スイング高値・スイング安値とは
スイング高値とは、チャート上の「山の頂点」にあたる高値、スイング安値とは、「谷の底」にあたる安値のことです。前後の値動きと比べて、はっきりと突き出た高値・安値を指します。
| 用語 | 意味 | 別名 |
|---|---|---|
| スイング高値 | 前後より高い、山の頂点 | スイングハイ、ピーク、戻り高値 |
| スイング安値 | 前後より低い、谷の底 | スイングロー、ボトム、押し安値 |
価格は、一直線には動かず、「上がって、下がって」を繰り返します。このジグザグの形(波)を作っている山と谷が、スイング高値・安値です。
チャート全体を、「山と谷がつながった波」として見ることで、トレンドの方向や、転換を判断しやすくなります。
波の形でトレンドを見る
スイング高値・安値の並びで、トレンドを判断できます。
| 状態 | スイング高値 | スイング安値 | トレンド |
|---|---|---|---|
| 上昇 | 切り上がる | 切り上がる | 上昇トレンド |
| 下降 | 切り下がる | 切り下がる | 下降トレンド |
| 高値は切り下がり、安値は切り上がる | 切り下がる | 切り上がる | 三角持ち合いなど(収束) |
| ほぼ同じ水準 | 横ばい | 横ばい | レンジ |
切り上げ・切り下げの基本については、別の記事で解説しています。この記事では、「どの高値・安値を、スイング高値・安値として拾うか」に、焦点をあてます。
スイング高値・安値の見つけ方
どの山と谷を拾うかは、人によってぶれやすいところです。機械的に拾う方法として、次のようなルールが、よく使われます。
n本ルール(前後n本の足と比べる)
ある足の高値が、前後n本の足の高値より高ければ、その足の高値をスイング高値とします。安値は、その逆です。
n = 2 の場合
・スイング高値:その足の高値が、前の2本・後ろの2本のどの高値よりも高い
・スイング安値:その足の安値が、前の2本・後ろの2本のどの安値よりも低い
計算例:2本ルールで拾う
1時間足の、次の9本があるとします。
| 足 | 高値 | 安値 |
|---|---|---|
| 1 | 150.20 | 150.00 |
| 2 | 150.30 | 150.10 |
| 3 | 150.45 | 150.20 |
| 4 | 150.35 | 150.15 |
| 5 | 150.25 | 150.05 |
| 6 | 150.15 | 149.95 |
| 7 | 150.05 | 149.85 |
| 8 | 150.20 | 149.95 |
| 9 | 150.30 | 150.05 |
スイング高値の判定(足3)
足3の高値 = 150.45
前の2本 = 150.20、150.30 → どちらも150.45より低い
後ろの2本 = 150.35、150.25 → どちらも150.45より低い
→ 足3の高値(150.45円)は、スイング高値
スイング安値の判定(足7)
足7の安値 = 149.85
前の2本 = 149.95、150.05(足5・足6)→ どちらも149.85より高い
後ろの2本 = 149.95、150.05(足8・足9)→ どちらも149.85より高い
→ 足7の安値(149.85円)は、スイング安値
nの値を大きくするほど、大きな山と谷だけが選ばれ、小さな波(ノイズ)が減ります。小さくすると、細かい波まで拾います。nの値に決まった正解はなく、時間足や、自分の取引スタイルに合わせて決めます。
最後の足は、確定していない点に注意が必要です。n本ルールでは、後ろのn本が確定するまで、スイング高値・安値と認定できません。つまり、認識が、n本分遅れることになります。
ツールで自動表示する方法
フラクタルやジグザグといったインジケーターで、スイング高値・安値を自動的に表示できます。それぞれの詳細は、別の記事で解説しています。ただし、自動表示は、ルールを理解したうえで使うことが大切です。
大きな波と小さな波
波には、大きさがあります。大きな波の中に、小さな波がある、という構造です。
| 波の大きさ | 見え方 |
|---|---|
| 大きな波 | 日足・4時間足で見える、大きな山と谷 |
| 小さな波 | 15分足・5分足で見える、細かい山と谷 |
同じ相場でも、時間足によって、見える波の大きさが違います。1時間足の小さな下げが、日足では、上昇の途中の小さな揺れにすぎないこともあります。時間足の組み合わせについては、別の記事で解説しています。
どの波を重視するか
取引する時間軸に合った大きさの波を、主に見ます。あまりに小さな波は、ノイズが多く、あまりに大きな波は、判断に時間がかかります。
スイング高値・安値の使い方
1. トレンドの転換を見る
上昇トレンドでは、直近のスイング安値を割り込むと、「安値の切り上げ」が崩れ、トレンド変化の可能性が出てきます。
| トレンド | 転換の可能性を示す動き |
|---|---|
| 上昇 | 直近のスイング安値を、明確に割る |
| 下降 | 直近のスイング高値を、明確に超える |
転換の判断は、「割った瞬間」ではなく、終値での確認や、その後の値動きも含めて行います。ブレイクアウトとダマシについては、別の記事で解説しています。
2. 損切りの置き場所にする
スイング安値(高値)は、「ここを割ったら、見立てが崩れる」という基準として、損切りの位置に使えます。
| 売買 | 損切りの目安 |
|---|---|
| 買い | 直近のスイング安値の少し下 |
| 売り | 直近のスイング高値の少し上 |
3. 利益確定の目安にする
前回のスイング高値(安値)は、利益確定の目安にもなります。そこで、止められやすいためです。
計算例
上昇トレンドで、直近のスイング安値が150.30円、前回のスイング高値が151.40円とします。150.60円まで押してきて、押し目買いをする場合です。
| 項目 | 価格 | 値幅 |
|---|---|---|
| エントリー(買い) | 150.60円 | — |
| 損切り | 150.20円(スイング安値の10pips下) | −40pips |
| 利益確定 | 151.40円(前回スイング高値) | +80pips |
リスク = 150.60 − 150.20 = 0.40円(40pips)
リワード = 151.40 − 150.60 = 0.80円(80pips)
リスクリワード比 = 80 ÷ 40 = 2.0
損切りも利益確定も、チャート上の根拠(スイング安値・高値)に基づいて決められます(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。押し目買いの考え方については、別の記事で解説しています。
4. 波の大きさを比べる
上昇の波と押し(下げの波)の大きさを比べることで、勢いの変化を見る方法があります。
例:上昇の波が120pips、その後の押しが50pipsの場合
押しの大きさ ÷ 上昇の波 = 50 ÷ 120 ≒ 0.42(約42%)
押しが浅い(小さい)ほど、トレンドの勢いが強いと考えられます。戻し率の考え方については、別の記事で解説しています。
上昇の波が、だんだん小さくなっている場合は、勢いが弱まっている可能性があります。
波の形を見るときの注意点
1. どれをスイングと見るかは、人によって違う
n本ルールなどで機械的に拾っても、nの値や時間足によって、結果は変わります。自分のルールを、決めて統一することが大切です。
2. 確定するまで、時間がかかる
スイング高値・安値は、後ろの足が揃って、はじめて確定します。リアルタイムでは、「山のように見えて、まだ上がり続ける」ことがあります。
3. 後付けで、きれいに見える
過去のチャートでは、山と谷が、はっきり分かるように見えます。リアルタイムでは、迷うものです。
4. 波の形は、必ずしも、きれいなジグザグではない
ヒゲが長い、値動きが乱れているときは、どこを山・谷とするかが、あいまいになります。無理に当てはめないことも、大切です。
5. ひとつの根拠だけで、判断しない
スイング安値を割った=トレンド終了とは、限りません。ダマシの場合もあります。他の根拠とあわせて、判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
小さな波まで、すべて拾う
細かい山と谷まで、すべてスイングとして扱うと、波が多すぎて、判断できません。主要な波に、絞りましょう。
スイング安値を割った瞬間に、転換と決めつける
ヒゲで一瞬割っただけで、トレンドが終わったと判断すると、ダマシに巻き込まれます。終値や、その後の動きを確認しましょう。
認識の遅れを、考えない
確定してから分かる山・谷で判断するため、入るタイミングは、遅れがちです。その分を織り込んで、ルールを作ることが大切です。
時間足を意識しない
どの時間足の波なのかによって、意味が違います。日足のスイング安値と、5分足のスイング安値は、別物です。
損切りを、スイング安値ちょうどに置く
ちょうどの価格には、他の参加者の注文も集まりやすいため、少し余裕を持たせることを、検討しましょう。
まとめ
- スイング高値・安値は、価格が作る波の「山の頂点」と「谷の底」
- 山と谷の並び(切り上がる・切り下がる)で、トレンドを判断できる
- n本ルールなどで、機械的に拾える。nが大きいほど、大きな波だけを拾う
- 後ろの足が確定するまで、スイングは確定しない。認識は遅れる
- 波には大きさがあり、時間足によって見える波が違う
- トレンド転換の確認、損切りの置き場所、利益確定の目安、波の大きさの比較に使える
- 人によって拾い方が違うため、ルールを決めて統一する。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。スイング高値・安値の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
