マルチタイムフレーム分析とは
マルチタイムフレーム分析とは、複数の時間足を組み合わせて、相場を分析する方法です。MTF分析、多時間足分析とも呼ばれます。
同じ相場でも、時間足によって、まったく違って見えることがあります。
| 時間足 | 同じ時期のチャートの見え方(例) |
|---|---|
| 日足 | 大きな上昇トレンドの中にいる |
| 1時間足 | 下落している(上昇トレンドの中の、押し目) |
| 5分足 | 細かく上下している |
どの時間足が「正しい」ということはありません。すべて、同じ相場を別の縮尺で見ているだけです。複数を組み合わせることで、大きな流れと、細かいタイミングの、両方を把握できます。
なぜ複数の時間足を見るのか
ひとつの時間足だけを見ると、次のような問題が起こりやすくなります。
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| 大きな流れが見えない | 短い足の上昇だと思って買ったら、長い足の下降トレンドの戻りだった |
| 壁が見えない | すぐ上に、長い足の重要なレジスタンスがあるのに、気づかない |
| タイミングが分からない | 長い足では方向は分かるが、どこで入ればよいかが分からない |
長い時間足で方向と壁を、短い時間足で入るタイミングを、それぞれ確認することで、こうした問題を減らせます。
時間足ごとの役割
マルチタイムフレーム分析では、時間足ごとに、役割を分けて見るのが基本です。3つの時間足を使う例が、よく紹介されます。
| 役割 | 時間足の例 | 見ること |
|---|---|---|
| ① 大局を見る足(長期足) | 日足・4時間足 | 大きなトレンドの方向、重要な水平線 |
| ② 方針を決める足(中期足) | 1時間足・4時間足 | 押し目・戻りの位置、トレンドライン |
| ③ タイミングを見る足(短期足) | 5分足・15分足 | ローソク足の形、反発の確認 |
実際には、2つの時間足でも十分です。増やしすぎないことが大切です。
取引スタイル別の組み合わせ例
| スタイル | 大局を見る足 | 方針を決める足 | タイミングを見る足 |
|---|---|---|---|
| スキャルピング | 1時間足 | 15分足 | 1分足・5分足 |
| デイトレード | 4時間足 | 1時間足 | 5分足・15分足 |
| スイングトレード | 週足 | 日足 | 4時間足 |
これらは、あくまで一例です。自分の保有時間に合わせて、決めます。
時間足の選び方
目安は「4〜6倍」程度
隣り合う時間足の間隔は、4〜6倍程度にする方法が、よく紹介されます。
| 組み合わせ | 倍率 |
|---|---|
| 5分足 → 15分足 | 3倍 |
| 15分足 → 1時間足 | 4倍 |
| 1時間足 → 4時間足 | 4倍 |
| 4時間足 → 日足 | 6倍 |
| 日足 → 週足 | 5倍(取引日で数える場合) |
間隔が近すぎると、ほとんど同じ形に見えて、情報が増えません。間隔が離れすぎると、関連性が薄くなります。厳密なルールではなく、ひとつの目安です。
分析の手順(トップダウン分析)
長い時間足から、短い時間足へ順番に見ていく方法を、トップダウン分析と呼びます。
| 手順 | やること |
|---|---|
| ① 長期足を見る | トレンドの方向と、重要な水平線を確認する |
| ② 中期足を見る | 押し目・戻りの候補や、トレンドラインを確認する |
| ③ 短期足を見る | 候補の価格帯で、反発・反落のサインが出るかを確認する |
| ④ 方向を揃える | 長期足と同じ方向の売買だけを検討する |
「長い時間足の方向に、短い時間足でタイミングを合わせる」というのが、基本の考え方です。環境認識の考え方については、別の記事で解説しています。
時間足の方向が揃う場面・揃わない場面
方向が揃っている場合
日足・4時間足・1時間足が、すべて上昇している場合は、買い方向の売買に、集中しやすくなります。押し目買いの考え方については、別の記事で解説しています。
方向が食い違っている場合
日足は下降、1時間足は上昇のように、時間足で方向が違うことがあります。
| 状況 | 一般的な見方 |
|---|---|
| 長期足が下降、短期足が上昇 | 長期足の下降トレンドの中の、戻りかもしれない。買いは慎重に。戻りの終わりを待って売る考え方もある |
| 長期足が上昇、短期足が下降 | 長期足の上昇トレンドの中の、押し目かもしれない。押し目買いの候補を探す |
| 長期足がレンジ、短期足にトレンド | 長期足のレンジの上限・下限が、短期足のトレンドの壁になりやすい |
迷ったら、長い時間足の方向を優先する、という考え方が、一般的です。長い時間足のほうが、多くの参加者に意識されるためです。ただし、絶対ではありません。
計算例:長期足の壁を考えて、目標を決める
4時間足で、151.50円に、重要なレジスタンスがあるとします。1時間足は上昇トレンドで、150.60円付近まで押してきて、反発したため、1時間足で押し目買いを行う場合です。
| 項目 | 価格 | 値幅 |
|---|---|---|
| エントリー(買い) | 150.60円 | — |
| 損切り | 150.30円(1時間足の押し安値の下) | −30pips |
| 利益確定 | 151.35円(4時間足のレジスタンスの15pips手前) | +75pips |
リスク = 150.60 − 150.30 = 0.30円(30pips)
リワード = 151.35 − 150.60 = 0.75円(75pips)
リスクリワード比 = 75 ÷ 30 = 2.5
1時間足だけを見ていた場合、目標を「前回高値の151.80円」などに置いてしまい、4時間足のレジスタンス(151.50円)で止められる可能性があります。長い時間足の壁を、利益確定の目安にできるのが、マルチタイムフレーム分析の利点です(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。
計算例:時間足ごとの値幅の違い
時間足が長くなるほど、1本あたりの値幅は大きくなります。損切り幅やポジションの大きさを決めるときも、時間足に合わせる必要があります。
| 時間足 | 平均的な1本の値幅(ATRの例) |
|---|---|
| 日足 | 100pips |
| 4時間足 | 50pips |
| 1時間足 | 25pips |
| 15分足 | 12pips |
1時間足で入るのに、日足のATR(100pips)を基準に損切りを置くと、損切り幅が大きくなりすぎます。逆に、日足で入るのに、15分足のATR(12pips)を基準に損切りを置くと、普通の値動きで損切りにかかります。
例:1時間足でエントリー、ATRの約1.2倍を損切り幅とする場合
損切り幅 = 25 × 1.2 = 30pips
ATRについては、別の記事で解説しています。数値や倍率は、あくまで例です。
ツールの使い方
MT4・MT5・TradingViewなどには、複数のチャートを並べて表示する機能があります。
- 複数のウィンドウに、違う時間足を並べる
- 画面を分割して、表示する(ツールによって機能は異なります)
- 時間足を、ワンクリックで切り替える
ツールごとの操作方法は異なるため、使っているツールの機能を確認してください。ラインは、長い時間足で引いたものを、短い時間足にも引き直す(または、すべての時間足に表示される設定にする)と、見落としが減ります。
マルチタイムフレーム分析の注意点
1. 時間足を見すぎない
時間足を増やすほど、情報が増えて、判断が難しくなります。2〜3つに、絞りましょう。
2. 矛盾する情報に、迷いすぎない
時間足によって、見え方が違うのは、普通のことです。どの足を優先するかを、あらかじめ決めておくことが大切です。
3. 長い時間足の判断は、遅れやすい
長い時間足は、反転が確認されるまでに、時間がかかります。トレンドの転換には、短い時間足のほうが、先に反応します。
4. 後付けでは、整合して見えやすい
過去のチャートでは、すべての時間足が揃っているように見えます。リアルタイムでは、食い違うことが多いです。
5. 自分の取引スタイルに、合わせる
保有時間が数分のスタイルと、数日のスタイルでは、見るべき時間足が違います。
初心者が間違えやすいポイント
短い時間足だけで、判断する
1分足・5分足だけでは、大きな流れが見えません。長い時間足も、確認しましょう。
時間足を、増やしすぎる
5つ、6つの時間足を見ると、かえって判断が止まります。自分の判断の基準にできる数に、絞りましょう。
長期足に逆らって、取引する
日足が下降トレンドなのに、1時間足の上昇だけで買うと、長期足の流れに押し戻されやすいことがあります。逆らうなら、目標を近く、損切りを小さくする考え方があります。
長期足の壁を、無視する
短期足の押し目買いでも、すぐ上に長期足のレジスタンスがあると、上値が重くなります。目標を、その手前に置くことを、検討しましょう。
時間足ごとに、別の取引をする
日足の判断で入り、1分足の動きで慌てて決済するなど、時間足が混在すると、ルールが崩れやすくなります。どの時間足の判断で、どう動くかを、事前に決めておくことが大切です。
まとめ
- マルチタイムフレーム分析は、複数の時間足を組み合わせて、相場を分析する方法
- 長期足で方向と壁、中期足で押し目・戻りの位置、短期足でタイミングを見る
- 時間足の間隔は、4〜6倍程度が目安。2〜3つに絞る
- 長い時間足から短い時間足へ(トップダウン)見ていく
- 方向が食い違う場合は、長い時間足を優先する考え方が一般的
- 長期足の壁を、利益確定の目安にできる
- 時間足が変われば、値幅も変わるため、損切り幅も時間足に合わせる
- 見すぎないことが大切。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。マルチタイムフレーム分析の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
