ゴールデンクロスとデッドクロスとは
ゴールデンクロスとは、短い期間の移動平均線が、長い期間の移動平均線を、下から上へ抜けることです。デッドクロスとは、反対に、短い期間の移動平均線が、長い期間の移動平均線を、上から下へ抜けることです。移動平均線を使った、最も有名なサインの1つで、ゴールデンクロスは上昇の始まり、デッドクロスは下落の始まりの目安として、広く知られています。

| ゴールデンクロス | デッドクロス | |
|---|---|---|
| 動き | 短期線が、長期線を下から上へ抜ける | 短期線が、長期線を上から下へ抜ける |
| 意味 | 上昇への転換、または上昇の再開の目安 | 下落への転換、または下落の再開の目安 |
| 英語名 | Golden Cross | Dead Cross(Death Cross) |
短期線とは、期間の短い移動平均線、長期線とは、期間の長い移動平均線です。短期線は、価格に近く、敏感に動き、長期線は、ゆっくり動きます。移動平均線(SMA)、指数平滑移動平均線(EMA)については、別の記事で解説しています。
なぜ、交差がサインになるのか
下降が続いたあと、価格が下げ止まる
→ 価格に近い短期線が、先に上向きに変わる
→ 動きの遅い長期線は、まだ下向き、または横ばい
→ 短期線が、長期線を下から上へ抜ける(ゴールデンクロス)
→ 直近の平均が、長い期間の平均を上回った = 買い優勢に変わった
直近の平均価格が、長い期間の平均価格を上回ったことを、「勢いの向きが変わった」と見ます。デッドクロスは、この逆です。
よく使われる組み合わせ
| 組み合わせ | 特徴 | 主な見方 |
|---|---|---|
| 5本 と 25本 | 日本の日足でよく使われる | 短期〜中期の転換 |
| 25本 と 75本 | 日本で、よく使われる | 中期の転換 |
| 50本 と 200本 | 世界的に有名。日足では、交差は少ない | 長期の転換。大きな方向の変化 |
| 12本 と 26本(EMA) | MACDで使われる期間 | 短期の勢い |
期間が長い組み合わせほど、サインの数は少なく、遅く、そのぶん、ダマシも少ない傾向があります。期間が短いほど、サインは多く、早く、ダマシも多いです。どの組み合わせが最適かは、通貨ペア・時間足・相場の状況で変わります。決まった正解はありません。
判定の方法
終値ベースの移動平均線で、「短期線 − 長期線」の差の、符号が変わったときが、交差です。
差 = 短期線 − 長期線
差が、マイナスからプラスに変わった → ゴールデンクロス
差が、プラスからマイナスに変わった → デッドクロス
計算例:3本と5本のSMAの交差
手計算しやすいように、3SMAと5SMAの交差を、見ます(実際には、もっと長い期間を使います)。
| 足 | 終値 | 3SMA(短期) | 5SMA(長期) | 差(3SMA − 5SMA) |
|---|---|---|---|---|
| 1本目 | 150.40円 | — | — | — |
| 2本目 | 150.30円 | — | — | — |
| 3本目 | 150.20円 | 150.300円 | — | — |
| 4本目 | 150.15円 | 150.217円 | — | — |
| 5本目 | 150.12円 | 150.157円 | 150.234円 | −7.7pips |
| 6本目 | 150.20円 | 150.157円 | 150.194円 | −3.7pips |
| 7本目 | 150.35円 | 150.223円 | 150.204円 | +1.9pips |
| 8本目 | 150.50円 | 150.350円 | 150.264円 | +8.6pips |
| 9本目 | 150.62円 | 150.490円 | 150.358円 | +13.2pips |
| 10本目 | 150.70円 | 150.607円 | 150.474円 | +13.3pips |
【6本目】3SMA 150.157円 < 5SMA 150.194円(差 −3.7pips)
【7本目】3SMA 150.223円 > 5SMA 150.204円(差 +1.9pips)
→ 7本目で、差がマイナスからプラスに変わった = ゴールデンクロス
この例で、価格の底(終値の最安値)は5本目の150.12円でした。ゴールデンクロスが確定した7本目の終値は150.35円で、底から23pips上がったあとです。交差は、底を知らせるサインではなく、底から上がり始めたことを、遅れて知らせるサインだと、分かります。
他の見方との違い
| ゴールデンクロス・デッドクロス | 価格と移動平均線の交差 | パーフェクトオーダー | |
|---|---|---|---|
| 比べるもの | 短期線と長期線(2本の平均線) | 価格と1本の平均線 | 3本以上の平均線の並び |
| サインの数 | 少なめ | 多い | 少ない |
| 遅れ | 大きい | 小さい | 大きい |
| 主な用途 | トレンドの転換・開始の確認 | 短期の押し引き | トレンドが成熟している確認 |
ゴールデンクロス・デッドクロスは、「トレンドが変わった」と確認するために、使われることが多いです。パーフェクトオーダーについては、別の記事で解説しています。
使い方
1. 交差の向きを、トレンドの確認に使う
長期線も、上向きに変わっている場合の、ゴールデンクロスは、より信頼されやすいと考えられます。長期線が下向きのままの、ゴールデンクロスは、一時的な戻りに、とどまることも多いです。長期線の傾きも、あわせて見ましょう。
2. 交差のあと、すぐに入らず、位置を確認する
交差した時点では、すでに価格が大きく動いたあとです。損切りを置く位置が遠くなり、リスクリワード比が悪くなりやすいです。
計算例:交差のタイミングによる違い
上の例のゴールデンクロスが、下降トレンドの安値圏で出たとします。損切りは、底(終値の最安値150.12円)の5pips下(150.07円)、利益確定は150.95円とします。底を割ると、「底打ち」という前提が崩れるためです。
ゴールデンクロスが出た7本目の終値(150.35円)で買う場合
エントリー 150.35円、損切り 150.07円、利確 150.95円
リスク = 150.35 − 150.07 = 0.28円(28pips)
リワード = 150.95 − 150.35 = 0.60円(60pips)
リスクリワード比 = 60 ÷ 28 ≒ 2.1
差が13pipsまで開いて、「勢いを確認」した9本目の終値(150.62円)で買う場合
エントリー 150.62円、損切り 150.07円、利確 150.95円
リスク = 150.62 − 150.07 = 0.55円(55pips)
リワード = 150.95 − 150.62 = 0.33円(33pips)
リスクリワード比 = 33 ÷ 55 = 0.6
確認を待つと、ダマシは減りますが、リスクリワード比は大きく悪化します(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。交差の直後に入ると、リスクリワード比は良いですが、ダマシにかかりやすくなります。どちらを取るかは、考え方次第で、「交差は遅いサイン」であることを、前提にします。
3. 他の根拠と組み合わせる
サポート・レジスタンスや、ローソク足の形、上位足の方向など、他の根拠と重なる場面の交差を、優先します。
注意点
1. サインが、遅い
短期線と長期線が交差するのは、価格が大きく動いたあとです。期間が長いほど、遅れは大きくなります。天井や底の予測には、向いていません。
2. レンジでは、ダマシが頻発する
価格が上下を繰り返すとき、短期線と長期線は、何度も交差します。図の右側の、レンジ部分では、ゴールデンクロスとデッドクロスが、交互に出ていることが、分かります。交差のたびに売買すると、小さな損失が重なります。相場がトレンドか、レンジかを、まず確認しましょう。環境認識については、別の記事で解説しています。
3. 「みんなが見ている」ことに、頼りすぎない
有名なサインのため、多くの参加者が意識すると、言われます。ただし、それで必ず機能するわけではありません。ダマシも、よく出ます。
4. 期間によって、サインが変わる
期間を変えると、交差の位置も、回数も変わります。過去のチャートに合わせて、期間を何度も変えないことが、大切です。
5. 時間足で、意味が変わる
短い時間足の交差は、ノイズが多く、長い時間足の交差のほうが、意識されやすいと考えられます。
6. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、交差したように見えても、確定までに戻ることがあります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
ゴールデンクロスが出たら、必ず上がると考える
ゴールデンクロスは、「上昇が始まった可能性」を示すだけで、上昇の保証ではありません。
交差の直後に、すぐ飛びつく
すでに大きく動いたあとで、損切りが遠くなりやすいです。リスクリワード比を、計算しましょう。
レンジでも、交差をサインにする
傾きのない相場での交差は、ほとんど意味を持たず、ダマシが続きます。
長期線の向きを、見ない
長期線が逆向きのままの交差は、一時的な動きにとどまることが、多いです。
検証せずに、使う
「ゴールデンクロスで買えば勝てる」と聞いても、実際の確率は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- ゴールデンクロスは、短期線が長期線を下から上へ抜けること。デッドクロスは、上から下へ抜けること
- ゴールデンクロスは上昇、デッドクロスは下落の開始の目安。勢いの向きが変わったことを、遅れて知らせるサイン
- 期間が長い組み合わせほど、サインは少なく、遅く、ダマシも少ない。5と25、25と75、50と200がよく使われる
- 交差の直後に入ると、リスクリワード比は良いが、ダマシにかかりやすい。確認を待つと、ダマシは減るが、リスクリワード比は悪くなる
- レンジでは、交差が頻発し、ダマシが増える。まず、トレンドかレンジかを確認する
- 長期線の向きも、あわせて見る
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
