この記事で扱う2つの注文方法
FXの注文方法には、成行・指値・逆指値のほかに、取引の目的に応じた特別な注文方法があります。この記事では、次の2つを解説します。
| 注文方法 | 内容 |
|---|---|
| トレール注文 | 相場の動きに合わせて、逆指値のレートが自動的に追随する注文 |
| ストリーミング注文 | 画面に表示されているレートを指定して、ほぼその価格で約定させる注文 |
トレール注文とは
トレール注文とは
トレール注文とは、レートが有利な方向に動くと、逆指値のレートも自動的に動き、不利な方向に動いても逆指値は動かない注文方法です。「トレーリングストップ」とも呼ばれます。
利益を伸ばしながら、損失を限定することを目的とした、決済注文のひとつです。
仕組み
トレール注文では、トレール幅(現在のレートから何pips離すか)を設定します。
- レートが有利な方向に進むと、逆指値のレートも、トレール幅を保ちながら一緒に動く
- レートが不利な方向に戻ると、逆指値のレートはその位置で固定される
- 固定された逆指値のレートに到達したら、決済(約定)される
例:USD/JPYを150.00円で買い、トレール幅を30pips(0.30円)にした場合
| レートの動き | 逆指値のレート | 状況 |
|---|---|---|
| 150.00円(買い建て) | 149.70円 | 開始時、トレール幅30pips下 |
| 150.50円に上昇 | 150.20円 | 逆指値が一緒に上昇 |
| 151.00円に上昇 | 150.70円 | 逆指値がさらに上昇 |
| 150.80円に下落 | 150.70円 | 逆指値は動かない |
| 150.70円に下落 | 150.70円 | 逆指値に到達 → 決済(約定) |
この場合、+70pips(150.70円 − 150.00円)の利益で決済されます。もしトレール注文を使わず、150.00円付近に損切りを置いていた場合、最終的に利益は出ていません。
売りポジションの場合
売りポジションの場合は、逆の動きになります。
- レートが下がると、逆指値も一緒に下がる
- レートが上がっても、逆指値は動かない
- 逆指値に到達したら決済される
トレール注文のメリット
- 利益を伸ばしながら、損失を限定できる
- 利益確定のタイミングを、感覚ではなく、ルールで決められる
- 相場の上昇・下落が続くときは、大きな値幅を取れる可能性がある
- 画面を常に見ていなくても、利益が逃げにくくなる
トレール注文のデメリット
- 相場が行ったり来たりするレンジでは、小さなトレール幅だと、すぐに決済されてしまう
- トレール幅が広すぎると、利益が減ってから決済される
- 急変時は、スリッページが発生することがある
- FX会社によって、取り扱いや仕様が異なる
トレール幅の決め方
トレール幅に正解はありません。次のような点を考慮して決めます。
- 通貨ペアの値動き(ボラティリティ)の大きさ
- 時間足(長い時間足ほど、幅は広め)
- 直近の値動きの幅(ATRなどを参考にする)
- 想定する利益と損失のバランス(リスクリワード比)
狭すぎるとすぐに決済され、広すぎると利益が削られるため、過去のチャートで検証してみましょう。
取り扱いの注意:ツールによっては、トレールが正常に動かない場合がある
トレール注文は、FX会社の取引ツールの仕様に依存します。
- ツールを閉じると、トレールが動かなくなるタイプ(PCやスマホが起動している間だけ機能する)
- サーバー側で稼働するタイプ(ツールを閉じていても機能する)
どちらのタイプかは、FX会社の仕様を確認しましょう。
ストリーミング注文とは
ストリーミング注文とは
ストリーミング注文とは、取引画面に配信(ストリーミング)されているレートを見て、そのレートをクリックして発注する注文方法です。表示されているレートで、約定させることを目指します。
成行注文と似ていますが、画面に表示されたレートに対して注文を出す点が特徴です。
成行注文との違い
| ストリーミング注文 | 成行注文 | |
|---|---|---|
| 発注の方法 | 画面のレートをクリックして発注 | 数量などを入力して発注(レートの確認が不要な場合も) |
| 約定価格 | 表示されたレートで約定を目指す | 注文時点のレートで約定(ずれることがある) |
| 約定拒否 | ある(レートが変わっていたら拒否) | 原則なし(スリッページで約定) |
ストリーミング注文の特徴
- 見ているレートで、約定しようとするため、価格のイメージと一致しやすい
- スキャルピングなどの、短期取引に使われることが多い
- レートが変動すると、注文が拒否される場合がある(リクォート)
リクォートとは
リクォートとは、注文を出したときに、画面のレートがすでに変わっていて、約定できなかった場合に、新しいレートを再提示される(または注文が拒否される)ことです。
ストリーミング注文は、「そのレートで約定させたい」という注文なので、レートが変わると、約定しないことがあります。
スリッページ許容幅の設定
FX会社によっては、スリッページ(許容幅)を設定できます。
- 許容幅を大きくする:約定しやすくなるが、不利なレートで約定するリスクが増える
- 許容幅を小さくする:希望のレートに近い価格で約定するが、約定しにくくなる
成行・ストリーミング・指値の比較
| 成行 | ストリーミング | 指値 | |
|---|---|---|---|
| 約定のしやすさ | ◎ | △〜○ | △(届かなければ約定しない) |
| 価格の確実さ | △ | ○ | ◎(指定価格か有利な価格) |
| 向いている場面 | 今すぐ取引したい | 見えているレートで取引したい | 有利なレートを待ちたい |
注文方法の選び方
| 状況 | 向いている注文 |
|---|---|
| 利益を伸ばしたい、利益確定のタイミングを機械的に決めたい | トレール注文 |
| 画面のレートで、素早く取引したい(短期取引) | ストリーミング注文 |
| 確実に約定させたい | 成行注文 |
| 有利なレートを待ちたい | 指値注文 |
初心者が間違えやすいポイント
トレール注文は、レンジ相場では不向き
トレール注文は、一方向に動く相場(トレンド)で効果的です。小さな上下動を繰り返す相場では、すぐに決済されてしまうことがあります。
トレール幅を狭くしすぎる
狭いトレール幅は、ノイズ(小さな値動き)で決済されやすく、利益を伸ばす前に終わってしまうことがあります。
トレール注文は、必ず稼働しているわけではない
ツールによっては、取引ツールを閉じると、トレールが動かなくなる場合があります。事前に仕様を確認しましょう。
ストリーミング注文は、必ず約定するわけではない
レートが動くと、注文が拒否される場合があります。急変時は、約定しにくくなることがあります。
まとめ
- トレール注文は、有利な方向にレートが動くと逆指値が追随し、不利な方向には動かない注文。利益を伸ばしながら損失を限定できる
- トレール幅は、ボラティリティや時間足を考慮して決める。狭すぎても広すぎてもよくない
- トレール注文は、FX会社・ツールによって仕様が異なるため、事前に確認する
- ストリーミング注文は、画面に表示されたレートで約定を目指す注文。短期取引で使われることが多い
- ストリーミング注文は、レートが変わると約定しない(リクォート)ことがある
- 取引の目的や状況に応じて、注文方法を使い分ける
本記事は情報提供を目的としたもので、投資の勧誘や利益を保証するものではありません。取引は自己責任でお願いします。
