下影陽線・下影陰線とは
下影陽線とは、下ヒゲ(下影)が目立つ陽線、下影陰線とは、下ヒゲが目立つ陰線のことです。上ヒゲはほとんどなく、下ヒゲだけが伸びている形を指します。下ヒゲは、下影とも呼ばれます。
| 名前 | 実体 | 上ヒゲ | 下ヒゲ |
|---|---|---|---|
| 下影陽線 | 陽線 | ほぼない | 目立つ |
| 下影陰線 | 陰線 | ほぼない | 目立つ |
下ヒゲとは、その期間の安値から、実体の下端までの線です。下ヒゲが長いということは、いったん大きく下がったものの、そこから押し戻されたことを意味します。
「どのくらい下ヒゲが長ければ、下影陽線(陰線)か」には、決まった基準がありません。下ヒゲが、実体と同じくらいか、それ以上の長さを、ひとつの目安にすることが多いです。
下ヒゲが示すこと
下ヒゲは、売りが一時的に優勢になったものの、買いに押し戻された跡です。
期間中、一時的に大きく下落した → 売りが優勢に見えた
安値から、買い戻された → 買いが入った
→ 安値より、高い位置で引けた
| 読み取れること | 内容 |
|---|---|
| 下値の堅さ | 安値圏で、買いが入った |
| 売りの勢いの低下 | 売りで押し込もうとしたが、押し切れなかった |
| 反発の予兆 | 下降トレンドの終盤で出ると、反転の前触れのことがある |
下ヒゲが長いほど、「安値から押し戻された」力が強いと考えられます。
下影陽線と下影陰線の違い
同じ下ヒゲでも、陽線か陰線かで、強さが違います。
| 下影陽線 | 下影陰線 | |
|---|---|---|
| 終値 | 始値より高い | 始値より低い |
| 意味 | 安値から買い戻され、始値も超えて引けた | 安値から買い戻されたが、始値には届かなかった |
| 強さ | 買いが強いと見られる | 買いの勢いはあるが、やや弱いと見られる |
下影陽線のほうが、買い戻しの力が強かったと読めます。下影陰線は、買い戻したものの、始値まで戻せなかったため、慎重に見る考え方があります。
ただし、どちらも「下値で買いが入った」というサインであり、場所・次の足とあわせて判断します。
計算例:下影陽線の判定
1時間足の足が、次の値だったとします。
| 項目 | 価格 |
|---|---|
| 始値 | 150.00円 |
| 高値 | 150.32円 |
| 安値 | 149.70円 |
| 終値 | 150.30円 |
値幅全体 = 150.32 − 149.70 = 0.62円(62pips)
実体 = 150.30 − 150.00 = 0.30円(30pips)
上ヒゲ = 150.32 − 150.30 = 0.02円(2pips)
下ヒゲ = 150.00 − 149.70 = 0.30円(30pips)
下ヒゲ ÷ 実体 = 30 ÷ 30 = 1.0倍
下ヒゲ ÷ 値幅全体 = 30 ÷ 62 ≒ 48%
上ヒゲ ÷ 値幅全体 = 2 ÷ 62 ≒ 3.2%
下ヒゲが、実体と同じ長さ(1.0倍)で、上ヒゲはほぼない(約3.2%)ため、「下ヒゲが実体以上、上ヒゲが5%以下」というルールであれば、下影陽線と判定できます。
この基準は、あくまで一例です。自分で基準を決め、過去のチャートで検証することが大切です。
似た形との違い
下ヒゲが長いローソク足は、他にもあります。
| 名前 | 実体 | 下ヒゲ |
|---|---|---|
| 下影陽線・下影陰線 | ある程度の大きさ | 実体と同じくらい以上 |
| カラカサ(ハンマー) | 小さい | 実体の2倍以上など、特に長い(安値圏で出る) |
| 首吊り線 | 小さい | 特に長い(高値圏で出る) |
| トンボ | ほぼない | 長い |
実体がしっかりあるものが下影陽線・陰線、実体が小さく、下ヒゲが特に長いものがカラカサ・首吊り線、実体がほぼゼロのものがトンボです。それぞれについては、別の記事で解説しています。
場所別の見方
下影陽線・陰線は、「どこで出たか」によって、意味が変わります。
| 場所 | 見方 |
|---|---|
| 下降トレンドの安値圏 | 売りが止まり、買いが入った。反転(底打ち)の可能性 |
| サポートライン付近 | サポートで、買いが入った。ラインの有効性を示す |
| 上昇トレンドの押し目 | 押し目で買いが入った。トレンド継続のサイン |
| 上昇トレンドの高値圏 | 一時的な押しにすぎず、反転の根拠としては弱い |
| レンジの下限 | 下限で買いが入った。レンジ継続のサイン |
| レンジの中央 | 意味が薄い |
特に、「サポートライン付近や、押し目で出た下影」は、買いの根拠として、注目されやすいです。サポートラインについては、別の記事で解説しています。
使い方
1. 反発・押し目の確認に使う
サポート付近や押し目で下影が出たとき、買いが入ったことの確認材料にできます。押し目買いについては、別の記事で解説しています。
2. 損切りの目安にする
下影の安値(ヒゲの先)は、「ここを割ったら、買いの見立てが崩れる」という損切りの目安になります。
3. 下ヒゲの半値を、押し目の目安にする
下ヒゲの半値で、さらに押し目が入ることがあります。
計算例:下ヒゲの半値で、買う場合
上の例の下影陽線のあと、下ヒゲの半値まで押してきて、反発したため、買う場合です。
下ヒゲの範囲 = 149.70 〜 150.00
下ヒゲの半値 = (149.70 + 150.00) ÷ 2 = 149.85円
| 項目 | 価格 | 値幅 |
|---|---|---|
| エントリー(買い) | 149.85円 | — |
| 損切り | 149.65円(下影の安値の5pips下) | −20pips |
| 利益確定 | 150.65円 | +80pips |
リスク = 149.85 − 149.65 = 0.20円(20pips)
リワード = 150.65 − 149.85 = 0.80円(80pips)
リスクリワード比 = 80 ÷ 20 = 4.0
損切りは、下影の安値の少し下に置きます。安値を割ると、下ヒゲの買いが否定されたためです(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。
ただし、下ヒゲの半値まで押してくるとは限りません。押さずに上昇した場合は、エントリーできません。また、半値を割り込んで、安値まで下がる場合は、損切りになります。
注意点
1. 下影だけでは、判断できない
下ヒゲは、「下で買いが入った」ことを示すだけで、反転の保証ではありません。場所・前後の足とあわせて判断します。
2. 下降トレンドが続くこともある
下影が出ても、そのまま安値を更新して下がることも、よくあります。
3. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
発表で、いったん急落して急反発した場合、下影のように見えても、その後に、再度動くことがあります。
4. 時間帯・時間足で、意味が変わる
値動きの小さい時間帯や、短い時間足では、下影が出やすいものの、意味は薄いことがあります。長い時間足の下影のほうが、意識されやすいと考えられます。
5. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、下影が長く見えても、確定までに形が変わります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
下影が出たら、すぐに買う
下影の足の終値付近で買うと、損切りが遠くなり、リスクリワードが悪くなりがちです。押しを待つ、次の足を確認するといった考え方があります。
陽線と陰線の違いを、気にしない
下影陽線と下影陰線では、終値の位置が違い、買い戻しの強さが違います。
どこで出た下影でも、同じと考える
安値圏・サポート付近・押し目と、高値圏では、意味が違います。
下ヒゲの長さの基準を決めない
「目立つ」という感覚だけでは、判断がぶれます。割合で基準を決めて、統一しましょう。
検証せずに、使う
「下影のあとは、反発する」と聞いても、実際の確率は、判定基準や場所で変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- 下影陽線・下影陰線は、下ヒゲが目立ち、上ヒゲがほとんどない陽線・陰線
- 下ヒゲは、安値から買い戻された跡で、下値の堅さを示す
- 下影陽線は、始値を超えて引けたため、下影陰線より買いが強いと見られる
- 下ヒゲが実体と同じくらい以上など、割合で基準を決める
- 実体が小さく下ヒゲが特に長いなら、カラカサ・首吊り線。実体がほぼゼロなら、トンボ
- 安値圏、サポート付近、押し目で出ると、買いのサインとして注目される
- 下影の安値を、損切りの目安にする。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。ローソク足の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
