スクイーズとエクスパンションとは
スクイーズとは、ボリンジャーバンドの幅が、狭くなっている状態のことです。エクスパンションとは、反対に、バンドの幅が、広がっている状態のことです。どちらも、ボリンジャーバンドを見て、「値動きの大きさ(ボラティリティ)」が、小さいのか大きいのかを判断するための考え方です。ボリンジャーバンドについては、別の記事で解説しています。
| スクイーズ | エクスパンション | |
|---|---|---|
| バンドの幅 | 狭い | 広がっている |
| 値動き | 小さい(静かな状態) | 大きい(動いている状態) |
| よく言われること | このあと、大きく動く準備の期間 | トレンドが出ている、または出た直後 |
| 注意点 | 方向は、分からない | 広がった後は、また狭まる |

なぜ、狭いバンドのあとに、広がるのか
値動きが小さい期間が、しばらく続く
→ 標準偏差が小さくなり、バンドが狭くなる(スクイーズ)
→ 何かのきっかけで、大きく動き出す
→ 標準偏差が大きくなり、バンドが広がる(エクスパンション)
相場の値動きの大きさは、ずっと同じではなく、「小さい期間」と「大きい期間」が、入れ替わる傾向があります。そのため、バンドが狭い(値動きが小さい)ときは、そのあとに、値動きが大きくなる可能性があると、考えられています。ただし、「いつ」「どちらへ」動くかは、バンドの幅だけでは、分かりません。
バンド幅の測り方
スクイーズかどうかは、見た目の「狭さ」ではなく、数値で測ることで、判断が安定します。
バンド幅(%)=(アッパーバンド − ロワーバンド)÷ ミドルバンド × 100
パーセントで表すと、価格の水準が違う通貨ペアでも、比べやすくなります。
計算例:バンド幅の計算
ミドルバンド(20SMA)が150.20円、標準偏差が0.10円(10pips)のとき、±2σのバンドは次のとおりです。
アッパー = 150.20 + 0.10 × 2 = 150.40円
ロワー = 150.20 − 0.10 × 2 = 150.00円
バンド幅 = (150.40 − 150.00)÷ 150.20 × 100 ≒ 0.27%(40pips)
同じ通貨ペアで、後日、標準偏差が0.25円(25pips)に広がったとします。ミドルバンドは、150.20円のままとすると、次のとおりです。
アッパー = 150.20 + 0.25 × 2 = 150.70円
ロワー = 150.20 − 0.25 × 2 = 149.70円
バンド幅 = (150.70 − 149.70)÷ 150.20 × 100 ≒ 0.67%(100pips)
標準偏差が2.5倍になったため、バンド幅も、約2.5倍(0.27% → 0.67%)になりました。
スクイーズの判定方法
「何%以下ならスクイーズ」という固定の数字は、ありません。通貨ペア・時間足・時期によって、普段のバンド幅が違うためです。そこで、「その通貨ペア・時間足の、過去のバンド幅と比べて、小さいか」で、判断します。
| 判定の方法 | 内容 |
|---|---|
| 過去の下位◯% | たとえば、直近120本のバンド幅のうち、小さいほうから20%以内なら、スクイーズ |
| 過去の最小値付近 | 直近の一定期間で、最も狭いあたり |
| 平均との比較 | 直近のバンド幅の平均を、大きく下回っている |
計算例:下位20%でスクイーズを判定する
直近120本のバンド幅を小さい順に並べたとき、下から20%目(24番目)の値が、0.35%だったとします。現在のバンド幅は、0.27%です。
現在の0.27% ≦ しきい値の0.35% → スクイーズと判定
この「下位20%」は、あくまで一例です。図の下段でも、しきい値を下回っている範囲が、スクイーズです。自分で、過去のチャートで確認して決めることが、大切です。
示すこと
| 状態 | 読み取れること |
|---|---|
| スクイーズ | 直近の値動きが小さい。大きく動く前の期間になっている可能性 |
| エクスパンション | 値動きが大きくなっている。トレンドが出ている可能性 |
| 広がりが、止まる・狭まり始める | 勢いが、弱まっている可能性 |
スクイーズは、「動く可能性が高まった」ことを示すものであって、「どちらに動くか」を示すものではありません。
他の指標との違い
| スクイーズ・エクスパンション | ATR | ヒストリカル・ボラティリティ | |
|---|---|---|---|
| 測るもの | バンドの幅(終値のばらつき) | ローソク足の、値幅の平均 | 価格変動率の、標準偏差を年率換算した値 |
| 表示 | チャート上のバンド(別に幅を表示することも) | 別ウィンドウ | 別ウィンドウ |
| 使われ方 | バンドで、相場の状態を見る | 損切り幅の目安など | 変動の大きさの比較 |
どれも、ボラティリティ(値動きの大きさ)を測る指標です。ATRやヒストリカル・ボラティリティについては、別の記事で解説しています。
使い方
1. ブレイクアウトの準備として見る
スクイーズの間は、レンジ(保ち合い)になっていることが、多いです。そのため、レンジの上限・下限を、ブレイクしたときに、エクスパンションに入って、トレンドに乗るという考え方があります。スクイーズ中は、方向を決めつけず、「抜けた方向」に従うのが、基本です。ブレイクアウトについては、別の記事で解説しています。
計算例:スクイーズ後のブレイクアウト
上の例(ミドルバンド150.20円、バンド幅0.27%)のスクイーズ中、価格は、150.00円〜150.40円のレンジにありました。その後、陽線が、150.48円で確定し、レンジの上限(150.40円)を上に抜けたとします。損切りは、ミドルバンド(150.20円)の5pips下(150.15円)、利益確定は、レンジの幅(40pips)を、上限に足した150.80円とします。
ブレイクの終値(150.48円)で買う場合
エントリー 150.48円、損切り 150.15円、利確 150.80円
リスク = 150.48 − 150.15 = 0.33円(33pips)
リワード = 150.80 − 150.48 = 0.32円(32pips)
リスクリワード比 = 32 ÷ 33 ≒ 1.0
ブレイクのあと、レンジの上限付近(150.35円)まで戻ってきたところで、指値で買う場合
エントリー 150.35円、損切り 150.15円、利確 150.80円
リスク = 150.35 − 150.15 = 0.20円(20pips)
リワード = 150.80 − 150.35 = 0.45円(45pips)
リスクリワード比 = 45 ÷ 20 ≒ 2.3
戻りを待つほうが、リスクリワード比は良くなります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。ただし、戻らずに、そのまま上がると、エントリーできません。ブレイクの終値で入ると、戻りを待つよりも、損切りが遠く、リスクリワード比は下がりますが、エントリーできないリスクは、ありません。また、「レンジ幅を足した目標」は、あくまで目安で、届かないことも、多いです。
2. エクスパンションの終わりを、見る
バンドが広がった状態が、続いたあと、バンド幅が、頭打ちになる・狭まり始めると、勢いが落ちている可能性があります。決済や、新規の見送りの目安として、使えることがあります。
3. 逆張りを控える環境として使う
エクスパンションの中では、バンドに沿って、価格が動き続けることがあります。逆張りは、特に注意が必要です。バンドウォークについては、別の記事で解説しています。
注意点
1. スクイーズは、方向を示さない
バンドが狭いだけでは、上がるのか下がるのか、分かりません。どちらかに決めつけて入ると、反対に動いたときに、損失になります。
2. ダマシが多い
レンジの外に、一度出てから、戻ってくる(ダマシ)ことがあります。ブレイクの終値で入る場合は、特に、ダマシの可能性を、考えておく必要があります。
3. スクイーズが、いつ終わるか分からない
狭い状態が、長く続くこともあります。「狭いから、そろそろ動く」と、早く入りすぎると、動くまでの間に、損失が重なることが、あります。
4. 「何%以下」という固定の基準は、通用しない
通貨ペア・時間足・時期で、普段の幅が違います。自分で、過去のデータから、確認しましょう。
5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
急変動で、バンドが一気に広がることが、あります。その後の動きも大きくなるため、注意が必要です。**スクイーズが、指標発表の前に起こる(様子見で、値動きが小さくなる)**ことも、あります。
6. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、バンドの外に出たように見えても、確定までに戻ることがあります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
バンドが狭くなったら、すぐに入る
動き出す方向も、タイミングも、分かりません。抜けた方向を、確認してから、考えることが、基本です。
「狭い」を、見た目で判断する
チャートの縮尺で、見た目の狭さは変わります。バンド幅を、数値で測り、過去と比べましょう。
エクスパンションが始まったら、必ず続くと考える
バンドが広がっても、すぐに戻ることがあります。トレンドが続く保証は、ありません。
広がったバンドに、飛びつく
すでに大きく動いたあとで、損切りが遠くなり、リスクリワード比が悪くなりがちです。
検証せずに、使う
「スクイーズのあとは、大きく動く」と聞いても、実際の確率は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- スクイーズは、ボリンジャーバンドの幅が狭い状態。エクスパンションは、広がっている状態。値動きの大きさを、見るための考え方
- 値動きが小さい期間のあとに、大きい期間が来る傾向はあるが、方向と、タイミングは、分からない
- バンド幅(%)= (アッパー − ロワー)÷ ミドルバンド × 100。見た目ではなく、数値で測る
- 「何%以下ならスクイーズ」という固定の基準はない。過去のバンド幅の下位◯%などで、自分で決める
- スクイーズ中は方向を決めつけず、レンジを抜けた方向に従う。戻りを待つとリスクリワード比は良くなるが、エントリーできないこともある
- ダマシに注意する。狭い状態が、長く続くこともある
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
