MACDのヒストグラムとは
MACDのヒストグラムとは、MACD線とシグナル線の「差」を、棒グラフで示したものです。MACDの2本の線の、「開き具合」が、棒の長さで、見えるため、線の交差(ゴールデンクロス・デッドクロス)よりも、早く、勢いの変化に気づけると、考える人が、います。MACD自体の計算方法は、別の記事で解説しています。
ヒストグラム = MACD線 − シグナル線
| ヒストグラムの状態 | 意味 |
|---|---|
| ゼロより上(プラス) | MACD線が、シグナル線の上にある(上向きの勢いが優勢) |
| ゼロより下(マイナス) | MACD線が、シグナル線の下にある(下向きの勢いが優勢) |
| ゼロを上抜ける | MACD線が、シグナル線を、下から上に抜けた(ゴールデンクロス) |
| ゼロを下抜ける | MACD線が、シグナル線を、上から下に抜けた(デッドクロス) |
| 棒が伸びる | 2本の線の差が、広がっている(勢いが強まっている) |
| 棒が縮む | 2本の線の差が、狭まっている(勢いが弱まっている) |
ゼロとの上下関係は、MACD線とシグナル線の位置関係を、棒の長さの変化は、勢いの強まり・弱まりを、示します。ここでは、特に「棒の長さの変化」に、注目します。

計算方法と、棒の長さの変化
ヒストグラムの値は、MACD線 − シグナル線です。棒の長さの変化は、「今の値 − 前の値」で、見ます。
計算例:MACDの計算例の値で、棒の長さの変化を見る
MACDの記事の計算例(短期3・長期5・シグナル3)の、ヒストグラムの値を使います。値は、次のとおりです(例の数値です)。
| 足 | 終値 | ヒストグラム | 前の足との差 | 棒の変化 |
|---|---|---|---|---|
| 2本目 | 150.20 | + 0.017 | − | − |
| 3本目 | 150.50 | + 0.036 | + 0.019 | 伸びた |
| 4本目 | 150.40 | + 0.012 | − 0.024 | 縮んだ |
| 5本目 | 150.80 | + 0.031 | + 0.019 | 伸びた |
| 6本目 | 151.00 | + 0.030 | − 0.001 | ほぼ横ばい(わずかに縮小) |
| 7本目 | 150.70 | − 0.018 | − 0.048 | ゼロを下回った |
| 8本目 | 150.30 | − 0.061 | − 0.043 | マイナス側に伸びた |
例:4本目
前の足との差 = 0.0116 − 0.0361 = − 0.0245 → 縮んだ
例:7本目
前の足との差 = −0.0182 − 0.0298 = − 0.0480 → ゼロを下回った
この例から、分かることは、次の3つです。
① 3本目から4本目で、棒が縮みましたが、5本目で、再び伸びました。縮んだからといって、勢いが、終わったわけでは、ありません。これは、棒の縮小が、ダマシになった例です。 ② 5本目から6本目は、終値が上がっている(150.80円→151.00円)のに、棒は、わずかに縮んでいます。価格は上がっても、勢いは、頭打ちに、なっていることを、示します。 ③ 7本目で、終値が下がり、棒は、ゼロを下回りました。棒の縮小(6本目)は、ゼロ割れ(7本目)の、予兆でした。
見方と、4つのパターン
| パターン | 状態 | 一般的な見方(目安) |
|---|---|---|
| A | ゼロより上で、棒が伸びる | 上向きの勢いが、強まっている |
| B | ゼロより上で、棒が縮む | 上向きの勢いが、弱まっている(転換の予兆の可能性) |
| C | ゼロより下で、棒が伸びる(下に長くなる) | 下向きの勢いが、強まっている |
| D | ゼロより下で、棒が縮む(短くなる) | 下向きの勢いが、弱まっている(反発の予兆の可能性) |
BとDが、「棒の縮小を、予兆として使う」パターンです。図の①がB、③がDの例で、②は、棒が、ゼロを下回った(デッドクロス)足です。①のあと、価格は、いったん押し、③のあと、価格は、反発に転じました。ただし、毎回、こうなるわけでは、ありません。
他の使い方との違い
| ヒストグラムの縮小 | ヒストグラムのゼロ交差 | MACD線のゼロライン交差 | |
|---|---|---|---|
| 意味 | 勢いの、弱まり | MACD線とシグナル線の交差 | 短期EMAと長期EMAの交差 |
| 出るタイミング | 早い | やや遅い | 遅い |
| ダマシ | 多い | やや多い | 少ない(代わりに、遅い) |
| 示すもの | 勢いの変化 | 勢いの向きの変化 | トレンドの向きの変化 |
早く出るシグナルほど、ダマシが、多くなります。どの段階で、判断するかは、「早く入りたい(リスクリワード比を良くしたい)」ことと、「確認してから入りたい(ダマシを減らしたい)」ことの、バランスです。
基本の使い方
1. 棒の縮小を、勢いの鈍化の目安にする
ゼロより上で、棒が縮み始めたら、上昇の勢いが、鈍っていると、見る使い方です。ゼロより下で、棒が縮み始めたら、下落の勢いが、鈍っていると、見ます。ただし、縮小だけで、売買するのではなく、他の根拠(サポート・レジスタンスや、トレンドの方向)と、組み合わせるのが、一般的です。
2. ゼロ交差を、MACDの交差の確認にする
ヒストグラムが、ゼロを、上抜けたら、MACD線が、シグナル線を、上抜けた(ゴールデンクロス)、下抜けたら、デッドクロス、という、同じ意味です。ヒストグラムのほうが、棒の長さで、交差の「勢い」まで、見やすいという、利点が、あります。
3. 価格との逆行(ダイバージェンス)を、見る
価格が高値を更新しているのに、ヒストグラムの山は低くなるといった逆行は、勢いの弱まりの、目安です。ダイバージェンスについては、別の記事で解説しています。
計算例:ヒストグラムの縮小を、売りの目安にする
上昇トレンドで、価格が、151.50円まで上昇しましたが、ヒストグラムは、ゼロより上で、棒が縮み始めました。直近の安値は150.60円です。損切りは高値の上(151.65円)、利益確定は、直近安値(150.60円)とします(例の数値です)。
高値の近く(151.35円)に、指値で売る場合
エントリー 151.35円、損切り 151.65円、利確 150.60円
リスク = 151.65 − 151.35 = 0.30円(30pips)
リワード = 151.35 − 150.60 = 0.75円(75pips)
リスクリワード比 = 75 ÷ 30 = 2.5
棒の縮小が、2本続いたことを確認した足の終値(151.20円)で、売る場合
エントリー 151.20円、損切り 151.65円、利確 150.60円
リスク = 151.65 − 151.20 = 0.45円(45pips)
リワード = 151.20 − 150.60 = 0.60円(60pips)
リスクリワード比 = 60 ÷ 45 ≒ 1.3
ヒストグラムが、ゼロを下回った(デッドクロスの)足の終値(151.00円)で、売る場合
エントリー 151.00円、損切り 151.65円、利確 150.60円
リスク = 151.65 − 151.00 = 0.65円(65pips)
リワード = 151.00 − 150.60 = 0.40円(40pips)
リスクリワード比 = 40 ÷ 65 ≒ 0.6
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 |
|---|---|---|---|---|
| 指値(高値付近) | 151.35円 | 30pips | 75pips | 2.5 |
| 棒の縮小が2本続いた足 | 151.20円 | 45pips | 60pips | 1.3 |
| ゼロを下回った足 | 151.00円 | 65pips | 40pips | 0.6 |
確認を重ねるほど、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。ゼロ割れを待つと、リスクリワード比は、1を下回るため、この水準で入ると、利益より、損失のほうが、大きくなりやすくなります。一方、早いエントリーは、棒の縮小が、一時的で、上昇が続くと、損切りになります。また、指値は、151.35円まで上がらずに、下落すると、エントリーできません。この場合は、見送る判断も、必要です。
注意点
1. 棒の縮小は、反転を、意味しない
棒が縮んでも、また、伸びることが、あります。計算例の4本目のように、縮んだあとに、再び伸びることは、よく起こります。「縮んだから、反転する」と、考えないようにしましょう。
2. 小さな動きにも、敏感に反応する
ヒストグラムは、MACD線とシグナル線の「差」で、1本の足の動きの影響を、受けやすいため、棒の長さは、細かく、変動します。値動きが小さい場面では、伸びたり縮んだりを、繰り返し、判断しにくくなります。
たとえば、棒の縮小での逆張りが、損失15pipsで、6回続くと、合計−90pipsの損失です。その後の1回の利益が、100pipsなら、合計は+10pips、60pipsなら、合計は−30pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
3. 棒の長さの絶対値は、比べられない
ヒストグラムの値は、通貨ペアや、時間足、値幅で、変わります。「棒が0.1以上なら強い」といった、固定の基準は、使えません。自分のチャートの、過去の棒と、比べるようにしましょう。
4. 設定で、見え方が変わる
期間(12・26・9)を変えると、棒の長さや、縮小のタイミングが、変わります。他人のチャートと、そのまま比べないようにしましょう。
5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
急変動で、棒が一気に伸び、そのあと、すぐ縮むことが、あります。その後の動きも大きくなるため、注意が必要です。
6. 足が確定するまで、分からない
進行中の足では、棒の長さが、刻々と変わります。縮んだように見えても、足の確定までに、伸びることがあります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
棒が縮んだら、すぐ逆張りする
棒の縮小は、「勢いが、弱まっている」ことを、示すだけで、「反転する」ことを、示しません。上昇や下落が、続くことも、あります。
ゼロより上なら、買い、下なら、売りと決める
ゼロの上下は、「MACD線とシグナル線の、位置関係」を、示すだけです。売買の判断は、トレンドの方向など、他の根拠と、あわせることが、大切です。
棒の高さで、強さを比べる
通貨ペアが違えば、棒の高さの基準も、変わります。同じ通貨ペア・時間足の、過去の棒と、比べます。
小さな縮小まで、すべて、シグナルと考える
わずかな縮小(例:0.001の差)まで、すべてを、シグナルにすると、判断が、散らかります。「何本続けて縮んだら」といった、自分のルールを、先に決めることが、大切です。
検証せずに、使う
「ヒストグラムの縮小で逆張りすれば勝てる」と聞いても、実際の確率は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- MACDのヒストグラムは、MACD線とシグナル線の差を、棒グラフで示したもの。ゼロの上下は、2本の線の位置関係、棒の長さの変化は、勢いの強まり・弱まりを、示す
- ヒストグラム = MACD線 − シグナル線。棒の変化 = 今の値 − 前の値
- 例では、棒が縮んだあと、再び伸びる場面(ダマシ)と、価格は上がっているのに、棒がわずかに縮み、そのあとゼロを下回る場面が、見られる
- ゼロより上で縮む(上昇の鈍化)、ゼロより下で縮む(下落の鈍化)が、予兆として使われる。ただし、縮小は、反転を意味しない
- 例では、指値(2.5)、棒の縮小が2本続いた足(1.3)、ゼロを下回った足(0.6)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
- 棒は、細かく変動する。絶対値は、比べられない
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
