指数平滑移動平均線(EMA)とは?計算方法・見方・使い方

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指数平滑移動平均線(EMA)とは

指数平滑移動平均線(EMA:Exponential Moving Average)とは、直近の価格ほど重みを大きくして計算する移動平均線です。単純移動平均線(SMA)は、N本の終値をすべて同じ重さで平均しますが、EMAは、新しい終値ほど大きな重みをつけ、古い終値ほど小さな重みをつけます。そのため、直近の値動きに、より素早く反応します。SMAについては、別の記事で解説しています。

MT4・MT5・TradingViewなど、ほとんどのチャートツールに標準で入っています。MACDなど、他の指標の計算にも使われるため、テクニカル分析の基礎として重要です。

項目内容
英語名Exponential Moving Average(EMA)
計算に使う値終値(設定で、他の価格に変えられる)
期間重みの減り方を決める数値(12、20、26、50、200など)
特徴直近の値動きを重視し、急な変化に反応しやすい

計算方法

EMAは、「前の足のEMA」と「今の終値」を、決まった割合で混ぜて計算します。

平滑化係数 α = 2 ÷ (N + 1)

今のEMA = 前のEMA + α × (今の終値 − 前のEMA)
        = α × 今の終値 + (1 − α) × 前のEMA

αが大きいほど、今の終値の影響が大きくなります。期間Nが短いほど、αは大きくなります。

期間Nα = 2 ÷ (N + 1)最新の終値が占める割合(参考)SMAでの割合
52 ÷ 6 ≒ 0.333約33.3%20%
102 ÷ 11 ≒ 0.182約18.2%10%
252 ÷ 26 ≒ 0.077約7.7%4%

最初のEMAの値は、直前のN本のSMAを使うのが、一般的な方法です(ツールによって、初期値の決め方が少し違い、数値が、少しずれることがあります)。

計算例:5本のEMAとSMAの比較

SMAの記事と同じ、次の終値を使います。5本目の時点の5SMAは、150.34円で、これをEMAの最初の値とします。

足終値
1本目150.10円
2本目150.30円
3本目150.20円
4本目150.50円
5本目150.60円
6本目150.80円
7本目150.40円
α = 2 ÷ (5 + 1) = 1 ÷ 3

【5本目】5EMA = 5SMA = 150.34円(初期値)

【6本目】終値 150.80円
5EMA = 150.34 + (150.80 − 150.34) ÷ 3
     = 150.34 + 0.1533
     ≒ 150.49円

【7本目】終値 150.40円
5EMA = 150.4933 + (150.40 − 150.4933) ÷ 3
     = 150.4933 − 0.0311
     ≒ 150.46円

同じ足の5SMAは、次のとおりです。

【6本目】5SMA = (150.30 + 150.20 + 150.50 + 150.60 + 150.80) ÷ 5 = 150.48円
【7本目】5SMA = (150.20 + 150.50 + 150.60 + 150.80 + 150.40) ÷ 5 = 150.50円
6本目7本目6本目→7本目の動き
終値150.80円150.40円−40pips(下落)
5EMA150.49円150.46円−3pips(下がった)
5SMA150.48円150.50円+2pips(上がった)

7本目は、終値が40pips下がったのに、5SMAは2pips上がり、5EMAは3pips下がっています。SMAは、古い2本目(150.30円)が外れて、平均が押し上げられたためです。EMAは、直近の下落を、より大きく反映していることが分かります。

移動平均線が示すこと

見方は、SMAと同じです。傾き、価格との位置、押し目・戻りの目安を見ます。

見るポイント内容
傾き右上がりなら上昇、右下がりなら下降、横ばいならレンジの目安
価格との位置価格がEMAの上なら買い優勢、下なら売り優勢の目安
サポート・レジスタンスEMAが、押し目や戻りの目安として意識されることがある

違いは、反応の速さです。EMAは、直近の動きを重くみるため、価格の変化にすばやく反応します。

SMAとの違い

SMAEMA
重みづけすべて同じ新しいほど大きい
急な変化への反応ゆっくり速い
古い値が外れる影響あり(急に動くことがある)ほとんどない(重みが小さくなっていく)
ダマシ比較的少ないやや多くなりやすい
計算単純前のEMAが必要

EMAは、SMAより「敏感」ですが、「遅れがない」わけではありません。一定の傾きで動き続けるときの遅れの大きさは、同じ期間なら、理論上ほぼ同じです。違いは、急に動いたときの追いつき方に出ます。

急に動いたときの追いつき方

価格が、1回で急に1円(100pips)上がり、そのまま横ばいになった場合を、考えます。期間は10です。

α = 2 ÷ 11 ≒ 0.182

EMA:1本目の上昇幅 = 100pips × 0.182 ≒ 18pips
SMA:1本目の上昇幅 = 100pips × 1/10 = 10pips

10本後に残るEMAの差 = 100pips × (1 − 0.182)^10 ≒ 100 × 0.135 ≒ 13.5pips
10本後に残るSMAの差 = 0pips(完全に追いつく)

EMAは、動き出しが速いですが、完全に追いつくまでには時間がかかります。SMAは、動き出しはゆっくりですが、N本後には、価格に完全に追いつきます。

期間の選び方

期間特徴主な見方
5・10価格に近く、敏感短期の勢い
12・26MACDで使われる期間短期と中期の関係
20・21中期の流れ押し目・戻りの目安
50やや長期の流れトレンドの方向
100・200長期の流れ大きな方向感

どの期間が最適かは、通貨ペアや時間足、相場の状況で変わります。決まった正解はありません。MACDについては、別の記事で解説しています。

使い方

1. 押し目・戻りの目安にする

上昇トレンドで、価格がEMAまで下がって、反発する場面を、押し目として見ます。SMAより、価格に近く動くため、浅い押しでも、反応しやすいことがあります。押し目(プルバック)については、別の記事で解説しています。

2. 決済の目安(トレーリング)にする

EMAを、トレンドに乗っている間の、決済の目安に使う方法があります。価格がEMAを終値で割ったら、決済するという考え方です。

計算例:EMAを使った決済

上昇トレンドで、価格が20EMA(150.45円)まで押して反発した場面で、150.60円で買うとします。損切りは、EMAの少し下(150.35円)、利益確定の目標は151.35円とします。

エントリー 150.60円、損切り 150.35円、利確 151.35円
リスク   = 150.60 − 150.35 = 0.25円(25pips)
リワード = 151.35 − 150.60 = 0.75円(75pips)
リスクリワード比 = 75 ÷ 25 = 3.0

その後、価格が上昇し、20EMAも150.95円まで上がったあと、ある足の終値が、EMAを割って150.90円で引けたとします。そこで決済する場合を、考えます。

決済 150.90円
利益 = 150.90 − 150.60 = 0.30円(30pips)
当初のリスクとの比 = 30 ÷ 25 = 1.2
決済方法結果当初のリスクとの比
固定の目標(151.35円)に届いた場合+75pips3.0
EMAを割った時点で決済(150.90円)+30pips1.2

EMAを割ったら決済するやり方は、トレンドが続くとき、利益を伸ばせます。一方、目標に届く前に、早めに決済することもあります。逆に、目標を決めておくと、届かずに反転した場合に、利益を逃すことがあります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。どちらが良いかは、相場とやり方によって変わります。過去のチャートで、確認しましょう。

3. 2本のEMAの関係を見る

短い期間のEMAと、長い期間のEMAを組み合わせて、トレンドの方向を見る方法があります。ゴールデンクロスとデッドクロスについては、別の記事で解説しています。

注意点

1. SMAより、ダマシが増えやすい

敏感な分、小さな値動きにも反応します。レンジでは、価格との交差が増えます。傾きを、まず確認しましょう。

2. 初期値によって、数値が少しずれる

ツールによって、EMAの初期値の決め方が違い、数値がずれることがあります。特に、チャートの表示本数が少ないときは、ずれが大きくなります。普段使うチャートで、確認しましょう。

3. 古い値の影響が、長く残る

EMAは、古い値の重みが、ゼロにはなりません。大きな値動きの影響が、しばらく残ることがあります。

4. 期間に、魔法の数字はない

「この期間なら勝てる」というものは、ありません。過去のチャートで、通貨ペア・時間足ごとに確認することが大切です。

5. 時間足で、意味が変わる

短い時間足のEMAは、ノイズが多いです。長い時間足のEMAのほうが、意識されやすいと考えられます。

6. 足が確定するまで、分からない

進行中の足の終値は、確定するまで変わります。EMAの値も、それにつれて動くため、確定後に判断しましょう。

初心者が間違えやすいポイント

EMAは、SMAより「優れている」と考える

EMAは、敏感な分、ダマシも増えます。どちらが良いかは、使い方次第です。

EMAなら、遅れがないと考える

EMAも、過去の値から計算するため、遅れはあります。急な変化への反応が、速いだけです。

レンジでも、EMAの交差をサインにする

傾きのない相場では、交差は、ほとんど意味を持ちません。

期間を、頻繁に変える

結果が悪いたびに、期間を変えると、過去のチャートに合わせただけになり、将来には通用しにくくなります。

検証せずに、使う

「20EMAで反発する」と聞いても、実際の確率は、通貨ペア・時間足・相場の状況で変わります。自分で、確認しましょう。

まとめ

  • EMAは、新しい終値ほど重みを大きくして計算する移動平均線。α = 2 ÷ (N + 1) で、今のEMA = 前のEMA + α × (今の終値 − 前のEMA)
  • 急な変化に素早く反応する。一定の傾きで動き続けるときの遅れは、同じ期間のSMAと、理論上ほぼ同じ
  • SMAは、古い値が外れて急に動くことがあるが、EMAはその影響が小さい
  • 動き出しはEMAが速く、完全に追いつくのはSMAが先
  • 押し目の目安、決済(トレーリング)の目安として使える。EMAを割ったら決済すると、利益を伸ばせることもあるが、早めの決済になることもある
  • ダマシは、SMAよりやや増えやすい
  • 単独では判断できない。必ず機能するわけではない

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。

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