移動平均線乖離率とは?計算方法・見方・使い方

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移動平均線乖離率とは

移動平均線乖離率(かいりりつ)とは、価格が、移動平均線から、どれくらい離れているかを、パーセントで表した数値です。「離れすぎた価格は、平均に戻りやすい」という考え方にもとづき、相場の行き過ぎ(買われ過ぎ・売られ過ぎ)を測る目安として使われます。移動平均線(SMA)については、別の記事で解説しています。

プラスの乖離マイナスの乖離
位置価格が、移動平均線より上価格が、移動平均線より下
大きいとき買われ過ぎ(上に行き過ぎ)の可能性売られ過ぎ(下に行き過ぎ)の可能性
想定する動き移動平均線に向かって、下がる移動平均線に向かって、上がる

計算方法

乖離率(%)= (価格 − 移動平均線)÷ 移動平均線 × 100

価格が、移動平均線より上ならプラス、下ならマイナスになります。割合(パーセント)で表すため、価格の水準が違う通貨ペアでも、比べられます。

計算例:乖離率の計算

価格が151.20円、25SMAが150.00円のとき、次のとおりです。

差       = 151.20 − 150.00 = 1.20円(120pips)
乖離率   = 1.20 ÷ 150.00 × 100 = 0.8%

価格が149.25円、25SMAが150.00円なら、次のとおりです。

差       = 149.25 − 150.00 = −0.75円(−75pips)
乖離率   = −0.75 ÷ 150.00 × 100 = −0.5%

通貨ペアを比べるときは、パーセントで見ると分かりやすいです。たとえば、ユーロドルで、価格1.1000、25SMA 1.0900なら、差は100pipsですが、乖離率は(1.1000 − 1.0900)÷ 1.0900 × 100 ≒ 0.92%です。100pipsという同じ値幅でも、価格の水準が違えば、乖離率は違います。

FXでの大切な注意点:「何%なら行き過ぎ」かは、決まっていない

株式では、「25日線からの乖離率が、プラス10%を超えたら、買われ過ぎ」といった目安が、よく言われます。FXの為替レートは、株価より値動きが小さいため、乖離率の数字は、小さくなります。同じ25SMAでも、通貨ペアや時間足、その時期の値動きの大きさによって、「行き過ぎ」の水準は大きく変わります。

そのため、固定の数字を使うのではなく、「過去のその通貨ペア・時間足で、どのくらいまで離れたか」を、自分で確認して決めることが、基本です。

計算例:しきい値の決め方

過去12回分の、25SMAからの乖離率(%)を、次のとおり集めました(例の数値です)。

0.10、0.25、−0.15、0.40、0.55、−0.20、0.30、0.65、0.15、−0.05、0.35、0.80

平均        = 3.15 ÷ 12 = 0.2625%
標準偏差     ≒ 0.30%

しきい値を、「平均 + 標準偏差 × 1.5」とすると、次のとおりです。

しきい値(上側) = 0.2625 + 0.30 × 1.5 ≒ 0.71%
現在の乖離率 0.80% は、しきい値を超えている
現在の位置 = (0.80 − 0.2625) ÷ 0.30 ≒ 平均から +1.8σ

この「1.5」という倍率は、あくまで一例です。サンプル数が少ないと、平均や標準偏差が安定しません。実際には、もっと多くの期間のデータで、確認します。標準偏差を使った考え方は、ボリンジャーバンドと同じです。ボリンジャーバンドについては、別の記事で解説しています。

乖離率が示すこと

価格が、移動平均線から大きく離れる
→ 買い(売り)が、急に進んだ状態
→ 平均に戻る動き(押し・戻り)が、出やすい
読み取れること内容
過熱短期間に、買い(売り)が進みすぎた
反動の可能性利益確定の売り(買い戻し)が出やすい
トレンドの強さ離れ続けるほど、トレンドが強い

「離れすぎたら、戻る」と「離れ続けるほど、強いトレンド」は、同じ現象を、反対の側から見たものです。どちらになるかは、乖離率の数字だけでは、分かりません。図でも、1回目は、しきい値を超えたあと、平均へ戻りましたが、2回目は、しきい値を超えたまま、離れ続けています。

使い方

1. 逆張りの目安にする(レンジ・過熱時)

レンジ相場や、一時的な行き過ぎの場面で、乖離率がしきい値を超えたとき、平均への戻りを狙う考え方です。

計算例:乖離率を使った戻り売り

上の例で、価格が151.20円まで上がり、乖離率が0.80%(しきい値の0.71%を超過)になりました。その後、上ヒゲの長い足をつくって、151.10円で引けたとします。直近の高値は151.20円です。損切りは、直近高値の5pips上(151.25円)とします。損切りは、乖離がさらに広がる(さらに離れる)と、前提が崩れるためです。

目標が、25SMA(150.00円)の場合

エントリー 151.10円、損切り 151.25円、利確 150.00円
リスク   = 151.25 − 151.10 = 0.15円(15pips)
リワード = 151.10 − 150.00 = 1.10円(110pips)
リスクリワード比 = 110 ÷ 15 ≒ 7.3

目標が、25SMAまでの距離の半分(150.55円)の場合

エントリー 151.10円、損切り 151.25円、利確 150.55円
リスク   = 151.25 − 151.10 = 0.15円(15pips)
リワード = 151.10 − 150.55 = 0.55円(55pips)
リスクリワード比 = 55 ÷ 15 ≒ 3.7

リスクリワード比は、どちらも良いですが、目標までの距離が、長すぎる場合は、そこまで届かないことも多いです(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。また、移動平均線自体も、時間とともに動くため、目標の位置は、見直す必要があります。そして、トレンドが強いと、乖離がさらに広がり、損切りになることもあります。この例では、15pipsの損失です。損失の頻度が高くても、リスクリワード比が良ければ、全体では利益になる可能性はありますが、それは、検証で確認することです。

2. 順張りで、飛びつかない目安にする

トレンドに乗るとき、乖離率が大きすぎる場面での新規エントリーを、避けるという使い方です。押し目を待つ考え方につながります。押し目(プルバック)については、別の記事で解説しています。

3. トレンドの強さを測る

乖離率が、長くしきい値を超えたままの場合は、強いトレンドが続いていることを示す、と見ます。逆張りの前提が、成り立たないことの確認にも、なります。

他の指標との違い

乖離率ボリンジャーバンドRSI
測るもの移動平均線からの、距離の割合移動平均線からの、距離(標準偏差の何倍か)上昇と下落の、勢いの比率
表示別ウィンドウチャート上別ウィンドウ
しきい値自分で決める±2σなどが一般的70・30などが一般的
基準単一の期間の平均単一の期間の平均と、その変動一定期間の、上昇と下落

乖離率は、ボリンジャーバンドの考え方を、一本の数値にしたものとも言えます。ボリンジャーバンド、RSIについては、別の記事で解説しています。

注意点

1. 「何%」という固定の基準は、通用しない

通貨ペア・時間足・時期によって、普段の乖離の大きさが違います。他人の数字を、そのまま使わないようにしましょう。

2. トレンドが強いと、離れ続ける

強いトレンドでは、乖離率がしきい値を超えたまま、長く離れ続けます。逆張りは、特に注意が必要です。

3. 期間によって、数値が変わる

短い期間の移動平均線ほど、乖離率は小さく、サインは多くなります。長い期間ほど、乖離率は大きく、サインは少なくなります。期間を変えると、しきい値も変わります。

4. 平均自体が、動く

価格が離れている間も、移動平均線は動いています。「平均に戻る」とき、平均の位置が、当初と違っていることが、多いです。

5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意

急変動で、乖離率が一気に大きくなることが、あります。その後の動きも大きくなるため、注意が必要です。

6. 足が確定するまで、分からない

進行中の足の終値は、確定するまで変わります。乖離率の値も、それにつれて動くため、確定後に判断しましょう。

初心者が間違えやすいポイント

乖離率が大きいから、すぐに逆張りする

トレンドが強いと、さらに離れることが、よくあります。**反転のサイン(ローソク足の形など)**を、あわせて確認しましょう。

株式の数字を、そのままFXに使う

「プラス10%で買われ過ぎ」という数字は、為替では、ほぼ現れません。為替の値動きの大きさに合わせて、しきい値を決める必要があります。

平均に必ず戻ると考える

「離れたら戻る」は、傾向であって、保証ではありません。戻らずに、その位置が新しい平均になることもあります。

損切りを決めずに入る

逆張りは、損切りが小さくなりやすい一方、トレンドに巻き込まれると、損失が大きくなります。あらかじめ、決めておくことが大切です。

検証せずに、使う

「乖離率が大きければ、戻る」と聞いても、実際の確率は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。

まとめ

  • 移動平均線乖離率は、価格が、移動平均線からどれだけ離れているかを、パーセントで表したもの。乖離率 = (価格 − 移動平均線)÷ 移動平均線 × 100
  • 離れすぎると、平均へ戻りやすいと考えるが、強いトレンドでは、離れ続ける
  • FXでは、「何%なら行き過ぎ」という固定の基準はない。過去のデータから、平均と標準偏差で、しきい値を決める
  • 逆張りの目安、順張りで飛びつかない目安、トレンドの強さの目安として使える
  • 逆張りは、リスクリワード比が良くなりやすいが、トレンドが強いと損切りになる
  • 平均自体も動くため、目標の位置は、見直す
  • 単独では判断できない。必ず機能するわけではない

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。

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