十字はらみとは
十字はらみとは、ハラミ足の子線(2本目)が、十字線になっている形のことです。はらみ十字、十字孕みとも呼ばれ、英語ではハラミ・クロス(Harami Cross)と言います。大きな動きのあとに、迷いを示す十字線が、その実体の内側に収まるため、通常のハラミ足よりも、転換の可能性を強く示すと見られています。
| 呼び名 | 内容 |
|---|---|
| 親線(1本目) | 大きな実体を持つ足(大陰線または大陽線) |
| 子線(2本目) | 親線の実体の内側に収まる、十字線 |
| 名前 | 親線 | 子線 | 出る場所 | 示すこと |
|---|---|---|---|---|
| 陽の十字はらみ | 大陰線 | 十字線 | 下降トレンドの安値圏 | 売りの勢いが止まった。底打ちの可能性 |
| 陰の十字はらみ | 大陽線 | 十字線 | 上昇トレンドの高値圏 | 買いの勢いが止まった。天井の可能性 |
ハラミ足については、別の記事で解説しています。十字線については、別の記事で解説しています。
通常のハラミ足との違い
子線が、小さな陽線・陰線か、十字線かが、違いです。
| ハラミ足 | 十字はらみ | |
|---|---|---|
| 子線 | 小さな実体を持つ足 | 実体がほぼない十字線 |
| 迷いの強さ | 勢いの一服 | より強い迷い |
| 転換の示唆 | やや弱い | やや強いと見られる |
十字線は、始値と終値がほぼ同じ、つまり、期間中に上下に動いたが、売りも買いも決め手に欠けたことを意味します。大きな動きのあとに、それが現れると、それまでの勢いが、はっきり途切れたと読めます。
ただし、転換が確定したわけではありません。ハラミ足と同じく、次の足でブレイクの方向を確認することが、大切です。
十字はらみが示すこと
【陽の十字はらみ】
下降が続く中で、1本目に大きな陰線(売りが勢いよく入った)
→ 2本目は、1本目の実体の中に収まる十字線(売りも買いも決められない)
→ 売りの勢いが、急に止まった
| 読み取れること | 内容 |
|---|---|
| 勢いの急停止 | 大きな動きの直後に、迷いが現れた |
| 売り買いの均衡 | どちらも、次の一手を決めかねている |
| 転換の予兆 | トレンドの終盤で出ると、反転の前触れのことがある |
十字はらみの条件
| 項目 | 目安の例 |
|---|---|
| 親線の実体 | 大きい(直近の平均より大きいなど) |
| 子線の実体 | 値幅全体の、5%以下(十字線) |
| 子線の位置 | 子線の実体が、親線の実体の範囲内に収まる |
| 直前の値動き | トレンドが続いたあと |
FXでの注意点:子線の始値の位置
FXは、ほぼ24時間取引されているため、子線の始値は、親線の終値とほぼ同じになることが多く、子線の実体が、親線の実体の端に接する形になります。実体の端が接していても、内側に収まっていれば、十字はらみとして扱います(ハラミ足と同じ考え方です)。
計算例:陽の十字はらみの判定
下降が続いたあとの、1時間足の2本が、次の値だったとします。
| 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | |
|---|---|---|---|---|
| 1本目(親線・大陰線) | 150.60円 | 150.65円 | 149.95円 | 150.00円 |
| 2本目(子線・十字線) | 150.01円 | 150.30円 | 149.98円 | 150.02円 |
親線の実体 = 150.60 − 150.00 = 0.60円(60pips) 範囲:150.00 〜 150.60
子線の値幅全体 = 150.30 − 149.98 = 0.32円(32pips)
子線の実体 = 150.02 − 150.01 = 0.01円(1pips)
実体 ÷ 値幅全体 = 1 ÷ 32 ≒ 3.1%
子線の実体の範囲(150.01〜150.02)は、親線の実体の範囲(150.00〜150.60)の内側
子線の実体は、値幅全体の約3.1%で、「5%以下を十字線とする」基準を満たし、親線の実体の内側に収まっているため、陽の十字はらみと判定できます。
これらの数値は、あくまで一例です。自分で基準を決め、過去のチャートで検証することが大切です。
なお、この例では、子線の高値・安値(149.98〜150.30円)も、親線の高値・安値(149.95〜150.65円)の範囲に収まっているため、インサイドバーにも該当します。インサイドバーについては、別の記事で解説しています。
子線の十字線の種類による違い
子線の十字線の形によって、ニュアンスが変わると考えられます。
| 子線の形 | 見方(下降のあとの陽の十字はらみの場合) |
|---|---|
| 通常の十字線(上下にヒゲ) | 売りも買いも拮抗。迷い |
| トンボ(下ヒゲだけ長い) | 下値で買いが入ったことが、より明確 |
| トウバ(上ヒゲだけ長い) | 買いが入ったが、押し戻された。転換の根拠としては弱め |
| 足長同事(上下とも長い) | 激しい攻防。方向感なし |
トンボ・トウバについては、別の記事で解説しています。
場所別の見方
| 場所 | 陽の十字はらみの見方 |
|---|---|
| 下降トレンドの安値圏 | 売りの勢いの停止。底打ちの可能性 |
| サポートライン付近 | サポートで、売りが止まった。ラインの有効性を示す |
| 下降トレンドの途中 | 一時的な小休止にすぎないことも多い |
| レンジの中央 | 意味が薄い |
陰の十字はらみは、上下を逆にして考えます。サポートライン・レジスタンスラインについては、別の記事で解説しています。
使い方
基本:親線の高値・安値を、ブレイクの基準にする
十字はらみが出たあと、価格が、子線(または親線)の高値・安値のどちらに抜けるかで、その後の方向を判断します。
| 抜ける方向 | 見方 |
|---|---|
| 子線の高値を、上に抜ける(陽の十字はらみのあと) | 上方向への動きが、始まった可能性 |
| 親線の安値を、下に抜ける | 下降トレンドの継続。十字はらみは失敗 |
| 範囲内で、推移 | 迷いが続いている |
計算例:陽の十字はらみのあとに、買う場合
上の例の陽の十字はらみが、下降トレンドの安値圏で出たとします。次の足が、子線の高値(150.30円)を上抜けたため、150.32円で買う場合です。直前の戻り高値を、151.40円とします。
| 項目 | 価格 | 値幅 |
|---|---|---|
| エントリー(買い) | 150.32円 | — |
| 損切り | 149.90円(親線の安値の5pips下) | −42pips |
| 利益確定 | 151.40円(直前の戻り高値) | +108pips |
リスク = 150.32 − 149.90 = 0.42円(42pips)
リワード = 151.40 − 150.32 = 1.08円(108pips)
リスクリワード比 = 108 ÷ 42 ≒ 2.6
損切りは、親線の安値の少し下に置きます。親線の安値を割ると、十字はらみの前提(勢いの停止)が崩れ、下降が再開したと見られるためです(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。
子線の高値を上抜けるまで待つことで、転換の確認ができますが、入る価格は、その分不利になります。
注意点
1. 十字はらみだけでは、判断できない
十字はらみは、「勢いが止まった」ことを示すだけで、転換の保証ではありません。場所・前後の足、次の足の動きとあわせて判断します。
2. 転換せずに、元の方向へ進むことも多い
陽の十字はらみのあと、下降が再開することは、珍しくありません。
3. 親線が大きいことが、前提
親線が小さい(値動きが乏しい)場合、十字はらみの意味は薄いです。
4. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
発表で、一方向に急変した大きな足の次に、十字線が出ることはよくありますが、その後に、再度動くことがあります。
5. 時間帯・時間足で、意味が変わる
値動きの小さい時間帯や、短い時間足では、意味は薄いことがあります。長い時間足の十字はらみのほうが、意識されやすいと考えられます。
6. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、十字線に見えても、確定までに形が変わります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
十字はらみを、転換の確定だと思う
十字はらみは、「止まった」ことを示すだけです。ブレイクの方向を、確認しましょう。
通常のハラミ足と、同じ扱いにする
十字線の迷いは、通常の小さな実体より、はっきりしていると考えられますが、形の違いを意識して、自分の検証で、差があるかを確かめましょう。
子線の十字線の形を、見ない
トンボ・トウバ・足長同事など、子線の形で、ニュアンスが変わります。
損切り幅を考えずに、取引量を決める
親線の値幅が大きいほど、損切り幅も大きくなります。損切り幅に合わせて、取引量を調整しましょう。
検証せずに、使う
「十字はらみのあとは、転換する」と聞いても、実際の確率は、判定基準や場所で変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- 十字はらみは、ハラミ足の子線が十字線になっている形。通常のハラミ足より、迷いが強く、転換の可能性をやや強く示すと見られる
- 陽の十字はらみは下降のあと、陰の十字はらみは上昇のあとに出る
- 子線の実体が値幅全体の5%以下で、親線の実体の内側に収まることが条件の例
- FXでは、子線の始値が親線の終値とほぼ同じになるため、実体の端が接していても、内側に収まっていればよいと考える
- 子線の十字線の形(トンボ・トウバ・足長同事)で、ニュアンスが変わる
- 子線(または親線)の高値・安値のどちらに抜けるかを、確認してから判断する。損切りは、親線の反対側の端の少し外側
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。ローソク足の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
