バタフライパターンとは
バタフライパターンとは、ハーモニックパターンの1つで、Bが、XAの約78.6%まで深く戻り、Dが、Xを超えて、XAの約127%の位置まで、伸びる形です。英語では、「Butterfly Pattern(バタフライ・パターン)」と呼ばれます。チャートの形が、蝶(バタフライ)の、羽を広げた形に、似ていることから、と言われています。
1990年代に、ブライス・ギルモア氏が、紹介した形とされ、後に、スコット・カーニー氏らが、比率を整理した、と言われています(出典により、説明は違います)。ガートレーやバットとは、「Dが、Xを超える」点が、大きく違います。ハーモニックパターン全体の考え方は、別の記事で解説しています。この記事では、バタフライの比率の条件と、Xを超える形ならではの注意点を、中心に、解説します。
X → A:最初の動き(XA)
A → B:XAの 78.6 % 戻し(Bが深い)
B → C:ABの 38.2〜88.6 % 戻し(BC)
C → D:XAの 127 %(Xを超えて伸びる。PRZの中心)

上の図は、売りの形の例です。Xの高値から、Aの安値まで下落し(XA)、Bまで、深く戻し(AB)、Cまで下げ(BC)、Dまで、Xを超えて、上昇して(CD)、Dの付近で、反転しています。Dは、Xの水準より、上にあります。この図は、説明のために作った例で、実際の相場が、このように、きれいに動くことは、少ないです。
バタフライの、比率の条件
バタフライの条件として、よく紹介される、比率は、次のとおりです(解説書やソフトによって、数値や範囲は、違います)。
| 区間 | 比率の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| B | XAの約78.6%戻し | ABが、XAの約78.6%。Bが深い |
| C | ABの約38.2〜88.6%戻し | BCが、ABの38.2〜88.6% |
| D | XAの約127%(範囲は約127〜161.8%) | Xを、超えて伸びる。PRZの中心は約127% |
| CD | BCの約161.8〜224% | BCに対する、CDの長さ(範囲は、解説書により、異なる) |
127%は、フィボナッチ比率の161.8%の、平方根(√1.618 ≒ 1.272)に、あたる、数値で、ソフトによって「127.2%」と、表示されることも、あります。フィボナッチ比率については、別の記事で解説しています。
計算例(売りの形)
Xが150.00円(高値)、Aが148.00円(安値)で、BがXAの78.6%戻し、CがABの50%戻し、DがXAの127%になる例を、計算します(例の数値です)。
XA = 150.00 − 148.00 = 2.00円(200pips)
B = 148.00 + 2.00 × 0.786 = 148.00 + 1.572 = 149.572円 ≒ 149.57円
AB = 1.572円(XAの 78.6 %)
C = 149.572 − 1.572 × 0.5 = 149.572 − 0.786 = 148.786円 ≒ 148.79円
BC = 0.786円(ABの 50 %)
D = 148.00 + 2.00 × 1.27 = 148.00 + 2.54 = 150.54円
CD = 150.54 − 148.786 = 1.754円(約175pips)
CD ÷ BC = 1.754 ÷ 0.786 ≒ 2.23
Dは、Xより 150.54 − 150.00 = 0.54円(54pips)上
| 確認する項目 | 例の値 | 目安の範囲 | 判定 |
|---|---|---|---|
| AB ÷ XA | 0.786 | 約0.786 | 範囲内 |
| BC ÷ AB | 0.500 | 0.382〜0.886 | 範囲内 |
| CD ÷ BC | 約2.23 | 約1.618〜2.24 | 範囲内(上限に近い) |
| XAに対するD | 1.27 | 約1.27〜1.618 | 範囲内 |
| DとX | 150.54円 > 150.00円 | Xを超える | 範囲内 |
すべての条件が、範囲内に、収まっているため、「バタフライに近い形」と、いえます。ただし、実際の相場では、ここまで、きれいに、そろうことは、少ないです。
Dの位置と、「形が崩れる」水準
バタフライは、Dが、Xを超えて伸びるため、「どこまで伸びたら、形が崩れる、と考えるか」を、先に決める必要が、あります。XAの161.8%を、1つの目安とする考え方が、あります(解説書により、異なります)。
XAの127 % :148.00 + 2.00 × 1.27 = 150.54円(PRZの中心)
XAの161.8% :148.00 + 2.00 × 1.618 = 148.00 + 3.236 = 151.236円 ≒ 151.24円
この例では、150.54円から、151.24円までの、約70pipsが、「127%から161.8%までの、幅」です。161.8%の付近は、別のパターン(クラブ)の、Dの位置とも、重なります。クラブは、別の記事で解説しています。
他のハーモニックパターンとの違い
| ガートレー | バット | バタフライ | |
|---|---|---|---|
| B(XAの戻し) | 約61.8% | 約38.2〜50% | 約78.6% |
| D(XAに対する位置) | 約78.6%戻し | 約88.6%戻し | 約127%(Xを超える) |
| Xを超えるか | 超えない | 超えない | 超える |
| 損切りの置き場所 | Xの外側 | Xの外側 | Dの外側(XAの161.8%など) |
| 特徴 | 基本の形 | Dが、Xの近く | Dが、Xを超えて伸びる |
ガートレーとバットは、別の記事で解説しています。バタフライは、「Xを超えた後、反転する」ため、Xを超えた時点で、「ブレイクアウト」と、見分けがつきにくいという、特徴が、あります。
基本の使い方
1. XとAを決める
直近の、はっきりした、高値と安値を、XとAに、決めます。点の取り方で、形が変わるため、取り方を、事前に、決めておきます。
2. Bを確認する
BがXAの、約78.6%戻しの付近かを、確認します。Bが、浅い場合は、バットなど、別の形の可能性が、あります。
3. Cを確認する
CがABの、約38.2〜88.6%戻しの範囲かを、確認します。
4. Dの水準(PRZ)を、計算する
B・Cが、確定したら、XAの127%の水準を、計算し、PRZを、考えます。CDとBCの比率も、確認し、複数の比率が、重なる範囲を、PRZとして、考えます。
5. 反転のサインを、確認する
Xを超えた後、そのまま、伸び続ける場合も、あります。ローソク足の、反転の形などを、確認します。
6. 損切りと、目標を決める
損切りは、XAの161.8%など、「形が崩れる」水準の、外側に置く考え方が、あります。目標は、AからDの動きの、一部を、戻した水準(61.8%など)と、する考え方が、あります。
計算例:Dで、売る場合
D=150.54円(XAの127%)で、売る場合を、考えます。損切りは、XAの161.8%の151.24円、利益確定は、DからAへの動きの61.8%の水準(150.54円 − 2.54円 × 0.618 ≒ 148.97円)とします(例の数値です)。
D(150.54円)に、指値で売る場合
エントリー 150.54円、損切り 151.24円、利確 148.97円
リスク = 151.24 − 150.54 = 0.70円(70pips)
リワード = 150.54 − 148.97 = 1.57円(157pips)
リスクリワード比 = 157 ÷ 70 ≒ 2.2
陰線が確定した足の終値(150.20円)で売る場合
エントリー 150.20円、損切り 151.24円、利確 148.97円
リスク = 151.24 − 150.20 = 1.04円(104pips)
リワード = 150.20 − 148.97 = 1.23円(123pips)
リスクリワード比 = 123 ÷ 104 ≒ 1.2
反転が進んだことを確認した後の、149.70円で売る場合
エントリー 149.70円、損切り 151.24円、利確 148.97円
リスク = 151.24 − 149.70 = 1.54円(154pips)
リワード = 149.70 − 148.97 = 0.73円(73pips)
リスクリワード比 = 73 ÷ 154 ≒ 0.5
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 |
|---|---|---|---|---|
| 指値(D) | 150.54円 | 70pips | 157pips | 2.2 |
| 陰線の確定を確認 | 150.20円 | 104pips | 123pips | 1.2 |
| 反転が進んだのを確認 | 149.70円 | 154pips | 73pips | 0.5 |
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。指値は、価格がDに届かず、エントリーできないことも、あります。また、Dに到達しても、そのまま伸び続けて、161.8%を超え、損切りに、かかることも、あります。確認が遅れて、リスクリワード比が、1を下回るときは、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。
注意点
1. 比率が合っても、反転するとは、限らない
バタフライの条件が、そろっても、Dで、反転するとは、限りません。Xを超えた後、さらに、伸び続けることが、あります。
2. Xを超える動きは、ブレイクアウトに見える
Xを超える動きは、高値(安値)の、更新に見えるため、トレンドの、継続と、区別しにくいことが、あります。Dの水準で、反転しなければ、損失が、広がります。
3. 損切り幅が、大きくなりやすい
損切りを、Dの外側(161.8%など)に置くと、損切り幅が、大きくなります。ロットを、損切り幅に合わせて、調整する必要が、あります。
4. 点の取り方で、形が変わる
ヒゲで取るか、終値で取るかで、比率が、変わります。同じチャートでも、人によって、異なる形に見えることが、あります。
5. 形が、完成しないことが多い
B・Cまでは、形に見えても、Dが、期待した水準に、ならないことが、多く、形が、成立するのは、一部と、考えられます。
6. 数値の基準は、出典で違う
Dの範囲(127%〜161.8%)や、CD÷BCの範囲は、解説書やソフトによって、違います。使う基準を、決めておきましょう。
7. ダマシ・負けが、続くことがある
たとえば、Dでの売りが、損失40pipsで、5回続くと、合計−200pipsの損失です。その後の1回の利益が、250pipsなら、合計は+50pips、150pipsなら、合計は−50pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
8. 足が確定するまで、分からない
足の途中では、Dの水準に、到達したように見えても、確定する前に、さらに動くことが、あります。確定するまで、分からないことを、忘れないようにしましょう。
初心者が間違えやすいポイント
Xを超えたら、すぐ、逆張りする
Xを超えた時点では、Dの水準に、到達していない、ことが、多く、そのまま、伸びることが、あります。PRZに、到達してから、反転のサインを、確認しましょう。
127%を、フィボナッチ数列の、比率と、思い込む
127%(127.2%)は、161.8%の、平方根にあたる、数値で、数列の比率とは、違います。ソフトによっては、表示が、異なります。
損切り幅を、考えずに、エントリーする
損切りが、遠い分、同じロットだと、1回の損失が、大きくなります。
Dの位置で、形を、決めつける
Dの位置によって、バタフライか、クラブかが、変わります。ずれを、広く許容するほど、後から当てはめやすくなります。
検証せずに、使う
「バタフライは、よく当たる」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- バタフライは、Bが、XAの約78.6%戻しで深く、Dが、Xを超えて、XAの約127%まで伸びる、ハーモニックパターン
- Cは、ABの約38.2〜88.6%戻し、CDは、BCの約161.8〜224%が、目安(解説書により、異なる)
- 例では、X=150.00円、A=148.00円で、B=149.57円、C=148.79円、D=150.54円(Xより54pips上)。XAの161.8%は151.24円
- 例では、指値(2.2)、陰線の確定の確認(1.2)、反転が進んだのを確認(0.5)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
- Xを超える動きは、ブレイクアウトと区別しにくく、損切り幅も、大きくなりやすい
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。チャート分析の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
