トンボとは
トンボとは、始値・終値・高値がほぼ同じ価格で、長い下ヒゲだけがあるローソク足のことです。十字線の一種で、「T」の字のような形をしています。トンボ(蜻蛉)に似ていることから、この名前がつきました。下影十字とも呼ばれ、英語ではドラゴンフライ・ドージ(Dragonfly Doji)と言います。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 実体 | ほぼない(始値≒終値) |
| 上ヒゲ | ほぼない(終値≒高値) |
| 下ヒゲ | 長い |
十字線の基本については、別の記事で解説しています。
トンボが示すこと
期間中に、いったん大きく売り込まれたが、すぐに買い戻され、始値の位置まで戻って終わった状態です。
始値から、大きく下落した → 売りが優勢に見えた
安値から、買い戻された → 買いが入り、一気に押し戻した
→ 高値付近で、引けた
| 読み取れること | 内容 |
|---|---|
| 下値の堅さ | 安値圏で、買いが入った |
| 売りの勢いの低下 | 売りで押し込もうとしたが、押し切れなかった |
| 底打ちの予兆 | 下降トレンドの終盤で出ると、反転の前触れのことがある |
下ヒゲが長いほど、「安値から押し戻された」力が強いと考えられます。
トンボの判定基準
FXでは、始値・終値・高値が、完全に一致することは少ないため、割合で基準を決める方法があります。
| 項目 | 目安の例 |
|---|---|
| 実体 | 値幅全体の、5%以下 |
| 上ヒゲ | 値幅全体の、5%以下 |
| 下ヒゲ | 値幅全体の、70%以上 |
計算例:トンボの判定
1時間足の足が、次の値だったとします。
| 項目 | 価格 |
|---|---|
| 始値 | 150.00円 |
| 高値 | 150.02円 |
| 安値 | 149.55円 |
| 終値 | 150.01円 |
値幅全体 = 150.02 − 149.55 = 0.47円(47pips)
実体 = 150.01 − 150.00 = 0.01円(1pips)
上ヒゲ = 150.02 − 150.01 = 0.01円(1pips)
下ヒゲ = 150.00 − 149.55 = 0.45円(45pips)
実体 ÷ 値幅全体 = 1 ÷ 47 ≒ 2.1%
上ヒゲ ÷ 値幅全体 = 1 ÷ 47 ≒ 2.1%
下ヒゲ ÷ 値幅全体 = 45 ÷ 47 ≒ 95.7%
実体と上ヒゲは、どちらも約2.1%、下ヒゲは約95.7%で、上の基準をすべて満たすため、トンボと判定できます。
これらの数値は、あくまで一例です。自分で基準を決め、過去のチャートで検証することが大切です。
トンボと似た形の違い
下ヒゲが長いローソク足は、他にもあります。
| 名前 | 実体 | 上ヒゲ | 下ヒゲ |
|---|---|---|---|
| トンボ | ほぼない | ほぼない | 長い |
| カラカサ(ハンマー) | 小さい(実体はある) | ほぼない | 長い |
| 首吊り線 | 小さい(実体はある) | ほぼない | 長い |
| 下影陽線・下影陰線 | ある程度の大きさ | ほぼない | ある |
実体がほぼゼロならトンボ、実体が小さいながらもあるなら、カラカサ(安値圏)や首吊り線(高値圏)、と区別するのが一般的です。それぞれについては、別の記事で解説しています。
「足長同事」との関係
足長同事(長足十字線)は、上下のヒゲがどちらも長い十字線を指すことが多く、トンボとは別の形です。ただし、書籍やサイトによって、呼び方の範囲が異なるため、この記事では、トンボを「下ヒゲだけが長い十字線」として扱います。
| トンボ | 足長同事 | |
|---|---|---|
| 上ヒゲ | ほぼない | 長い |
| 下ヒゲ | 長い | 長い |
| 見方 | 下値の堅さ | 激しい攻防。方向感なし |
場所別の見方
トンボは、「どこで出たか」によって、意味が変わります。
| 場所 | 見方 |
|---|---|
| 下降トレンドの安値圏 | 売りが止まり、買いが入った。底打ち(反転)の可能性 |
| サポートライン付近 | サポートで、買いが入った。ラインの有効性を示す |
| 上昇トレンドの高値圏 | 押し目で買われたともいえるが、最後の押し目の可能性もあり、注意が必要 |
| トレンドの途中(押し目) | 押し目で買いが入った。トレンド継続のサイン |
| レンジの中央 | 意味が薄い |
特に、「サポートライン付近や、安値圏で出たトンボ」は、反発のサインとして、注目されやすいです。サポートラインについては、別の記事で解説しています。
次の足を見る(確認足)
トンボの次に出る足で、その後の方向を判断します。
| 次の足 | 見方 |
|---|---|
| トンボの高値を超えて、上に抜ける | 上方向への動きが、始まった可能性 |
| トンボの安値を割る | 下ヒゲの買いが、否定された。トンボのサインは失敗 |
| トンボの範囲内に収まる | 様子見。方向待ち |
トンボの安値を割ると、「買い戻された」という前提が崩れるため、サインは無効と見られます。
計算例:安値圏のトンボのあとに、買う場合
下降トレンドの安値圏で、上の例のトンボが出たとします。次の足が、トンボの高値(150.02円)を上抜けたため、150.04円で買う場合です。
| 項目 | 価格 | 値幅 |
|---|---|---|
| エントリー(買い) | 150.04円 | — |
| 損切り | 149.50円(トンボの安値の5pips下) | −54pips |
| 利益確定 | 151.12円 | +108pips |
リスク = 150.04 − 149.50 = 0.54円(54pips)
リワード = 151.12 − 150.04 = 1.08円(108pips)
リスクリワード比 = 108 ÷ 54 = 2.0
損切りは、トンボの安値の少し下に置きます。安値を割ると、トンボの意味が失われるためです(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。
下ヒゲが長いほど、損切り幅も大きくなる傾向があります。損切りを短くしようとして、下ヒゲの途中に置くと、ヒゲの範囲内で損切りにかかる可能性が高まるため、注意が必要です。
トンボの使い方
1. 反発・底打ちの兆しとして、注目する
安値圏やサポート付近でトンボが出たとき、反発の兆しとして見ます。
2. 売りポジションの決済を検討する目安にする
売りで利益が出ているとき、安値圏でトンボが出たら、買い戻しの目安にできます。
3. 押し目買いの確認に使う
上昇トレンドの押し目でトンボが出たら、押し目買いのサインのひとつとして使えます。押し目買いについては、別の記事で解説しています。
4. 他の根拠と組み合わせる
サポートライン、ラウンドナンバー、移動平均線などと重なると、信頼度が上がると考えられます。
トンボの注意点
1. トンボだけでは、判断できない
トンボは、「下で買いが入った」ことを示すだけで、反転の保証ではありません。場所・前後の足とあわせて判断します。
2. 下降トレンドが続くこともある
トンボが出ても、そのまま安値を更新して下がることも、よくあります。
3. 時間帯・時間足で、意味が変わる
値動きの小さい時間帯や、短い時間足では、トンボが出やすいものの、意味は薄いことがあります。長い時間足のトンボのほうが、意識されやすいと考えられます。
4. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、トンボに見えても、確定までに形が変わります。確定後に判断しましょう。
5. 指標発表時のトンボは、特に注意
指標発表で、いったん急落して急反発した場合、トンボのように見えても、その後に、再度動くことがあります。
初心者が間違えやすいポイント
トンボが出たら、すぐに買う
トンボは、確認足を待つ考え方があります。確認前に買うと、下ヒゲの下限を割れる場合に、損失になります。
高値圏のトンボを、買いサインだと思う
高値圏のトンボは、上昇の最後の押しの場合もあり、反転の根拠にはならないことがあります。
損切りを、近くに置きすぎる
ヒゲが長いほど、損切りが遠くなります。損切り幅に合わせて、ポジションサイズを調整しましょう。
呼び方の違いに、混乱する
トンボ、足長同事、下影十字など、資料によって呼び方や範囲が異なります。自分の中で、定義を決めておくと、混乱しません。
検証せずに、使う
「トンボのあとは、反転する」と聞いても、実際の確率は、判定基準や場所で変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- トンボは、始値・終値・高値がほぼ同じで、長い下ヒゲだけがあるローソク足(十字線の一種)
- 安値から買い戻され、始値付近まで戻ったことを示し、下値の堅さを表す
- 実体と上ヒゲが5%以下、下ヒゲが70%以上など、割合で基準を決める
- 実体が小さいながらもあるなら、カラカサ(安値圏)や首吊り線(高値圏)。上下のヒゲが長いなら、足長同事
- 安値圏、サポート付近、押し目で出ると、反発のサインとして注目される
- 次の足がトンボの高値を超えるかを確認し、安値を割ったらサインは失敗
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。ローソク足の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
