ROCとは
ROC(Rate Of Change:変化率)とは、「N本前の終値から、今の終値が、何%変化したか」を示す、オシレーター系のテクニカル指標です。モメンタムが、「差(円やpips)」で勢いを見るのに対し、ROCは、「率(%)」で勢いを見ます。「率」にすることで、価格の水準が違う通貨ペアや、時期が違うチャートでも、同じ尺度で比べられるのが、特徴です。一般的な期間は、12前後(9、14、25なども、使われます)で、ゼロラインを中心に、上下に振れます。モメンタムについては、別の記事で解説しています。
| ROCの値 | 意味 |
|---|---|
| プラス | N本前より、価格が上がっている(上向き) |
| 0 | N本前と、同じ価格 |
| マイナス | N本前より、価格が下がっている(下向き) |

計算方法
ROC(%)= (今の終値 − N本前の終値)÷ N本前の終値 × 100
(同じ意味)
ROC(%)= (今の終値 ÷ N本前の終値 − 1)× 100
「差」を「N本前の終値」で割るだけです。ソフトによっては、「今の終値 ÷ N本前の終値 × 100」という、100を基準にした形で、表示されることも、あります(この場合は、100が基準線)。使うソフトで、確認しましょう。
計算例1:4本前と比べて、ROCを計算する(N = 4)
モメンタムの計算例と、同じ終値を使います。値は、次のとおりです(例の数値です)。
| 足 | 終値 | 4本前の終値 | 差(モメンタム) | ROC(%) |
|---|---|---|---|---|
| 5本目 | 150.60 | 150.00 | + 0.60 | + 0.4000 |
| 6本目 | 150.50 | 150.20 | + 0.30 | + 0.1997 |
| 7本目 | 150.80 | 150.10 | + 0.70 | + 0.4664 |
| 8本目 | 150.70 | 150.40 | + 0.30 | + 0.1995 |
| 9本目 | 150.55 | 150.60 | − 0.05 | − 0.0332 |
5本目:(150.60 − 150.00)÷ 150.00 × 100 = 0.60 ÷ 150.00 × 100 = + 0.4000 %
7本目:(150.80 − 150.10)÷ 150.10 × 100 = 0.70 ÷ 150.10 × 100 ≒ + 0.4664 %
9本目:(150.55 − 150.60)÷ 150.60 × 100 = − 0.05 ÷ 150.60 × 100 ≒ − 0.0332 %
この例から、分かることは、ROCの動きの形は、モメンタムと、ほとんど同じことです。FXの短い期間では、価格の水準が、ほぼ一定のため、「差」を「率」に直しても、形は変わりません。ROCの違いが出るのは、「通貨ペアを比べるとき」や、「価格の水準が、大きく変わる期間を、比べるとき」です。
計算例2:通貨ペアが違っても、同じ尺度で比べる
ドル円(150.00円 → 150.60円)と、ユーロドル(1.0800ドル → 1.0843ドル)で、考えます(例の数値です)。
ドル円 差(モメンタム)= + 0.60(円)= + 60pips
ROC = 0.60 ÷ 150.00 × 100 = + 0.40 %
ユーロドル 差(モメンタム)= + 0.0043(ドル)= + 43pips
ROC = 0.0043 ÷ 1.0800 × 100 ≒ + 0.40 %
| ドル円 | ユーロドル | |
|---|---|---|
| 差(モメンタム) | + 0.60 | + 0.0043 |
| 差(pips) | + 60pips | + 43pips |
| ROC | + 0.40 % | + 0.40 % |
モメンタム(差)は、0.60と0.0043で、桁が違い、そのままでは、比べられません。ROCなら、どちらも、+0.40%で、同じ大きさの上昇だと、分かります。複数の通貨ペアを、同じ基準で比べたいときに、ROCは、便利です。
ROCが示すこと
ROCが大きくプラス = N本前より、大きく上がっている(上昇率が大きい)
ROCが0に近づく = 上昇の勢いが、弱まっている
ROCがマイナス = N本前より、下がっている
ROCは、「N本前から、どれだけ上がったか(率)」を、示します。ROCが上昇している間は、勢いが強まり、下がり始めたら、勢いが、弱まっていると、見ます。
他の指標との違い
| ROC | モメンタム | RSI | |
|---|---|---|---|
| 計算の元 | 今とN本前の、終値の変化率 | 今とN本前の、終値の差 | 上げ幅と下げ幅の平均の比 |
| 単位 | % | 価格(円・ドルなど) | 0〜100 |
| 通貨ペア間の比較 | しやすい | しにくい | しやすい |
| 比べるもの | 2点(今とN本前) | 2点(今とN本前) | 期間内の、すべての変化 |
| ノイズ | 多い | 多い | 少ない |
ROCは、モメンタムを「率」にした指標です。2点だけを、比べるため、N本前の値の、入れ替わりの影響を、受ける点は、同じです。RSIについても、別の記事で解説しています。
基本の使い方
1. ゼロラインの上下を、方向の目安にする
ROCが、0より上なら、N本前より高く、上向き、0より下なら、下向きと、見る考え方です。0を上抜けたら、上昇の勢いが戻った、0を下抜けたら、下落の勢いが出たと、見ます。
2. 値の変化(傾き)で、勢いの強弱を見る
ROCが、大きくなっていけば、勢いが強まっている、ピークを付けて、下がり始めたら、勢いが弱まっていると、見ます。
3. 通貨ペアを、比べる
複数の通貨ペアの、ROCを比べて、「どの通貨ペアの、上昇率が、大きいか」を、見る使い方です。強弱を、同じ尺度で、比べられます。
計算例:ROCの勢いの低下を、売りの目安にする
上昇のあと、直近の高値が152.60円になり、直近安値は151.80円です。ROCは、プラス圏で、ピークを付けて、下がり始めました。**損切りは、高値の少し上(152.65円)、利益確定は、直近安値(151.80円)**とします(例の数値です)。ROCの低下を確認した足の終値が152.35円、その後、ROCが0を下抜けた足の終値が152.20円でした。
高値の近く(152.45円)に、指値で売る場合
エントリー 152.45円、損切り 152.65円、利確 151.80円
リスク = 152.65 − 152.45 = 0.20円(20pips)
リワード = 152.45 − 151.80 = 0.65円(65pips)
リスクリワード比 = 65 ÷ 20 = 3.25 ≒ 3.3
ROCの低下を確認した足の終値(152.35円)で売る場合
エントリー 152.35円、損切り 152.65円、利確 151.80円
リスク = 152.65 − 152.35 = 0.30円(30pips)
リワード = 152.35 − 151.80 = 0.55円(55pips)
リスクリワード比 = 55 ÷ 30 ≒ 1.8
ROCが0を下抜けた足の終値(152.20円)で売る場合
エントリー 152.20円、損切り 152.65円、利確 151.80円
リスク = 152.65 − 152.20 = 0.45円(45pips)
リワード = 152.20 − 151.80 = 0.40円(40pips)
リスクリワード比 = 40 ÷ 45 ≒ 0.9
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 |
|---|---|---|---|---|
| 指値(高値付近) | 152.45円 | 20pips | 65pips | 3.3 |
| ROCの低下を確認 | 152.35円 | 30pips | 55pips | 1.8 |
| ROCが0を下抜け | 152.20円 | 45pips | 40pips | 0.9 |
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。ROCの0下抜けを待つと、リスクリワード比は、1を下回るため、この場合は、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。指値は、152.45円まで上がらずに、下落すると、エントリーできません。また、高値を更新すると、損切りになります。
注意点
1. N本前の値の入れ替わりで、値が変わる
ROCは、「今」と「N本前」の2点だけを、比べます。今の価格が、あまり動かなくても、N本前の価格が入れ替わると、ROCは変わります。急な動きが、期間から外れた瞬間に、ROCが、急変することも、あります。
2. ゼロ付近では、ダマシが多い
価格が、上下に動くだけで、方向が出ない場面では、ROCが、0の上下を、何度も行き来します。図の中央付近の、0を細かく行き来する部分が、その例です。交差のたびに売買すると、小さな損失が、積み重なります。
たとえば、レンジでの交差が、損失25pipsで、6回続くと、合計−150pipsの損失です。その後の1回の利益が、180pipsなら、合計は+30pips、120pipsなら、合計は−30pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
3. 値の大きさだけで、強さを判断できない
FXでは、1日の値動きが、1%に満たない日も、多く、ROCの値は、小さくなります。「ROCが+0.5%以上なら強い」といった、固定の基準は、使えません。自分のチャートの、過去の値と、比べるようにしましょう。
4. 期間で、見え方が変わる
期間を短くすると、値は、細かく動き、長くすると、穏やかになります。他人のチャートと、そのまま比べないようにしましょう。
5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
急変動で、ROCが、一気に大きくなり、N本後に、その足が、期間から外れて、急に縮むことが、あります。その後の動きも大きくなるため、注意が必要です。
6. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、ROCが、0を下抜けたように見えても、確定までに戻ることがあります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
モメンタムと、ROCを、別物と考える
ROCは、モメンタムを「率」にしたものです。同じ通貨ペアの、短い期間では、形は、ほとんど同じです。違いは、通貨ペアを比べるときに、現れます。
ROCが下がったら、すぐ反転すると考える
ROCが下がるのは、「勢いが弱まっている」ことを、示すだけです。N本前の入れ替わりでも、下がります。価格が、反転するとは、限りません。
ROCの値を、そのまま、利益率と考える
ROCは、「N本前からの、変化率」で、実際の取引の、利益率では、ありません。レバレッジ、スプレッド、保有期間などは、含まれません。
差の形と、比率型を、混同する
ソフトによって、0が基準の形と、100が基準の形が、あります。基準線を、間違えないようにしましょう。
検証せずに、使う
「ROCが0を上抜けたら買えば勝てる」と聞いても、実際の確率は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- ROC(変化率)は、N本前の終値から、今の終値が、何%変化したかを示す指標。モメンタムを、率にしたもの。一般的な期間は12前後。0が基準
- ROC(%)= (今の終値 − N本前の終値)÷ N本前の終値 × 100
- 例(N = 4)では、5本目が+0.4000%、9本目が−0.0332%。通貨ペアが違っても、ドル円+0.60円(+60pips)と、ユーロドル+0.0043ドル(+43pips)は、どちらも、+0.40%で、同じ尺度で比べられる
- 0より上は上向き、下は下向き。値の変化で、勢いの強まり・弱まりを見る
- 例では、指値(3.3)、ROCの低下を確認(1.8)、0の下抜け(0.9)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
- 2点の比較のため、N本前の値の入れ替わりで、値が変わる。ゼロ付近では、ダマシが多い
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
