逆ウォッチ曲線とは?出来高と価格の関係から、相場のサイクルを見る方法

目次

逆ウォッチ曲線とは

逆ウォッチ曲線(逆ウオッチ曲線)とは、価格と出来高の関係を、1本の折れ線(軌跡)として表し、相場が、いまどの局面にあるかを、考えるための分析手法です。横軸に「出来高」、縦軸に「価格」を、とり、価格と出来高の動きを、点で結んでいくと、軌跡が、時計の針とは逆の「反時計回り(左回り)」に、まわることが多いことから、「逆ウォッチ(逆時計)曲線」と、呼ばれます。もともとは、株式の分析で、紹介されることが、多い手法です。

背景には、「出来高は、株価に先行する」という、相場の格言が、あります。ただし、この格言が、常に、成り立つわけでは、ありません。

横軸 = 出来高(増えると、右へ)
縦軸 = 価格(上がると、上へ)
軌跡 = 時間とともに、点を、結んだ線 → 反時計回りに、まわりやすい、と考える

左の図は、ローソク足と出来高を、8つの局面(①〜⑧)に、分けた例、右の図は、同じ動きを、「横軸=出来高、縦軸=価格」で、描いた逆ウォッチ曲線です。軌跡は、①の底値圏から、右へ、上へ、左へ、下へと、反時計回りに、まわっています。この図は、説明のために作った例で、実際の相場が、このように、きれいに動くことは、少ないです。

4つの基本の組み合わせ

価格と出来高の、組み合わせは、次の4つに、分けて、考えられます(解説書によって、表現は、違います)。

価格出来高見方の目安
上昇増加強い。上昇が、続きやすい
上昇減少天井が近い(上昇の勢いが、弱まっている)
下落増加大底が近い(売りが、出尽くしに向かう)
下落減少弱い。下落が、続きやすい

逆ウォッチ曲線は、この4つの組み合わせが、「反時計回りに、順番に、現れる」ことを、図にしたものと、考えられます。

8つの局面

1周する動きを、8つの局面に、分けて、説明されることが、あります(局面の分け方や、表現は、解説書によって、違い、4つの局面で、説明する場合も、あります)。

局面価格出来高見方の目安
①底値圏横ばい増加底が近い(買いの準備)
②上昇の開始上昇増加強い(買いの目安)
③上昇の継続上昇横ばい(高い水準)上昇が、続きやすい
④上昇の鈍化上昇減少天井が近い(新規の買いは、慎重に)
⑤高値圏横ばい減少天井圏(売りの警戒)
⑥下落の開始下落減少弱い(下落が、続きやすい)
⑦下落の継続下落増加し始める売りが、出尽くしに向かう
⑧下落の終盤下落増加大底が近い(売りは、控える)

⑧の後、出来高が増えた状態から、①に戻り、再び、サイクルが、始まると、考えます。

局面の判定と、手計算の例

各局面の、価格と出来高の変化を、数値で、確認します。変化の、大きさで、「増加・減少・横ばい」を、判断します。

価格の変化(pips)= 局面の終わりの価格 − 局面の始めの価格
出来高の変化(%)=(終わりの出来高 ÷ 始めの出来高 − 1)× 100
判定の例:出来高が +10% 以上 → 増加、−10% 以下 → 減少、その間 → 横ばい

判定の基準(±10%)は、この例での、仮の基準です。通貨ペア・時間足によって、適切な基準は、違います。

計算例:図の8つの局面

図の例の、各局面の、始めと終わりの値を、次のとおりとします(例の数値です。出来高は、ティックボリューム)。

局面価格(始め → 終わり)価格の変化出来高(始め → 終わり)出来高の変化判定
①149.20 → 149.20円0pips1200 → 1500+25.0%横ばい・増加
②149.20 → 149.90円+70pips1500 → 1900+26.7%上昇・増加
③149.90 → 150.40円+50pips1900 → 1950+2.6%上昇・横ばい
④150.40 → 150.70円+30pips1950 → 1300−33.3%上昇・減少
⑤150.70 → 150.65円−5pips1300 → 900−30.8%横ばい・減少
⑥150.65 → 150.20円−45pips900 → 800−11.1%下落・減少
⑦150.20 → 149.60円−60pips800 → 1000+25.0%下落・増加
⑧149.60 → 149.25円−35pips1000 → 1200+20.0%下落・増加
例:②の出来高の変化 = (1900 ÷ 1500 − 1)× 100 ≒ +26.7 % → 増加
    ②の価格の変化 = 149.90 − 149.20 = +0.70円(+70pips)→ 上昇
    → 「上昇・増加」= 強い
例:④の出来高の変化 = (1300 ÷ 1950 − 1)× 100 ≒ −33.3 % → 減少
    ④の価格の変化 = 150.70 − 150.40 = +0.30円(+30pips)→ 上昇
    → 「上昇・減少」= 天井が近い

価格は、④でも上昇を続けていますが、出来高は、約3分の1減っています。価格が上がっているのに、出来高が減るため、「上昇の勢いが、弱まっている」と、読み取れます。実際、⑤で、価格は、頭打ちになり、⑥以降は、下落しています。ただし、この動きは、説明のために、作った例です。

他の分析との違い

逆ウォッチ曲線出来高の指標(OBVなど)ローソク足と出来高の棒
見るもの価格と出来高の、軌跡(サイクル)出来高の、累積や、割合足ごとの、出来高
時間軸時間が、見えない(軌跡の、順番だけ)時間軸に、沿って、表示時間軸に、沿って、表示
特徴局面(サイクル)の位置を、考える勢いの、確認・ダイバージェンス足ごとの、勢いを、確認
主観の入りやすさ局面の、判断・区切り方で、変わる設定で、変わる見方で、変わる

逆ウォッチ曲線は、「時間」が、軸に、出てこないため、どの足の出来事か、分かりにくいことが、あります。出来高の指標(OBV・A/D・MFIなど)については、別の記事で解説しています。

FXでの注意:出来高について

FXには、株式のような、市場全体の「出来高」の、集計が、ありません。FXの出来高は、一般に、ティックボリューム(価格が更新された回数)を、使います。ティックボリュームは、実際の取引量とは、限らず、ブローカーやソフトによって、違います。そのため、逆ウォッチ曲線を、FXで使う場合は、株式より、信頼性が、低いと、考えられます。ティックボリュームについては、別の記事で解説しています。

基本の使い方

1. 価格と出来高の、組み合わせを、確認する

直近の、価格の動き(上昇・下落・横ばい)と、出来高の動き(増加・減少・横ばい)を、確認します。

2. 今の局面を、推定する

4つの組み合わせ(または、8つの局面)の、どれに近いかを、考えます。どの局面かは、後から、振り返って、分かることが、多いです。

3. 価格の分析と、組み合わせる

逆ウォッチ曲線は、「どの局面に、近いか」を、考える補助です。サポート・レジスタンス、ローソク足の、反転サインなどと、組み合わせて、判断します。サイクルの考え方については、別の記事で解説しています。

4. 局面の変化を、確認する

①〜②で、出来高が、増え始め、価格が、上がり始めたら、上昇の、開始と考えるなど、局面の、変化を、確認します。変化が、確認できる前に、決めつけないようにしましょう。

計算例:②(上昇の開始)で、買う場合

図の例(②:価格149.20 → 149.90円、出来高が増加)で、「上昇・増加」を、確認して、買う場合を、考えます。損切りは、底値圏の安値の少し下の149.10円、利益確定は、③の終わりの150.40円とします(例の数値です)。

②の初め(149.35円)に、指値で買う場合

エントリー 149.35円、損切り 149.10円、利確 150.40円
リスク   = 149.35 − 149.10 = 0.25円(25pips)
リワード = 150.40 − 149.35 = 1.05円(105pips)
リスクリワード比 = 105 ÷ 25 = 4.2

上昇と出来高の増加を確認した足の終値(149.60円)で買う場合

エントリー 149.60円、損切り 149.10円、利確 150.40円
リスク   = 149.60 − 149.10 = 0.50円(50pips)
リワード = 150.40 − 149.60 = 0.80円(80pips)
リスクリワード比 = 80 ÷ 50 = 1.6

③に入り、上昇が続いていることを確認した足の終値(149.95円)で買う場合

エントリー 149.95円、損切り 149.10円、利確 150.40円
リスク   = 149.95 − 149.10 = 0.85円(85pips)
リワード = 150.40 − 149.95 = 0.45円(45pips)
リスクリワード比 = 45 ÷ 85 ≒ 0.5
エントリー価格リスクリワードリスクリワード比
指値(②の初め)149.35円25pips105pips4.2
上昇・増加を確認(足の確定)149.60円50pips80pips1.6
③で、上昇の継続を確認149.95円85pips45pips0.5

確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。指値は、価格が、届かずに、上昇して、エントリーできないことも、あります。また、②の、初めは、後から振り返って分かるもので、その時点で、「②が、始まった」と、判断できるとは、限りません。③まで待つと、目標までの値幅が、小さくなるため、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。

注意点

1. 8つの局面が、順番に、現れるとは、限らない

実際の相場では、局面が、飛んだり、戻ったり、途中で、止まったりします。典型的なパターンは、きれいな形で、描かれた例で、実際のチャートは、典型と、異なる形に、なることが、多いと、言われています。

2. FXの出来高は、ティックボリューム

ティックボリュームは、実際の取引量では、なく、ブローカーによって、違います。逆ウォッチ曲線の、根拠となる、「出来高」自体が、FXでは、不確かです。

3. 「出来高は、価格に、先行する」とは、限らない

この格言は、あくまで、経験則で、常に、成り立つわけでは、ありません。出来高が、増えても、価格が、動かない、減っても、価格が、動く、ことが、あります。

4. 判定の基準で、局面が、変わる

「増加・減少・横ばい」の判定基準(±10%など)を、変えると、局面の判定が、変わります。事前に、基準を、決めておくことが、必要です。

5. レンジ相場では、局面が、はっきりしない

方向感のない、レンジ相場では、価格と出来高が、小さく、動き、軌跡が、同じ場所を、行き来して、局面が、はっきりしません。

たとえば、局面の判断での買いが、損失40pipsで、5回続くと、合計−200pipsの損失です。その後の1回の利益が、250pipsなら、合計は+50pips、150pipsなら、合計は−50pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。

6. 足が確定するまで、分からない

足の途中では、出来高が、増え続けるため、足が確定した時点で、初めて、出来高の、増減が、分かります。確定するまで、分からないことを、忘れないようにしましょう。

初心者が間違えやすいポイント

「①〜⑧が、必ず、この順番で、現れる」と考える

局面は、あくまで、典型的な、パターンです。順番通りに、現れない、ことの方が、多いと、考えておきましょう。

出来高だけで、売買を、判断する

出来高は、補助的な、情報です。価格の分析(水準・ローソク足の形)と、組み合わせて、判断しましょう。

FXの出来高を、実際の取引量と、思い込む

FXの出来高は、ティックボリュームで、実際の取引量とは、限りません。

今の局面を、断定する

局面は、後から、振り返って、分かることが、多いです。「今は、②だ」と、断定せず、複数の可能性を、考えておきましょう。

検証せずに、使う

「逆ウォッチ曲線で、相場のサイクルが、分かる」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。

まとめ

  • 逆ウォッチ曲線は、横軸に出来高、縦軸に価格をとり、価格と出来高の軌跡を、結んだ曲線。軌跡が、反時計回りに、まわることから、この名前が、ついた
  • 基本は、価格と出来高の、4つの組み合わせ(上昇・増加=強い、上昇・減少=天井が近い、下落・増加=大底が近い、下落・減少=弱い)。1周を、8つの局面に分けて、説明することもある
  • 例では、②は、価格+70pips・出来高+26.7%(上昇・増加)、④は、価格+30pips・出来高−33.3%(上昇・減少)
  • 例では、指値(4.2)、上昇・増加の確認(1.6)、③での継続の確認(0.5)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
  • FXの出来高は、ティックボリュームで、信頼性が、低い。局面は、順番通りに、現れるとは限らず、後から分かる。判定の基準で、局面が変わる
  • 単独では判断できない。必ず機能するわけではない

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。チャート分析の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。

目次