モメンタムとは
モメンタム(Momentum)とは、「今の終値」と「N本前の終値」を、比べて、価格の勢いを見る、オシレーター系のテクニカル指標です。計算は、非常に単純で、「今の終値 − N本前の終値」だけです。「モメンタム」は「勢い」という意味で、価格が、上向きか下向きか、その勢いが、強いか弱いかを、見ます。一般的な期間は、10前後です。ゼロラインを中心に、上下に振れます。
| モメンタムの値 | 意味 |
|---|---|
| プラス | N本前より、価格が高い(上向き) |
| 0 | N本前と、同じ価格 |
| マイナス | N本前より、価格が低い(下向き) |
値が大きいほど、勢いが強く、0に近づくほど、勢いが弱まっていると、見ます。

計算方法
モメンタム = 今の終値 − N本前の終値
ソフトによっては、比率で表示する形(今の終値 ÷ N本前の終値 × 100)も、あります。この場合は、0ではなく、100が基準線になります。
モメンタム(比率型)= 今の終値 ÷ N本前の終値 × 100
どちらの形か、使うソフトで、確認しましょう。差の形が、価格の変化を、そのまま見られるため、ここでは、差の形で、説明します。
計算例:4本前と比べて、モメンタムを計算する(N = 4)
計算を簡単にするため、N = 4で計算します。終値は、次のとおりです(例の数値です)。
| 足 | 終値 | 4本前の終値 | モメンタム(差) | モメンタム(比率) |
|---|---|---|---|---|
| 1本目 | 150.00 | − | − | − |
| 2本目 | 150.20 | − | − | − |
| 3本目 | 150.10 | − | − | − |
| 4本目 | 150.40 | − | − | − |
| 5本目 | 150.60 | 150.00 | + 0.60 | 100.40 |
| 6本目 | 150.50 | 150.20 | + 0.30 | 100.20 |
| 7本目 | 150.80 | 150.10 | + 0.70 | 100.47 |
| 8本目 | 150.70 | 150.40 | + 0.30 | 100.20 |
| 9本目 | 150.55 | 150.60 | − 0.05 | 99.97 |
5本目:150.60 − 150.00 = + 0.60(60pips)
7本目:150.80 − 150.10 = + 0.70(70pips)
8本目:150.70 − 150.40 = + 0.30(30pips)
9本目:150.55 − 150.60 = − 0.05(− 5pips)
比率型(5本目):150.60 ÷ 150.00 × 100 = 100.40
この例から、分かることは、次の2つです。
① 7本目から8本目で、モメンタムは、+70pipsから+30pipsへ、半分以下に下がりました。ところが、価格は、150.80円から150.70円へ、10pips下がっただけです。これは、比べる相手(4本前)が、150.10円から150.40円へ、30pips上がったためです。モメンタムは、「今」と「N本前」の2点だけを、比べるため、N本前の値が、入れ替わると、今の動きとは、関係なく、値が変わります。 ② 9本目で、モメンタムが、マイナスに転じました。価格は、150.55円と、直近の安値圏では、ありませんが、4本前(150.60円)を、わずかに、下回ったためです。0を下回ることは、「N本前より、安い」という、事実を、示すだけです。
モメンタムが示すこと
モメンタムが大きくプラス = N本前より、大きく上がっている
モメンタムが0に近づく = 上昇の勢いが、弱まっている
モメンタムがマイナス = N本前より、下がっている
モメンタムは、「価格がどれだけ動いたか」を、そのまま示します。値の単位は、価格と同じ(円、またはpips)で、RSIのような、0〜100の範囲では、ありません。そのため、通貨ペアが違えば、値の大きさも、違います。
他の指標との違い
| モメンタム | RSI | MACD | |
|---|---|---|---|
| 計算の元 | 今とN本前の、終値の差 | 上げ幅と下げ幅の平均の比 | 短期EMAと長期EMAの差 |
| 比べるもの | 2点(今とN本前) | 期間内の、すべての変化 | 平滑化した、2本の線 |
| 値の範囲 | 上限・下限なし(0が基準) | 0〜100 | 上限・下限なし(0が基準) |
| ノイズ | 多い(2点だけを比べる) | 少ない | 少ない |
| 遅れ | 小さい | やや大きい | 大きい |
モメンタムは、「2点の比較」だけの、単純な指標です。そのため、動きが速く、反応が早い一方、N本前の1点の影響を、受けやすくなります。RSI、MACDについては、別の記事で解説しています。
基本の使い方
1. ゼロラインの上下を、方向の目安にする
モメンタムが、0より上なら、N本前より高く、上向き、0より下なら、下向きと、見る考え方です。0を上抜けたら、上昇の勢いが戻った、0を下抜けたら、下落の勢いが出たと、見ます。
2. 値の変化(傾き)で、勢いの強弱を見る
モメンタムの値が、大きくなっていけば、勢いが強まっている、ピークを付けて、下がり始めたら、勢いが弱まっていると、見ます。ただし、上の計算例のとおり、N本前の値の入れ替わりでも、値が、変わります。
3. 価格との逆行(ダイバージェンス)を、見る
価格が高値を更新しているのに、モメンタムの山が、低くなっているといった逆行は、勢いの弱まりの、目安です。ダイバージェンスについては、別の記事で解説しています。
計算例:モメンタムが0を上抜けたあとの買い
下落のあと、直近の安値が150.30円になり、直近高値は151.10円です。損切りは直近安値(150.30円)、利益確定は、直近高値(151.10円)とします(例の数値です)。モメンタムが、0を上抜けた足の終値が150.70円、その後、価格が直近の戻り高値を超えた足の終値が150.90円でした。
安値の近く(150.45円)に、指値で買う場合
エントリー 150.45円、損切り 150.30円、利確 151.10円
リスク = 150.45 − 150.30 = 0.15円(15pips)
リワード = 151.10 − 150.45 = 0.65円(65pips)
リスクリワード比 = 65 ÷ 15 ≒ 4.3
モメンタムが0を上抜けた足の終値(150.70円)で買う場合
エントリー 150.70円、損切り 150.30円、利確 151.10円
リスク = 150.70 − 150.30 = 0.40円(40pips)
リワード = 151.10 − 150.70 = 0.40円(40pips)
リスクリワード比 = 40 ÷ 40 = 1.0
戻り高値を超えたことを確認して、買う場合(150.90円)
エントリー 150.90円、損切り 150.30円、利確 151.10円
リスク = 150.90 − 150.30 = 0.60円(60pips)
リワード = 151.10 − 150.90 = 0.20円(20pips)
リスクリワード比 = 20 ÷ 60 ≒ 0.3
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 |
|---|---|---|---|---|
| 指値(安値付近) | 150.45円 | 15pips | 65pips | 4.3 |
| モメンタムの0上抜け | 150.70円 | 40pips | 40pips | 1.0 |
| 戻り高値の更新 | 150.90円 | 60pips | 20pips | 0.3 |
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。戻り高値の更新を待つと、リスクリワード比は、1を大きく下回るため、この場合は、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。指値は、150.45円まで下がらずに、反発すると、エントリーできません。また、安値を割り込むと、損切りになります。
注意点
1. N本前の値の入れ替わりで、値が変わる
計算例のとおり、今の価格が、ほとんど動かなくても、N本前の価格が、入れ替わると、モメンタムは、大きく変わります。急な動きが、N本前の位置から、外れた瞬間に、モメンタムが、急変することも、あります。
2. ゼロラインの交差は、ダマシが多い
価格が、上下に動くだけで、方向が出ない場面では、モメンタムが、0の上下を、何度も行き来します。交差のたびに売買すると、小さな損失が、積み重なります。
たとえば、レンジでの交差が、損失30pipsで、5回続くと、合計−150pipsの損失です。その後の1回の利益が、180pipsなら、合計は+30pips、100pipsなら、合計は−50pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
3. 値の大きさは、比べられない
モメンタムは、価格の差のため、通貨ペアや、価格の水準によって、大きさが変わります。「モメンタムが1.0以上なら強い」といった、固定の基準は、使えません。自分のチャートの、過去の値と、比べるようにしましょう。
4. 期間で、見え方が変わる
期間を短くすると、値は、細かく動き、長くすると、穏やかになります。他人のチャートと、そのまま比べないようにしましょう。
5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
急変動で、モメンタムが、一気に大きくなり、N本後に、その足が、期間から外れて、急に縮むことが、あります。その後の動きも大きくなるため、注意が必要です。
6. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、モメンタムが、0を上抜けたように見えても、確定までに戻ることがあります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
モメンタムが下がったら、すぐ反転すると考える
モメンタムが下がるのは、「勢いが弱まっている」ことを、示すだけです。計算例のように、N本前の入れ替わりでも下がります。価格が、反転するとは、限りません。
ゼロを下回ったら、すぐ売る
0を下回ることは、「N本前より、低い」ことを、示すだけです。上昇トレンドの途中の、小さな押しでも、0を下回ることが、あります。
差の形と、比率型を、混同する
差の形は、0が基準、比率型は、100が基準です。基準線を、間違えないようにしましょう。
値の大きさで、通貨ペアを比べる
価格の水準が違えば、モメンタムの大きさも、違います。通貨ペアが違うモメンタムの値を、そのまま、比べないようにしましょう。
検証せずに、使う
「モメンタムが0を上抜けたら買えば勝てる」と聞いても、実際の確率は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- モメンタムは、今の終値と、N本前の終値を、比べて、勢いを見る指標。一般的な期間は10前後。0が基準
- モメンタム = 今の終値 − N本前の終値。比率型(÷ × 100)の場合は、100が基準
- 例(N = 4)では、7本目が+0.70、8本目が+0.30、9本目が−0.05。価格が10pips下がっただけでも、4本前の値が上がったため、モメンタムは、半分以下になる
- 0より上は上向き、下は下向き。値の変化で、勢いの強まり・弱まりを見る
- 例では、指値(4.3)、0の上抜け(1.0)、戻り高値の更新(0.3)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
- 2点の比較のため、N本前の値の入れ替わりで、値が変わる。ゼロ付近では、ダマシが多い
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
