乖離とは?移動平均乖離率の計算と、基準の考え方

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乖離とは

乖離(かいり)とは、価格が、移動平均線などの、基準から、どれだけ離れているかを、表すものです。特に、移動平均線からの離れ具合を、%で表したものを、「移動平均乖離率(いどうへいきんかいりりつ)」、または、単に「乖離率」と、呼びます。英語では、「Deviation Rate」や「Disparity Index(ディスパリティ・インデックス)」などと、呼ばれます(ソフトによって、呼び方は、違います)。

乖離率は、「価格が、平均から、どのくらい離れているか」を、数値で表すため、離れ具合を、客観的に、比べやすくなります。平均回帰の考え方については、別の記事で解説しています。この記事では、乖離率の、計算・基準の決め方・注意点を、中心に、解説します。

乖離率(%)=(価格 − 移動平均)÷ 移動平均 × 100
価格が平均より上 → プラス(上方乖離)、下 → マイナス(下方乖離)

上の図は、ローソク足と、20本の移動平均線、下段は、乖離率です。①と②では、乖離率が、点線(±0.6%)の付近まで、広がった後、平均に、戻っています。一方、③では、乖離率が、点線を超えたまま、長く、離れ続けています。離れた後に、必ず戻るとは、限らないことが、分かります。この図は、説明のために作った例で、±0.6%という基準も、仮の値です。

乖離の、種類

種類内容特徴
乖離(円・pips)価格 − 移動平均価格の単位のまま。分かりやすいが、価格水準の違いに、弱い
乖離率(%)(価格 − 移動平均)÷ 移動平均 × 100価格水準が、違っても、比べやすい
標準偏差で、割った乖離乖離 ÷ 過去の乖離の標準偏差通貨ペアごとの、ばらつきを、反映できる
ATRで、割った乖離乖離 ÷ ATR値動きの、大きさに、合わせて、比べられる

どの方法でも、「離れ具合を、何かと比べる」という、考え方は、同じです。ATRについては、別の記事で解説しています。

計算例

終値が150.80円で、移動平均が、期間によって、次のように、違う場合を、考えます(例の数値です)。

移動平均の期間移動平均乖離(円)乖離率
5本150.00円+0.80円(+80pips)+0.533%
25本149.60円+1.20円(+120pips)+0.802%
75本148.80円+2.00円(+200pips)+1.344%
5本の場合: (150.80 − 150.00)÷ 150.00 × 100 ≒ 0.533 %
25本の場合:(150.80 − 149.60)÷ 149.60 × 100 ≒ 0.802 %
75本の場合:(150.80 − 148.80)÷ 148.80 × 100 ≒ 1.344 %

同じ価格でも、移動平均の期間が、長いほど、平均が、遠く、乖離率は、大きくなりやすいことが、分かります。このため、乖離率の「大きい・小さい」は、期間ごとに、別々に、考える必要が、あります。

価格水準で、変わる「pips」と「%」

乖離率の基準を、同じ0.6%にしても、価格水準によって、pipsは、違います。

USD/JPY 150円付近:150 × 0.6% = 0.90円(90pips)
USD/JPY 100円付近:100 × 0.6% = 0.60円(60pips)
EUR/USD 1.10付近 :1.10 × 0.6% = 0.0066(66pips)

%は、価格水準が、違っても、比べやすい一方、通貨ペアごとの、値動きの大きさ(ボラティリティ)の違いは、反映されません。値動きの、大きい通貨ペアでは、同じ0.6%でも、日常的に、起きやすい、離れ具合かもしれません。

「どのくらい離れたら、大きい」かの、決め方

乖離率に、決まった基準は、ありません。株式の解説書などで、「±10%」「±20%」などの数値が、紹介されることが、ありますが、FXの、短い時間足では、その大きさまで、離れることは、ほとんどありません。FXでは、通貨ペア・時間足・期間ごとに、過去のチャートから、基準を、決める必要が、あります。

方法1:過去の乖離の、分布から、決める

過去の乖離率(絶対値)を、並べて、上位の、いくつかを、「大きい」と、考える方法です。

過去10回の、乖離率の絶対値(%)の例:
0.1 / 0.2 / 0.2 / 0.3 / 0.4 / 0.4 / 0.5 / 0.6 / 0.8 / 1.2
→ 10個のうち、0.8%以上は2個(上位20%)、1.2%は1個(上位10%)

この例では、「0.8%以上は、過去10回のうち2回しか、なかった」と、読み取れます。数が少ないと、偏りが出るため、実際には、もっと多くの、期間で、確認します。

方法2:標準偏差で、考える

過去の乖離の標準偏差の、何倍かで、考える方法です。標準偏差が、0.30円で、現在の乖離が、+0.80円なら、約2.7倍です。ただし、「2倍を超えたら戻る」と、決まっているわけでは、ありません。

方法3:過去に、戻った水準を、確認する

過去のチャートで、乖離率が、いくつくらいで、反転した事例が、多いかを、確認します。ただし、事例は、後から、探すと、合うものだけを、選んでしまうため、注意が必要です。

他の分析との違い

乖離率ボリンジャーバンドRSI
見るもの移動平均からの、離れ具合(%)移動平均からの、離れ具合(標準偏差の倍数)上昇と下落の、勢いの割合
単位%σ(標準偏差の倍数)0〜100
値動きの、大きさそのままでは、反映しない標準偏差で、反映する範囲が、固定
特徴計算が、簡単で、分かりやすい離れ具合の、基準が、自動で、変わる買われすぎ・売られすぎの、目安

乖離率は、計算が簡単ですが、「何%が、大きいか」は、自分で、決める必要が、あります。ボリンジャーバンドやRSIについては、別の記事で解説しています。

基本の使い方

1. 移動平均の、期間を決める

期間は、短いほど、平均が、価格に近く、乖離が、小さく出ます。使う期間を、決めて、後から、変えないようにします。

2. 基準を決める

過去のチャートで、乖離率の分布を、確認し、「大きい」と考える、基準を、決めます。通貨ペア・時間足ごとに、別々に、決めます。

3. 相場の状況を確認する

レンジ相場では、戻りやすく、強いトレンドでは、離れ続けやすいと、考えられます。移動平均線の、傾きを、確認します。

4. 反転のサインを、確認する

基準を超えただけで、売買せず、ローソク足の、反転の形などを、確認します。

計算例:上方乖離で、売る場合

移動平均が150.00円で、乖離率の基準を+0.6%とすると、150.90円が、基準の水準です(例の数値です)。ここから、平均への戻りを狙って売り、損切りは151.30円、利益確定は、平均の150.00円とします。

150.90円に、指値で売る場合

エントリー 150.90円、損切り 151.30円、利確 150.00円
リスク   = 151.30 − 150.90 = 0.40円(40pips)
リワード = 150.90 − 150.00 = 0.90円(90pips)
リスクリワード比 = 90 ÷ 40 ≒ 2.3

陰線が確定した足の終値(150.65円)で売る場合

エントリー 150.65円、損切り 151.30円、利確 150.00円
リスク   = 151.30 − 150.65 = 0.65円(65pips)
リワード = 150.65 − 150.00 = 0.65円(65pips)
リスクリワード比 = 65 ÷ 65 = 1.0

平均に向かって、下がり始めたのを確認した後の、150.30円で売る場合

エントリー 150.30円、損切り 151.30円、利確 150.00円
リスク   = 151.30 − 150.30 = 1.00円(100pips)
リワード = 150.30 − 150.00 = 0.30円(30pips)
リスクリワード比 = 30 ÷ 100 = 0.3
エントリー価格リスクリワードリスクリワード比
指値(基準の水準)150.90円40pips90pips2.3
陰線の確定を確認150.65円65pips65pips1.0
平均へ向かうのを確認150.30円100pips30pips0.3

確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。指値は、価格が届かず、エントリーできないことも、あります。また、基準を超えた後も、さらに離れ続けて、損切りに、かかることがあります。確認が遅れて、リスクリワード比が、低いときは、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。

注意点

1. 基準を超えても、戻るとは、限らない

図の③のように、基準を超えたまま、離れ続けることが、あります。乖離率は、「戻る」ことを、保証するものでは、ありません。

2. 期間によって、値が変わる

同じ価格でも、移動平均の期間が違うと、乖離率は、変わります(上の計算例では、0.533%〜1.344%)。期間ごとに、基準を、決める必要が、あります。

3. 値動きの大きさ(ボラティリティ)の変化に、弱い

値動きが、大きくなる時期と、小さくなる時期で、同じ乖離率でも、意味が、変わります。固定の基準は、相場の状態が、変わると、合わなくなることが、あります。

4. 通貨ペアごとに、基準が違う

値動きの、大きい通貨ペアと、小さい通貨ペアでは、「大きい」乖離率が、違います。他の通貨ペアの、基準を、そのまま使わないようにしましょう。

5. 経済指標・要人発言で、基準が、変わる

重要な経済指標や、要人発言の後は、価格が、大きく、動き、新しい水準が、形成され、平均に、戻らないことが、あります。

6. ダマシ・負けが、続くことがある

たとえば、乖離率を使った、逆張りが、損失40pipsで、5回続くと、合計−200pipsの損失です。その後の1回の利益が、250pipsなら、合計は+50pips、150pipsなら、合計は−50pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。

7. 足が確定するまで、分からない

足の途中では、乖離率が、大きく見えても、確定する前に、縮まることが、あります。確定するまで、分からないことを、忘れないようにしましょう。

初心者が間違えやすいポイント

株式の基準を、そのまま、使う

「±10%を超えたら」といった、株式の基準は、FXの、短い時間足では、ほとんど、到達しません。FXでは、過去のチャートで、基準を、決め直す必要が、あります。

通貨ペアが違っても、同じ基準を使う

値動きの大きさが、違うため、同じ基準では、合わないことが、あります。

基準を、後から、都合よく変える

負けた後に、基準を、変えていくと、過去のチャートに、合わせただけの、基準に、なります。事前に決めて、一定期間、変えずに、検証しましょう。

乖離が大きい=反転、と思い込む

乖離が大きいだけでは、反転のサインとは、いえません。トレンドの強さを、確認しましょう。

検証せずに、使う

「乖離率が大きいと、戻りやすい」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。

まとめ

  • 乖離は、価格が、移動平均などの基準から、離れている度合い。%で表したものが、移動平均乖離率
  • 乖離率(%)=(価格−移動平均)÷移動平均×100
  • 例では、終値150.80円に対し、5本平均なら0.533%、25本平均なら0.802%、75本平均なら1.344%と、期間で値が変わる
  • 決まった基準は、なく、過去の分布や、標準偏差、過去の反転の水準から、通貨ペア・時間足ごとに、決める
  • 例では、指値(2.3)、陰線の確定の確認(1.0)、平均へ向かうのを確認(0.3)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
  • 基準を超えても、戻らず、離れ続けることがある。値動きの大きさの変化にも、弱い
  • 単独では判断できない。必ず機能するわけではない

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。

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