平均回帰とは
平均回帰(へいきんかいき)とは、価格が、平均から大きく離れても、時間がたつと、平均に近づいていきやすい、という考え方です。英語では、「Mean Reversion(ミーン・リバージョン)」と、呼ばれます。「行き過ぎた価格は、戻りやすい」と、言い換えられることも、あります。
逆張りの売買の、考え方の土台に、なることが、多いです。ただし、価格が、必ず平均に、戻るわけでは、ありません。平均そのものが、動いて、価格が、そのまま、離れ続けることも、あります。
乖離(かいり)= 価格 − 平均
乖離が大きい(平均から遠い)→ 平均に近づきやすい、と考える

上の図は、ローソク足と、平均(移動平均線)、下段は、価格と平均との差(乖離)です。①では、価格が、平均から、上に離れた後、平均へ戻り、②では、下に離れた後、平均へ戻っています。下段の棒グラフは、平均から離れると、また、ゼロ(平均)に、近づいていく、動きを、繰り返しています。この図は、説明のために作った例で、実際の相場が、このように、きれいに動くことは、少ないです。
「平均」とは何か
平均回帰の、「平均」には、いくつかの考え方が、あります。
| 平均の種類 | 内容 |
|---|---|
| 移動平均線 | 一定期間の、終値の平均を、結んだ線。最もよく、使われる |
| 過去の、一定期間の、価格帯の中心 | レンジの、中央など |
| ボリンジャーバンドの、中心線 | 移動平均線と、同じ |
| 長期の、平均的な水準 | 経済の理論(購買力平価など)に、基づく水準を、考える場合も、ある |
どの「平均」を、使うかで、結果は、変わります。期間の設定によっても、変わります。
平均回帰が、起きやすいと、考えられる理由
平均回帰が、起きやすい理由として、次のようなことが、挙げられることが、あります(いずれも、確かな、ものではなく、そう考えられている、という説明です)。
- 急な上昇・下落の後は、利益確定の売買が、出やすい
- 「割高」「割安」と感じる、参加者が、増えやすい
- レンジ相場では、同じ価格帯で、売買が、繰り返されやすい
逆に、強いトレンドのときは、価格が、平均から離れたまま、動き続けることが、あります。そのため、平均回帰は、「相場の状況によって、成り立ちやすい場面と、成り立ちにくい場面が、ある」と、考えられます。
計算の考え方と、手計算の例
平均からの、離れ具合は、次の式で、表されます。
乖離(円)= 現在の価格 − 平均
乖離率(%)=(現在の価格 − 平均)÷ 平均 × 100
離れ具合が、「大きい」かどうかは、過去の乖離の、ばらつき(標準偏差)と、比べて、考える方法が、あります。
乖離の大きさ(σ)= 現在の乖離 ÷ 過去の乖離の標準偏差
計算例
直近5本の終値が、149.90円・150.00円・150.10円・150.00円・150.00円で、その後、150.80円まで、上昇した場合を、考えます(例の数値です)。
平均 =(149.90 + 150.00 + 150.10 + 150.00 + 150.00)÷ 5 = 750.00 ÷ 5 = 150.00円
乖離 = 150.80 − 150.00 = 0.80円(80pips)
乖離率 = 0.80 ÷ 150.00 × 100 ≒ 0.533 %
過去の乖離の標準偏差が、0.30円(30pips)だった場合、
乖離の大きさ = 0.80 ÷ 0.30 ≒ 2.67σ
過去の標準偏差の、約2.7倍、平均から離れていることに、なります。ここで「戻りやすい」と、考えるのが、平均回帰の考え方です。ただし、「2σを超えたら戻る」といった、決まった基準は、ありません。この数値(平均を5本の終値とする設定、標準偏差0.30円)は、説明のための、仮の例です。実際の相場では、平均の期間や標準偏差の、取り方によって、結果が、変わります。
他の考え方との違い
| 平均回帰(逆張り) | トレンドフォロー(順張り) | ブレイクアウト | |
|---|---|---|---|
| 考え方 | 離れたら、戻る | 動いている方向に、続く | 水準を抜けたら、続く |
| 得意な相場 | レンジ | トレンド | レンジの、抜け・トレンドの、始まり |
| 苦手な相場 | 強いトレンド | レンジ(ダマシが増える) | ダマシが多い場面 |
| エントリー | 行き過ぎた所 | 押し・戻りなど | 抜けた所 |
| 損切り | 離れ続けたとき、損失が、広がりやすい | トレンドの転換 | 水準へ、戻ったとき |
どの考え方が、優れているかではなく、相場の状況に、合っているかが、大切です。トレンドフォローや、ブレイクアウトについては、別の記事で解説しています。
基本の使い方
1. 今の相場の、状況を、確認する
平均回帰は、レンジ相場の方が、成り立ちやすいと、考えられます。平均(移動平均線)が、ほぼ横ばいか、傾いているかを、確認します。傾きが大きいときは、トレンドの、可能性が、あります。
2. 平均からの、離れ具合を、確認する
乖離(円・%)や、標準偏差との比較で、離れ具合を、確認します。基準は、通貨ペア・時間足・期間で、違います。過去のチャートで、どのくらい離れると、戻りやすかったかを、確認しておきます。
3. 反転のサインを、確認する
離れているだけで、すぐに、逆張りすると、離れ続ける場合に、損失が、広がります。ローソク足の、反転の形や、サポート・レジスタンスの、近さなどを、確認します。
4. 損切りと、目標を決める
平均への、戻りを、目標にし、離れ続けたときの損切りを、先に、決めます。
計算例:平均から、上に離れた後に、売る場合
平均150.00円、価格150.80円(+80pips)から、平均への、戻りを、狙って、売る場合を、考えます。損切りは、151.10円、利益確定は、平均の150.00円とします(例の数値です)。
150.80円に、指値で売る場合
エントリー 150.80円、損切り 151.10円、利確 150.00円
リスク = 151.10 − 150.80 = 0.30円(30pips)
リワード = 150.80 − 150.00 = 0.80円(80pips)
リスクリワード比 = 80 ÷ 30 ≒ 2.7
陰線が確定した足の終値(150.55円)で売る場合
エントリー 150.55円、損切り 151.10円、利確 150.00円
リスク = 151.10 − 150.55 = 0.55円(55pips)
リワード = 150.55 − 150.00 = 0.55円(55pips)
リスクリワード比 = 55 ÷ 55 = 1.0
平均に向かって、下がり始めたのを確認した後の、150.30円で売る場合
エントリー 150.30円、損切り 151.10円、利確 150.00円
リスク = 151.10 − 150.30 = 0.80円(80pips)
リワード = 150.30 − 150.00 = 0.30円(30pips)
リスクリワード比 = 30 ÷ 80 ≒ 0.4
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 |
|---|---|---|---|---|
| 指値(離れた所) | 150.80円 | 30pips | 80pips | 2.7 |
| 陰線の確定を確認 | 150.55円 | 55pips | 55pips | 1.0 |
| 平均へ向かうのを確認 | 150.30円 | 80pips | 30pips | 0.4 |
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。指値は、価格が届かず、エントリーできないことも、あります。また、150.80円が、天井かどうかは、後から振り返って分かるもので、さらに上昇して、損切りに、かかることも、あります。確認が遅れて、リスクリワード比が、低いときは、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。
注意点
1. 強いトレンドでは、戻らない
強いトレンドでは、価格が、平均から離れたまま、動き続けます。「離れすぎ」に見えても、さらに、離れることが、あります。逆張りの損失は、離れ続ける限り、広がります。
2. 「平均」自体が、動く
移動平均線は、価格に、遅れて、動きます。価格が、平均に「戻る」のではなく、平均が、価格に「近づく」ことも、あります。平均へ戻る、と考えていたら、平均の方が、動いて、利益確定の水準が、ずれることが、あります。
3. 期間の設定で、結果が、変わる
平均の期間を、変えると、離れ具合も、変わります。期間は、後から、結果に合わせて、選ばないようにしましょう。
4. 「離れている」の基準は、決まっていない
何pips、何%、何σ、離れたら、戻りやすい、という、決まった基準は、ありません。通貨ペアや、時間足、相場の状況で、変わります。
5. 経済指標・要人発言で、基準が変わる
重要な経済指標や、要人発言の後は、新しい水準が、形成され、平均へ、戻らないことが、あります。
6. ダマシ・負けが、続くことがある
たとえば、平均回帰を狙った売買が、損失40pipsで、5回続くと、合計−200pipsの損失です。その後の1回の利益が、250pipsなら、合計は+50pips、150pipsなら、合計は−50pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
7. 足が確定するまで、分からない
足の途中では、価格が、平均から、離れて見えても、確定する前に、戻ることが、あります。確定するまで、分からないことを、忘れないようにしましょう。
初心者が間違えやすいポイント
「離れた分は、必ず戻る」と考える
平均回帰は、「戻りやすい」という、考え方で、「必ず戻る」ではありません。戻らない場合の損切りを、先に、決めておきましょう。
トレンドの中で、逆張りを繰り返す
強いトレンドで、「離れすぎ」と、逆張りを繰り返すと、損失が、積み重なります。まず、トレンドか、レンジかを、確認しましょう。
平均の期間を、結果に合わせて、変える
過去のチャートに合う期間を、探して、選ぶと、将来には、合わないことが、あります。
離れた「瞬間」に、すぐ売買する
離れ始めたばかりで、逆張りすると、離れ続ける動きに、巻き込まれることが、あります。反転のサインを、確認するようにしましょう。
検証せずに、使う
「平均回帰は、よく戻る」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- 平均回帰は、価格が、平均から離れても、平均に戻りやすい、という考え方。逆張りの考え方の、土台になる
- 乖離(価格−平均)や、乖離率、標準偏差との比較で、離れ具合を、確認する
- 例では、平均150.00円、価格150.80円で、乖離は+80pips(+0.533%)、標準偏差0.30円なら、約2.7σ
- 例では、指値(2.7)、陰線の確定の確認(1.0)、平均へ向かうのを確認(0.4)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
- 強いトレンドでは、平均に戻らず、離れ続けることがある。平均自体も動き、期間の設定で、結果も変わる
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。チャート分析の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
