トウバとは
トウバ(塔婆)とは、始値・終値・安値がほぼ同じ価格で、長い上ヒゲだけがあるローソク足のことです。十字線の一種で、逆さまの「T」の字のような形をしています。墓の後ろに立てる卒塔婆(そとば)に似ていることから、この名前がつきました。上影十字とも呼ばれ、英語ではグレイブストーン・ドージ(Gravestone Doji)と言います。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 実体 | ほぼない(始値≒終値) |
| 下ヒゲ | ほぼない(安値≒始値・終値) |
| 上ヒゲ | 長い |
トンボの、上下を逆にした形です。トンボについては、別の記事で解説しています。十字線の基本については、別の記事で解説しています。
トウバが示すこと
期間中に、いったん大きく買い上げられたが、すぐに売り戻され、始値の位置まで戻って終わった状態です。
始値から、大きく上昇した → 買いが優勢に見えた
高値から、売り戻された → 売りが入り、一気に押し戻した
→ 安値付近で、引けた
| 読み取れること | 内容 |
|---|---|
| 上値の重さ | 高値圏で、売りが入った |
| 買いの勢いの低下 | 買いで押し上げようとしたが、押し切れなかった |
| 天井の予兆 | 上昇トレンドの終盤で出ると、反転の前触れのことがある |
上ヒゲが長いほど、「高値から押し戻された」力が強いと考えられます。
トウバの判定基準
FXでは、始値・終値・安値が、完全に一致することは少ないため、割合で基準を決める方法があります。
| 項目 | 目安の例 |
|---|---|
| 実体 | 値幅全体の、5%以下 |
| 下ヒゲ | 値幅全体の、5%以下 |
| 上ヒゲ | 値幅全体の、70%以上 |
計算例:トウバの判定
1時間足の足が、次の値だったとします。
| 項目 | 価格 |
|---|---|
| 始値 | 150.00円 |
| 高値 | 150.48円 |
| 安値 | 149.98円 |
| 終値 | 149.99円 |
値幅全体 = 150.48 − 149.98 = 0.50円(50pips)
実体 = 150.00 − 149.99 = 0.01円(1pips)
上ヒゲ = 150.48 − 150.00 = 0.48円(48pips)
下ヒゲ = 149.99 − 149.98 = 0.01円(1pips)
実体 ÷ 値幅全体 = 1 ÷ 50 = 2.0%
下ヒゲ ÷ 値幅全体 = 1 ÷ 50 = 2.0%
上ヒゲ ÷ 値幅全体 = 48 ÷ 50 = 96.0%
実体と下ヒゲは、どちらも2.0%、上ヒゲは96.0%で、上の基準をすべて満たすため、トウバと判定できます。
これらの数値は、あくまで一例です。自分で基準を決め、過去のチャートで検証することが大切です。
トウバと似た形の違い
上ヒゲが長いローソク足は、他にもあります。
| 名前 | 実体 | 下ヒゲ | 上ヒゲ |
|---|---|---|---|
| トウバ | ほぼない | ほぼない | 長い |
| 流れ星(シューティングスター) | 小さい(実体はある) | ほぼない | 長い(高値圏で出る) |
| 逆カラカサ(逆ハンマー) | 小さい(実体はある) | ほぼない | 長い(安値圏で出る) |
| 上影陽線・上影陰線 | ある程度の大きさ | ほぼない | ある |
実体がほぼゼロならトウバ、実体が小さいながらもあるなら、流れ星(高値圏)や逆カラカサ(安値圏)、と区別するのが一般的です。それぞれについては、別の記事で解説しています。
場所別の見方
トウバは、「どこで出たか」によって、意味が変わります。
| 場所 | 見方 |
|---|---|
| 上昇トレンドの高値圏 | 買いが止まり、売りが入った。天井(反転)の可能性 |
| レジスタンスライン付近 | レジスタンスで、売りが入った。ラインの有効性を示す |
| 下降トレンドの戻り | 戻りで売られた。トレンド継続のサイン |
| 下降トレンドの安値圏 | 買いが入ったが、押し戻された。反転の根拠としては弱い |
| レンジの中央 | 意味が薄い |
特に、「レジスタンスライン付近や、高値圏で出たトウバ」は、反落のサインとして、注目されやすいです。レジスタンスラインについては、別の記事で解説しています。
次の足を見る(確認足)
トウバの次に出る足で、その後の方向を判断します。
| 次の足 | 見方 |
|---|---|
| トウバの安値を割って、下に抜ける | 下方向への動きが、始まった可能性 |
| トウバの高値を超える | 上ヒゲの売りが、否定された。トウバのサインは失敗 |
| トウバの範囲内に収まる | 様子見。方向待ち |
トウバの高値を超えると、「売り戻された」という前提が崩れるため、サインは無効と見られます。
計算例:高値圏のトウバのあとに、売る場合
上昇トレンドの高値圏で、上の例のトウバが出たとします。次の足が、トウバの安値(149.98円)を割ったため、149.96円で売る場合です。
| 項目 | 価格 | 値幅 |
|---|---|---|
| エントリー(売り) | 149.96円 | — |
| 損切り | 150.53円(トウバの高値の5pips上) | −57pips |
| 利益確定 | 148.82円 | +114pips |
リスク = 150.53 − 149.96 = 0.57円(57pips)
リワード = 149.96 − 148.82 = 1.14円(114pips)
リスクリワード比 = 114 ÷ 57 = 2.0
損切りは、トウバの高値の少し上に置きます。高値を超えると、トウバの意味が失われるためです(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。
上ヒゲが長いほど、損切り幅も大きくなる傾向があります。損切りを短くしようとして、上ヒゲの途中に置くと、ヒゲの範囲内で損切りにかかる可能性が高まるため、注意が必要です。上昇トレンドに逆らう売りでもあるため、必ず機能するわけではありません。
トウバの使い方
1. 反落・天井の兆しとして、注目する
高値圏やレジスタンス付近でトウバが出たとき、反落の兆しとして見ます。
2. 買いポジションの決済を検討する目安にする
買いで利益が出ているとき、高値圏でトウバが出たら、利益確定の目安にできます。
3. 戻り売りの確認に使う
下降トレンドの戻りでトウバが出たら、戻り売りのサインのひとつとして使えます。戻り売りについては、別の記事で解説しています。
4. 他の根拠と組み合わせる
レジスタンスライン、ラウンドナンバー、移動平均線などと重なると、信頼度が上がると考えられます。
トウバの注意点
1. トウバだけでは、判断できない
トウバは、「上で売りが入った」ことを示すだけで、反転の保証ではありません。場所・前後の足とあわせて判断します。
2. 上昇トレンドが続くこともある
トウバが出ても、そのまま高値を更新して上がることも、よくあります。
3. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
発表で、いったん急騰して急反落した場合、トウバのように見えても、その後に、再度動くことがあります。一時的なヒゲにすぎないこともあります。
4. 時間帯・時間足で、意味が変わる
値動きの小さい時間帯や、短い時間足では、トウバが出やすいものの、意味は薄いことがあります。長い時間足のトウバのほうが、意識されやすいと考えられます。
5. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、トウバに見えても、確定までに形が変わります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
トウバが出たら、すぐに売る
トウバは、確認足を待つ考え方があります。確認前に売ると、そのまま高値を更新した場合に、損失になります。
安値圏のトウバを、売りサインだと思う
安値圏のトウバは、下落の途中での、買いの失敗にすぎず、売りの根拠として使うかは、慎重な判断が必要です。
損切りを、近くに置きすぎる
ヒゲが長いほど、損切りが遠くなります。損切り幅に合わせて、ポジションサイズを調整しましょう。
トンボと混同する
トンボは下ヒゲ、トウバは上ヒゲです。意味が逆になるため、間違えないようにしましょう。
検証せずに、使う
「トウバのあとは、反落する」と聞いても、実際の確率は、判定基準や場所で変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- トウバ(塔婆)は、始値・終値・安値がほぼ同じで、長い上ヒゲだけがあるローソク足(十字線の一種)。トンボの逆の形
- 高値から売り戻され、始値付近まで戻ったことを示し、上値の重さを表す
- 実体と下ヒゲが5%以下、上ヒゲが70%以上など、割合で基準を決める
- 実体が小さいながらもあるなら、流れ星(高値圏)や逆カラカサ(安値圏)
- 高値圏、レジスタンス付近、戻りで出ると、反落のサインとして注目される
- 次の足がトウバの安値を割るかを確認し、高値を超えたらサインは失敗
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。ローソク足の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
