ピンバーとは
ピンバーとは、長いヒゲ(テール)と、小さな実体を持つローソク足で、ある価格帯を拒否された(跳ね返された)ことを示す形のことです。プライスアクションで、よく使われる代表的な形のひとつです。英語ではピンバー(Pin Bar)と呼ばれ、ピノキオ・バーと呼ばれることもあります。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| テール(長いヒゲ) | 値幅全体の、3分の2以上が目安 |
| 実体 | 小さく、テールと反対側の端にある |
| ノーズ(短いヒゲ) | ほぼない、または短い |
| 色 | 陽線・陰線のどちらでもよい |
ピノキオの鼻のように、長く突き出たヒゲ(テール)が特徴です。その方向へ価格が動いたが、押し戻されたことを意味します。
ピンバーの種類
テールが伸びている方向で、2種類に分かれます。
| 種類 | テールの向き | 示すこと |
|---|---|---|
| 強気のピンバー(ブル・ピンバー) | 下(長い下ヒゲ) | 下値が拒否された。上昇のサイン |
| 弱気のピンバー(ベア・ピンバー) | 上(長い上ヒゲ) | 上値が拒否された。下落のサイン |
強気のピンバーは、下に大きく売られたが、買い戻された形です。弱気のピンバーは、上に大きく買われたが、売り戻された形です。
他のローソク足との関係
ピンバーは、カラカサ・首吊り線・逆カラカサ・流れ星・トンボ・トウバなどと、形が重なります。
| ピンバーの種類 | 重なる形(例) |
|---|---|
| 強気のピンバー | カラカサ、トンボ、下影陽線・下影陰線 |
| 弱気のピンバー | 流れ星、トウバ、上影陽線・上影陰線 |
それぞれについては、別の記事で解説しています。
ローソク足パターンでは、「安値圏にあるか、高値圏にあるか」で名前を分けますが、ピンバーは、場所を問わず、形と「拒否された」という意味に注目します。どの価格帯で出たか(サポート・レジスタンス・トレンドラインなど)を、判断の中心に置く点が、プライスアクションらしい考え方です。
ピンバーの条件
「どのくらいの形ならピンバーか」には、決まった基準がありません。よく使われる条件を、整理します。
| 条件 | 目安の例 |
|---|---|
| テールの長さ | 値幅全体の、3分の2(約67%)以上 |
| 実体の位置 | テールと反対側の、3分の1以内 |
| ノーズ | 短い |
| 前の足との関係 | テールが、前の足の高値(安値)を超えて突き出ている |
| 場所 | サポート・レジスタンスなど、意識される価格帯 |
テールが前の足を突き出していることは、価格帯を試して、拒否されたことを示すため、重視されます。
計算例:強気のピンバーの判定
1時間足の足が、次の値だったとします。前の足の安値は、149.95円でした。
| 項目 | 価格 |
|---|---|
| 始値 | 150.28円 |
| 高値 | 150.36円 |
| 安値 | 149.80円 |
| 終値 | 150.34円 |
値幅全体 = 150.36 − 149.80 = 0.56円(56pips)
実体 = 150.34 − 150.28 = 0.06円(6pips)
テール = 150.28 − 149.80 = 0.48円(48pips)(実体の下端から安値まで)
ノーズ = 150.36 − 150.34 = 0.02円(2pips)
テール ÷ 値幅全体 = 48 ÷ 56 ≒ 85.7%
ノーズ ÷ 値幅全体 = 2 ÷ 56 ≒ 3.6%
前の足の安値(149.95円)との差 = 149.95 − 149.80 = 0.15円(15pips)
テールが値幅の約85.7%、ノーズが約3.6%で、上の基準を満たし、テールが前の足の安値を15pips下回っているため、強気のピンバーと判定できます。
これらの数値は、あくまで一例です。自分で基準を決め、過去のチャートで検証することが大切です。
ピンバーが有効になりやすい場面
ピンバーは、「どこで出たか」が、最も重要です。
| 場面 | 見方 |
|---|---|
| サポート・レジスタンスで出た | その価格帯が、意識されていることを示す。注目されやすい |
| トレンドラインやチャネルラインで出た | ラインの有効性を示す |
| 押し目・戻りの位置で出た | トレンド方向のピンバーは、トレンド継続のサイン |
| 前回高値・安値を一時的に超えて戻った | ブレイクの失敗(ダマシ)と重なることがある |
| 何もない場所で出た | 意味が薄い |
サポートライン・レジスタンスラインについては、別の記事で解説しています。
トレンド方向のピンバーを優先する
トレンドに逆らうピンバー(上昇トレンドの高値圏で出る弱気のピンバーなど)は、反転を狙う難しい場面です。トレンド方向のピンバー(上昇トレンドの押し目で出る強気のピンバーなど)のほうが、取り組みやすいと考える人が多くいます。
ピンバーのエントリー方法
代表的な方法を、整理します。
| 方法 | 内容 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| ① ノーズの先を超えたら入る | 強気なら、ピンバーの高値を上抜けたら買う | 確認して入るため、確実性が高い | 入る価格が不利。損切りが遠い |
| ② テールの半値(50%)で入る | ピンバーのテールの、半分まで戻ったところで指値 | 損切りが近く、リスクリワードが良い | 戻らずに上昇すると、入れない |
| ③ 終値で入る | ピンバーが確定した直後に入る | 早く入れる | 確認なしのため、失敗しやすい |
計算例:エントリー方法による違い
上の例の強気のピンバーで、エントリー方法の違いを比べます。損切りは、ピンバーの安値の5pips下(149.75円)、利益確定は150.90円とします。
②のテールの半値で買う場合
テールの範囲 = 149.80 〜 150.28
テールの半値 = (149.80 + 150.28) ÷ 2 = 150.04円
エントリー 150.04円、損切り 149.75円、利確 150.90円
リスク = 150.04 − 149.75 = 0.29円(29pips)
リワード = 150.90 − 150.04 = 0.86円(86pips)
リスクリワード比 = 86 ÷ 29 ≒ 3.0
①のピンバーの高値を上抜けて買う場合(150.38円で買う)
エントリー 150.38円、損切り 149.75円、利確 150.90円
リスク = 150.38 − 149.75 = 0.63円(63pips)
リワード = 150.90 − 150.38 = 0.52円(52pips)
リスクリワード比 = 52 ÷ 63 ≒ 0.83
同じピンバーでも、エントリーの位置で、リスクリワード比が大きく変わります。半値で入るほうが損切りが近くなりますが、半値まで戻らずに上昇した場合は、エントリーできません(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。
①の方法では、利益確定の目標を、さらに遠くに置く必要があります。エントリー方法ごとに、損切りと利確の位置を、あわせて決めることが大切です。
損切りの位置
損切りは、テールの先(ピンバーの安値・高値)の少し外側に置きます。テールの先を超えると、「価格帯が拒否された」という前提が崩れるためです。
ピンバーの注意点
1. ピンバーだけでは、判断できない
ピンバーは、「価格帯が拒否された」ことを示すだけで、反転や継続の保証ではありません。場所・トレンド・前後の足とあわせて判断します。
2. 形だけで探すと、増えすぎる
条件を緩めると、あらゆる場所にピンバーが見つかります。場所の条件を、必ずセットにしましょう。
3. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
発表で、いったん急変して戻っただけのヒゲは、ピンバーのように見えても、その後に、再度動くことがあります。
4. 時間帯・時間足で、意味が変わる
値動きの小さい時間帯や、短い時間足では、意味は薄いことがあります。長い時間足のピンバーのほうが、意識されやすいと考えられます。
5. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、ピンバーに見えても、確定までに形が変わります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
ヒゲが長ければ、すべてピンバーと考える
テールの長さ・実体の位置・ノーズの短さなど、条件を満たすかを確認しましょう。
場所を無視して、形だけで入る
サポート・レジスタンスなどの根拠がない場所のピンバーは、意味が薄いことが多いです。
逆行するピンバーばかり狙う
トレンドに逆らうピンバーは、難易度が高いです。トレンド方向のピンバーから、慣れていく考え方があります。
エントリー方法と、損切りの位置を、ちぐはぐにする
エントリーの位置によって、適切な損切り・利確の位置も変わります。一貫したルールにしましょう。
検証せずに、使う
「ピンバーは勝てる」と聞いても、実際の確率は、判定基準や場所、エントリー方法で変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- ピンバーは、長いテールと小さな実体を持ち、ある価格帯を拒否されたことを示すローソク足
- 強気のピンバー(長い下ヒゲ)は上昇のサイン、弱気のピンバー(長い上ヒゲ)は下落のサイン
- カラカサ・流れ星などと形は重なるが、ピンバーは場所を問わず、「拒否された価格帯」に注目する
- テールが値幅の3分の2以上、テールが前の足を突き出す、意識される価格帯で出ることが条件の例
- エントリーは、ピンバーの高値(安値)超え、テールの半値、終値などがあり、位置でリスクリワード比が変わる
- 損切りは、テールの先の少し外側
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。ローソク足の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
