上昇トレンドと下降トレンドの構造|推進波・押し・戻りと戻し率の見方

目次

トレンドは「波」でできている

上昇トレンドや下降トレンドは、一直線に進むのではなく、同じ方向に進む波と、逆方向に戻る波の繰り返しでできています。

用語意味
推進波トレンドの方向に進む波
押し(おし)上昇トレンドの途中で、一時的に下がる動き
戻り(もどり)下降トレンドの途中で、一時的に上がる動き
調整波押しや戻りなど、トレンドと逆方向の波の総称

押しと戻りは、トレンドの途中の「休憩」や「利益確定の動き」です。トレンドが続いているかぎり、押しや戻りのあとには、再びトレンド方向の波が現れます。

上昇トレンドの構造

基本の形

上昇トレンドは、次の動きの繰り返しです。

  1. 推進波:上昇して、高値を更新する
  2. 押し:一時的に下落する(ただし、前の安値は割らない)
  3. 次の推進波:再び上昇し、前の高値を超える

通貨ペアでの意味

USD/JPYで上昇トレンドとは、ドルが買われ、円が売られている(ドル高・円安)状態です。通貨ペアの左側の通貨が、右側の通貨に対して強いことを意味します。

通貨ペア上昇トレンド下降トレンド
USD/JPYドル高・円安ドル安・円高
EUR/USDユーロ高・ドル安ユーロ安・ドル高
GBP/JPYポンド高・円安ポンド安・円高

下降トレンドの構造

基本の形

下降トレンドは、上昇トレンドの逆の動きです。

  1. 推進波:下落して、安値を更新する
  2. 戻り:一時的に上昇する(ただし、前の高値は超えない)
  3. 次の推進波:再び下落し、前の安値を割る

押しと戻りは、トレンドの向きが違うだけで、同じ考え方です。

戻し率:押し・戻りの深さを測る

戻し率とは

戻し率とは、押し(戻り)が、直前の推進波を、どれくらい戻したかを表す割合です。

戻し率 = 押し(戻り)の値幅 ÷ 直前の推進波の値幅 × 100(%)

計算例

USD/JPYが、149.00円から151.00円まで上昇し、その後、150.00円まで押したとします。

推進波の値幅 = 151.00 − 149.00 = 2.00円(200pips)
押しの値幅   = 151.00 − 150.00 = 1.00円(100pips)

戻し率 = 100 ÷ 200 × 100 = 50%

推進波の半分を戻したため、戻し率は50%です。

図の例では、次のようになっています。

直前の推進波押し戻し率
1回目100pips60pips60%
2回目140pips70pips50%

戻し率の目安

戻し率は、トレンドの強さを測る目安になります。一般に、次のような見方がされます。

戻し率押し・戻りの深さ一般的な見方
約40%以下浅いトレンドが強い。買い(売り)が、すぐに入ってくる
約40〜60%標準的健全な調整。トレンドは継続しやすい
約60%以上深いトレンドが弱まっている可能性
100%(全戻し)すべて戻した前のトレンドが終わった可能性が高い

※ これらは、あくまで目安です。相場によって、深い押しのあとに再上昇することもあれば、浅い押しのあとに転換することもあります。戻し率の目安を、より詳しく使う手法(フィボナッチ・リトレースメント)は、別の記事で解説しています。

トレンドの強さを見る

波の構造から、トレンドの強さを読み取れます。

強いトレンド弱いトレンド
推進波長い(大きく動く)短い
押し・戻り浅い・短い深い・長い
高値・安値の更新幅大きい小さい
ローソク足トレンド方向の実体が長いヒゲが目立つ

推進波と押しの「長さ」を比べる

推進波(トレンド方向)が長く、押し(逆方向)が短いほど、トレンドが強いと見られます。逆に、押しのほうが長く、推進波が短くなってくると、トレンドが弱まってきたサインです。

例:推進波①100pips → 推進波②140pips → 推進波③80pips
→ 推進波が小さくなっている(勢いが衰えている可能性)

トレンドが崩れるサイン

上昇トレンドの場合

  • 押しが、前の安値を割り込む(安値の切り下げ)
  • 推進波が、前の高値に届かない(高値の更新に失敗)
  • 押しの戻し率が、100%を超える

下降トレンドの場合

  • 戻りが、前の高値を超える(高値の切り上げ)
  • 推進波が、前の安値に届かない(安値の更新に失敗)
  • 戻りの戻し率が、100%を超える

具体例

先の例(149.00 → 151.00 → 150.00)で、押しの安値が、前の安値(149.00円)を割って148.80円になった場合は、安値の切り上げが崩れたことになり、上昇トレンドが終わった(または大きく弱まった)可能性があります。

1つのサインだけで、トレンドの終わりと決めつけず、複数の材料で確認することが大切です。

トレンドの一生(おおまかな段階)

トレンドは、一般に、次のような段階をたどると考えられています。

段階特徴
初期レンジを抜けて、トレンドが動き出す。参加者は少なく、押しも浅い
中期多くの参加者が気づき、勢いが強まる。推進波が長くなる
終盤値幅が大きくなり、過熱感が出る。急な動きの後に、勢いが衰える

トレンドの段階の考え方は、ダウ理論でも整理されています。ダウ理論については、別の記事で解説しています。

トレンドが続く理由・終わる理由

続く理由(例)

  • 金利差が続く(高金利通貨が買われやすい)
  • 金融政策の方向が変わらない
  • 景気の強弱の差が続く
  • トレンドに乗る参加者が増える(買いが買いを呼ぶ)

終わる理由(例)

  • 材料が出尽くす(期待が織り込まれる)
  • 金融政策の転換
  • 利益確定の売りが増える
  • 逆方向の大きなニュースが出る

為替相場のファンダメンタルズについては、別の記事で解説しています。

初心者が間違えやすいポイント

押し・戻りを、トレンドの転換と勘違いする

上昇トレンドの途中の押しを、下降トレンドの始まりと考えて、逆張りで売ってしまうのが、よくある失敗です。前の安値(高値)を割っていないかぎり、トレンドは継続中と考えます。

戻し率の目安を絶対視する

「50%戻ったから反発する」と決めつけないことが大切です。目安は、確率を考える材料にすぎません。

推進波の途中で、飛び乗る

大きく動いた後に、遅れて飛び乗ると、そのあとの押し・戻りに巻き込まれやすくなります。

短い時間足の押しを、長い時間足の転換と考える

1分足の下落は、日足の上昇トレンドの、小さな押しにすぎないことが、よくあります。どの時間足の話かを、確認しましょう。

値幅(pips)を、トレンドの強さと混同する

値幅が大きいことと、トレンドが強いことは、同じではありません。押しの深さや、更新の連続性もあわせて見ます。

まとめ

  • トレンドは、推進波(トレンド方向)と、押し・戻り(逆方向)の繰り返しでできている
  • 上昇トレンドは、高値を更新し、押しでも前の安値を割らない。下降トレンドは、その逆
  • 戻し率 = 押し(戻り)の値幅 ÷ 直前の推進波の値幅。浅いほど、トレンドが強いと見られる
  • 戻し率の目安は、約40%以下は浅い・約40〜60%は標準・約60%以上は深い。あくまで目安
  • 前の安値(高値)を割る(超える)と、トレンドが崩れたサインになる
  • 押し・戻りを、転換と勘違いしない。時間足を意識して判断する

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。トレンドの判断や戻し率の目安は、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。

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