スロー・ストキャスティクスとは?計算方法・見方・ファストとの違い

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スロー・ストキャスティクスとは

スロー・ストキャスティクス(Slow Stochastics)とは、ストキャスティクスの%Kに、さらに移動平均をかけて、動きをなめらかにした形の指標です。通常の(平滑化をかけない)ストキャスティクスは「ファスト・ストキャスティクス」と呼ばれ、動きが速く、細かく上下に振れるため、ダマシが多いという課題が、ありました。これを改善するために、%Kを3本の移動平均でならしたものが、スロー・ストキャスティクスです。一般的な設定は、期間14・3・3で、「80以上は買われすぎ、20以下は売られすぎ」という目安が、よく使われます(固定の基準ではありません)。ストキャスティクスの基本は、別の記事で解説しています。

ファストスロー
%K終値の位置(そのまま)ファスト%Kの、3本平均
%Dファスト%Kの、3本平均スロー%Kの、3本平均

つまり、スローの%Kは、ファストの%Dと、同じ値になります。

計算方法

ファスト%K = (今の終値 − 直近N本の最安値)÷(直近N本の最高値 − 直近N本の最安値)× 100

スロー%K = ファスト%Kの、3本の単純移動平均
スロー%D = スロー%Kの、3本の単純移動平均

計算例:5本の範囲で、スロー%Kとスロー%Dを計算する(N = 5)

ファストの計算例と、同じデータを使い、9本目まで延ばします。値は、次のとおりです(例の数値です)。

足高値安値終値ファスト%K
5本目150.90150.50150.8088.89
6本目151.00150.60150.9087.5
7本目150.95150.55150.6042.86
8本目151.10150.70151.0085.71
9本目151.05150.65150.7541.67

(1〜4本目は、高値・安値・終値を、150.40/150.00/150.20、150.60/150.20/150.50、150.70/150.30/150.40、150.80/150.40/150.70とします)

ファスト%Kの計算(例:8本目、4〜8本目の範囲)
  最高値 = 151.10、最安値 = 150.40
  %K = (151.00 − 150.40)÷(151.10 − 150.40)× 100 = 0.60 ÷ 0.70 × 100 ≒ 85.71

ファスト%Kの計算(例:9本目、5〜9本目の範囲)
  最高値 = 151.10、最安値 = 150.50
  %K = (150.75 − 150.50)÷(151.10 − 150.50)× 100 = 0.25 ÷ 0.60 × 100 ≒ 41.67

スロー%K(7本目)= (88.89 + 87.5 + 42.86)÷ 3 ≒ 73.08
スロー%K(8本目)= (87.5 + 42.86 + 85.71)÷ 3 = 216.07 ÷ 3 ≒ 72.02
スロー%K(9本目)= (42.86 + 85.71 + 41.67)÷ 3 = 170.24 ÷ 3 ≒ 56.75

スロー%D(9本目)= (73.08 + 72.02 + 56.75)÷ 3 = 201.85 ÷ 3 ≒ 67.28
足ファスト%Kスロー%Kスロー%D
7本目42.8673.08−
8本目85.7172.02−
9本目41.6756.7567.28

ファスト%Kは、42.86 → 85.71 → 41.67と、大きく上下に振れています(この例は、値動きの差を、分かりやすくするため、極端に作った数値です)。一方、スロー%Kは、73.08 → 72.02 → 56.75と、なめらかに動いています。その分、スローは、ファストより、動きが遅れています。

ファスト・スロー・RSIの違い

ファストスローRSI
計算の元高値・安値の範囲での終値の位置ファストを、さらに平滑化上げ幅と下げ幅の平均の比
動きの速さ速い穏やか(遅れる)やや穏やか
線の交差の数多い少ない(交差は使わない)
ダマシ多い減りやすいある
反応の遅れ小さい大きいやや大きい

平滑化をかけるほど、ダマシは減りやすくなりますが、その分、シグナルが遅れます。どちらが優れているかではなく、「ダマシの少なさ」と「反応の速さ」の、バランスの違いです。RSIについても、別の記事で解説しています。なお、ソフトによっては、「平滑化の本数(Slowingなど)」の設定があり、1ならファスト、3ならスロー、という形になっています。使うソフトの設定を、確認しましょう。

基本の使い方

1. 買われすぎ・売られすぎの、目安にする

80以上は買われすぎ、20以下は売られすぎと、見る考え方です。ただし、「80以上だから、下がる」とは、限りません。強いトレンドでは、80以上に張り付いたまま、上昇が続くことも、あります。

2. スロー%Kとスロー%Dの交差を、目安にする

スロー%Kが、20以下の位置で、スロー%Dを下から上抜けたら、買いの目安、80以上の位置で、上から下抜けたら、売りの目安、という使い方です。ファストより、交差の数が少なく、ダマシも減りやすいと、考えられます(必ず、そうなるわけでは、ありません)。

3. 単独ではなく、他の根拠と組み合わせる

トレンドの方向や、サポート・レジスタンスと、組み合わせることが、一般的です。

計算例:ファストとスロー、交差のタイミングによる違い

ストキャスティクスが20以下まで下がり、直近の安値が148.90円になったとします。直近高値は149.80円です。損切りは直近安値(148.90円)、利益確定は、直近高値(149.80円)とします(例の数値です)。ファストの%Kが、%Dを上抜けた足の終値が149.15円、遅れて、スローのスロー%Kがスロー%Dを上抜けた足の終値が149.30円でした。

安値の近く(149.00円)に、指値で買う場合

エントリー 149.00円、損切り 148.90円、利確 149.80円
リスク   = 149.00 − 148.90 = 0.10円(10pips)
リワード = 149.80 − 149.00 = 0.80円(80pips)
リスクリワード比 = 80 ÷ 10 = 8.0

ファストの交差(149.15円)で買う場合

エントリー 149.15円、損切り 148.90円、利確 149.80円
リスク   = 149.15 − 148.90 = 0.25円(25pips)
リワード = 149.80 − 149.15 = 0.65円(65pips)
リスクリワード比 = 65 ÷ 25 = 2.6

スローの交差(149.30円)で買う場合

エントリー 149.30円、損切り 148.90円、利確 149.80円
リスク   = 149.30 − 148.90 = 0.40円(40pips)
リワード = 149.80 − 149.30 = 0.50円(50pips)
リスクリワード比 = 50 ÷ 40 = 1.25
エントリー価格リスクリワードリスクリワード比
指値(安値付近)149.00円10pips80pips8.0
ファストの交差149.15円25pips65pips2.6
スローの交差149.30円40pips50pips1.25

スローは、シグナルが出るまでに時間がかかるため、エントリーの位置が、安値から離れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。一方で、ファストの交差は、ダマシになることも多く、149.15円で買ったあと、安値を割り込むことも、あります。スローのほうが、確認としては慎重ですが、その分、リワードは、小さくなります。この場合は、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。指値は、149.00円まで下がらずに反発すると、エントリーできません。

注意点

1. シグナルが遅れる

平滑化をかけるため、価格が反転してから、スローの線が反応するまでに、時間がかかります。シグナルが出た時には、すでに、動きの大部分が終わっていることも、あります。

2. 強いトレンドでは、80以上・20以下が続く

強い上昇トレンドでは、80以上に張り付いた状態が、続くことが、あります。「80以上=売り」と考えると、トレンドに、逆らい続けることに、なります。

たとえば、80以上での逆張りの売りが、損失35pipsで、3回続くと、合計−105pipsの損失です。その後の1回の利益が、120pipsなら、合計は+15pips、80pipsなら、合計は−25pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。

3. 平滑化しても、ダマシは、なくならない

スローは、ファストより、ダマシが減りやすいだけで、なくなるわけでは、ありません。値動きが小さい場面では、スローでも、交差が、何度も繰り返されます。

4. 設定・名称が、ソフトによって違う

「ストキャスティクス」の名前で、実際には、スローが表示されているソフトも、あります。期間や、平滑化の本数の設定が違うと、見え方が変わるため、他人のチャートと、そのまま比べないようにしましょう。

5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意

急変動で、線が一気に、0や100付近になり、そのまま、張り付くことが、あります。その後の動きも大きくなるため、注意が必要です。

6. 足が確定するまで、分からない

進行中の足は、交差したように見えても、確定までに戻ることがあります。確定後に判断しましょう。

初心者が間違えやすいポイント

スローのほうが、必ず優れていると考える

スローは、ダマシが減りやすい代わりに、シグナルが遅れます。どちらが合うかは、使い方や、相場によって、変わります。

80以上になったら、すぐ売る

80以上は、「買われすぎの目安」で、「売りのサイン」では、ありません。トレンドが強いと、そのまま上がり続けます。

ファストとスローを、混ぜて判断する

同じ「ストキャスティクス」でも、ファストとスローでは、動き方が違います。自分が見ているのが、どちらかを、確認しましょう。

設定を、頻繁に変える

結果が悪いたびに、期間や、平滑化の本数を変えると、過去のチャートに合わせただけになり、将来には通用しにくくなります。

検証せずに、使う

「スローで20以下の交差なら買えば勝てる」と聞いても、実際の確率は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。

まとめ

  • スロー・ストキャスティクスは、ファスト%Kに、さらに3本の移動平均をかけて、動きをなめらかにした形。スロー%K = ファスト%Kの3本平均、スロー%D = スロー%Kの3本平均。一般的な設定は、14・3・3
  • 例(N = 5)では、ファスト%Kが42.86 → 85.71 → 41.67と大きく振れるのに対し、スロー%Kは73.08 → 72.02 → 56.75、スロー%Dは67.28と、なめらか
  • ダマシは減りやすいが、シグナルが遅れる
  • 80以上は買われすぎ、20以下は売られすぎ、という目安がよく使われる。ただし、強いトレンドでは、80以上・20以下が続く
  • 例では、指値(8.0)、ファストの交差(2.6)、スローの交差(1.25)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
  • ソフトによって、名称や設定が違う
  • 単独では判断できない。必ず機能するわけではない

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。

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