アルーンとは
アルーン(Aroon)とは、「直近の最高値・最安値を、何本前に付けたか」に着目して、トレンドが出ているか、どちらの方向かを、0〜100の数値で示す、トレンド系のテクニカル指標です。トゥーシャー・シャンデ氏が、1995年に発表したものとして知られています。「アルーン」は、サンスクリット語で「夜明けの光」という意味とされ、トレンドの始まりを捉えるという考えが、名前の由来です。「アルーン・アップ」と「アルーン・ダウン」の2本の線で表示され、一般的な期間は25本です(14本などを使う場合も、あります)。
| アルーン・アップ | アルーン・ダウン | |
|---|---|---|
| 見るもの | 直近の最高値を、何本前に付けたか | 直近の最安値を、何本前に付けたか |
| 100に近い | 最高値を、最近更新した | 最安値を、最近更新した |
| 0に近い | 最高値を、ずいぶん前に付けたまま | 最安値を、ずいぶん前に付けたまま |
| 意味 | 上昇の勢いが、続いている | 下降の勢いが、続いている |

計算方法
アルーン・アップ = (N − 最高値を付けてからの本数)÷ N × 100
アルーン・ダウン = (N − 最安値を付けてからの本数)÷ N × 100
アルーン・オシレーター = アルーン・アップ − アルーン・ダウン
N = 期間(一般的には25)
「最高値を付けてからの本数」は、今の足が最高値なら0本、1本前なら1本、…と数えます。計算には、直近N+1本の高値・安値を使うのが、一般的です(ソフトによって、異なる場合があります)。
今の足で、最高値を更新すれば、アルーン・アップは100になります。最高値を更新しないまま、1本進むごとに、アルーン・アップは(100 ÷ N)ずつ、下がっていきます。N = 25なら、1本ごとに4ずつです。25本更新がないと、0になります。
計算例1:N = 25の場合
最高値は3本前、最安値は20本前に付けたとします。
アルーン・アップ = (25 − 3)÷ 25 × 100 = 88
アルーン・ダウン = (25 − 20)÷ 25 × 100 = 20
アルーン・オシレーター = 88 − 20 = 68
アップが高く、ダウンが低いため、最近、高値を更新し続けている、上昇の方向と、判断します。
計算例2:N = 5で、6本の足から計算する
計算を簡単にするため、N = 5(直近6本)で計算します。高値・安値は、古い順に、次のとおりです(例の数値です)。
| 足 | 0本目 | 1本目 | 2本目 | 3本目 | 4本目 | 5本目(今) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 高値 | 150.40 | 150.55 | 150.70 | 150.60 | 150.50 | 150.45 |
| 安値 | 150.10 | 150.20 | 150.30 | 150.25 | 150.15 | 150.05 |
最高値 = 150.70円(2本目)→ 今から3本前
最安値 = 150.05円(5本目)→ 今の足(0本前)
アルーン・アップ = (5 − 3)÷ 5 × 100 = 40
アルーン・ダウン = (5 − 0)÷ 5 × 100 = 100
アルーン・オシレーター = 40 − 100 = −60
今の足で、安値を更新したため、アルーン・ダウンは100です。高値は3本前で、更新が止まっているため、アルーン・アップは40まで、下がっています。下降の方向と、判断します。
アルーンは、「価格がどれだけ動いたか」ではなく、「更新してから、何本たったか」を見る点が、特徴です。値幅は、数値に反映されません。
アルーンの見方
| 状態 | 目安(例) | 見方 |
|---|---|---|
| アップ高い、ダウン低い | アップ70以上、ダウン30以下 | 上昇トレンド |
| ダウン高い、アップ低い | ダウン70以上、アップ30以下 | 下降トレンド |
| アップがダウンを、上抜け | ゴールデンクロスと、同様 | 上昇への転換の可能性 |
| ダウンがアップを、上抜け | デッドクロスと、同様 | 下降への転換の可能性 |
| 2本とも低い、または、上下を繰り返す | どちらも、50未満など | トレンドがない(レンジ) |
「70」「30」は、よく使われる目安ですが、固定の基準では、ありません。通貨ペア・時間足・期間で、見え方は変わるため、過去のチャートで、確認しましょう。
他の指標との違い
| アルーン | DMI・ADX | ドンチャンチャネル | パラボリックSAR | |
|---|---|---|---|---|
| 見るもの | 高値・安値を更新してからの本数 | 値動きの方向と、強さ | N本の最高値・最安値 | 加速係数とEP |
| 値幅の反映 | なし | あり | あり(価格の水準) | あり |
| 表示 | 0〜100の2本の線 | 3本の線 | 価格に重ねる3本の線 | 価格に重ねるドット |
| 主な用途 | トレンドの有無・方向 | トレンドの強さ・方向 | ブレイクの判断 | 損切り・転換の目安 |
DMI・ADX、ドンチャンチャネル、パラボリックSARについては、別の記事で解説しています。
使い方
1. トレンドの有無を確認する
アップとダウンが、上下を繰り返している間は、レンジと見て、順張りを見送る、という使い方です。どちらかが100付近に張り付き、もう一方が低いままなら、トレンドが出ていると見ます。
2. 2本の交差を、転換の目安にする
アルーン・アップが、アルーン・ダウンを下から上に抜けたら、上昇への転換の目安、反対なら、下降への転換の目安とします。ただし、レンジでは、交差が頻発するため、アップが70以上になっているか、など、条件を加えることが、多いです。
計算例:交差後の押し目買い
アルーン・アップが、ダウンを上抜けて、70を超えた足の終値が150.85円だったとします。直近安値は150.40円、直近高値は151.45円です。損切りは直近安値(150.40円)、利益確定は、直近高値(151.45円)とします。
条件を確認した足の終値(150.85円)で買う場合
エントリー 150.85円、損切り 150.40円、利確 151.45円
リスク = 150.85 − 150.40 = 0.45円(45pips)
リワード = 151.45 − 150.85 = 0.60円(60pips)
リスクリワード比 = 60 ÷ 45 ≒ 1.3
150.60円まで押したところで、指値で買う場合
エントリー 150.60円、損切り 150.40円、利確 151.45円
リスク = 150.60 − 150.40 = 0.20円(20pips)
リワード = 151.45 − 150.60 = 0.85円(85pips)
リスクリワード比 = 85 ÷ 20 = 4.25 ≒ 4.3
押しを待つほうが、リスクリワード比は良くなります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。ただし、押さずに上がると、エントリーできません。また、押しが深くなって、150.40円を割ると、損切りになります。条件を確認した足で入る場合は、エントリーできないリスクは、ありませんが、リスクリワード比は、下がります。アルーンの線は、足が進むごとに変わるため、条件が崩れていないか、見直す必要があります。
3. 他の指標と組み合わせる
アルーンは、「方向と、トレンドの有無」を見るもので、「強さ」や「損切りの位置」は、示しません。ADXで強さを、ATRやスーパートレンドで、損切りの位置を、補うことが、多いです。スーパートレンドについては、別の記事で解説しています。
注意点
1. 値幅を、見ていない
1pipsだけ高値を更新しても、50pips更新しても、「更新した」ことに、変わりはありません。小さな更新が続くだけで、アップが高く保たれることが、あります。値幅は、別の指標で、確認しましょう。
2. レンジでは、2本が頻繁に交差する
価格が上下を繰り返すレンジでは、アップとダウンが、何度も入れ替わります。図の右側が、その例です。交差のたびに売買すると、小さな損失が重なります。
たとえば、レンジで、交差ごとに平均25pipsの損失が、4回続くと、合計100pipsの損失です。その後のトレンドで、1回の利益が120pipsなら、合計は+20pips、80pipsなら、合計は−20pipsです。この数字は、あくまで例ですが、レンジの損失を、トレンドの利益で取り返せるかは、状況によって変わります。相場がトレンドか、レンジかを、まず確認しましょう。環境認識については、別の記事で解説しています。
3. 数値が、階段状に下がる
更新が止まると、アルーンは、1本ごとに(100 ÷ N)ずつ、機械的に下がります。価格が、ほとんど動いていなくても、数値は下がるため、数値の下落を、そのまま「トレンドが弱まった」と、判断しないように、注意しましょう。
4. 期間によって、見え方が変わる
期間を短くすると、反応は早く、ダマシも増え、長くすると、反応は遅く、ダマシは減ります。他人のチャートと、そのまま比べないようにしましょう。
5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
急変動で、一気に高値・安値を更新して、アルーンが100になることが、あります。その後の動きも大きくなるため、注意が必要です。
6. 足が確定するまで、分からない
進行中の足で、高値・安値を更新したように見えても、確定までに戻ることがあります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
アルーンが100なら、強いトレンドだと考える
100は、「今の足で、高値を更新した」という意味で、値幅や、強さは、示しません。
アップが高いときに、天井を予測する
アルーンは、トレンドが「出ている」ことを、遅れて知らせるものです。反転の予測には、向いていません。
交差のたびに、売買する
レンジでは、ダマシが続き、損失が重なります。トレンドがあるかを、先に確認しましょう。
設定を、頻繁に変える
結果が悪いたびに、設定を変えると、過去のチャートに合わせただけになり、将来には通用しにくくなります。
検証せずに、使う
「アルーンの交差で売買すれば勝てる」と聞いても、実際の確率は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- アルーンは、直近の最高値・最安値を、何本前に付けたかをもとに、トレンドの有無と方向を、0〜100で示す指標。シャンデ氏が考案した
- アルーン・アップ = (N − 最高値からの本数)÷ N × 100。ダウンは、最安値で同様に計算。一般的な期間は25
- アップが高くダウンが低ければ上昇、反対なら下降。2本が上下を繰り返すときは、レンジ
- 値幅は、数値に反映されない。更新が止まると、数値は機械的に下がる
- 交差後の押し目買いでは、指値のほうがリスクリワード比は良くなるが、エントリーできないこともある
- レンジでは、交差が頻発し、小さな損失が重なる
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
