メリマンサイクルのトランスレーションとは?山の位置で、周期の強さを見る

目次

トランスレーションとは

トランスレーション(Translation)とは、1つのサイクル(周期)の中で、山(高値)が、周期の「中心」より、前にあるか、後ろにあるかを見る考え方です。山が、中心より後ろにある形を「右寄り(右へのトランスレーション)」、前にある形を「左寄り(左へのトランスレーション)」と呼びます。

メリマン(Raymond A. Merriman)の公式サイトの用語集では、強気相場を「同じ種類の周期の、高値と安値が、連続して、切り上がる」状態とし、「プライマリーサイクルの、右へのトランスレーションの形」と、説明しています。弱気相場は、「高値と安値が、連続して、切り下がる」状態とし、「左へのトランスレーションの形」と、説明しています。

メリマンサイクル理論の全体(PC・MC・TCの本数、窓の出し方)は、別の記事で解説しています。この記事では、トランスレーションの「測り方」と、「安値との関係」、「延長・短縮との関係」に、絞ります。

右寄り(右へのトランスレーション)左寄り(左へのトランスレーション)
山の位置周期の中心より、後ろ周期の中心より、前
公式サイトの説明強気相場の形弱気相場の形
次の安値の見方(解説による)起点の安値より、上になりやすい起点の安値を、割りやすい

「なりやすい」は、考え方で、必ず、そうなるわけでは、ありません。

上の図は、説明のために作った例です。どちらも、4時間足の70本の周期で、中心は35本目です。上段は、山が44本目(中心より後ろ)で、次の安値が、起点の安値より、上になりました。下段は、山が22本目(中心より前)で、次の安値が、起点の安値を割りました。実際の相場が、このようにきれいに動くことは、少ないです。

中心の求め方

周期の中心は、周期の長さを2で割った位置です。メリマンサイクルの本数の目安(別の記事で解説)から、中心の位置を出すと、次のようになります。

周期時間足と本数中心の位置
PC週足24〜35本12〜17.5本目
MC日足35〜45本17.5〜22.5本目
TC4時間足60〜80本30〜40本目
中心 = 周期の長さ ÷ 2
PC:24 ÷ 2 = 12 〜 35 ÷ 2 = 17.5
MC:35 ÷ 2 = 17.5 〜 45 ÷ 2 = 22.5
TC:60 ÷ 2 = 30 〜 80 ÷ 2 = 40

FXのサイクル分析を解説した、ある記事では、「70本の周期なら、中心は35本目で、36本目以降に山があれば右寄り、1〜34本目に山があれば左寄り」という例が、示されています。35本目ちょうどの扱いは、記載がありませんでした。この記事では、中心ちょうどは、「判断しない」として、扱います(例です)。

計算例

山の位置の割合

山の位置(%)= 山の本数 ÷ 周期の長さ × 100
右寄りの例:44 ÷ 70 ≒ 62.9 %(中心35本目より、9本後)
左寄りの例:22 ÷ 70 ≒ 31.4 %(中心35本目より、13本前)

50%より大きければ、右寄り、小さければ、左寄りです。50%に近いほど、判断が、難しくなります。

起点の安値との関係

例の価格は、次のとおりです(例の数値です)。

右寄りの例左寄りの例
起点の安値(0本目)149.50円149.50円
山150.80円(44本目)150.40円(22本目)
70本目の安値149.80円149.10円
右寄りの例
 上昇幅 = 150.80 − 149.50 = 1.30円(130pips)
 下落幅 = 150.80 − 149.80 = 1.00円(100pips) → 上昇幅の 100 ÷ 130 ≒ 76.9 %
 次の安値 − 起点の安値 = 149.80 − 149.50 = +0.30円(+30pips)(起点より上)

左寄りの例
 上昇幅 = 150.40 − 149.50 = 0.90円(90pips)
 下落幅 = 150.40 − 149.10 = 1.30円(130pips) → 上昇幅の 130 ÷ 90 ≒ 144.4 %
 次の安値 − 起点の安値 = 149.10 − 149.50 = −0.40円(−40pips)(起点より下)

右寄りの例では、下落幅が、上昇幅の約77%で止まり、起点の安値を、守りました。左寄りの例では、下落幅が、上昇幅の約144%と、上昇分を、すべて戻して、起点の安値を、割りました。この例は、見やすいように、作った数値です。実際の相場では、右寄りでも、起点の安値を割ることや、左寄りでも、割らないことが、あります。

山が、まだ確定していないとき

リアルタイムでは、周期の最終的な長さは、周期が、終わる(次の安値ができる)まで、分かりません。そのため、同じ山でも、周期の長さの見込みで、右寄りにも、左寄りにも、なります。TCの目安(60〜80本)で、山が36本目の場合を、計算します。

周期の長さが 60本のとき:中心 30本目 → 36 ÷ 60 = 60.0 %(右寄り)
周期の長さが 70本のとき:中心 35本目 → 36 ÷ 70 ≒ 51.4 %(右寄り。中心に近い)
周期の長さが 80本のとき:中心 40本目 → 36 ÷ 80 = 45.0 %(左寄り)

同じ36本目の山でも、60本なら右寄り、80本なら左寄りです。山の位置だけで、トランスレーションを、早めに、判断することは、できません。次の安値ができて、周期の長さが、決まってから、確定する、と考えます。

周期をまたいだ見方

メリマンの用語集には、「周期の方向は、通常、1つ上の周期が、どの局面にあるかで、決まる」という、趣旨の記載が、あります。トランスレーションも、1つ上の周期の流れと、合わせて見る、という考え方が、あります。ある解説では、上の周期(MC)が上昇のとき、TCが右寄りなら、押し目買いの候補、下降のとき、TCが左寄りなら、戻り売りの候補と、されています。

上の周期(MC)の流れ下の周期(TC)の山見方の例
上昇右寄り流れが、そろっている。押し目買いの候補
上昇左寄り上昇の勢いが、弱まった可能性。様子見や、利益確定を考える
下降左寄り流れが、そろっている。戻り売りの候補
下降右寄り下降の勢いが、弱まった可能性。様子見や、利益確定を考える

この表は、考え方の例で、決まったルールでは、ありません。メリマンの用語集は、プライマリーサイクルについて、右寄り・左寄りを、説明しています。MCやTCに、同じ見方を、当てはめるのは、この記事の考え方で、検証は、していません。マルチタイムフレーム分析は、別の記事で解説しています。

延長・短縮との関係

周期は、目安の本数より、長くなったり(延長)、短くなったり(短縮)、することが、あります。ある解説では、強いトレンドで、TCが80本を超えて、100本近くまで続く例や、重要な指標の発表で、60本に満たずに終わる例が、挙げられています。延長や短縮と判断する、具体的な超過本数の基準は、記載が、ありませんでした。

周期の長さが、変わると、中心の位置も、変わります。たとえば、TCが、60本で終わると見ていたときの中心は30本目、延長して、100本になると、中心は50本目です。

山が 44本目のとき
 周期が 70本:中心 35本目 → 44 ÷ 70 ≒ 62.9 %(右寄り)
 周期が 100本に延長:中心 50本目 → 44 ÷ 100 = 44.0 %(左寄り)

同じ44本目の山でも、周期が、延長すると、右寄りから、左寄りに、変わります。延長・短縮の可能性を、考えて、判断を、決めつけないことが、必要です。

基本の使い方

1. 周期の起点の安値を、決める

周期の始まりの安値(起点の安値)を、記録します。

2. 山ができたら、位置を測る

山が、できたら、起点から、山までの本数を、数え、周期の見込みの中心と、比べます。この時点では、仮の判断です。

3. 次の安値ができたら、確定する

次の安値ができて、周期の長さが、決まったら、山の位置の割合を、計算し、右寄りか、左寄りかを、確定します。

4. 起点の安値との関係を、確認する

次の安値が、起点の安値より、上か、下かを、確認します。

5. 損切りと、目標を決める

ある解説では、買いの損切りは、「起点の安値の少し下」、売りの損切りは、「周期の高値の少し上」に、置く考え方が、示されています。目標は、直前の山などと、する考え方が、あります。

計算例:右寄りの周期のあと、次の安値の窓で買う場合

右寄りの例(図の上段)の、70本目の安値149.80円付近で、買う場合を、計算します。損切りは、起点の安値149.50円の、5pips下の149.45円、目標は、直前の山150.80円とします(例の数値です。上の周期の方向は、上向きと、確認できているものとします)。

70本目の終値(149.80円)で買う場合(周期の安値をつけた足)

エントリー 149.80円、損切り 149.45円、利確 150.80円
リスク   = 149.80 − 149.45 = 0.35円(35pips)
リワード = 150.80 − 149.80 = 1.00円(100pips)
リスクリワード比 = 100 ÷ 35 ≒ 2.9

72本目(陽線)の終値(149.95円)で買う場合

エントリー 149.95円、損切り 149.45円、利確 150.80円
リスク   = 149.95 − 149.45 = 0.50円(50pips)
リワード = 150.80 − 149.95 = 0.85円(85pips)
リスクリワード比 = 85 ÷ 50 = 1.7

77本目の終値(150.15円)で買う場合(上昇が進んだのを確認)

エントリー 150.15円、損切り 149.45円、利確 150.80円
リスク   = 150.15 − 149.45 = 0.70円(70pips)
リワード = 150.80 − 150.15 = 0.65円(65pips)
リスクリワード比 = 65 ÷ 70 ≒ 0.9
エントリー価格リスクリワードリスクリワード比損益分岐の勝率
70本目の終値149.80円35pips100pips2.9約25.6%
72本目の終値149.95円50pips85pips1.7約37.0%
77本目の終値150.15円70pips65pips0.9約52.6%
損益分岐の勝率 = 1 ÷(1 + リスクリワード比)
リスクリワード比 2.9 → 1 ÷ 3.9 ≒ 25.6 %
リスクリワード比 1.7 → 1 ÷ 2.7 ≒ 37.0 %
リスクリワード比 0.9 → 1 ÷ 1.9 ≒ 52.6 %

この例の、損切り149.45円は、起点の安値(149.50円)の下に置いた位置です。図の下段(左寄り)の例では、価格は、70本目に149.10円まで下げ、起点の安値を、割っています。そのため、同じ149.45円の損切りは、その途中で、かかります。スプレッドや、約定のずれは、考慮していません。

確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります。確認が遅れて、リスクリワード比が、1を下回るときは、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。

注意点

1. 山の位置は、周期が終わるまで、確定しない

周期の長さが、決まるまで、山が、右寄りか、左寄りか、確定しません。山が、できた直後に、決めつけると、違う結果になることが、あります。

2. 延長・短縮で、判定が変わる

周期が、延長すると、中心が、後ろに動き、右寄りだった山が、左寄りに、変わることが、あります。

3. 中心に近い山は、判断しにくい

山の位置が、50%に近い(45〜55%など)ときは、わずかな違いで、判定が、変わります。この範囲の基準は、決まっていません。

4. 「起点の安値を守る・割る」は、必ず、そうなるわけではない

右寄りでも、起点の安値を割ることが、あり、左寄りでも、割らないことが、あります。あくまで、傾向の、考え方です。

5. 公式サイトの説明は、プライマリーサイクルについて

メリマンの用語集の、右寄り・左寄りの説明は、プライマリーサイクルについて、書かれています。MCやTCに、当てはめる使い方は、この記事の考え方で、検証していません。

6. ブローカーによって、足の区切りが違う

ブローカーによって、サーバー時間が違い、4時間足や、日足の区切りが、違います。そのため、同じ周期でも、山の本数が、前後することが、あります。レートも、違うため、山や安値の位置が、微妙に、違うことが、あります。

7. ダマシ・負けが、続くことがある

たとえば、70本目の終値(149.80円)で買い、損切り149.45円にかかる場合、損失は35pipsです。これが3回続くと、合計−105pipsです。その後の1回の利益が、100pipsなら、合計は−5pips、140pipsなら、+35pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。

初心者が間違えやすいポイント

山ができた直後に、決めつける

周期の長さが、決まるまで、仮の判断です。次の安値ができるまで、待ちましょう。

「右寄りなら、必ず、上がる」と考える

右寄りでも、次の安値が、起点を割ることが、あります。損切りを、先に、決めておきましょう。

時間足を、混ぜて、中心を測る

TCの山は、4時間足の本数、MCの山は、日足の本数で、測ります。時間足を、混ぜると、中心の位置が、ずれます。

周期の長さを、固定して、考える

延長・短縮で、周期の長さは、変わります。中心の位置も、変わります。

検証せずに、使う

「右寄りは強気」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。

まとめ

  • トランスレーションは、周期の中で、山が、中心より、後ろ(右寄り)か、前(左寄り)かを、見る考え方
  • メリマンの用語集では、強気相場は、右へのトランスレーション、弱気相場は、左へのトランスレーションの形と、説明されている
  • 中心は、周期の長さ ÷ 2。PCは12〜17.5本目、MCは17.5〜22.5本目、TCは30〜40本目
  • 例(TC・70本の周期)では、山の位置は、右寄りが62.9%(44本目)、左寄りが31.4%(22本目)
  • 例では、右寄りは、次の安値が、起点より+30pips上、左寄りは、−40pips下
  • 周期の長さが決まるまで、確定しない。山が36本目なら、60本の周期では60.0%(右寄り)、80本では45.0%(左寄り)
  • 延長すると、判定が変わる。44本目の山は、70本の周期なら62.9%(右寄り)、100本に延長すると44.0%(左寄り)
  • 例では、70本目の終値(2.9)、72本目の終値(1.7)、77本目の終値(0.9)の順に、リスクリワード比が下がる。損益分岐の勝率は、約25.6%・約37.0%・約52.6%(スプレッド除く)
  • 公式サイトの説明は、プライマリーサイクルについて。MCやTCへの当てはめは、検証していない
  • 単独では判断できない。必ず機能するわけではない

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。チャート分析の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。

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