サイコロジカルラインとは
サイコロジカルライン(Psychological Line:心理線)とは、直近N本のうち、前の足より、終値が上昇した足が、何本あったかを、割合(%)で示す、オシレーター系のテクニカル指標です。「何本、上がったか」だけを数えるため、計算は、非常に単純です。「上昇した足が多い=買いの心理が強い」「下落した足が多い=売りの心理が強い」と、考えることから、「心理線」と、呼ばれています**。日本で、よく使われる指標で、一般的な期間は12、「75%以上は買われすぎ、25%以下は売られすぎ」という目安が、よく使われます(70%・30%を使う人も、います。固定の基準では、ありません)。
| サイコロジカルラインの水準 | 一般的な見方(目安) |
|---|---|
| 75%以上 | 買われすぎ(上昇した足が、多い) |
| 50%前後 | 上昇した足と、下落した足が、拮抗している |
| 25%以下 | 売られすぎ(下落した足が、多い) |

計算方法
サイコロジカルライン(%)= 直近N本のうち、前の足より終値が上がった本数 ÷ N × 100
「前の足と、終値が同じ」足は、上昇に含めないのが、一般的です(ソフトによって、扱いが違うことが、あります)。
計算例:12本のうち、何本上昇したかを数える(N = 12)
終値の前の足からの変化は、次のとおりです(例の数値です。最初の終値は、150.00円とします)。
| 足 | 終値 | 前の足との差 | 上昇? |
|---|---|---|---|
| 1本目 | 150.20 | + 20pips | ○ |
| 2本目 | 150.30 | + 10pips | ○ |
| 3本目 | 150.15 | − 15pips | × |
| 4本目 | 150.40 | + 25pips | ○ |
| 5本目 | 150.50 | + 10pips | ○ |
| 6本目 | 150.65 | + 15pips | ○ |
| 7本目 | 150.55 | − 10pips | × |
| 8本目 | 150.75 | + 20pips | ○ |
| 9本目 | 150.80 | + 5pips | ○ |
| 10本目 | 150.70 | − 10pips | × |
| 11本目 | 150.85 | + 15pips | ○ |
| 12本目 | 151.05 | + 20pips | ○ |
上昇した本数 = 9本(○の数)
サイコロジカルライン = 9 ÷ 12 × 100 = 75 %
この例では、サイコロジカルライン = 75%です。次の足で、終値が20pips下がった(150.85円)場合、一番古い足(1本目)が、期間から外れるため、計算は、次のとおりです。
13本目(− 20pips):2〜13本目の12本のうち、上昇は8本
サイコロジカルライン = 8 ÷ 12 × 100 ≒ 66.7 %
14本目(− 10pips):3〜14本目の12本のうち、上昇は7本
サイコロジカルライン = 7 ÷ 12 × 100 ≒ 58.3 %
| 足 | 終値 | 上昇本数 | サイコロジカルライン |
|---|---|---|---|
| 12本目 | 151.05 | 9本 | 75 % |
| 13本目 | 150.85 | 8本 | 66.7 % |
| 14本目 | 150.75 | 7本 | 58.3 % |
サイコロジカルラインは、1本の動きで、約8.3%(1 ÷ 12)ずつ、階段状に、変わります。図の線が、階段状なのは、このためです。
値幅は、考慮されません。上の例の10本目(−10pips)が、もし−60pipsの大きな下げだったとしても、「下落した足が1本」であることは、同じで、サイコロジカルラインは、75%のままです。この点が、上げ幅・下げ幅を使うRSIとの、大きな違いです。
サイコロジカルラインが示すこと
サイコロジカルラインが高い = 直近N本のうち、上昇した足が多い
サイコロジカルラインが低い = 直近N本のうち、下落した足が多い
「上昇した足の数」だけを、数えます。そのため、「小さな上昇が、何本も続いた」場合も、「大きな上昇が、数本あった」場合も、本数が同じなら、同じ値になります。
他の指標との違い
| サイコロジカルライン | RSI | RCI | |
|---|---|---|---|
| 計算の元 | 上昇した足の本数 | 上げ幅と下げ幅の平均の比 | 日付と価格の順位の相関 |
| 値幅の考慮 | なし(本数だけ) | あり | なし(順位だけ) |
| 値の変わり方 | 階段状 | なめらか | なめらか |
| 値の範囲 | 0〜100% | 0〜100 | −100〜+100 |
| 計算の難しさ | 非常に簡単 | やや複雑 | やや複雑 |
サイコロジカルラインは、「勢い」ではなく、「上昇した足の数」を、数えるだけの指標です。RSI、RCIについては、別の記事で解説しています。
基本の使い方
1. 買われすぎ・売られすぎの、目安にする
75%以上は買われすぎ、25%以下は売られすぎと、見る考え方です。ただし、「75%以上だから、下がる」とは、限りません。図のとおり、75%以上のまま、上昇が続くことも、あります。
2. 25%や75%を、戻ってきたところを、目安にする
25%以下まで下がり、25%を上抜けたら、反発の目安、75%以上から、75%を下抜けたら、反落の目安、という使い方です。「入った瞬間」ではなく「戻ってきた」ことを確認することで、下げの途中で、逆張りするリスクを、減らせると、考えられます(必ず、そうなるわけでは、ありません)。
3. 他の指標と、組み合わせる
サイコロジカルラインは、値幅を考慮しないため、RSIなど、値幅を考慮する指標と、組み合わせることが、一般的です。
計算例:25%を上抜けたあとの買い
サイコロジカルラインが25%以下まで下がり、直近の安値が149.60円になったとします。直近高値は150.50円です。損切りは直近安値(149.60円)、利益確定は、直近高値(150.50円)とします(例の数値です)。サイコロジカルラインが25%を上抜けた足の終値が149.95円、その後、50%を上抜けた足の終値が150.15円でした。
安値の近く(149.70円)に、指値で買う場合
エントリー 149.70円、損切り 149.60円、利確 150.50円
リスク = 149.70 − 149.60 = 0.10円(10pips)
リワード = 150.50 − 149.70 = 0.80円(80pips)
リスクリワード比 = 80 ÷ 10 = 8.0
サイコロジカルラインが25%を上抜けた足の終値(149.95円)で買う場合
エントリー 149.95円、損切り 149.60円、利確 150.50円
リスク = 149.95 − 149.60 = 0.35円(35pips)
リワード = 150.50 − 149.95 = 0.55円(55pips)
リスクリワード比 = 55 ÷ 35 ≒ 1.6
サイコロジカルラインが50%を上抜けた足の終値(150.15円)で買う場合
エントリー 150.15円、損切り 149.60円、利確 150.50円
リスク = 150.15 − 149.60 = 0.55円(55pips)
リワード = 150.50 − 150.15 = 0.35円(35pips)
リスクリワード比 = 35 ÷ 55 ≒ 0.6
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 |
|---|---|---|---|---|
| 指値(安値付近) | 149.70円 | 10pips | 80pips | 8.0 |
| 25%の上抜け | 149.95円 | 35pips | 55pips | 1.6 |
| 50%の上抜け | 150.15円 | 55pips | 35pips | 0.6 |
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。50%の上抜けを待つと、リスクリワード比は、1を下回るため、この場合は、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。指値は、149.70円まで下がらずに、反発すると、エントリーできません。また、安値を割り込むと、損切りになります。
注意点
1. 値幅が、まったく考慮されない
計算例のとおり、−10pipsの下げも、−60pipsの下げも、「下落した足が1本」として、同じに数えられます。小さな上昇が、続いただけで、75%以上になることも、あり、価格の動きの大きさとは、一致しません。
2. 強いトレンドでは、75%以上・25%以下が続く
強い上昇トレンドでは、75%以上の状態が、続くことが、あります。「75%以上=売り」と考えると、トレンドに、逆らい続けることに、なります。
たとえば、75%以上での逆張りの売りが、損失20pipsで、7回続くと、合計−140pipsの損失です。その後の1回の利益が、160pipsなら、合計は+20pips、100pipsなら、合計は−40pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
3. 値が、階段状に変わる
期間12なら、1本ごとに、約8.3%ずつ、変わります。75%や25%の「ちょうど」を、境にすると、たった1本の差で、判断が変わることが、あります。
4. 期間で、見え方が変わる
期間を短くすると、値は、大きく、速く動き、長くすると、穏やかになります。他人のチャートと、そのまま比べないようにしましょう。
5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
急変動で、1本の大きな動きが出ても、サイコロジカルラインは、1本分しか、変わりません。一方、その動きが、価格に与える影響は、大きいため、注意が必要です。
6. 足が確定するまで、分からない
進行中の足は、終値が、前の足より上か下かが、確定までに、入れ替わることがあります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
75%以上になったら、すぐ売る
75%以上は、「上昇した足が多い」という意味で、「売りのサイン」では、ありません。トレンドが強いと、そのまま上がり続けます。
25%以下になったら、すぐ買う
同じく、25%以下は、「買いのサイン」では、ありません。下げの途中で、買うと、損失が広がります。
上昇の「大きさ」も、反映されていると考える
サイコロジカルラインは、本数だけを数えます。「大きく上がった」ことは、反映されません。値幅は、別に確認しましょう。
「心理」を、そのまま、投資家の心理と考える
「サイコロジカル(心理)」という名前ですが、実際の投資家の心理を、測っているわけでは、ありません。「上昇した足の数」を、数えているだけです。
検証せずに、使う
「25%を上抜けたら買えば勝てる」と聞いても、実際の確率は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- サイコロジカルラインは、直近N本のうち、上昇した足の割合を示す、オシレーター系の指標。日本で、よく使われる。一般的な期間は12。75%・25%が目安
- サイコロジカルライン = 上昇した本数 ÷ N × 100
- 例(N = 12)では、9本上昇で75%。次の足で20pips下がると8本で66.7%、さらに10pips下がると7本で58.3%。値は、階段状に、変わる
- 値幅は、考慮されない。−10pipsの下げも、−60pipsの下げも、同じ1本
- 例では、指値(8.0)、25%の上抜け(1.6)、50%の上抜け(0.6)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
- 強いトレンドでは、75%以上・25%以下が続く
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
