BOS・CHoCHとは
BOS(ボス)とCHoCH(チョック)は、スマートマネー系(SMC・ICT)の手法で使われる言葉で、相場の「構造(ストラクチャー)」、つまり、高値と安値の並び方が、続いているのか、変わったのかを、見るためのものです。
BOSは、「Break of Structure(ブレイク・オブ・ストラクチャー)」の略で、今の流れと、同じ方向に、直前の高値(安値)を、超えることです。流れが「継続している」サイン、と考えます。CHoCHは、「Change of Character(チェンジ・オブ・キャラクター)」の略で、今の流れと、逆の方向に、直前の安値(高値)を、超える、最初の動きです。流れが「変わるかもしれない」最初のサイン、と考えます。
呼び方や、定義の細部は、解説書によって、違います。たとえば、「MSS(マーケット・ストラクチャー・シフト)」という言葉が、CHoCHと、ほぼ同じ意味で、使われることが、あります。また、BOSを、流れの継続だけでなく、転換の動きにも、使う解説も、あります。以下では、よく紹介される、考え方の一例を、使います。
上昇の流れ:高値と安値が、切り上がる(HH・HL)
BOS = 直前の高値を超える(流れの継続)
CHoCH = 直前の押し安値を割る(流れの転換の、最初のサイン)
下降の流れ:高値と安値が、切り下がる(LH・LL)
BOS = 直前の安値を割る
CHoCH = 直前の戻り高値を超える

上の図は、上昇の流れで、高値と安値が、切り上がっている例です。①②は、直前の高値(H1・H2)を、終値で超えているため、BOS(流れの継続)です。その後、③で、直前の押し安値(L3)を、終値で割っているため、CHoCH(流れの転換の、最初のサイン)です。この図は、説明のために作った例で、実際の相場が、このように、きれいに動くことは、少ないです。
スイングの高値・安値
BOSとCHoCHは、「直前の高値・安値」を、基準にします。この、「直前の高値・安値」を、スイングの高値・安値と、呼びます。スイングの高値は、前後の、数本の足より、高い高値で、スイングの安値は、前後の、数本の足より、低い安値です。
何本を、基準にするかで、スイングの数が、変わります。本数を、少なくすると、小さな、スイングも、拾い、本数を、多くすると、大きな、スイングだけを、拾います。使う本数を、決めて、後から、変えないようにしましょう。
計算例
スイングの値と、動きの大きさ
図の例の、スイングの高値・安値は、次のとおりです(例の数値です)。
| 点 | 価格 | 前のスイングとの差 |
|---|---|---|
| L1(安値) | 148.80円 | — |
| H1(高値) | 149.60円 | L1から+80pips |
| L2(安値) | 149.10円 | H1から−50pips |
| H2(高値) | 150.00円 | L2から+90pips |
| L3(安値) | 149.50円 | H2から−50pips |
| H3(高値) | 150.40円 | L3から+90pips |
H1 → L2 の戻し = 149.60 − 149.10 = 0.50円(50pips)
上昇(L1→H1)の 0.50 ÷ 0.80 = 62.5 % 戻し
H2 → L3 の戻し = 150.00 − 149.50 = 0.50円(50pips)
上昇(L2→H2)の 0.50 ÷ 0.90 ≒ 55.6 % 戻し
高値(H1<H2<H3)と、安値(L1<L2<L3)が、切り上がっているため、上昇の流れ、と見ます。
BOSとCHoCHの、判定
終値で、基準を超えたか、で判定する場合を、考えます(例の数値です)。
| 出来事 | 基準 | 終値 | 超えた幅 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| ① | H1:149.60円 | 149.72円 | +12pips | BOS(継続) |
| ② | H2:150.00円 | 150.12円 | +12pips | BOS(継続) |
| ③ | L3:149.50円(押し安値) | 149.38円 | −12pips | CHoCH(転換の最初のサイン) |
① 149.72 − 149.60 = 0.12円(12pips)
② 150.12 − 150.00 = 0.12円(12pips)
③ 149.50 − 149.38 = 0.12円(12pips)
「終値」と「ヒゲ」で、判定が変わる
同じ足でも、「終値」で判定するか、「ヒゲ」で判定するかで、結果が変わります(例の数値です)。
基準:L3 = 149.50円
ある足:安値 149.48円、終値 149.55円
終値で判定 → 149.55 > 149.50 → CHoCH ではない
ヒゲで判定 → 149.48 < 149.50 → CHoCH とする
ヒゲで判定すると、サインが、早く出る反面、ダマシも、増えやすいと、考えられます。どちらを使うかを、決めておく必要が、あります。
他の考え方との違い
| CHoCH | ダウ理論の、トレンド転換 | BOS | |
|---|---|---|---|
| 条件 | 直前の押し安値(戻り高値)を、超える | 高値・安値の、両方が、切り下がる(切り上がる) | 直前の高値(安値)を、超える |
| 出るタイミング | 早い | 遅い | 流れの継続中 |
| ダマシ | 多い、と考えられる | 比較的、少ない、と考えられる | ブレイクの、失敗がある |
| 意味 | 転換の可能性の、最初のサイン | 転換の、確認 | 継続の、サイン |
ダウ理論は、別の記事で解説しています。CHoCHは、ダウ理論の、トレンド転換の確認より、早く出る反面、単なる、押し(戻り)で、終わることも、多いと、考えられます。
基本の使い方
1. スイングの高値・安値を、決める
使う時間足と、スイングの基準(何本か)を、決め、チャートに、マークします。
2. 今の流れを、確認する
高値と安値が、切り上がっているか(上昇)、切り下がっているか(下降)を、確認します。
3. BOSで、継続を、確認する
流れと、同じ方向に、直前の高値(安値)を、超えたら、継続のサインと、見ます。
4. CHoCHで、転換の、最初のサインを、確認する
流れと逆の方向に、直前の押し安値(戻り高値)を、超えたら、転換の、最初のサインと、見ます。ただし、CHoCHの時点では、転換が、確定したとは、いえません。
5. 戻りを待つ
CHoCHの後、価格が、割った水準(L3など)まで、戻ってくる(リテスト)のを、待つ考え方が、あります。戻らずに、そのまま、動き続けることも、あります。
6. 損切りと、目標を決める
損切りは、CHoCHの後の、戻り高値の外側に、置く考え方が、あります。目標は、前のスイングの安値などと、する考え方が、あります。
計算例:CHoCHの後に、売る場合
図の例では、CHoCH(終値149.38円)の後、価格が、149.55円まで戻り、戻り高値は149.58円になりました(例の数値です)。損切りは、戻り高値の5pips上の149.63円、利益確定は、最初のスイング安値(L1)の148.80円とします。
割った水準(149.50円)への戻りに、指値で売る場合
エントリー 149.50円、損切り 149.63円、利確 148.80円
リスク = 149.63 − 149.50 = 0.13円(13pips)
リワード = 149.50 − 148.80 = 0.70円(70pips)
リスクリワード比 = 70 ÷ 13 ≒ 5.4
戻りが、押し戻されて、陰線が確定した足の終値(149.38円)で売る場合
エントリー 149.38円、損切り 149.63円、利確 148.80円
リスク = 149.63 − 149.38 = 0.25円(25pips)
リワード = 149.38 − 148.80 = 0.58円(58pips)
リスクリワード比 = 58 ÷ 25 ≒ 2.3
さらに下がって、L2(149.10円)も割ったことを確認した後の、149.05円で売る場合
エントリー 149.05円、損切り 149.63円、利確 148.80円
リスク = 149.63 − 149.05 = 0.58円(58pips)
リワード = 149.05 − 148.80 = 0.25円(25pips)
リスクリワード比 = 25 ÷ 58 ≒ 0.4
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 | 損益分岐の勝率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 戻りの指値 | 149.50円 | 13pips | 70pips | 5.4 | 約15.6% |
| 戻りの押し戻しを確認 | 149.38円 | 25pips | 58pips | 2.3 | 約30.3% |
| L2割れを確認 | 149.05円 | 58pips | 25pips | 0.4 | 約71.4% |
損益分岐の勝率 = 1 ÷(1 + リスクリワード比)
リスクリワード比 5.4 → 1 ÷ 6.4 ≒ 15.6 %
リスクリワード比 2.3 → 1 ÷ 3.3 ≒ 30.3 %
リスクリワード比 0.4 → 1 ÷ 1.4 ≒ 71.4 %
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。戻りの指値は、価格が、戻らずに、下落して、エントリーできないことも、あります。この例では、損切りが近く(13pips)、リスクリワード比が、高く見えますが、戻りが、149.63円を超えれば、すぐに、損切りに、かかります。確認が遅れて、リスクリワード比が、1を下回るときは、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。
注意点
1. CHoCHは、転換の確定では、ない
CHoCHは、「転換の最初のサイン」で、単なる、深い押し(戻り)で、終わることが、あります。CHoCHの後に、再び、元の方向へ、動くことも、多いと、考えられます。
2. 定義が、解説によって、違う
終値かヒゲか、BOSの範囲、MSSとの違いなど、解説書によって、異なります。使う基準を、決めて、後から、変えないようにしましょう。
3. スイングの取り方で、結果が変わる
スイングの基準(本数)を、変えると、BOSやCHoCHの、位置が、変わります。後から、都合のよい、スイングを、選ぶことは、簡単です。事前に、決めておく必要が、あります。
4. 時間足によって、見え方が違う
上位の時間足では、BOSでも、下位の時間足では、CHoCHに見える、ことが、あります。どの時間足の構造を、基準にするかを、決めましょう。
5. レンジでは、ダマシが、増える
方向感のない、レンジでは、BOSやCHoCHが、頻繁に、出て、ダマシが、増えます。
6. ダマシ・負けが、続くことがある
たとえば、CHoCHを使った売りが、損失40pipsで、5回続くと、合計−200pipsの損失です。その後の1回の利益が、250pipsなら、合計は+50pips、150pipsなら、合計は−50pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって、変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
7. 足が確定するまで、分からない
足の途中では、直前の安値を、割ったように見えても、確定する前に、戻ることが、あります。終値で判定する場合は、足が確定するまで、分からないことを、忘れないようにしましょう。
初心者が間違えやすいポイント
「CHoCHが出たら、トレンド転換」と考える
CHoCHは、転換の可能性を示す、最初のサインです。確定ではないため、損切りを、先に、決めておきましょう。
BOSとCHoCHを、混同する
BOSは、流れと、同じ方向の更新、CHoCHは、流れと、逆の方向の更新です。今の流れが、上昇か、下降かを、まず、確認しましょう。
小さなスイングで、判断する
小さなスイングの、BOSやCHoCHは、頻繁に、出て、意味が、薄くなります。スイングの大きさを、決めておきましょう。
後から、構造を、引き直す
結果を見てから、スイングを、引き直すと、すべてが、うまく見えます。リアルタイムで、基準を、守るようにしましょう。
検証せずに、使う
「CHoCHで、転換が、早く分かる」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・ルールの組み合わせで、変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- BOSは、流れと同じ方向に、直前の高値(安値)を、超えること(継続)。CHoCHは、流れと逆の方向に、直前の押し安値(戻り高値)を、超える、最初の動き(転換の最初のサイン)
- 基準は、スイングの高値・安値。終値で判定するか、ヒゲで判定するかで、結果が変わる
- 例では、H1(149.60円)・H2(150.00円)を終値で超えてBOS、L3(149.50円)を終値149.38円で割ってCHoCH
- 例では、戻りの指値(5.4)、押し戻しを確認(2.3)、L2割れを確認(0.4)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
- 損益分岐の勝率は、リスクリワード比5.4で約15.6%、2.3で約30.3%、0.4で約71.4%(スプレッド除く)
- CHoCHは、転換の確定ではなく、単なる押しで終わることも多い。定義は、解説によって違う
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。チャート分析の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
