FXの損益は3つの要素で決まる
FXで得られる損益は、主に次の3つを合計したものです。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 為替差損益 | 買った(売った)レートと、決済したレートの差による損益 |
| スワップポイント | ポジションを持ち越した日数分の、金利差による受け取り(または支払い) |
| 手数料 | 取引手数料など(口座タイプによっては発生しない) |
さらに、スプレッドは、約定レートに含まれる形で、損益に反映されます。
実際の損益 = 為替差損益 + スワップポイント − 手数料
この記事では、最も基本となる為替差損益の計算方法を中心に、通貨ペアのタイプ別に整理します。
基本の計算式
為替差損益は、次の式で求められます。
| ポジション | 計算式 |
|---|---|
| 買い | (決済レート − 約定レート) × 取引数量 |
| 売り | (約定レート − 決済レート) × 取引数量 |
- 買い:レートが上がると利益、下がると損失
- 売り:レートが下がると利益、上がると損失
計算結果は、通貨ペアの右側の通貨(決済通貨)の金額で出ます。
円ペア(ドル円・ポンド円など)の損益
円ペアは、決済通貨が日本円のため、計算結果がそのまま円で出ます。計算が最も分かりやすい通貨ペアです。
例1:USD/JPYを買って、利益が出た場合
- 約定レート:150.00円(買い)
- 決済レート:151.50円
- 取引数量:1万通貨
(151.50 − 150.00) × 10,000 = 15,000円(利益)
例2:USD/JPYを買って、損失が出た場合
- 約定レート:150.00円(買い)
- 決済レート:149.20円
- 取引数量:1万通貨
(149.20 − 150.00) × 10,000 = −8,000円(損失)
例3:USD/JPYを売って、利益が出た場合
- 約定レート:150.00円(売り)
- 決済レート:148.80円
- 取引数量:1万通貨
(150.00 − 148.80) × 10,000 = 12,000円(利益)
pipsから、すばやく計算する
円ペアは、1万通貨で1pips = 100円です。値動きをpipsで捉えれば、頭の中で計算できます。
損益(円) = pips × 100円 × (取引数量 ÷ 1万通貨)
| 取引数量 | 1pips | 10pips | 50pips | 100pips |
|---|---|---|---|---|
| 1,000通貨 | 10円 | 100円 | 500円 | 1,000円 |
| 1万通貨 | 100円 | 1,000円 | 5,000円 | 10,000円 |
| 10万通貨 | 1,000円 | 10,000円 | 50,000円 | 100,000円 |
円以外のペア(ユーロドル・ポンドドルなど)の損益
ユーロドル(EUR/USD)のように、決済通貨が円ではない通貨ペアは、損益が決済通貨(この場合は米ドル)で出ます。日本円の口座では、この金額を円に換算して、口座に反映します。
計算の手順
- 決済通貨(米ドルなど)での損益を計算する
- 決済時の為替レート(ドル円など)で、円に換算する
例4:EUR/USDを買って、利益が出た場合
- 約定レート:1.1000(買い)
- 決済レート:1.1050
- 取引数量:1万通貨
- 決済時のドル円レート:150.00円
① 米ドルでの損益
(1.1050 − 1.1000) × 10,000 = 50ドル(利益)
② 円に換算
50ドル × 150.00円 = 7,500円(利益)
円以外のペアのpips計算
円以外のペアは、1pips = 0.0001です。
1万通貨で1pips = 0.0001 × 10,000 = 1ドル(決済通貨の1単位)
これを円に換算するので、1pipsの円換算額は、ドル円のレートによって変わります。
| ドル円のレート | EUR/USD 1万通貨・1pipsの円換算額 |
|---|---|
| 140円 | 140円 |
| 150円 | 150円 |
| 160円 | 160円 |
例5:GBP/USDを売って、損失が出た場合
- 約定レート:1.2800(売り)
- 決済レート:1.2860
- 取引数量:5,000通貨
- 決済時のドル円レート:150.00円
① 米ドルでの損益
(1.2800 − 1.2860) × 5,000 = −30ドル(損失)
② 円に換算
−30ドル × 150.00円 = −4,500円(損失)
クロス通貨(ユーロポンドなど)の損益
円も米ドルも含まない通貨ペアは、決済通貨(右側の通貨)の金額で損益が出ます。たとえば、EUR/GBPなら、損益は英ポンドで出ます。円に換算するときは、GBP/JPYのレートを使います。
例6:EUR/GBPを買って、利益が出た場合
- 約定レート:0.8500(買い)
- 決済レート:0.8540
- 取引数量:1万通貨
- 決済時のポンド円レート:190.00円
① 英ポンドでの損益
(0.8540 − 0.8500) × 10,000 = 40ポンド(利益)
② 円に換算
40ポンド × 190.00円 = 7,600円(利益)
スプレッドを考慮した損益
実際の取引では、買いはAsk(買値)、売りはBid(売値)で約定します。そのため、レートが動かなくても、スプレッド分の損失が出た状態からスタートします。
例7:USD/JPYを買って、すぐ決済した場合(スプレッド0.2銭)
- 取引画面のレート:Bid 150.000円 / Ask 150.002円
- 買い注文:Ask(150.002円)で約定
- 決済(売り):Bid(150.000円)で約定
- 取引数量:1万通貨
(150.000 − 150.002) × 10,000 = −20円
この**−20円**が、スプレッドによるコストです。レートが動いていなくても、取引の往復でスプレッド分は必ず発生します。
買いの場合の利益の計算(スプレッド込み)
買いポジションは、Bid(売値)が約定レートのAsk(買値)を、スプレッド以上に上回って初めて、利益になります。
スワップポイントを加えた損益
ポジションを翌日に持ち越すと、スワップポイントが発生します。トータルの損益は、為替差損益とスワップの合計です。
例8:USD/JPYを買って、10日間保有した場合
- 約定レート:150.00円(買い)
- 決済レート:150.80円
- 取引数量:1万通貨
- スワップ:1日あたり+100円(1万通貨)
- 保有日数:10日
① 為替差損益
(150.80 − 150.00) × 10,000 = 8,000円
② スワップ
100円 × 10日 = 1,000円
③ 合計
8,000円 + 1,000円 = 9,000円(利益)
※ スワップポイントは、3倍デーなど、日数の数え方に注意が必要です(詳しくは、スワップポイントの記事を参照)。
含み損益と確定損益
ポジションを保有している間の損益は、含み損益(評価損益)です。決済すると、損益が確定し、確定損益(実現損益)になります。
| 含み損益 | 確定損益 | |
|---|---|---|
| 計算に使うレート | 現在のレート(買いならBid、売りならAsk) | 決済したレート |
| 変動 | レートに合わせて常に変わる | 決済後は変わらない |
含み損益の計算も、基本の計算式の**「決済レート」を「現在のレート」に置き換える**だけです。
損益率(証拠金に対する損益の割合)の計算
損益の金額だけでなく、資金に対する割合で見ることも大切です。
損益率(%) = 損益 ÷ 口座の資金 × 100
例9
- 口座の資金:20万円
- 損益:+10,000円
10,000 ÷ 200,000 × 100 = 5%
1回の取引で、資金の何%を失うかを、事前に決めておくことが、資金管理の基本です。
損益を計算するときの注意点
決済通貨が円でないときは、換算レートに注意する
円以外のペアは、決済時のレートで円に換算されます。為替レートの変動も、損益に影響します。
売りの場合は、計算の向きが逆
売りは、約定レート − 決済レートで計算します。買いと同じ式で計算すると、プラスとマイナスが逆になります。
スプレッドとスワップを忘れない
為替差損益だけを見て、スプレッドのコストやスワップの支払いを忘れると、実際の損益とずれます。
FX会社の表示と、手計算が一致しない場合がある
取引画面の損益は、端数の処理、換算レートのタイミング、スワップの付与時刻などによって、手計算とわずかに異なることがあります。
損益を計算する習慣のメリット
- 取引前に、「いくら勝てて、いくら負けるか」を把握できる
- 損切り幅から、取引数量を逆算できる
- 自分の取引のリスクとリワードのバランスを、冷静に判断できる
初心者が間違えやすいポイント
通貨ペアの右側の通貨が、損益の通貨になることを忘れる
ユーロドルの損益は、円ではなくドルで出ます。
取引数量を、桁間違いする
「1万通貨」と「10万通貨」では、損益が10倍違います。
買いと売りで、計算式を取り違える
買いは「決済 − 約定」、売りは「約定 − 決済」です。
pipsの金額を、通貨ペアに関係なく同じと考える
円ペアは1万通貨で1pips=100円ですが、円以外のペアは、換算レートによって変わります。
まとめ
- FXの損益は、為替差損益 + スワップポイント − 手数料で決まる
- 為替差損益は、買い:(決済 − 約定) × 数量、売り:(約定 − 決済) × 数量
- 損益は、通貨ペアの右側(決済通貨)の金額で出る
- 円ペアは、1万通貨で1pips=100円。計算が簡単
- 円以外のペアは、決済通貨で計算したあと、決済時のレートで円に換算する
- スプレッドは、約定レートに含まれ、往復で必ずコストになる
- 取引前に、損益の金額と、資金に対する割合を計算しておく
本記事は情報提供を目的としたもので、投資の勧誘や利益を保証するものではありません。取引は自己責任でお願いします。
