十字線とは
十字線とは、始値と終値がほぼ同じ価格で、実体がほとんどない(線のように見える)ローソク足のことです。十字の形に見えることから、この名前がつきました。同事線(どうじせん)とも呼ばれます。英語ではドージ(Doji)と言います。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 実体 | ほぼない(始値≒終値) |
| ヒゲ | 上下にある(長さはさまざま) |
| 色 | 陽線・陰線の区別が、ほとんどつかない |
「同事」とは、始値と終値が「同じ事」という意味です。
十字線が示すこと
期間中に、上にも下にも動いたが、結局、始値の位置に戻ってきた状態です。
始値から、上に動いた → 売りに押し戻された
始値から、下に動いた → 買いに押し戻された
→ 最終的に、始値付近で終わった
| 読み取れること | 内容 |
|---|---|
| 売りと買いの均衡 | どちらも、決め手に欠ける |
| 迷い | 次の方向を、市場が探している |
| 勢いの低下 | それまでの勢いが、止まった可能性 |
| 転換の予兆 | トレンドの終盤で出ると、転換の前触れのことがある |
コマ足よりも、「実体がない」分だけ、迷いが強いと見られます。コマ足については、別の記事で解説しています。
ただし、十字線は、「上がる」「下がる」を決めるものではありません。勢いが止まったというサインであり、次の足の動きを見ることが大切です。
十字線の判定基準
「実体がどのくらい小さければ、十字線か」には、決まった基準がありません。FXでは、始値と終値が、完全に一致することは少ないため、割合で決める方法があります。
計算例:十字線の判定
1時間足の足が、次の値だったとします。
| 項目 | 価格 |
|---|---|
| 始値 | 150.00円 |
| 高値 | 150.28円 |
| 安値 | 149.74円 |
| 終値 | 150.01円 |
値幅全体 = 150.28 − 149.74 = 0.54円(54pips)
実体 = 150.01 − 150.00 = 0.01円(1pips)
実体 ÷ 値幅全体 = 1 ÷ 54 ≒ 1.9%
実体が、値幅全体の約1.9%なので、「5%以下を十字線とする」ルールであれば、十字線と判定できます。
5%という基準は、あくまで一例です。自分で基準を決め、過去のチャートで検証することが大切です。値動きが小さい時間帯では、値幅全体が小さくなり、実体が相対的に大きく見えるため、判定がずれやすい点にも注意してください。
十字線の種類
ヒゲの長さと位置によって、名前が分かれます。
| 種類 | 形 | 見方 |
|---|---|---|
| 通常の十字線 | 上下に、ほぼ同じ長さのヒゲ | 均衡。迷い |
| 足長同事(長足十字線) | 上下のヒゲが、どちらも長い | 値動きが荒く、方向感がない。激しい攻防 |
| トンボ | 上ヒゲがなく、下ヒゲが長い | 安値から買い戻された。下値の堅さを示す |
| トウバ(塔婆) | 下ヒゲがなく、上ヒゲが長い | 高値から売り戻された。上値の重さを示す |
| 四値同事 | ヒゲも実体もない(1本の線) | 始値・高値・安値・終値がすべて同じ。ほとんど取引がなかった状態 |
それぞれの特徴
- 足長同事:上下に大きく動いたあと、元に戻ったため、市場が、どちらにも決められない状態です。
- トンボ:トンボの形に見えることから、この名前がつきました。トンボについては、別の記事で解説しています。
- トウバ:卒塔婆(そとば)の形に見えることから、この名前がつきました。トウバについては、別の記事で解説しています。
- 四値同事:FXでは、ほとんど見られません。取引が極端に少ない場合に、出ることがあります。
場所別の見方
十字線は、「どこで出たか」によって、意味が変わります。
| 場所 | 見方 |
|---|---|
| 上昇トレンドの高値圏 | 買いの勢いが止まった。転換に注意 |
| 下降トレンドの安値圏 | 売りの勢いが止まった。転換に注意 |
| トレンドの途中 | 一時的な小休止のことも多い |
| レンジの中 | 方向感のない状態が続いている |
| 重要なライン(サポート・レジスタンス)の近く | そのラインで、攻防が起きている |
| 大陽線(大陰線)の直後 | 勢いの一服。転換の可能性もある |
| 重要指標の発表前 | 様子見で、値動きが小さくなっている |
同じ十字線でも、場所によって、次の動きが変わるため、場所の確認が欠かせません。大きな足については、別の記事で解説しています。
次の足を見る(確認足)
十字線の次の足で、その後の方向を判断します。
| 次の足 | 見方 |
|---|---|
| 十字線の高値を超えて、上に抜ける | 上方向に動き出した可能性 |
| 十字線の安値を割って、下に抜ける | 下方向に動き出した可能性 |
| 十字線の範囲内に、収まる | 迷いが続いている |
計算例:安値圏の十字線のあとに、買う場合
下降トレンドの安値圏で、上の例の十字線が出たとします。次の足が、十字線の高値(150.28円)を上抜けたため、150.30円で買う場合です。
| 項目 | 価格 | 値幅 |
|---|---|---|
| エントリー(買い) | 150.30円 | — |
| 損切り | 149.69円(十字線の安値の5pips下) | −61pips |
| 利益確定 | 151.52円 | +122pips |
リスク = 150.30 − 149.69 = 0.61円(61pips)
リワード = 151.52 − 150.30 = 1.22円(122pips)
リスクリワード比 = 122 ÷ 61 = 2.0
損切りは、十字線の安値の少し下に置きます。安値を割ると、買い戻しが続かなかったことになり、買いの見立てが崩れるためです(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。
ヒゲが長い十字線は、高値と安値の幅が大きくなり、損切りが遠くなる傾向があります。下降トレンドに逆らう買いでもあるため、必ず機能するわけではありません。
十字線の使い方
1. 利益確定を検討する目安にする
含み益のあるポジションを持っているとき、勢いが止まった十字線が出たら、利益確定を検討する目安にできます。
2. トレンド転換の兆しとして、注目する
トレンドの終盤や、重要なライン付近で十字線が出たときに、その後の動きに注意します。
3. エントリーを見送る目安にする
十字線が連続するなど、方向感のない状態では、無理にエントリーしない判断にも使えます。
4. 経済指標の前後で見る
重要な指標の発表前には、様子見で十字線が出やすいことがあります。発表後に、大きく動くことが多いため、ポジションの扱いには注意が必要です。
十字線の注意点
1. 十字線だけでは、判断できない
十字線は、「迷い」を示すだけで、転換を保証するものではありません。場所・前後の足とあわせて判断します。
2. トレンド途中の十字線は、転換とは限らない
上昇トレンドの途中で、十字線が出たあと、そのまま上昇が続くことも、よくあります。
3. 時間帯で、意味が変わる
値動きの小さい時間帯には、十字線が出やすいため、意味の薄い十字線も増えます。
4. 時間足で、重みが違う
日足の十字線と5分足の十字線では、意味の重さが違います。長い時間足の十字線のほうが、意識されやすいと考えられます。
5. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、十字線に見えても、確定までに形が変わります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
十字線を見て、すぐに逆張りする
上昇の終盤に十字線が出たことだけで、売ると、上昇が続いた場合に損失になります。次の足の確認を、検討しましょう。
十字線は、転換の合図だと決めつける
十字線は、「迷い」のサインで、転換の保証ではありません。トレンドが続くことも、よくあります。
すべての十字線を、同じ意味で見る
トンボ・トウバ・足長同事など、ヒゲの形で、意味が違います。形の違いを、意識しましょう。
値動きの小さい時間帯の十字線を、重視する
参加者が少ない時間帯の十字線は、意味が薄いことがあります。
検証せずに、使う
「十字線のあとは、転換する」と聞いても、実際の確率は、判定基準や場所で変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- **十字線(同事線)**は、始値と終値がほぼ同じで、実体がほとんどないローソク足
- 売りと買いの均衡・迷いを示し、コマ足より、迷いが強い
- 実体が値幅全体の5%以下など、割合で基準を決める
- 種類は、通常の十字線・足長同事・トンボ・トウバ・四値同事
- 出た場所で、意味が変わる。高値圏・安値圏・重要なライン付近では、転換の予兆のことがある
- 次の足が、十字線の高値・安値のどちらに抜けるかを、確認してから判断する方法がある
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。ローソク足の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
