サイクル理論とは?周期の測り方と、次の転換の時期の探し方

目次

サイクル理論とは

サイクル理論(Cycle Theory)とは、相場の値動きに、ほぼ一定の「周期(サイクル)」が、あると考え、安値から安値(または高値から高値)までの期間を測って、次の転換の時期を、探す考え方です。周期の考え方は、経済や自然現象にも、見られます(たとえば、景気の波や、季節の変化)。相場でも、「一定の間隔で、安値や高値が、現れる」と、考えられることが、あります。

相場のサイクルを、体系的に、まとめた人として、アメリカの、J.M. ハーストが、知られています(1970年ごろに、著書で、紹介したと、されています)。ハーストは、複数の周期が、入れ子になっている、と考えたと、されています。また、経済の、長期の波として、ロシアの経済学者、コンドラチェフが、提唱した、「コンドラチェフの波」(50〜60年程度)も、よく、知られています。これらの、細部については、解説書によって、違いがあります。

周期(サイクル)= 安値から次の安値までの期間(本数)
 振れ(振幅)   = 谷から山までの値幅
 谷(安値)・山(高値)= 周期の、始まり・折り返し

図は、安値から安値までの本数を、測った例です。20本・21本・18本・23本と、周期は、毎回、少しずつ、違いますが、おおよそ、20本前後で、安値が、現れています。この図は、説明のために作った例で、必ず、このように動くわけでは、ありません。

サイクルの考え方

周期の入れ子

サイクルは、「短い周期が、長い周期の中に、入っている」と、考えます。たとえば、約21本の周期が、2つ集まって、約41本の周期を、作るといった、関係です。

周期長さの目安図での見方
短い周期約21本灰色の三角(安値)
長い周期約41本(短い周期の約2倍)紫の三角(安値)

長い周期の安値は、短い周期の安値と、同時に、現れると、考えられます(図の、0本目・41本目・82本目が、長い周期の安値)。ハーストは、周期の長さが、「2倍」の関係に、なることが、多いと、考えたと、されています(目安であり、必ず、そうなるわけでは、ありません)。

山の位置(トランスレーション)

周期の、中央より、山(高値)が、後ろにあるか、前にあるかを、見る考え方も、あります。

山の位置呼び方見方の目安
周期の、中央より、後ろ(右寄り)右寄り(右へのトランスレーション)上昇の勢いが、強い
周期の、中央より、前(左寄り)左寄り(左へのトランスレーション)下落の勢いが、強い

呼び方・解釈は、解説書によって、違います。

周期の手計算の例

周期は、「安値から安値までの本数」を、測って、平均を、求めます。

周期 = 次の安値の位置 − 前の安値の位置
平均周期 = 周期の合計 ÷ 周期の数
次の安値の予想 = 直近の安値の位置 + 平均周期

計算例:平均周期と、次の安値の予想

図の例では、安値の位置が、0本目・20本目・41本目・59本目・82本目・105本目でした。最初の4つの周期から、5つ目の安値(次の安値)を、予想します。

周期安値の位置周期(本数)
1つ目0本目 → 20本目20本
2つ目20本目 → 41本目21本
3つ目41本目 → 59本目18本
4つ目59本目 → 82本目23本
平均周期 = (20 + 21 + 18 + 23)÷ 4 = 82 ÷ 4 = 20.5本
次の安値の予想 = 82 + 20.5 = 102.5本目

周期は、毎回、同じではなく、ばらつき(標準偏差)が、あります。ばらつきを、計算します。

各周期の、平均からのずれ:20 − 20.5 = −0.5、21 − 20.5 = +0.5、18 − 20.5 = −2.5、23 − 20.5 = +2.5
ずれの2乗の平均 = (0.25 + 0.25 + 6.25 + 6.25)÷ 4 = 3.25
標準偏差 = √3.25 ≒ 1.8本

標準偏差の2倍(約3.6本)を、予想の「幅」とすると、次の安値の予想は、102.5本目 ± 3.6本(98.9〜106.1本目)と、なります。

予想の範囲 = 102.5 − 3.6 = 98.9本目 〜 102.5 + 3.6 = 106.1本目
実際の安値 = 105本目 → 予想の範囲に入り、予想(102.5本目)より、2.5本遅れ

図の例では、実際の安値(105本目)は、予想の範囲に、入っています。ただし、予想の範囲は、約7本分と、広く、「範囲内に、安値が、あった」ことは、必ずしも、周期が、有効であることを、意味しません。周期が、途中で、変わることも、あります。

計算例:長い周期と、短い周期の関係

長い周期の安値は、0本目・41本目・82本目でした。

長い周期 = 41本(0 → 41)、41本(41 → 82)→ 平均 41本
短い周期の平均 = 20.5本
長い周期 ÷ 短い周期 = 41 ÷ 20.5 = 2.0

長い周期は、短い周期の、ちょうど2倍(2.0)で、入れ子の関係に、なっています。この、きれいな「2倍」は、この例の、数値の設定によるもので、実際の相場で、必ず、このようになるわけでは、ありません。

計算例:山の位置

各周期の、山(高値)が、周期の、どの位置にあるかを、計算します。

山の位置 =(高値の位置 − 前の安値の位置)÷ 周期の本数
周期高値の位置山の位置中央との比較
0 → 20本目9本目(9 − 0)÷ 20 = 45.0 %左寄り
20 → 41本目31本目(31 − 20)÷ 21 ≒ 52.4 %右寄り
41 → 59本目50本目(50 − 41)÷ 18 = 50.0 %中央
59 → 82本目69本目(69 − 59)÷ 23 ≒ 43.5 %左寄り
82 → 105本目94本目(94 − 82)÷ 23 ≒ 52.2 %右寄り

この例では、右寄りと左寄りが、混ざっており、はっきりした、傾向は、見られません。山の位置による、判断は、周期が、はっきりしている、場合に、補助的に、使うものです。

他の分析との違い

サイクル理論時間論(変化日)季節性(アノマリー)
見るもの安値から安値までの周期起点からの、基本数値の日数特定の月・曜日・時間帯の、傾向
周期・数の決め方チャートから、測る決まった数(9・17・26など)過去の統計
主観の入りやすさ安値・高値の選び方で、変わる起点の選び方で、変わる集計期間で、変わる
方向示さない場合が、多い示さない傾向を、示す

サイクル理論は、「チャートから、周期を、測る」点が、時間論と、違います。時間論については、別の記事で解説しています。

基本の使い方

1. 安値(または高値)の位置を、記録する

はっきりした、安値(または高値)を、順に、記録します。小さな、ノイズは、選びません。

2. 周期を、測る

安値から安値までの本数を、測り、平均と、ばらつきを、求めます。ばらつきが、大きい場合は、周期が、はっきりしていないと、考えます。

3. 次の安値の時期を、予想する

直近の安値に、平均周期を、足して、次の安値の、時期の範囲を、求めます。

4. 価格の分析と、組み合わせる

周期は、「いつ」を、示す、目安で、価格の水準や、反転のサインとは、別の情報です。予想の範囲に、入ったら、価格の水準(サポート・レジスタンスなど)や、ローソク足の、反転サインを、確認します。

5. トレンドの影響を、取り除く

トレンドが、強いと、周期が、見えにくくなります。DPO(ディトレンド・プライス・オシレーター)などの、トレンドを、取り除く指標を、使うと、周期が、見やすくなると、言われています。DPOについては、別の記事で解説しています。

計算例:予想の範囲で、反転を確認して、買う場合

図の例(次の安値の予想=98.9〜106.1本目)で、予想の範囲に、入った後、反転を、確認して、買う場合を、考えます。実際の安値は、105本目の150.30円付近でした。**損切りは、安値の少し下の150.15円、利益確定は、前の高値(94本目の150.95円)**とします(例の数値です)。

安値の付近(150.35円)に、指値で買う場合

エントリー 150.35円、損切り 150.15円、利確 150.95円
リスク   = 150.35 − 150.15 = 0.20円(20pips)
リワード = 150.95 − 150.35 = 0.60円(60pips)
リスクリワード比 = 60 ÷ 20 = 3.0

反発を確認した足の終値(150.50円)で買う場合

エントリー 150.50円、損切り 150.15円、利確 150.95円
リスク   = 150.50 − 150.15 = 0.35円(35pips)
リワード = 150.95 − 150.50 = 0.45円(45pips)
リスクリワード比 = 45 ÷ 35 ≒ 1.3

直近の戻りの高値(150.70円)を、上抜けた足の終値で買う場合

エントリー 150.70円、損切り 150.15円、利確 150.95円
リスク   = 150.70 − 150.15 = 0.55円(55pips)
リワード = 150.95 − 150.70 = 0.25円(25pips)
リスクリワード比 = 25 ÷ 55 ≒ 0.5
エントリー価格リスクリワードリスクリワード比
指値(安値の付近)150.35円20pips60pips3.0
反発を確認(足の確定)150.50円35pips45pips1.3
戻りの高値を上抜けた(継続の確認)150.70円55pips25pips0.5

確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。指値は、価格が、届かずに、反発して、エントリーできないことも、あります。また、予想の範囲は、約7本分と広く、範囲に入った後も、さらに、下がり続けることが、あります。戻りの高値の上抜けまで待つと、目標までの値幅が、小さくなるため、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。

注意点

1. 周期は、一定では、ない

周期は、毎回、少しずつ、違い、途中で、長くなったり、短くなったり、消えたりします。図でも、18本から23本まで、ばらついています。過去の周期が、将来も、続く、保証は、ありません。

2. 安値・高値の選び方で、周期が、変わる

「どの安値を、周期の、基準にするか」は、人によって、違います。同じチャートでも、人によって、周期が、違います。

3. 予想の範囲が、広く、後付けに、なりやすい

予想の範囲が、広いと、ほとんどの安値が、範囲に入り、「当たった」ように、見えます。範囲を、事前に、決めておくことが、必要です。

4. 時間足によって、周期が、変わる

日足では、周期が、見えても、1時間足では、見えない、ということが、あります。どの時間足の、周期を、見ているかを、はっきりさせましょう。

5. 方向と、価格は、示さない

サイクルは、「いつ、転換しやすいか」を、示す、目安で、「どこまで、動くか」は、示しません。価格の分析と、組み合わせて、判断します。

たとえば、周期に基づく買いが、損失20pipsで、9回続くと、合計−180pipsの損失です。その後の1回の利益が、220pipsなら、合計は+40pips、130pipsなら、合計は−50pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。

6. 足が確定するまで、分からない

ヒゲで、一時的に、安値を、更新しても、足が確定したときには、戻っていることが、あります。足が確定するまで、安値かどうかは、分からないことを、忘れないようにしましょう。

初心者が間違えやすいポイント

「周期が、あれば、必ず、安値が、来る」と考える

周期は、「安値が、来やすい時期の目安」で、必ず、来る時期では、ありません。図でも、予想の中心(102.5本目)より、2.5本遅れて、安値が、現れました。

周期を、1つだけで、決める

短い周期と、長い周期の、両方を、見るようにしましょう。周期が、重なる場所は、注目されることが、あります。

少ない回数で、周期を、決める

2〜3回の周期だけで、「この相場の周期は、20本」と、決めてしまうと、偶然の可能性が、あります。回数が、多いほど、ばらつきを、確認しやすいです。

後から、周期を、当てはめる

反転した後に、「ここが、周期の安値だった」と、決めるのは、後付けです。リアルタイムで、使えるかを、検証しましょう。

検証せずに、使う

「サイクル理論で、転換の時期が、分かる」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。

まとめ

  • サイクル理論は、相場に、ほぼ一定の周期があると考え、安値から安値までの期間を測って、次の転換の時期を、探す考え方。ハーストが、体系的に、まとめたと、されている
  • 短い周期は、長い周期の中に、入っている(入れ子)と、考える。山の位置(右寄り・左寄り)から、勢いを、見る考え方も、ある
  • 例では、安値の位置が、0・20・41・59・82・105本目で、周期は、20・21・18・23・23本。最初の4つから、平均周期=20.5本、標準偏差≒1.8本、次の安値の予想=102.5本目±3.6本(98.9〜106.1本目)。実際の安値は、105本目で、予想の範囲内(2.5本遅れ)
  • 例では、長い周期(41本)÷短い周期(20.5本)=2.0。山の位置は、5つの周期で、43.5〜52.4%と、混ざっていた
  • 例では、指値(3.0)、反発の確認(1.3)、戻りの高値の上抜け(0.5)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
  • 周期は、一定ではなく、途中で変わる。予想の範囲が広く、後付けになりやすい。方向と価格は、示さない
  • 単独では判断できない。必ず機能するわけではない

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。チャート分析の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。

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