ブル・ベア・パワーとは?計算方法・見方・基本の使い方

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ブル・ベア・パワーとは

ブル・ベア・パワー(Bull Power / Bear Power)とは、指数平滑移動平均(EMA、一般的に13期間)を、「その期間の、買いと売りの基準」と見て、各足の高値と安値が、その基準から、どれだけ離れているかを測る、テクニカル指標です。アレキサンダー・エルダーが、「エルダー・レイ(Elder-ray)」として紹介したと、されています。「ブル(強気)の力」は、高値とEMAの差、「ベア(弱気)の力」は、安値とEMAの差で、2本のヒストグラムとして、表示されます。

指標計算見ているもの
ブル・パワー(Bull Power)高値 − EMA買い手が、EMAを超えて、どこまで押し上げたか
ベア・パワー(Bear Power)安値 − EMA売り手が、EMAを下回って、どこまで押し下げたか

ブル・パワーが、プラスなら、高値がEMAより上、ベア・パワーが、マイナスなら、安値がEMAより下です。通常、ブル・パワーは、プラス、ベア・パワーは、マイナスになりやすいです(高値は、EMAより上、安値は、下になりやすいため)。

図のとおり、強い上昇では、安値もEMAより上になり、ベア・パワーがプラスになることが、あります。逆に、EMAが下向きの間は、高値もEMAを超えにくく、ブル・パワーが、マイナスになりやすいです。

計算方法

EMA = 終値の13期間EMA

ブル・パワー = 高値 − EMA
ベア・パワー = 安値 − EMA

期間は、ソフトで変更できます(13が、一般的な設定です)。単位は、価格差(円)で、pipsで表示するソフトも、あります。

計算例:3期間EMAで、手計算する

手計算を簡単にするため、EMAを3期間(α = 2 ÷ (3 + 1) = 0.5)とします(例の数値です。実際は、13期間が一般的です)。EMAの初期値は、最初の終値とします(ソフトによって、初期値の扱いは違います)。

足高値安値終値EMA(3)ブル・パワーベア・パワー
1本目150.10149.85150.00150.0000+ 0.1000− 0.1500
2本目150.35150.05150.30150.1500+ 0.2000− 0.1000
3本目150.55150.30150.45150.3000+ 0.25000.0000
4本目150.60150.30150.40150.3500+ 0.2500− 0.0500
5本目150.50150.15150.25150.3000+ 0.2000− 0.1500
6本目150.75150.35150.65150.4750+ 0.2750− 0.1250
7本目150.90150.60150.80150.6375+ 0.2625− 0.0375
8本目150.70150.30150.40150.5188+ 0.1812− 0.2188
9本目150.50150.10150.20150.3594+ 0.1406− 0.2594

EMAの計算は、次のとおりです。

2本目:EMA = 0.5 × 150.30 + 0.5 × 150.0000 = 150.1500
3本目:EMA = 0.5 × 150.45 + 0.5 × 150.1500 = 150.3000
7本目:EMA = 0.5 × 150.80 + 0.5 × 150.4750 = 150.6375
8本目:EMA = 0.5 × 150.40 + 0.5 × 150.6375 = 150.5188

7本目と8本目のパワーは、次のとおりです。

7本目:ブル・パワー = 150.90 − 150.6375 = + 0.2625(26.25pips)
      ベア・パワー = 150.60 − 150.6375 = − 0.0375(−3.75pips)

8本目:ブル・パワー = 150.70 − 150.5188 = + 0.1812(18.12pips)
      ベア・パワー = 150.30 − 150.5188 = − 0.2188(−21.88pips)

この例では、価格が7本目の150.90円で、高値になりました。ブル・パワーは、6本目(+0.2750)がピークで、7本目は、高値を更新したのに、+0.2625と、低下しています。これは、7本目でEMAも、大きく上がった(150.4750円→150.6375円)ためです。8本目で、EMAが下向き(150.6375円→150.5188円)に転じ、ベア・パワーは、−0.0375から−0.2188へ、大きく下がりました。EMAが下向きに転じたのは、価格の高値の、次の足で、そのとき、価格は、高値から、50pips(150.40円)下がっています。

ブル・ベア・パワーが示すこと

ブル・パワー > 0 = 高値が、EMAより上(買い手が、EMAを超えて、押し上げた)
ブル・パワー < 0 = 高値が、EMAより下(買い手が、EMAに届かなかった)
ベア・パワー > 0 = 安値が、EMAより上(売り手が、EMAまで、押し下げられなかった)
ベア・パワー < 0 = 安値が、EMAより下(売り手が、EMAを下回って、押し下げた)

EMAは、「その期間の、平均的なコンセンサス(合意)の価格」と、考えます。高値と安値が、その合意の価格から、どれだけ離れたかで、買い手と売り手の「力」を、測る考え方です。

他の指標との違い

ブル・ベア・パワー移動平均乖離率CCI
計算の元高値・安値と、EMAの差終値と、移動平均の差(%)典型価格と、その平均の差(÷ 平均偏差)
高値・安値の使用使う(別々に表示)使わない(終値だけ)使う(典型価格の一部)
表示2本のヒストグラム1本の線1本の線
単位価格差(円・pips)%無次元
水準の目安ゼロライン(固定の基準なし)固定の基準なし±100

*ブル・ベア・パワーは、「高値と安値を、別々に見る」点が、特徴です。移動平均乖離率は、別の記事で解説しています。CCIについても、別の記事で解説しています。

基本の使い方

1. EMAの向きで、トレンドを確認する

EMAが上向きなら、上昇トレンド、下向きなら、下降トレンドと見るのが、基本です。ブル・ベア・パワーは、そのトレンドの中での、「買い手と売り手の力」を、見るために、使います。

2. 上昇トレンド中の、ベア・パワーの上昇(押し目の目安)

EMAが上向きで、ベア・パワーが、マイナスになった後、ゼロに向かって、上昇し始めたら、押し目の終わりと、見る考え方です。エルダーは、この使い方を、紹介したと、されています。ただし、必ず、反発するとは、限りません。

3. 下降トレンド中の、ブル・パワーの低下(戻りの目安)

EMAが下向きで、ブル・パワーが、プラスになった後、ゼロに向かって、低下し始めたら、戻りの終わりと、見る使い方です。

4. ダイバージェンスを見る

価格が高値を更新したのに、ブル・パワーが高値を更新しない場合、買い手の力が、弱まっていると、見る考え方です。計算例の7本目のように、高値を更新しても、ブル・パワーが、低下することが、あります。ただし、すぐに反転するとは、限りません。ダイバージェンスについては、別の記事で解説しています。

計算例:EMAが上向きで、ベア・パワーが上昇し始めたときに、買う場合

直近の安値が149.60円で、下げ止まり、直近高値は150.60円だったとします。損切りは直近安値(149.60円)、利益確定は、直近高値(150.60円)とします(例の数値です)。EMAが上向きに転じ、ベア・パワーが、マイナスから上昇し始めた足の終値が150.05円、その後、ブル・パワーが、プラスに戻った足の終値が150.35円でした。

安値の近く(149.72円)に、指値で買う場合

エントリー 149.72円、損切り 149.60円、利確 150.60円
リスク   = 149.72 − 149.60 = 0.12円(12pips)
リワード = 150.60 − 149.72 = 0.88円(88pips)
リスクリワード比 = 88 ÷ 12 ≒ 7.3

ベア・パワーが、上昇し始めた足の終値(150.05円)で買う場合

エントリー 150.05円、損切り 149.60円、利確 150.60円
リスク   = 150.05 − 149.60 = 0.45円(45pips)
リワード = 150.60 − 150.05 = 0.55円(55pips)
リスクリワード比 = 55 ÷ 45 ≒ 1.2

ブル・パワーが、プラスに戻った足の終値(150.35円)で買う場合

エントリー 150.35円、損切り 149.60円、利確 150.60円
リスク   = 150.35 − 149.60 = 0.75円(75pips)
リワード = 150.60 − 150.35 = 0.25円(25pips)
リスクリワード比 = 25 ÷ 75 ≒ 0.3
エントリー価格リスクリワードリスクリワード比
指値(安値付近)149.72円12pips88pips7.3
ベア・パワーが上昇し始めた150.05円45pips55pips1.2
ブル・パワーがプラスに戻った150.35円75pips25pips0.3

確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。ブル・パワーがプラスに戻るまで待つと、リスクリワード比は、1を大きく下回るため、この場合は、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。指値は、149.72円まで下がらずに、反発すると、エントリーできません。また、安値を割り込むと、損切りになります。

注意点

1. 単独では、売買の判断が、できない

ブル・ベア・パワーは、EMAを基準とした、高値・安値の位置を示すだけで、EMAの向きや、他の根拠と、合わせて使うことが、前提です。

2. EMAの期間で、見え方が変わる

期間を短くすると、EMAが価格に近づき、ブル・パワーとベア・パワーの振れ幅が、小さくなります。長くすると、振れ幅が大きく、反応が遅くなります。ソフトの標準設定も、違うことがあるため、他人のチャートと、そのまま比べないようにしましょう。

3. 値の大きさに、固定の基準は、ない

値は、通貨ペア・時間足・ボラティリティで、変わります。「いくつ以上なら、強い」という、固定の基準は、ありません。同じ通貨ペアの、過去の値との比較で、見るようにしましょう。

4. レンジ相場では、ダマシが多い

方向感のないレンジ相場では、EMAが横ばいになり、ブル・パワーとベア・パワーが、ゼロ付近を、上下に繰り返します。EMAの向きも、頻繁に変わり、シグナルが、ダマシになりやすいです。

たとえば、ダマシの買いが、損失20pipsで、7回続くと、合計−140pipsの損失です。その後の1回の利益が、160pipsなら、合計は+20pips、90pipsなら、合計は−50pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。

5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意

急変動で、長いヒゲが出ると、高値・安値が、EMAから、大きく離れ、ブル・パワー、ベア・パワーが、突出します。その後、元に戻ることもあるため、注意が必要です。

6. 足が確定するまで、分からない

進行中の足では、高値・安値・終値が動くたびに、EMAも、ブル・パワーも、ベア・パワーも、変わります。EMAの向きや、ゼロとの位置が、確定までに、入れ替わることがあります。確定後に判断しましょう。

初心者が間違えやすいポイント

ブル・パワーがプラスだから、買いと考える

ブル・パワーは、通常、プラスになりやすい指標です。「プラス=買いのサイン」では、ありません。

ベア・パワーがマイナスだから、売りと考える

同じく、ベア・パワーは、通常、マイナスになりやすい指標です。「マイナス=売りのサイン」では、ありません。EMAの向きと、パワーの変化を、合わせて見るようにしましょう。

EMAの向きを無視する

**エルダーの使い方は、「EMAの向きと同じ方向の、押し目・戻りを、狙う」**ものと、されています。EMAの向きと逆の、シグナルは、トレンドに逆らう、逆張りになります。

高値を更新すれば、ブル・パワーも上がると考える

計算例のとおり、高値を更新しても、EMAも上がっていると、ブル・パワーは、低下することが、あります。

検証せずに、使う

「ベア・パワーが上昇し始めたら買えば勝てる」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。

まとめ

  • ブル・ベア・パワーは、EMA(一般的に13期間)を基準に、各足の高値・安値が、どれだけ離れているかを、ヒストグラムで示す指標
  • ブル・パワー = 高値 − EMA、ベア・パワー = 安値 − EMA。通常、ブル・パワーは、プラス、ベア・パワーは、マイナスになりやすい
  • 例(3期間EMA)では、価格が高値をつけた次の足で、EMAが下向きに転じ、ベア・パワーが−0.0375から−0.2188へ低下。高値を更新した7本目でも、ブル・パワーは、低下した
  • EMAの向きで、トレンドを確認し、その中での、押し目・戻りの目安として使う
  • 例では、指値(7.3)、ベア・パワーの上昇(1.2)、ブル・パワーのプラス復帰(0.3)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
  • 固定の基準は、ない。レンジ相場では、ダマシが多い
  • 単独では判断できない。必ず機能するわけではない

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。

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