包み足とは
包み足とは、2本目のローソク足の実体が、1本目の実体を完全に包み込む形のことです。包み線、抱き線とも呼ばれ、英語ではエンゴルフィング(Engulfing)と言います。直前の値動きと逆方向に、大きな足が出ることから、トレンド転換のサインとして、古くから注目されてきた形です。
| 名前 | 1本目 | 2本目 | 出る場所 | 示すこと |
|---|---|---|---|---|
| 陽の包み線 | 陰線 | 1本目を包む、大きな陽線 | 下降トレンドの安値圏 | 底打ち(上昇への転換) |
| 陰の包み線 | 陽線 | 1本目を包む、大きな陰線 | 上昇トレンドの高値圏 | 天井(下落への転換) |

2本目が、1本目と逆の色であることが、条件です。
包み足が示すこと
1本目まで続いていた流れを、2本目が一気に打ち消したことを示します。
【陽の包み線】
下降が続く中で、1本目は陰線(売りが優勢)
→ 2本目は、1本目の実体全体を飲み込む陽線
→ 買いが、それまでの売りを一気に打ち消した
| 読み取れること | 内容 |
|---|---|
| 力関係の逆転 | それまで優勢だった側が、押し返された |
| 勢いの変化 | 2本目の実体が大きいほど、変化が強い |
| 転換の予兆 | トレンドの終盤で出ると、転換の前触れのことがある |
1本目が小さく、2本目が大きいほど、力関係の逆転が、はっきり現れていると見られます。
包み足の条件
「何をもって包んでいるとするか」には、いくつかの考え方があります。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 実体で包む(一般的) | 2本目の実体が、1本目の実体を包む(ヒゲは問わない) |
| ヒゲまで包む(厳しい基準) | 2本目の高値・安値が、1本目の高値・安値を超える |
実体で包むものが、包み足(エンゴルフィング)として、一般的です。ヒゲまで包む場合は、アウトサイドバーとも呼ばれます。アウトサイドバーについては、別の記事で解説しています。
FXでの注意点:始値の位置
株式では、2本目が窓を空けて始まることが多いため、「2本目の始値が、1本目の終値より下(陽の包み線の場合)」という条件が、自然に成り立ちます。FXは、ほぼ24時間取引されているため、2本目の始値が、1本目の終値とほぼ同じことが多く、窓がほとんど空きません。
そのため、FXでは、「2本目の終値が、1本目の始値を超えて引けたか」を、重視します。
| 陽の包み線 | 陰の包み線 | |
|---|---|---|
| 2本目の終値 | 1本目の始値より、上 | 1本目の始値より、下 |
| 2本目の始値 | 1本目の終値と同じか、それより下 | 1本目の終値と同じか、それより上 |
計算例:陽の包み線の判定
下降が続いたあとの、1時間足の2本が、次の値だったとします。
| 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | |
|---|---|---|---|---|
| 1本目(陰線) | 150.40円 | 150.45円 | 150.15円 | 150.20円 |
| 2本目(陽線) | 150.15円 | 150.60円 | 150.10円 | 150.55円 |
1本目の実体 = 150.40 − 150.20 = 0.20円(20pips) 範囲:150.20 〜 150.40
2本目の実体 = 150.55 − 150.15 = 0.40円(40pips) 範囲:150.15 〜 150.55
2本目の実体の下端(150.15)< 1本目の実体の下端(150.20)
2本目の実体の上端(150.55)> 1本目の実体の上端(150.40)
→ 2本目の実体が、1本目の実体を完全に包んでいる
実体の比 = 40 ÷ 20 = 2.0倍
2本目の実体は、1本目の2.0倍で、1本目の実体を完全に包んでいるため、陽の包み線と判定できます。
「2倍以上」などの数値は、あくまで一例です。自分で基準を決め、過去のチャートで検証することが大切です。
強い包み足の特徴
包み足の強さは、次のような点で変わると考えられています。
| 要素 | 強い包み足の特徴 |
|---|---|
| 2本目の実体の大きさ | 1本目に比べて、大きい(2倍以上など) |
| 2本目の実体の質 | ヒゲが短い(坊主に近い)。勢いが一方向 |
| 場所 | サポート・レジスタンスなど、意識される価格帯で出た |
| 直前の値動き | トレンドがはっきり続いたあと |
| 1本目の大きさ | 小さい(勢いが弱まってから、一気に逆転) |
| 2本目が包む範囲 | 複数の足の実体まで、まとめて包んでいる |
坊主については、別の記事で解説しています。
場所別の見方
| 場所 | 陽の包み線の見方 |
|---|---|
| 下降トレンドの安値圏 | **底打ち(反転)**の可能性。最も注目される |
| サポートライン付近 | サポートで、買いが入った。ラインの有効性を示す |
| 上昇トレンドの押し目 | 押し目で買いが入った。トレンド継続のサイン |
| 上昇トレンドの高値圏 | すでに上昇が進んだあとで、勢いの強さというより、過熱の場合も |
| レンジの中央 | 意味が薄い |
陰の包み線は、上下を逆にして考えます。サポートライン・レジスタンスラインについては、別の記事で解説しています。
使い方
1. 転換の兆しとして、注目する
トレンドの終盤や、重要なライン付近で、包み足が出たときに、その後の動きに注意します。
2. 押し目買い・戻り売りの確認に使う
トレンド方向の包み足(上昇トレンドの押し目での陽の包み線など)は、トレンド継続の確認として使えます。押し目と戻りについては、別の記事で解説しています。
3. 損切りの目安にする
2本目の安値(陽の包み線の場合)は、「ここを割ったら、見立てが崩れる」という損切りの目安になります。
計算例:陽の包み線のあとに、買う場合
上の例の陽の包み線が、下降トレンドの安値圏で出たとします。2本目の足が確定した直後、終値の150.55円で買う場合です。
| 項目 | 価格 | 値幅 |
|---|---|---|
| エントリー(買い) | 150.55円 | — |
| 損切り | 150.05円(2本目の安値の5pips下) | −50pips |
| 利益確定 | 151.80円 | +125pips |
リスク = 150.55 − 150.05 = 0.50円(50pips)
リワード = 151.80 − 150.55 = 1.25円(125pips)
リスクリワード比 = 125 ÷ 50 = 2.5
損切りは、2本目の安値の少し下に置きます。安値を割ると、包み足の意味が失われるためです(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。
2本目の足が確定した直後に入ると、すでに大きく動いたあとのため、損切りが遠くなりがちです。少し押したところを待つ、次の足の確認を待つといった考え方も、あります。
注意点
1. 包み足だけでは、判断できない
包み足は、「力関係が変わった」ことを示すだけで、転換の保証ではありません。場所・前後の足とあわせて判断します。
2. 小さな足の連続の中では、意味が薄い
ローソク足が小さい(値動きが乏しい)状況で出た包み足は、意味が薄いことがあります。
3. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
発表で、一方向に急変した大きな足が、包み足のように見えても、その後に、再度動くことがあります。
4. 時間帯・時間足で、意味が変わる
値動きの小さい時間帯や、短い時間足では、意味は薄いことがあります。長い時間足の包み足のほうが、意識されやすいと考えられます。
5. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、包み足に見えても、確定までに形が変わります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
包み足が出たら、すぐに逆張りする
包み足が出ても、そのままトレンドが続くことは、よくあります。場所と、次の足の確認を、検討しましょう。
同じ色の足を、包み足と考える
1本目と2本目が同じ色の場合は、包み足ではありません。逆の色であることが条件です。
場所を無視して、形だけで判断する
何もない場所で出た包み足は、意味が薄いことが多いです。
窓の有無で、判断を誤る
FXでは、窓がほとんど空かないため、株式の解説どおりに**「始値が1本目の終値より下」を厳密に求める**と、ほとんど見つからなくなります。終値が1本目の始値を超えたかを、中心に見ます。
検証せずに、使う
「包み足のあとは、転換する」と聞いても、実際の確率は、判定基準や場所で変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- 包み足は、2本目の実体が、1本目の実体を完全に包む形。陽の包み線は底打ち、陰の包み線は天井のサイン
- 2本目は、1本目と逆の色であることが条件
- 実体で包むのが一般的。ヒゲまで包む場合は、アウトサイドバー
- FXでは、窓がほとんど空かないため、2本目の終値が、1本目の始値を超えたかを重視する
- 2本目の実体が大きく、ヒゲが短く、意識される価格帯で出ると、強いと見られる
- 損切りは、2本目の安値(高値)の少し外側
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。ローソク足の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
