トレンドは「波」でできている
上昇トレンドや下降トレンドは、一直線に進むのではなく、同じ方向に進む波と、逆方向に戻る波の繰り返しでできています。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 推進波 | トレンドの方向に進む波 |
| 押し(おし) | 上昇トレンドの途中で、一時的に下がる動き |
| 戻り(もどり) | 下降トレンドの途中で、一時的に上がる動き |
| 調整波 | 押しや戻りなど、トレンドと逆方向の波の総称 |
押しと戻りは、トレンドの途中の「休憩」や「利益確定の動き」です。トレンドが続いているかぎり、押しや戻りのあとには、再びトレンド方向の波が現れます。

上昇トレンドの構造
基本の形
上昇トレンドは、次の動きの繰り返しです。
- 推進波:上昇して、高値を更新する
- 押し:一時的に下落する(ただし、前の安値は割らない)
- 次の推進波:再び上昇し、前の高値を超える
通貨ペアでの意味
USD/JPYで上昇トレンドとは、ドルが買われ、円が売られている(ドル高・円安)状態です。通貨ペアの左側の通貨が、右側の通貨に対して強いことを意味します。
| 通貨ペア | 上昇トレンド | 下降トレンド |
|---|---|---|
| USD/JPY | ドル高・円安 | ドル安・円高 |
| EUR/USD | ユーロ高・ドル安 | ユーロ安・ドル高 |
| GBP/JPY | ポンド高・円安 | ポンド安・円高 |
下降トレンドの構造
基本の形
下降トレンドは、上昇トレンドの逆の動きです。
- 推進波:下落して、安値を更新する
- 戻り:一時的に上昇する(ただし、前の高値は超えない)
- 次の推進波:再び下落し、前の安値を割る
押しと戻りは、トレンドの向きが違うだけで、同じ考え方です。
戻し率:押し・戻りの深さを測る
戻し率とは
戻し率とは、押し(戻り)が、直前の推進波を、どれくらい戻したかを表す割合です。
戻し率 = 押し(戻り)の値幅 ÷ 直前の推進波の値幅 × 100(%)
計算例
USD/JPYが、149.00円から151.00円まで上昇し、その後、150.00円まで押したとします。
推進波の値幅 = 151.00 − 149.00 = 2.00円(200pips)
押しの値幅 = 151.00 − 150.00 = 1.00円(100pips)
戻し率 = 100 ÷ 200 × 100 = 50%
推進波の半分を戻したため、戻し率は50%です。
図の例では、次のようになっています。
| 直前の推進波 | 押し | 戻し率 | |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 100pips | 60pips | 60% |
| 2回目 | 140pips | 70pips | 50% |
戻し率の目安
戻し率は、トレンドの強さを測る目安になります。一般に、次のような見方がされます。
| 戻し率 | 押し・戻りの深さ | 一般的な見方 |
|---|---|---|
| 約40%以下 | 浅い | トレンドが強い。買い(売り)が、すぐに入ってくる |
| 約40〜60% | 標準的 | 健全な調整。トレンドは継続しやすい |
| 約60%以上 | 深い | トレンドが弱まっている可能性 |
| 100%(全戻し) | すべて戻した | 前のトレンドが終わった可能性が高い |
※ これらは、あくまで目安です。相場によって、深い押しのあとに再上昇することもあれば、浅い押しのあとに転換することもあります。戻し率の目安を、より詳しく使う手法(フィボナッチ・リトレースメント)は、別の記事で解説しています。
トレンドの強さを見る
波の構造から、トレンドの強さを読み取れます。
| 強いトレンド | 弱いトレンド | |
|---|---|---|
| 推進波 | 長い(大きく動く) | 短い |
| 押し・戻り | 浅い・短い | 深い・長い |
| 高値・安値の更新幅 | 大きい | 小さい |
| ローソク足 | トレンド方向の実体が長い | ヒゲが目立つ |
推進波と押しの「長さ」を比べる
推進波(トレンド方向)が長く、押し(逆方向)が短いほど、トレンドが強いと見られます。逆に、押しのほうが長く、推進波が短くなってくると、トレンドが弱まってきたサインです。
例:推進波①100pips → 推進波②140pips → 推進波③80pips
→ 推進波が小さくなっている(勢いが衰えている可能性)
トレンドが崩れるサイン
上昇トレンドの場合
- 押しが、前の安値を割り込む(安値の切り下げ)
- 推進波が、前の高値に届かない(高値の更新に失敗)
- 押しの戻し率が、100%を超える
下降トレンドの場合
- 戻りが、前の高値を超える(高値の切り上げ)
- 推進波が、前の安値に届かない(安値の更新に失敗)
- 戻りの戻し率が、100%を超える
具体例
先の例(149.00 → 151.00 → 150.00)で、押しの安値が、前の安値(149.00円)を割って148.80円になった場合は、安値の切り上げが崩れたことになり、上昇トレンドが終わった(または大きく弱まった)可能性があります。
1つのサインだけで、トレンドの終わりと決めつけず、複数の材料で確認することが大切です。
トレンドの一生(おおまかな段階)
トレンドは、一般に、次のような段階をたどると考えられています。
| 段階 | 特徴 |
|---|---|
| 初期 | レンジを抜けて、トレンドが動き出す。参加者は少なく、押しも浅い |
| 中期 | 多くの参加者が気づき、勢いが強まる。推進波が長くなる |
| 終盤 | 値幅が大きくなり、過熱感が出る。急な動きの後に、勢いが衰える |
トレンドの段階の考え方は、ダウ理論でも整理されています。ダウ理論については、別の記事で解説しています。
トレンドが続く理由・終わる理由
続く理由(例)
- 金利差が続く(高金利通貨が買われやすい)
- 金融政策の方向が変わらない
- 景気の強弱の差が続く
- トレンドに乗る参加者が増える(買いが買いを呼ぶ)
終わる理由(例)
- 材料が出尽くす(期待が織り込まれる)
- 金融政策の転換
- 利益確定の売りが増える
- 逆方向の大きなニュースが出る
為替相場のファンダメンタルズについては、別の記事で解説しています。
初心者が間違えやすいポイント
押し・戻りを、トレンドの転換と勘違いする
上昇トレンドの途中の押しを、下降トレンドの始まりと考えて、逆張りで売ってしまうのが、よくある失敗です。前の安値(高値)を割っていないかぎり、トレンドは継続中と考えます。
戻し率の目安を絶対視する
「50%戻ったから反発する」と決めつけないことが大切です。目安は、確率を考える材料にすぎません。
推進波の途中で、飛び乗る
大きく動いた後に、遅れて飛び乗ると、そのあとの押し・戻りに巻き込まれやすくなります。
短い時間足の押しを、長い時間足の転換と考える
1分足の下落は、日足の上昇トレンドの、小さな押しにすぎないことが、よくあります。どの時間足の話かを、確認しましょう。
値幅(pips)を、トレンドの強さと混同する
値幅が大きいことと、トレンドが強いことは、同じではありません。押しの深さや、更新の連続性もあわせて見ます。
まとめ
- トレンドは、推進波(トレンド方向)と、押し・戻り(逆方向)の繰り返しでできている
- 上昇トレンドは、高値を更新し、押しでも前の安値を割らない。下降トレンドは、その逆
- 戻し率 = 押し(戻り)の値幅 ÷ 直前の推進波の値幅。浅いほど、トレンドが強いと見られる
- 戻し率の目安は、約40%以下は浅い・約40〜60%は標準・約60%以上は深い。あくまで目安
- 前の安値(高値)を割る(超える)と、トレンドが崩れたサインになる
- 押し・戻りを、転換と勘違いしない。時間足を意識して判断する
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。トレンドの判断や戻し率の目安は、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
