ハル移動平均線(HMA)とは?計算方法・見方・使い方

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ハル移動平均線(HMA)とは

ハル移動平均線(HMA:Hull Moving Average)とは、移動平均線の弱点である「遅れ」を、大きく減らすように工夫された移動平均線です。アラン・ハル氏が考案しました。加重移動平均線(WMA)を、3回組み合わせて計算することで、なめらかさを保ちながら、価格の動きに素早く追従します。

SMAやEMAは、トレンドの転換を知るのが遅いという弱点があります。HMAは、その遅れをほとんどなくすことを目指した線です。SMA、EMA、WMAについては、別の記事で解説しています。

項目内容
英語名Hull Moving Average(HMA)
考案者アラン・ハル氏
計算に使う値終値(設定で、他の価格に変えられる)
期間9、16、21、50など
特徴遅れが小さく、転換に素早く反応する。行き過ぎやすい

MT4・MT5には標準では入っていません。TradingViewには標準で入っており、MT4・MT5では、カスタムインジケーターとして追加して使うことが多いです。

計算方法

HMAは、次の3つのステップで計算します。

ステップ1:短い期間のWMAを2倍し、長い期間のWMAを引く
   差 = 2 × WMA(N÷2) − WMA(N)

ステップ2:その「差」を、期間 √N のWMAでなめらかにする
   HMA = WMA(差, √N)

N÷2、√Nは、四捨五入して整数にします。

期間NN÷2√N
422
94〜53
1684
2512〜135
4924〜257

ステップ1の「2 × 短いWMA − 長いWMA」は、遅れを打ち消す働きをします。短いWMAのほうが、価格に近く動くため、そのぶんを強調して、長いWMAの遅れを取り除く考え方です。ただし、行き過ぎが生じるため、ステップ2でなめらかにします。

計算例:4本のHMA

期間N=4で、計算します(N÷2 = 2、√N = 2)。次の終値を使います。

足終値
1本目150.90円
2本目150.78円
3本目150.66円
4本目150.52円
5本目150.40円
【4本目】
2WMA = (150.52 × 2 + 150.66 × 1) ÷ 3 = 150.5667
4WMA = (150.52×4 + 150.66×3 + 150.78×2 + 150.90×1) ÷ 10 = 150.6520
差   = 2 × 150.5667 − 150.6520 = 150.4813

【5本目】
2WMA = (150.40 × 2 + 150.52 × 1) ÷ 3 = 150.4400
4WMA = (150.40×4 + 150.52×3 + 150.66×2 + 150.78×1) ÷ 10 = 150.5260
差   = 2 × 150.4400 − 150.5260 = 150.3540

【5本目のHMA】
HMA = (150.3540 × 2 + 150.4813 × 1) ÷ 3
    = 451.1893 ÷ 3
    ≒ 150.3964円(150.40円)

5本目の終値は150.40円で、HMA(4)は150.396円と、ほぼ同じです。同じ時点の4SMAは150.59円で、終値から19pips離れています。HMAは、価格にぴったり寄り添っていることが分かります。

遅れの大きさ

一定の傾きで動き続ける価格に対する、HMAの遅れは、おおよそ(√N − 2) ÷ 3本分です。

SMA :(N − 1) ÷ 2 本分
HMA :(√N − 2) ÷ 3 本分

N = 16 の場合
SMA = 15 ÷ 2 = 7.5本分
HMA = (4 − 2) ÷ 3 ≒ 0.7本分

N = 100 の場合
SMA = 99 ÷ 2 = 49.5本分
HMA = (10 − 2) ÷ 3 ≒ 2.7本分

期間が長くなっても、HMAの遅れは、ほとんど増えません。期間16なら、遅れは1本未満です。

SMAEMAWMAHMA
遅れ(期間16)7.5本7.5本5本約0.7本
転換への反応遅いやや速い速い最も速い
行き過ぎ(オーバーシュート)なしなしほぼなしあり
ダマシ比較的少ないやや多いやや多い多い

HMAの遅れが小さい理由は、「ステップ1で、価格を少し先取りする」ためです。その副作用で、価格が急に向きを変えると、HMAは行き過ぎて(オーバーシュート)から、戻ります。図の左側で、HMAが価格の底より下まで行ってから反転している部分が、これです。

計算例:価格への追従の差

下降から上昇に転じる場面で、4SMAと4HMAの値を、比べます。

足終値4SMA4HMA
7本目150.220円150.360円150.208円
8本目150.180円150.275円150.160円
9本目150.260円150.240円150.206円
10本目150.380円150.260円150.340円
11本目150.520円150.335円150.500円
【価格との差(11本目)】
4SMA:150.520 − 150.335 = 0.185円(18.5pips)
4HMA:150.520 − 150.500 = 0.020円(2.0pips)

【8本目のHMA】150.160円は、終値の最安値(150.180円)より下
→ 行き過ぎ(オーバーシュート)

11本目で、4HMAは価格との差が2pipsですが、4SMAは18.5pips離れています。また、8本目の4HMA(150.160円)は、期間中の最安値の終値(150.180円)を下回っており、行き過ぎが見られます。

移動平均線が示すこと

見るポイント内容
傾き右上がりなら上昇、右下がりなら下降の目安。向きの変化が、早い
向きが変わる位置価格の天井・底の近く
価格との位置価格に近いため、交差のサインにはなりにくい

HMAは、価格に非常に近く動くため、「価格がHMAの上か下か」より、「HMAが上向きか下向きか」で、見ることが多いです。

使い方

傾きの変化を、トレンド転換の目安にする

HMAが、下向きから上向きに変わることを、下降から上昇への転換の目安にします。SMAより、早く向きが変わるため、早めに気づける可能性があります。

計算例:エントリーの早さによる違い

上の例で、4HMAが上向きに変わったのは9本目、4SMAが上向きに変わったのは10本目でした。損切りは、それぞれの平均線の底の5pips下、利益確定は、下落の起点の150.90円とします。平均線が再び下を向くと、前提が崩れるためです。

4HMAが上向きになった9本目の終値(150.26円)で買う場合

HMAの底 150.160円 → 損切り 150.11円(5pips下)
エントリー 150.26円、損切り 150.11円、利確 150.90円
リスク   = 150.26 − 150.11 = 0.15円(15pips)
リワード = 150.90 − 150.26 = 0.64円(64pips)
リスクリワード比 = 64 ÷ 15 ≒ 4.3

4SMAが上向きになった10本目の終値(150.38円)で買う場合

SMAの底 150.240円 → 損切り 150.19円(5pips下)
エントリー 150.38円、損切り 150.19円、利確 150.90円
リスク   = 150.38 − 150.19 = 0.19円(19pips)
リワード = 150.90 − 150.38 = 0.52円(52pips)
リスクリワード比 = 52 ÷ 19 ≒ 2.7

HMAのほうが、早く入れて、リスクリワード比は良くなります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。ただし、HMAは行き過ぎやすいため、向きの変化が、そのまま転換とは限らず、すぐ元に戻ることがあります。早い反応は、ダマシと隣り合わせです。

長い期間の方向確認に使う

期間を長くしても、遅れが増えにくいため、長い期間のHMAを、トレンドの方向の確認に使う方法もあります。

注意点

1. 行き過ぎ(オーバーシュート)がある

価格が急に向きを変えたとき、HMAは価格を越えて行き過ぎます。HMAの天井・底を、そのまま、価格の天井・底と考えないようにしましょう。

2. レンジでは、ダマシが多い

価格が上下を繰り返すとき、HMAも細かく向きを変えます。レンジでは、向きの変化の多くが、ダマシになります。

3. 多くの人が見ているわけではない

SMAやEMAに比べて、HMAを使う人は少ないため、サポート・レジスタンスとして意識されにくい可能性があります。

4. ツールによって、計算の細部が違う

N÷2、√Nの丸め方や、WMAの扱いが、ツールによって違い、数値が少しずれることがあります。普段使うツールで、確認しましょう。

5. 期間に、魔法の数字はない

「この期間なら勝てる」というものは、ありません。過去のチャートで、通貨ペア・時間足ごとに確認することが大切です。

6. 足が確定するまで、分からない

進行中の足の終値は、確定するまで変わります。HMAの向きも、それにつれて変わるため、確定後に判断しましょう。

初心者が間違えやすいポイント

HMAなら、遅れがなく、勝てると考える

遅れが小さい分、行き過ぎやダマシが増えます。利益につながるかは、別です。

HMAの向きが変わったら、すぐに売買する

レンジでは、向きが細かく変わり続けます。相場がトレンドか、レンジかを、まず確認しましょう。

価格とHMAの交差を、売買のサインにする

HMAは価格に近いため、交差は頻繁に起こります。交差のたびに売買すると、損失が重なります。

期間を、頻繁に変える

結果が悪いたびに、期間を変えると、過去のチャートに合わせただけになり、将来には通用しにくくなります。

検証せずに、使う

「HMAは転換が早い」と聞いても、実際に利益につながるかは、通貨ペア・時間足・相場の状況で変わります。自分で、確認しましょう。

まとめ

  • HMAは、WMAを3回組み合わせて、遅れを小さくした移動平均線。HMA = WMA(2 × WMA(N÷2) − WMA(N)、√N)
  • 遅れは、おおよそ(√N − 2) ÷ 3本。期間を長くしても、ほとんど増えない
  • 転換に素早く反応するが、行き過ぎ(オーバーシュート)があり、ダマシも多い
  • 「価格との交差」より、「HMAの向きの変化」を、転換の目安にする
  • 早く入るほど、リスクリワード比は良くなるが、ダマシのリスクも上がる
  • レンジでは、向きの変化の多くがダマシになる
  • 単独では判断できない。必ず機能するわけではない

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。

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