsで、5回続くと、合計−200pipsの損失です。その後の1回の利益が、250pipsなら、合計は+50pips、150pipsなら、合計は−50pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
7. 足が確定するまで、分からない
足の途中では、Dの水準に、到達したように見えても、確定する前に、さらに動くことが、あります。確定するまで、分からないことを、忘れないようにしましょう。
初心者が間違えやすいポイント
「損切り幅が小さいから、有利」と考える
損切り幅が、小さいと、リスクリワード比は、高く見えますが、損切りに、かかりやすくなる、面も、あります。勝率も、含めて、確認しましょう。
88.6%を、フィボナッチ数列の、比率と、思い込む
88.6%は、78.6%の、平方根にあたる、数値で、数列の比率とは、違います。ソフトによっては、表示が、異なります。
ガートレーとの違いを、無視する
Bの位置(61.8%か、50%以内か)と、Dの位置(78.6%か、88.6%か)で、形は、変わります。どちらの形として、見るかを、決めてから、PRZを、考えましょう。
Dに到達する前に、エントリーする
Dの予想だけで、エントリーすると、形が、崩れた場合に、損失が、広がります。
検証せずに、使う
「バットは、よく当たる」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- バットは、Bが、XAの約38.2〜50%戻しで浅く、Dが、XAの約88.6%戻しで、Xの近くまで届く、ハーモニックパターン
- Cは、ABの約38.2〜88.6%戻し、CDは、BCの約161.8〜261.8%が、目安(解説書により、異なる)
- 例では、X=148.00円、A=150.00円で、B=149.00円、C=149.62円、D=148.23円。ガートレー(D=148.43円)より、Xに近い
- 例では、指値(2.9)、陽線の確定の確認(1.1)、反転が進んだのを確認(0.4)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
- Dが、Xに近く、形が、崩れやすい。ガートレーなどとの境目が曖昧で、後から当てはめやすい
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。チャート分析の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
