高値・安値の切り上げ/切り下げとは
相場の方向を判断するとき、最も基本になるのが、高値と安値が、前よりも高くなっているか、低くなっているかを見る方法です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 高値の切り上げ | 新しい高値が、前の高値より高い |
| 安値の切り上げ | 新しい安値が、前の安値より高い |
| 高値の切り下げ | 新しい高値が、前の高値より低い |
| 安値の切り下げ | 新しい安値が、前の安値より低い |
切り上げ・切り下げと、トレンドの関係
| 高値 | 安値 | 状態 |
|---|---|---|
| 切り上げ | 切り上げ | 上昇トレンド |
| 切り下げ | 切り下げ | 下降トレンド |
| 切り上げ | 切り下げ | 値幅が拡大(方向感が不安定) |
| 切り下げ | 切り上げ | 値幅が収縮(煮詰まり) |
| ほぼ同じ | ほぼ同じ | レンジ |
この見方は、ダウ理論の考え方がもとになっています。ダウ理論については、別の記事で解説しています。
ここで言う「高値」「安値」とは
切り上げ・切り下げを判断するときの「高値」「安値」は、チャート上の山の頂点と谷の底のことです。ローソク足1本の高値・安値ではなく、波の転換点を指します。
- 高値(山):上昇の波が終わり、下落に転じた頂点
- 安値(谷):下落の波が終わり、上昇に転じた底
こうした転換点は、スイング高値・スイング安値とも呼ばれます。
高値・安値は、あとから確定する
高値は、その後に下落してはじめて「高値だった」と分かるものです。安値も同様です。
- 上昇の途中では、今の価格が高値になるのか、まだ上がるのかは分かりません
- 一定の下落があった時点で、直前の頂点が高値として確定します
つまり、リアルタイムでは、高値・安値は少し遅れて確定することを理解しておく必要があります。
簡易的な見つけ方の例
前後2本のローソク足より、高値が高い足を、高値の候補とする、といった簡易ルールがあります。
高値の候補 = その足の高値が、前2本と後2本の高値より高い
安値の候補 = その足の安値が、前2本と後2本の安値より低い
この考え方は、フラクタルなどのインジケーターにも使われています。ルールを機械的に決めておくと、判断のブレを減らせます。
切り上げ・切り下げの判定ルール
1. ヒゲの先で見るか、終値で見るか
「高値」を、ヒゲの先で見るか、終値で見るかによって、判定が変わることがあります。
例
前の高値が150.00円で、次の波の動きが次のようだったとします。
| 項目 | 価格 |
|---|---|
| 今回の波のヒゲの先(高値) | 150.03円 |
| 今回の波の終値の最高値 | 149.85円 |
| 見方 | 判定 |
|---|---|
| ヒゲの先で見る | 150.03 > 150.00 → 切り上げ |
| 終値で見る | 149.85 < 150.00 → 切り上げていない |
どちらが正しい、ということはありません。自分の中でルールを決めて、統一することが大切です。一般には、ヒゲの先を基準にする方法が基本とされ、終値を基準にすると、ヒゲによるダマシを減らせると考える人もいます。
2. わずかな差は、どう扱うか
前の高値と、ほぼ同じ価格になったときは、切り上げ(切り下げ)と見るか、同じ水準と見るかが、迷いやすい場面です。
| 前の高値 | 今回の高値 | 差 | 一般的な見方 |
|---|---|---|---|
| 150.00円 | 150.01円 | 1pips | ほぼ同じ水準(切り上げとは言いにくい) |
| 150.00円 | 150.20円 | 20pips | 切り上げ |
何pips以上を、切り上げとするかに、決まった基準はありません。通貨ペアや時間足によって、値動きの大きさが違うため、直近のローソク足の値幅と比べて、明らかな差があるかで判断するのが基本です。
3. 時間足をそろえて判断する
時間足が違えば、高値・安値の位置も違います。
- 日足で切り上げ → 大きな上昇トレンド
- 5分足で切り下げ → 日足の上昇の中の、小さな調整
どの時間足の話かを、はっきりさせて判断しましょう。
切り上げ・切り下げの「崩れ」を見る
トレンドの終わりは、切り上げ(切り下げ)が崩れることで、先に表れます。
具体例:上昇トレンドが崩れていく流れ
USD/JPYの高値・安値を、時間順に並べたものです。
| 順番 | 種類 | 価格 | 前の同種類との比較 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| ① | 安値 | 149.00円 | — | 起点 |
| ② | 高値 | 150.00円 | — | 起点 |
| ③ | 安値 | 149.40円 | ①より高い | 安値の切り上げ |
| ④ | 高値 | 150.60円 | ②より高い | 高値の切り上げ |
| ⑤ | 安値 | 149.90円 | ③より高い | 安値の切り上げ |
| ⑥ | 高値 | 150.50円 | ④より10pips低い | 高値の切り上げに失敗(警戒) |
| ⑦ | 安値 | 149.70円 | ⑤より20pips低い | 安値の切り下げ(崩れ) |
流れの読み方
- ①〜⑤:高値・安値がともに切り上がっている → 上昇トレンド
- ⑥:前の高値(150.60円)を超えられなかった → 上昇の勢いが弱まったサイン(まだトレンドの終わりとは言えない)
- ⑦:前の安値(149.90円)を割り込んだ → 安値の切り上げが崩れた。上昇トレンドが終わった(または大きく弱まった)可能性が高まる
段階で見る
| 段階 | 状態 | 見方 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 高値の更新に失敗 | 警戒。ただし、トレンドは継続中とも言える |
| 第2段階 | 安値を割り込む | トレンド崩れの可能性が高い |
| 第3段階 | 高値も切り下げ、安値も切り下げ | 下降トレンドに転換した可能性 |
下降トレンドの崩れは、この逆の流れになります。
ポイント:1つのサインだけで、すぐに「トレンドが終わった」と決めつけず、次の高値・安値の動きを確認します。
切り上げ・切り下げの活用
1. トレンドの方向の確認
高値・安値が、ともに切り上がっているかを確認して、買い目線か、売り目線かを決めます。
2. 損切りの位置の目安
上昇トレンドで買う場合、直前の切り上がった安値を、損切りの目安にする考え方があります。その安値を割る=切り上げが崩れるためです。
| 状況 | 損切りの目安 |
|---|---|
| 上昇トレンドで買い | 直前の安値の少し下 |
| 下降トレンドで売り | 直前の高値の少し上 |
3. トレンド転換の早期発見
高値・安値の更新に失敗した時点で、警戒を始められます。移動平均線などの指標より、早く気づける場合があります。
注意点
判断が主観的になりやすい
どの山・谷を、高値・安値とするかは、人によって違うことがあります。ルールを決めておくことで、ブレを減らせます。
レンジ相場では、機能しにくい
行ったり来たりの相場では、切り上げ・切り下げが、頻繁に入れ替わります。まずトレンドがあるかどうかを見極めましょう。
確定するまでの遅れがある
高値・安値は、あとから確定するため、サインが出たときには、すでに動いていることがあります。
初心者が間違えやすいポイント
1本のローソク足の高値・安値と混同する
切り上げ・切り下げで見るのは、波の転換点(山と谷)です。ローソク足1本ごとの高値・安値ではありません。
高値だけ、または安値だけで判断する
高値だけが切り上がっていて、安値は切り下がっている場合は、上昇トレンドとは言えません。高値と安値の両方を確認しましょう。
わずかな差で、切り上げと判断する
1〜2pipsの差を、切り上げと見て、トレンドが続いていると考えると、ダマシにあいやすくなります。
時間足を混ぜて判断する
1時間足の高値と、5分足の高値を、同じチャートの中で比べてしまうミスです。
高値・安値が確定する前に、決めつける
まだ上昇途中なのに、「これが高値だ」と天井を決めつけると、逆張りで損失を出すことがあります。確定を待つ姿勢が大切です。
まとめ
- 高値の切り上げ・安値の切り上げが続く状態が上昇トレンド、切り下げが続く状態が下降トレンド
- 見るのは、ローソク足1本の高値・安値ではなく、波の転換点(山と谷)
- 高値・安値は、その後の動きで、あとから確定する
- ヒゲの先で見るか、終値で見るかは、ルールを決めて統一する
- 崩れの順序は、高値の更新失敗 → 安値の割り込み → 反対方向の切り上げ・切り下げ
- 切り上げた安値を割ることは、損切りの目安にもなる
- 時間足をそろえて判断し、1つのサインだけで決めつけない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。トレンドの判断は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
