宵の明星とは
宵の明星とは、上昇トレンドの高値圏で現れる、3本のローソク足で作る天井のサインです。大陽線のあとに、小さな実体の足が出て、そのあとに大陰線が出て、1本目の実体の半値(50%)を割り込んで引ける形を指します。英語ではイブニング・スター(Evening Star)と言います。夕暮れの西の空に輝く金星(宵の明星)が、これから日が沈むこと(下落への転換)を告げるように見えることから、この名前がついたとされます。酒田五法の流れをくむ古いローソク足の読み方で、転換のサインとして、よく知られています。
| 本数 | ローソク足 | 内容 |
|---|---|---|
| 1本目 | 大陽線 | 上昇の勢いを示す、大きな陽線 |
| 2本目 | 小さな実体の足 | 買いの勢いが止まり、迷いが出た |
| 3本目 | 大陰線 | 1本目の実体の半値を割り込んで引ける。売りが主導権を握った |
2本目の小さな足が、「星」にあたります。1本目と3本目の間で、高い位置に小さく光る星のように見える形です。
宵の明星は、明けの明星の上下を逆にした形です。明けの明星については、別の記事で解説しています。
宵の明星が示すこと
上昇が続く中で、1本目に大陽線(買いが勢いよく入った)
→ 2本目は、小さな実体(買いの勢いが止まり、迷い)
→ 3本目に大陰線(売りが勢いよく入り、1本目の半値を割った)
→ 買いから売りへ、主導権が移った
| 読み取れること | 内容 |
|---|---|
| 買いの勢いの停止 | 2本目で、上げが止まった |
| 売りの流入 | 3本目で、売りが勢いよく入った |
| 天井の予兆 | 上昇トレンドの終盤で出ると、反転の前触れのことがある |
3本の流れ(勢いのある上げ → 迷い → 勢いのある下げ)が、そろっていることが、この形の意味です。2本の足だけの形(包み足やかぶせ線)より、「迷い」の足が入る分、転換の過程が見えると考えられています。包み足、かぶせ線については、別の記事で解説しています。
宵の明星の条件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 直前の値動き | 上昇トレンドが続いたあと |
| 1本目 | 大陽線(実体が大きい) |
| 2本目 | 実体が小さい足(1本目の実体に対して、小さい) |
| 2本目の位置 | 実体が、1本目の実体より上にある(窓が空いていれば、より強い) |
| 3本目 | 大陰線。終値が、1本目の実体の半値を割り込む |
FXでの注意点:窓が空かなくても成り立つ
株式では、2本目が窓を空けて上に始まり、3本目も窓を空けて下に始まることが、条件とされることがあります。FXは、ほぼ24時間取引されているため、窓がほとんど空きません。そのため、FXでは、「窓」を条件にせず、次のように緩やかに判定します。
| 項目 | 緩やかな判定 |
|---|---|
| 2本目の実体の位置 | 1本目の終値付近か、それより上にある |
| 3本目の始値 | 2本目の終値付近(通常どおり) |
| 3本目の終値 | 1本目の実体の半値を割り込む |
窓が空いた場合は、「より強い形」として扱います。
計算例:宵の明星の判定
上昇が続いたあとの、1時間足の3本が、次の値だったとします。
| 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | |
|---|---|---|---|---|
| 1本目(大陽線) | 150.20円 | 150.85円 | 150.15円 | 150.80円 |
| 2本目(小さな陽線) | 150.81円 | 150.92円 | 150.70円 | 150.86円 |
| 3本目(大陰線) | 150.85円 | 150.88円 | 150.28円 | 150.34円 |
1本目の実体 = 150.80 − 150.20 = 0.60円(60pips)
1本目の半値 = (150.20 + 150.80) ÷ 2 = 150.50円
2本目の実体 = 150.86 − 150.81 = 0.05円(5pips)
2本目の値幅全体 = 150.92 − 150.70 = 0.22円(22pips)
2本目の実体 ÷ 1本目の実体 = 5 ÷ 60 ≒ 8.3%
2本目の実体 ÷ 値幅全体 = 5 ÷ 22 ≒ 22.7%
2本目の実体の下端 150.81円 ≧ 1本目の終値 150.80円
3本目の終値 = 150.34円 < 1本目の半値(150.50円)
かぶせの度合い = (150.80 − 150.34) ÷ 0.60 = 0.46 ÷ 0.60 ≒ 0.77(約77%)
2本目の実体は、1本目の約8.3%と小さく、1本目の終値以上に位置しています。3本目の終値は、1本目の実体の半値(150.50円)を割り込んで、約77%まで押し戻しているため、宵の明星と判定できます。
「2本目の実体が、1本目の30%以下」「3本目の終値が、1本目の半値を割る」といった基準は、あくまで一例です。自分で基準を決め、過去のチャートで検証することが大切です。
2本目(星)の形による違い
2本目の足の形で、ニュアンスが変わると考えられます。
| 2本目の形 | 見方 |
|---|---|
| コマ足(小さな実体、上下にヒゲ) | 迷いを示す、標準的な形 |
| 十字線 | より強い迷い。「宵の明星十字」と呼ばれ、より強いサインと見られることがある |
| トウバ(上ヒゲが長い) | 上値で売りが入ったことが、はっきりする |
| 実体のやや大きい足 | 迷いとしては弱く、サインとしては弱め |
コマ足、十字線、トウバについては、別の記事で解説しています。
強い宵の明星の特徴
| 要素 | 強い宵の明星の特徴 |
|---|---|
| 3本目の押し戻し | 大きい(1本目の始値に近づく、または割る) |
| 1本目・3本目の大きさ | どちらも大きい |
| 2本目の位置 | 1本目の実体から離れている(窓が空いている) |
| 場所 | サポート・レジスタンスなど、意識される価格帯で出た |
| 直前の値動き | 上昇がはっきり続いたあと |
| 2本目の形 | 十字線やトウバ |
場所別の見方
| 場所 | 見方 |
|---|---|
| 上昇トレンドの高値圏 | 天井(反転)の可能性。最も注目される |
| レジスタンスライン付近 | レジスタンスで、売りが入った。ラインの有効性を示す |
| 上昇トレンドの途中 | 一時的な押しにすぎないことも多い |
| 下降トレンドの戻り | 戻りの終わりを示す場合がある |
| レンジの中央 | 意味が薄い |
サポートライン・レジスタンスラインについては、別の記事で解説しています。
使い方
天井の兆しとして、注目する
上昇トレンドの高値圏や、レジスタンス付近で宵の明星が出たとき、反落の兆しとして見ます。
計算例:宵の明星のあとに、売る場合
上の例の宵の明星が、上昇トレンドの高値圏で出たとします。3本目が確定した直後、終値の150.34円で売る場合です。直前の押し安値を、149.10円とします。
| 項目 | 価格 | 値幅 |
|---|---|---|
| エントリー(売り) | 150.34円 | — |
| 損切り | 150.97円(2本目の高値の5pips上) | −63pips |
| 利益確定 | 149.10円(直前の押し安値) | +124pips |
リスク = 150.97 − 150.34 = 0.63円(63pips)
リワード = 150.34 − 149.10 = 1.24円(124pips)
リスクリワード比 = 124 ÷ 63 ≒ 2.0
損切りは、星(2本目)の高値の少し上に置きます。星の高値を超えると、「買いの勢いが止まった」という前提が崩れるためです(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。
3本目が確定した直後に入ると、すでに大きく動いたあとのため、損切りが遠くなりがちです。少し戻したところを待つ、次の足の確認を待つといった考え方も、あります。
注意点
1. 宵の明星だけでは、判断できない
宵の明星は、「売りが主導権を握った」ことを示すだけで、反転の保証ではありません。場所・前後の足、次の足の動きとあわせて判断します。
2. 上昇が続くこともある
宵の明星のあと、そのまま高値を更新して上がることは、珍しくありません。特に、上昇トレンドが強い場面では、一時的な押しで終わることがあります。
3. 3本そろうまで、判断できない
2本目が出た時点では、まだ形が完成していません。3本目の確定を待って、判断しましょう。
4. 小さな足の連続の中では、意味が薄い
ローソク足が小さい(値動きが乏しい)状況で出た宵の明星は、意味が薄いことがあります。1本目と3本目が、はっきり大きいことが、前提です。
5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
発表で、一方向に急変した大きな足のあとの形は、宵の明星のように見えても、その後に、再度動くことがあります。
6. 時間帯・時間足で、意味が変わる
値動きの小さい時間帯や、短い時間足では、意味は薄いことがあります。長い時間足の宵の明星のほうが、意識されやすいと考えられます。
7. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、宵の明星に見えても、確定までに形が変わります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
2本目の足が、小さければ何でもよいと考える
2本目の実体が、1本目の実体に比べて、はっきり小さいことが、前提です。数値で、確認しましょう。
3本目が半値まで下げていないものも、宵の明星と考える
3本目の終値が、1本目の実体の半値を割っていない場合は、宵の明星ではありません。必ず計算で確認しましょう。
窓がないと成り立たないと考える
FXでは、窓がほとんど空かないため、窓を条件にすると、ほとんど見つかりません。実体の位置と、3本目の押し戻しを、中心に見ます。
場所を無視して、形だけで判断する
何もない場所で出た宵の明星は、意味が薄いことが多いです。
3本目で、すぐに飛び乗る
確認足を待たずに売ると、高値を更新された場合に、損失になります。
検証せずに、使う
「宵の明星のあとは、下がる」と聞いても、実際の確率は、判定基準や場所で変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- 宵の明星は、上昇トレンドの高値圏で、大陽線 → 小さな実体の足 → 大陰線(1本目の半値を割る)と続く、3本の天井のサイン
- 明けの明星の上下を逆にした形。2本目の小さな足が「星」で、買いの勢いが止まり、迷いが出たことを示す
- FXでは、窓がほとんど空かないため、2本目の実体が1本目の終値付近以上にあり、3本目の終値が1本目の半値を割ることで、緩やかに判定する
- 2本目が十字線やトウバだと、より強いサインと見られる
- 損切りは、星(2本目)の高値の少し上。確認足を待つ考え方もある
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。ローソク足の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
