上げ三法・下げ三法とは
上げ三法とは、上昇トレンドの途中で、大陽線のあとに、その範囲内に収まる小さな足が3本続き、最後に、再び大陽線が出て上昇を再開する、5本のローソク足で作る形です。下げ三法は、下降トレンドの途中で、同じ形を上下逆にしたもので、どちらも、トレンド継続のサインとして知られています。英語では、上げ三法をライジング・スリー・メソッズ(Rising Three Methods)、下げ三法をフォーリング・スリー・メソッズ(Falling Three Methods)と言います。酒田五法の流れをくむ古いローソク足の読み方で、「三法」は、売り・買い・休みの「休み」にあたる形とされています。三法については、別の記事で解説しています。
| 名前 | 1本目 | 2〜4本目 | 5本目 | 出る場所 | 示すこと |
|---|---|---|---|---|---|
| 上げ三法 | 大陽線 | 1本目の範囲内に収まる小さな足(3本) | 1本目の終値を超える大陽線 | 上昇トレンドの途中 | 一服のあと、上昇が再開 |
| 下げ三法 | 大陰線 | 1本目の範囲内に収まる小さな足(3本) | 1本目の終値を割る大陰線 | 下降トレンドの途中 | 一服のあと、下降が再開 |

3本の小さな足が、「休み」にあたります。勢いのある上昇のあと、小さく押しながら一服し、再び上昇する形です。
上げ三法・下げ三法が示すこと
【上げ三法】
上昇が続く中で、1本目に大陽線(買いが勢いよく入った)
→ 2〜4本目は、1本目の範囲内に収まる小さな足(利益確定の売りが入るが、押しは浅い)
→ 5本目に大陽線(再び買いが入り、1本目の終値を超えた)
→ 一服したが、上昇の勢いは保たれている
| 読み取れること | 内容 |
|---|---|
| 押しの浅さ | 売りが入っても、1本目の範囲を割り込めなかった |
| 買いの主導権 | 一服のあと、買いが再び主導権を握った |
| 上昇の継続 | トレンドが、続いている可能性 |
1本目の大陽線の上昇分を、売りが打ち消せなかったことが、この形の意味です。小さな足が1本目の範囲を割り込む(あるいは、5本目が1本目の終値を超えられない)場合は、形が崩れたことになります。
上げ三法・下げ三法の条件
| 項目 | 目安の例 |
|---|---|
| 直前の値動き | トレンドが続いている |
| 1本目 | 大陽線(下げ三法は大陰線)。実体が大きい |
| 2〜4本目 | 小さな足が3本。高値・安値が、1本目の高値・安値の範囲内 |
| 2〜4本目の実体 | 1本目の実体の30%以下 |
| 押しの深さ | 1本目の実体の50%以内 |
| 5本目 | 大陽線(下げ三法は大陰線)。終値が、1本目の終値を超える(下げ三法は割る) |
| 5本目の大きさ | 1本目の実体の70%以上 |
「範囲内」の基準には、2つの考え方があります。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 実体で収まる(緩やか) | 小さな足の実体が、1本目の実体の範囲内 |
| ヒゲまで収まる(厳しい) | 小さな足の高値・安値が、1本目の高値・安値の範囲内 |
ヒゲまで収まる基準のほうが、形としては、はっきりします。
FXでの注意点:窓が空かなくても成り立つ
株式では、2本目が窓を空けて始まることが、条件とされることがあります。FXは、ほぼ24時間取引されているため、窓がほとんど空きません。三法は、窓がなくても、「範囲内に収まる」ことと、「5本目の終値」を、中心に判定できます。
また、小さな足は、3本が基本ですが、2本〜4本程度でも、同様の意味で見る考え方があります。本数は、厳密に3本にこだわらず、「一服」の形になっているかを、確認します。
計算例:上げ三法の判定
上昇が続いたあとの、1時間足の5本が、次の値だったとします。
| 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | |
|---|---|---|---|---|
| 1本目(大陽線) | 150.00円 | 150.62円 | 149.97円 | 150.58円 |
| 2本目(小さな陰線) | 150.55円 | 150.57円 | 150.42円 | 150.46円 |
| 3本目(小さな陰線) | 150.47円 | 150.49円 | 150.34円 | 150.38円 |
| 4本目(小さな陰線) | 150.39円 | 150.41円 | 150.26円 | 150.30円 |
| 5本目(大陽線) | 150.31円 | 150.80円 | 150.29円 | 150.76円 |
1本目の実体 = 150.58 − 150.00 = 0.58円(58pips)
1本目の範囲 = 149.97 〜 150.62
【2〜4本目:範囲内に収まっているか】
最も高い高値 = 150.57円 ≦ 1本目の高値 150.62円
最も低い安値 = 150.26円 ≧ 1本目の安値 149.97円
→ すべて、1本目の範囲内
【2〜4本目の実体】
2本目:150.55 − 150.46 = 9pips 9 ÷ 58 ≒ 15.5%
3本目:150.47 − 150.38 = 9pips 9 ÷ 58 ≒ 15.5%
4本目:150.39 − 150.30 = 9pips 9 ÷ 58 ≒ 15.5%
【押しの深さ】
(1本目の終値 − 4本目の終値) ÷ 1本目の実体
= (150.58 − 150.30) ÷ 0.58 = 0.28 ÷ 0.58 ≒ 48.3%
【5本目】
実体 = 150.76 − 150.31 = 0.45円(45pips)
5本目 ÷ 1本目 = 45 ÷ 58 ≒ 77.6%
5本目の終値 150.76円 > 1本目の終値 150.58円(18pips上)
2〜4本目は、すべて1本目の高値・安値の範囲内に収まり、実体は1本目の約15.5%と小さく、押しの深さは約48.3%(50%以内)です。5本目は、1本目の約77.6%の実体を持つ大陽線で、終値は1本目の終値を18pips超えているため、上げ三法と判定できます。
30%、50%、70%といった数値は、あくまで一例です。自分で基準を決め、過去のチャートで検証することが大切です。
強い上げ三法・下げ三法の特徴
| 要素 | 強い形の特徴 |
|---|---|
| 押しの浅さ | 浅い(1本目の実体の半分より、十分に手前) |
| 小さな足の範囲 | ヒゲまで、1本目の範囲内に収まる |
| 5本目 | 実体が大きく、1本目の高値(安値)を超える |
| 場所 | トレンドの途中で、サポート・レジスタンスに支えられている |
| 直前の値動き | トレンドがはっきり続いている |
場所別の見方
| 場所 | 上げ三法の見方 |
|---|---|
| 上昇トレンドの途中 | 一服のあと、上昇が再開。最も典型的 |
| レジスタンスを突破した直後 | 突破後の一服。ブレイクが維持された |
| 上昇トレンドの高値圏 | すでに上昇が進んでいる場合、過熱にも注意 |
| 下降トレンドの戻り | 戻りの一服にすぎないことも。場所を確認 |
| レンジの中央 | 意味が薄い |
下げ三法は、上下を逆にして考えます。サポートライン・レジスタンスラインについては、別の記事で解説しています。
使い方
トレンドに乗る根拠として、使う
トレンドの途中で、一服したあと、再び動き出したことの確認として使います。押し目買い(戻り売り)の根拠のひとつになります。押し目と戻りについては、別の記事で解説しています。
計算例:上げ三法のあとに、買う場合
上の例の上げ三法が、上昇トレンドの途中で出たとします。5本目が確定した直後、終値の150.76円で買う場合です。直前の高値を、152.00円とします。
| 項目 | 価格 | 値幅 |
|---|---|---|
| エントリー(買い) | 150.76円 | — |
| 損切り | 150.21円(小さな3本の最安値150.26円の5pips下) | −55pips |
| 利益確定 | 152.00円(直前の高値) | +124pips |
リスク = 150.76 − 150.21 = 0.55円(55pips)
リワード = 152.00 − 150.76 = 1.24円(124pips)
リスクリワード比 = 124 ÷ 55 ≒ 2.3
損切りは、小さな3本の最安値の少し下に置きます。最安値を割ると、「押しが浅く、一服にとどまった」という前提が崩れるためです(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。
5本目が確定した直後に入ると、すでに大きく動いたあとのため、少し押したところを待つ、次の足の確認を待つといった考え方も、あります。
注意点
1. 上げ三法・下げ三法だけでは、判断できない
三法は、「一服のあと、勢いが戻った」ことを示すだけで、継続の保証ではありません。場所・前後の足、次の足の動きとあわせて判断します。
2. 形が崩れることがある
小さな足が、1本目の範囲を割り込む、5本目が1本目の終値を超えられない場合は、形が成立しません。次の足の動きを、必ず確認しましょう。
3. 形の判定が、後追いになる
5本目が確定するまで、形は完成しません。確定時点では、すでに動き出していることが多く、エントリーが遅れがちです。
4. 小さな足が、実は「転換の始まり」のこともある
小さな足の本数が多く、押しも深い場合は、一服ではなく、トレンド転換の始まりのことがあります。押しの深さを、数値で確認しましょう。
5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
発表で、一方向に急変した大きな足のあとは、その後に、再度動くことがあります。
6. 時間帯・時間足で、意味が変わる
値動きの小さい時間帯や、短い時間足では、意味は薄いことがあります。長い時間足の上げ三法・下げ三法のほうが、意識されやすいと考えられます。
7. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、三法に見えても、確定までに形が変わります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
押しの深さを、確認しない
小さな足が続いていても、1本目の実体の半分を大きく超えて押している場合は、三法ではありません。数値で、確認しましょう。
5本目の終値を、確認しない
5本目が、1本目の終値を超えていない場合は、再上昇とは言えません。終値の位置を、必ず確認しましょう。
トレンドがないところで探す
三法は、トレンドの途中での継続の形です。レンジの中で出ても、意味が薄いことが多いです。
本数にこだわりすぎる
3本でなければならないと考えると、ほとんど見つかりません。「一服の形」になっているかを、中心に見ます。
検証せずに、使う
「上げ三法のあとは、上がる」と聞いても、実際の確率は、判定基準や場所で変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- 上げ三法は、上昇トレンドの途中で、大陽線 → 範囲内に収まる小さな足(3本)→ 1本目の終値を超える大陽線と続く、5本の継続のサイン。下げ三法は、上下を逆にした形
- 3本の小さな足が「休み」にあたり、押しが浅い(1本目の実体の半分以内など)ことが、ポイント
- FXでは、窓がほとんど空かないが、範囲内に収まることと、5本目の終値で、判定できる
- 小さな足の本数は、3本が基本だが、2〜4本程度でも、同様に見る考え方がある
- 損切りは、小さな足の最安値(最高値)の少し外側。確認足を待つ考え方もある
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。ローソク足の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
