アンドリューズ・ピッチフォークとは
アンドリューズ・ピッチフォークとは、チャート上の3つの点(安値・高値・安値、または、高値・安値・高値)から、「中央線」と、それに平行な「上側ライン」「下側ライン」の3本を引いて、トレンドの流れと、価格が反応しやすい位置を示す、ライン系のテクニカル分析手法です。アラン・アンドリューズ氏が広めたものとして知られています。3本のラインが、熊手(ピッチフォーク)の形に見えることが、名前の由来です。通常のトレンドラインが「2点」で引くのに対し、ピッチフォークは「3点」で引くため、トレンドの傾きに加えて、その中心となるラインも、示せるのが、特徴です。
| 内容 | |
|---|---|
| P1 | 起点(上昇なら、安値) |
| P2 | P1から動いた先の、反対側の極値(上昇なら、高値) |
| P3 | P2のあとの、戻りの極値(上昇なら、押しの安値) |
| 中央線 | P1から、P2とP3の中点を通る線 |
| 上側ライン | P2を通り、中央線に平行な線 |
| 下側ライン | P3を通り、中央線に平行な線 |

引き方・計算方法
① P1(起点)、P2(次の極値)、P3(その後の戻りの極値)を選ぶ
② P2とP3を結んだ線分の「中点」を求める
中点の時間 = (P2の時間 + P3の時間)÷ 2
中点の価格 = (P2の価格 + P3の価格)÷ 2
③ P1から中点に向けて、線を引いて、先まで伸ばす → 中央線
④ P2を通り、中央線と平行な線を引く → 上側ライン
⑤ P3を通り、中央線と平行な線を引く → 下側ライン
上昇の場合は、P1が安値、P2が高値、P3が押しの安値です。下降の場合は、すべて上下を逆にします(P1が高値、P2が安値、P3が戻りの高値)。
計算例:3点から、3本のラインを計算する
3つの点を、次のとおりとします(例の数値です。時間は、足の本数で表します)。
| 点 | 時間 | 価格 |
|---|---|---|
| P1(安値) | 0本目 | 150.00円 |
| P2(高値) | 10本目 | 151.00円 |
| P3(押しの安値) | 16本目 | 150.40円 |
中点の時間 = (10 + 16)÷ 2 = 13本目
中点の価格 = (151.00 + 150.40)÷ 2 = 150.70円
中央線の傾き = (150.70 − 150.00)÷ 13 ≒ 0.0538円/本(約5.4pips/本)
中央線(t本目)= 150.00 + 0.0538 × t
上側ライン(t本目)= 151.00 + 0.0538 × (t − 10)
下側ライン(t本目)= 150.40 + 0.0538 × (t − 16)
20本目、30本目の、3本のラインの価格は、次のとおりです。
| 20本目 | 30本目 | |
|---|---|---|
| 上側ライン | 151.538円 | 152.077円 |
| 中央線 | 151.077円 | 151.615円 |
| 下側ライン | 150.615円 | 151.154円 |
中央線と、上側・下側ラインの距離は、どの時点でも、同じ(約46pips)です。これは、P2とP3が、中点を挟んで、中央線から、同じ距離にあるためです。ラインは、時間とともに、1本あたり約5.4pipsずつ上がっていくため、「ある価格」ではなく、「ある時間の、ある価格」で、位置が決まります。
計算例:P3の選び方で、ラインが動く
同じP1・P2で、P3だけを、150.55円(15pips高い)に、変えた場合です。
中点の価格 = (151.00 + 150.55)÷ 2 = 150.775円
中央線の傾き = (150.775 − 150.00)÷ 13 ≒ 0.0596円/本(約6.0pips/本)
30本目の下側ライン ≒ 151.385円
P3を15pips変えるだけで、30本目の下側ラインは、151.154円から、151.385円へ、約23pips動きます。3点の選び方で、ラインが変わるため、「どの点を選ぶか」が、判断の中心になります。
見方
ピッチフォークでは、次のような考え方が、よく使われます(必ず、そうなるわけでは、ありません)。
・価格は、中央線の方向へ戻りやすい(中央線が、価格の「中心」になる)
・上昇トレンドでは、下側ラインが、押しの支え(サポート)になりやすい
・中央線に届かずに反転した場合は、トレンドが弱まっている可能性
・中央線を越えて、上側ラインまで伸びた場合は、勢いが強い可能性
・下側ラインを割り込んだ場合は、トレンドの転換や、傾きの変化の可能性
他の指標との違い
| アンドリューズ・ピッチフォーク | 通常のチャネルライン | 回帰トレンド(標準偏差チャネル) | |
|---|---|---|---|
| 引く点の数 | 3点 | 2点(+平行線の1点) | 期間(N本)を指定 |
| 中心のライン | あり(中央線) | なし | あり(回帰直線) |
| 幅の決まり方 | P2・P3で決まる | 自分で決める | 標準偏差で決まる |
| 引き方 | 人が決める(裁量) | 人が決める(裁量) | 計算で、機械的に決まる |
回帰トレンド、標準偏差チャネルについては、別の記事で解説しています。
使い方
1. トレンドの傾きと、方向を確認する
中央線の傾きが、そのトレンドの「平均的な傾き」です。価格が、下側ラインと中央線の間にあるあいだは、上昇の流れが続いていると、見ます。
2. 下側ライン・中央線を、売買の目安にする
上昇トレンドでは、下側ラインで反発したところを、買いの目安、中央線を、利益確定の目安にする、といった使い方です。
3. ブレイクを確認する
価格が、下側ラインを割り込んで、戻らない場合は、トレンドが変わった可能性として、見ます。
計算例:下側ラインでの押し目買い
上の例で、30本目の足です。下側ラインは151.154円、中央線は151.615円です。損切りは、下側ラインの少し下(151.00円)、利益確定は、中央線(151.60円)とします。計算を簡単にするため、ラインの価格は、そのまま固定して計算します。
下側ライン付近(151.15円)に、指値で買う場合
エントリー 151.15円、損切り 151.00円、利確 151.60円
リスク = 151.15 − 151.00 = 0.15円(15pips)
リワード = 151.60 − 151.15 = 0.45円(45pips)
リスクリワード比 = 45 ÷ 15 = 3.0
反発が確認された足の終値(151.30円)で買う場合
エントリー 151.30円、損切り 151.00円、利確 151.60円
リスク = 151.30 − 151.00 = 0.30円(30pips)
リワード = 151.60 − 151.30 = 0.30円(30pips)
リスクリワード比 = 30 ÷ 30 = 1.0
ライン付近で買うと、リスクリワード比は良くなります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。ただし、ラインの手前で反発すると、エントリーできません。反発を確認してから入るほうが、ダマシは減りやすい一方、リスクリワード比は、1.0まで下がります。この場合は、目標を、上側ライン方向に広げるか、見送る判断も、必要です。また、ラインは、1本あたり約5.4pipsずつ動くため、指値や、損切り・目標の価格は、時間が進むごとに、引き直す必要があります。
注意点
1. 3点の選び方で、ラインが変わる
どの高値・安値を、P1・P2・P3にするかは、人によって異なります。前の例のとおり、P3が15pips違うだけで、ラインは、約23pips動きます。選び方のルールを、先に決めておかないと、後から、都合の良い点を選ぶことに、なりかねません。ジグザグ、フラクタルについては、別の記事で解説しています。
2. P3は、あとからでないと、決まらない
P3(押しの安値)は、価格が、そこから反発して、初めて「押しの安値だった」と、分かります。リアルタイムで、ピッチフォークを引く時点では、P3は、まだ確定していません。過去のチャートに引くと、きれいに見えるが、同じタイミングでは、引けないことに、注意が必要です。
3. 新しい高値・安値で、引き直しが必要になる
新しい高値・安値(P2・P3の候補)が出ると、ラインを引き直すことが、あります。引き直すたびに、ラインの位置が変わるため、以前のラインで立てた、売買の計画も、見直す必要があります。
4. 価格がラインを守る保証はない
「中央線に戻りやすい」「下側ラインで支えられやすい」は、あくまで、考え方です。ラインを、あっさり割り込むことも、中央線に、届かないまま反転することも、あります。
たとえば、下側ラインでの買いが、ラインを割って、平均30pipsの損失になる場面が、3回続くと、合計90pipsの損失です。その後の上昇で、1回の利益が110pipsなら、合計は+20pips、60pipsなら、合計は−30pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
急変動で、一気にラインを突き抜けることが、あります。その後の動きも大きくなるため、注意が必要です。
6. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、ラインに触れたように見えても、確定までに戻ることがあります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
ラインを、絶対的なサポート・レジスタンスと考える
ピッチフォークのラインは、「意識されやすい目安」で、必ず、そこで反転するものでは、ありません。
引きやすい点を、適当に選ぶ
P1・P2・P3は、選び方のルールを決めて、一貫して使うことが、大切です。形がきれいになるように、後から、点を選ぶと、将来には通用しません。
引いたラインを、そのまま放置する
新しい高値・安値が出れば、引き直しが必要になることが、あります。ラインの価格は、時間とともに変わることも、忘れずに。
ラインの数を、増やしすぎる
複数のピッチフォークを、重ねて引くと、ラインだらけになり、判断が散らかります。まずは、1つの、大きな流れに、絞ることが、おすすめです。
検証せずに、使う
「中央線に、必ず戻る」と聞いても、実際の確率は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- アンドリューズ・ピッチフォークは、3つの点(P1・P2・P3)から、中央線と、上側・下側の平行線の3本を引き、トレンドの流れと反応しやすい位置を示す手法
- 中央線 = P1から、P2とP3の中点を通る線。上側ライン = P2を通る平行線。下側ライン = P3を通る平行線
- 例(P1 = 150.00円、P2 = 151.00円、P3 = 150.40円)では、中央線の傾きは約5.4pips/本、上下のラインは中央線から約46pips離れる
- P3を15pips変えると、30本目の下側ラインは、約23pips動く
- 下側ラインでの押し目買いでは、指値のほうがリスクリワード比は良くなるが、エントリーできないこともある
- ラインは、時間とともに動く。3点の選び方で変わり、P3はあとからでないと決まらない
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
