捨て子線とは
捨て子線とは、3本のローソク足で作る転換のサインで、明けの明星・宵の明星のうち、真ん中の星が「十字線」で、しかも前後の足から窓を空けて孤立している形のことです。1本目と3本目から切り離され、ぽつんと取り残された十字線が、捨てられた子どものように見えることから、この名前がついたとされます。英語ではアバンドンド・ベイビー(Abandoned Baby)と言います。明けの明星・宵の明星の中でも、最も強い転換のサインのひとつと見られていますが、条件が厳しく、めったに現れません。
| 名前 | 1本目 | 2本目(星) | 3本目 | 出る場所 | 示すこと |
|---|---|---|---|---|---|
| 底の捨て子線 | 大陰線 | 窓を空けて下に孤立した十字線 | 窓を空けて上に始まる大陽線 | 下降トレンドの安値圏 | 底打ち |
| 天井の捨て子線 | 大陽線 | 窓を空けて上に孤立した十字線 | 窓を空けて下に始まる大陰線 | 上昇トレンドの高値圏 | 天井 |
呼び方は、解説によって異なります(「捨て子底」「捨て子天井」と呼ぶこともあります)。
明けの明星・宵の明星との違い
捨て子線は、明けの明星・宵の明星の、特に厳しい条件を満たすものです。明けの明星、宵の明星については、別の記事で解説しています。
| 明けの明星・宵の明星 | 捨て子線 | |
|---|---|---|
| 2本目(星) | 小さな実体の足(十字線に限らない) | 十字線 |
| 窓 | 条件にしない(あれば、より強い) | 前後の両側に、窓が必要(ヒゲも含めて、重ならない) |
| サインの強さ | 強い | さらに強いと見られる |
| 出現頻度 | 比較的、見つかる | めったに出ない |
星のヒゲ(高値・安値)まで含めて、前後の足のヒゲと、1pipも重ならないことが、捨て子線の条件です。
捨て子線が示すこと
【底の捨て子線】
下降が続く中で、1本目に大陰線(売りが勢いよく入った)
→ 2本目は、さらに窓を空けて下に飛ぶが、十字線で終わる(売りの限界)
→ 3本目は、窓を空けて上に始まり、大陽線になる
→ 2本目が、周りから切り離されて、取り残された
| 読み取れること | 内容 |
|---|---|
| 売りの限界 | 窓を空けて売り込まれたのに、十字線で終わった |
| 主導権の交代 | 3本目で、窓を空けて上に始まり、買いが主導権を握った |
| 強い転換の予兆 | 下降トレンドの終盤で出ると、反転の前触れのことがある |
2本目の十字線は、「売りも買いも決められなかった」ことを示し、窓によって、前後の足から完全に分離しているため、転換の意味が、より強調されると考えられています。十字線については、別の記事で解説しています。
捨て子線の条件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 直前の値動き | トレンドが続いたあと |
| 1本目 | 大陰線(または大陽線)(実体が大きい) |
| 2本目 | 十字線(実体がほぼない) |
| 1本目と2本目の窓 | 2本目の高値(底の場合)が、1本目の安値より下 |
| 2本目と3本目の窓 | 3本目の安値(底の場合)が、2本目の高値より上 |
| 3本目 | 大陽線(または大陰線)。1本目の実体の半値を超えることが、一般的 |
窓は、「ヒゲも含めて」重ならないことが、条件です。
FXでの注意点:窓が空く場面は限られる
FXは、ほぼ24時間取引されているため、窓がほとんど空きません。捨て子線は、窓が2か所(1本目と2本目の間、2本目と3本目の間)必要なため、FXでは、特にまれです。
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| 週明けの始値 | 週末をまたいで、窓が空きやすい。ただし、2か所とも空くことは、まれ |
| 重要な発表や発言の直後 | 一気に価格が飛び、窓が空くことがある |
| 流動性の薄い時間帯 | 価格が飛びやすい |
平日の通常の時間帯では、ほとんど出ません。そのため、FXでは、「捨て子線に近い形」(星が十字線で、前後の足と、ほぼ重ならない)を、明けの明星・宵の明星の強い形として見るのが、実用的です。
計算例:底の捨て子線の判定
下降が続いたあとの、1時間足の3本(1本目は金曜の最終足、2本目・3本目は週明けの足)が、次の値だったとします。
| 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | |
|---|---|---|---|---|
| 1本目(大陰線) | 151.00円 | 151.05円 | 150.45円 | 150.50円 |
| 2本目(十字線) | 150.20円 | 150.30円 | 150.12円 | 150.21円 |
| 3本目(大陽線) | 150.42円 | 151.05円 | 150.40円 | 150.98円 |
1本目の実体 = 151.00 − 150.50 = 0.50円(50pips)
1本目の半値 = (151.00 + 150.50) ÷ 2 = 150.75円
2本目の実体 = 150.21 − 150.20 = 0.01円(1pips)
2本目の値幅全体 = 150.30 − 150.12 = 0.18円(18pips)
実体 ÷ 値幅全体 = 1 ÷ 18 ≒ 5.6%
1本目と2本目の窓 = 150.45(1本目の安値) − 150.30(2本目の高値) = 0.15円(15pips)
2本目と3本目の窓 = 150.40(3本目の安値) − 150.30(2本目の高値) = 0.10円(10pips)
3本目の終値 = 150.98円 > 1本目の半値(150.75円)
戻りの度合い = (150.98 − 150.50) ÷ 0.50 = 0.48 ÷ 0.50 = 0.96(約96%)
2本目の実体は、値幅の約5.6%で、「10%以内なら十字線」という基準を満たします。前後に15pipsと10pipsの窓があり、星のヒゲは、前後の足のヒゲと重なっていません。3本目の終値は、1本目の実体の約96%まで戻しているため、底の捨て子線と判定できます。
10%などの基準は、あくまで一例です。自分で基準を決め、過去のチャートで検証することが大切です。
強い捨て子線の特徴
| 要素 | 強い捨て子線の特徴 |
|---|---|
| 窓の大きさ | どちらも大きい(切り離されている度合いが大きい) |
| 2本目の形 | 十字線(実体が、ほとんどない) |
| 1本目・3本目の大きさ | どちらも大きい |
| 3本目の戻り | 大きい(1本目の始値に近づく) |
| 場所 | サポート・レジスタンスなど、意識される価格帯で出た |
| 直前の値動き | トレンドがはっきり続いたあと |
場所別の見方
| 場所 | 底の捨て子線の見方 |
|---|---|
| 下降トレンドの安値圏 | 底打ち(反転)の可能性。最も注目される |
| サポートライン付近 | サポートで、売りが限界を迎えた。ラインの有効性を示す |
| 下降トレンドの途中 | 一時的な戻りにすぎないことも多い |
| レンジの中央 | 意味が薄い |
天井の捨て子線は、上下を逆にして考えます。サポートライン・レジスタンスラインについては、別の記事で解説しています。
使い方
強い転換の兆しとして、注目する
トレンドの終盤や、重要なライン付近で、捨て子線(またはそれに近い形)が出たとき、その後の動きに注意します。
計算例:底の捨て子線のあとに、買う場合
上の例の底の捨て子線が、下降トレンドの安値圏で出たとします。3本目が確定した直後、終値の150.98円で買う場合です。直前の戻り高値を、152.80円とします。
| 項目 | 価格 | 値幅 |
|---|---|---|
| エントリー(買い) | 150.98円 | — |
| 損切り | 150.07円(2本目の安値の5pips下) | −91pips |
| 利益確定 | 152.80円(直前の戻り高値) | +182pips |
リスク = 150.98 − 150.07 = 0.91円(91pips)
リワード = 152.80 − 150.98 = 1.82円(182pips)
リスクリワード比 = 182 ÷ 91 = 2.0
損切りは、星(2本目)の安値の少し下に置きます。星の安値を割ると、「売りが限界を迎えた」という前提が崩れるためです(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。
損切り幅に合わせて、取引量を決める
星は、前後の足から離れた位置にあるため、損切りまでの距離が大きくなりやすい形です。
許容する損失 = 10,000円(例)
損切り幅 = 0.91円(91pips)
取引量 = 10,000円 ÷ 0.91円 ≒ 10,989通貨 → 10,000通貨
最大損失 = 10,000通貨 × 0.91円 = 9,100円
損切り幅が大きいほど、同じ損失額で持てる取引量は減ります。
注意点
1. 捨て子線だけでは、判断できない
捨て子線は、「主導権が移った」ことを示すだけで、反転の保証ではありません。場所・前後の足、次の足の動きとあわせて判断します。
2. 窓が埋まることもある
3本目の窓が、その後に埋められることは、珍しくありません。窓が埋まったときは、見立てを見直す必要があります。
3. 窓の原因を、確認する
週末のニュースや、発表による窓は、その後の値動きにも影響します。窓の原因を、確認しましょう。
4. 条件が厳しく、実戦では、ほとんど出ない
厳密な捨て子線を待つと、ほとんど取引機会がありません。近い形を使う場合は、検証で有効性を確かめることが大切です。
5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
発表で、一方向に急変した大きな足のあとは、その後に、再度動くことがあります。
6. 取引会社・チャートで、窓の出方が変わる
同じ場面でも、取引会社やチャートの設定によって、窓の大きさや有無が変わることがあります。普段使うチャートで、確認しましょう。
7. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、捨て子線に見えても、確定までに形が変わります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
十字線でない星も、捨て子線と考える
星が十字線であることが、条件です。実体のある小さな足は、明けの明星・宵の明星として扱います。
窓のヒゲの重なりを、確認しない
窓は、実体ではなく、ヒゲも含めて空いていることが、条件です。ヒゲが重なっている場合は、捨て子線ではありません。
窓がないのに、捨て子線と考える
窓がない場合は、明けの明星・宵の明星として扱います。窓の有無を、必ず確認しましょう。
損切り幅を考えずに、取引量を決める
損切りが遠い形のため、普段と同じ取引量で入ると、損失が大きくなります。
検証せずに、使う
「捨て子線のあとは、転換する」と聞いても、実際の確率は、判定基準や場所で変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- 捨て子線は、明けの明星・宵の明星のうち、星が十字線で、前後の両側に窓を空けて孤立している形。強い転換のサインと見られる
- 底の捨て子線は下降のあと、天井の捨て子線は上昇のあとに出る
- 窓は、ヒゲも含めて重ならないことが条件。条件が厳しく、めったに出ない
- FXでは、窓がほとんど空かないため、平日の通常の時間帯では、ほとんど出ない。週明けや、発表直後など、窓が空いた場面で使う
- 近い形(星が十字線で、前後の足とほぼ重ならない)を、明けの明星・宵の明星の強い形として見る考え方もある
- 損切りは、星(2本目)の安値(高値)の少し外側。損切りが遠くなりやすいため、取引量の調整が大切
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。ローソク足の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
