DPO(ディトレンド・プライス・オシレーター)とは?計算方法・見方・基本の使い方

目次

DPOとは

DPO(Detrended Price Oscillator:ディトレンド・プライス・オシレーター)とは、価格から、長期の流れ(トレンド)を取り除き、周期的な上下動(サイクル)だけを、取り出して見る、オシレーター系のテクニカル指標です。「ディトレンド(detrend)」は、「トレンドを取り除く」という意味です。移動平均線を「トレンド」と見なし、その線から、価格が、どれだけ上にあるか、下にあるかを、測ります。

ただし、DPOは、「今のトレンドや、売買のタイミングを、知る」ための指標では、ありません。主な目的は、価格の山と谷が、どのくらいの間隔で、現れているか(周期)を、見つけることです。この点が、他のオシレーターと、大きく違います。

DPOの位置一般的な見方(目安)
ゼロラインより上その時点の価格が、移動平均(トレンド)より、上にあった
ゼロライン付近その時点の価格が、移動平均と、ほぼ同じだった
ゼロラインより下その時点の価格が、移動平均より、下にあった

図のとおり、DPOの山(点線)は、価格の高値と、ほぼ同じ位置に、現れています。山の間隔は、20本・16本・18本と、おおよそ、16〜20本です。ただし、DPOには、右端に「値がない部分」があります(詳しくは、「注意点」で説明します)。

計算方法

DPO = (N ÷ 2 + 1)本前の終値 − 今回のN期間SMA

例:N = 20 の場合、(20 ÷ 2 + 1)= 11本前の終値 − 今回の20期間SMA

「N ÷ 2 + 1」本前の終値を使う理由は、N期間の単純移動平均(SMA)の「中心」が、およそ「N ÷ 2」本前にあるためです。そのため、その時点の、移動平均の中心と、同じ位置の価格を、引き算します。計算した値は、「今の足の値」ではなく、「(N ÷ 2 + 1)本前の足の値」として、チャート上の、その位置に表示するのが、一般的です。

ソフトによっては、「今回の終値 − (N ÷ 2 + 1)本前のSMA」という、異なる形で計算するものも、あります。この場合は、値も、表示位置も、違うため、ソフトの定義を、確認しましょう。

計算例:6期間(N = 6)で、手計算する

手計算を簡単にするため、N = 6(N ÷ 2 + 1 = 4)とします(例の数値です。実際は、20前後を使うことが、多いです)。次の終値が、あったとします。

足終値
1本目150.00
2本目150.20
3本目150.45
4本目150.60
5本目150.50
6本目150.30
7本目150.15
8本目150.30
9本目150.55
10本目150.70
11本目150.55
12本目150.35
13本目150.20
14本目150.40

6本目の計算は、6期間SMA(1〜6本目の平均)と、4本前(2本目)の終値の差です。

6本目のSMA = (150.00 + 150.20 + 150.45 + 150.60 + 150.50 + 150.30) ÷ 6
           = 902.05 ÷ 6 ≒ 150.3417
4本前(2本目)の終値 = 150.20

DPO(2本目の位置)= 150.20 − 150.3417 = − 0.1417

同じ計算を、14本目まで続けると、次のとおりです。

計算した足その足のSMA(6)4本前の足4本前の終値DPO表示する位置
6本目150.34172本目150.20− 0.14172本目
7本目150.36673本目150.45+ 0.08333本目
8本目150.38334本目150.60+ 0.21674本目
9本目150.40005本目150.50+ 0.10005本目
10本目150.41676本目150.30− 0.11676本目
11本目150.42507本目150.15− 0.27507本目
12本目150.43338本目150.30− 0.13338本目
13本目150.44179本目150.55+ 0.10839本目
14本目150.458310本目150.70+ 0.241710本目

この例で、分かることは、次のとおりです。

  • DPOの山は、4本目(+0.2167)と10本目(+0.2417)で、間隔は6本です。価格の高値(4本目の150.60円、10本目の150.70円)と、同じ位置です
  • DPOの谷は、7本目(−0.2750)で、価格の安値(7本目の150.15円)と、同じ位置です
  • 14本目の時点で、DPOが分かるのは、10本目までで、11〜14本目の位置には、値が、ありません

「山の間隔が6本」という情報から、「この通貨ペアは、約6本の周期で、上下している」と、読み取ることが、できます。

DPOが示すこと

DPO > 0 = その足の価格が、(N期間SMAの中心から見て)平均より上
DPO < 0 = その足の価格が、平均より下
山と山の間隔 = 周期の長さの目安

DPOは、「トレンドを取り除いた」値なので、上昇トレンドの中でも、下降トレンドの中でも、周期的な山と谷が、同じように、見えます。価格の水準が、時間とともに上がっても、DPOの水準は、ゼロの周辺に、留まります。

他の指標との違い

DPO移動平均乖離率モメンタム
計算の元(N ÷ 2 + 1)本前の終値と、今回のSMAの差今回の終値と、今回のSMAの差(%)今回の終値と、N本前の終値の差
主な目的周期の把握平均からの、行き過ぎの目安勢いの把握
最新の足の値ない(右端が空白)あるある
売買のタイミング向かない目安になる目安になる

DPOは、最新の足の値を、出せないため、「今、買うか、売るか」の判断には、向きません。移動平均乖離率は、別の記事で解説しています。モメンタムについても、別の記事で解説しています。

基本の使い方

1. 周期(山と谷の間隔)を、調べる

DPOの山と山、谷と谷の間隔を、数えることで、この通貨ペア・時間足の、おおよその周期を、知ることが、できます。図のように、16〜20本の間隔なら、「約18本周期」と、考えます。

2. 周期に合わせて、他の指標の期間を、決める

周期が約18本なら、RSIや移動平均の期間を、周期に近い長さにすると、反応が、合いやすいと、考える使い方です。ただし、周期は、変化するため、定期的に、見直すことが、必要です。

3. 次の山・谷の位置を、予想する(参考)

直近の谷から、周期の長さ(約18本)だけ進んだ位置が、次の谷の目安と、考えます。ただし、周期は、一定ではなく、予想が外れることが、多いため、あくまで、参考です。

計算例:周期から、次の谷を予想して、買う場合

周期から、次の谷が、149.60円付近になると、予想したとします。直近の安値は149.40円、直近高値は150.40円です。損切りは直近安値(149.40円)、利益確定は、直近高値(150.40円)とします(例の数値です)。短期の反発を確認して(直近の高値を上抜けた足の終値)、149.90円、DPOで谷が確認できた(谷から、約(N ÷ 2 + 1)本後の)足の終値は、150.15円でした。

予想した谷の近く(149.58円)に、指値で買う場合

エントリー 149.58円、損切り 149.40円、利確 150.40円
リスク   = 149.58 − 149.40 = 0.18円(18pips)
リワード = 150.40 − 149.58 = 0.82円(82pips)
リスクリワード比 = 82 ÷ 18 ≒ 4.6

短期の反発を、確認した足の終値(149.90円)で買う場合

エントリー 149.90円、損切り 149.40円、利確 150.40円
リスク   = 149.90 − 149.40 = 0.50円(50pips)
リワード = 150.40 − 149.90 = 0.50円(50pips)
リスクリワード比 = 50 ÷ 50 = 1.0

DPOで谷が確認できた足の終値(150.15円)で買う場合

エントリー 150.15円、損切り 149.40円、利確 150.40円
リスク   = 150.15 − 149.40 = 0.75円(75pips)
リワード = 150.40 − 150.15 = 0.25円(25pips)
リスクリワード比 = 25 ÷ 75 ≒ 0.3
エントリー価格リスクリワードリスクリワード比
指値(予想した谷付近)149.58円18pips82pips4.6
短期の反発を確認149.90円50pips50pips1.0
DPOで谷を確認150.15円75pips25pips0.3

確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。DPOは、谷の確認が、(N ÷ 2 + 1)本ほど、遅れるため、リスクリワード比は、1を大きく下回り、この指標だけで、エントリーを決めるのは、難しいことが、分かります。指値は、予想した谷まで下がらずに、反発すると、エントリーできません。また、谷が、予想より深いと、損切りになります。

注意点

1. 最新の足には、値がない

DPOは、「(N ÷ 2 + 1)本前の足の位置」に、値が表示されます。図のように、N = 20なら、最新の11本には、値が、ありません。そのため、「今の足」で、買いか売りかを、判断する、指標では、ありません。

2. 周期は、一定ではない

相場の周期は、変化します。図でも、山の間隔は、20本・16本・18本と、ばらついています。過去の周期が、次も、続くとは、限りません。

3. 計算式・表示位置が、ソフトによって、違う

「(N ÷ 2 + 1)本前の終値 − 今回のSMA」と「今回の終値 − (N ÷ 2 + 1)本前のSMA」の、どちらを使うかや、値を表示する位置が、ソフトによって、違います。他人のチャートと、そのまま比べないようにしましょう。

4. 期間で、見え方が変わる

期間を短くすると、短い周期が、長くすると、長い周期が、見えます。どの周期を見たいかで、期間を決める必要が、あります。

5. トレンドが強いと、周期が、見えにくい

非常に強いトレンドでは、山と谷が、はっきりせず、周期を、読み取りにくいことが、あります。

たとえば、周期を使った逆張りの買いが、損失20pipsで、8回続くと、合計−160pipsの損失です。その後の1回の利益が、180pipsなら、合計は+20pips、100pipsなら、合計は−60pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。

6. 足が確定するまで、分からない

進行中の足では、終値が動くたびに、SMAが変わり、DPOの値も、変わります。確定後に判断しましょう。

初心者が間違えやすいポイント

DPOを、売買サインと考える

DPOは、周期を調べる道具で、「ゼロラインを上抜けたら買い」と、使う指標では、ありません。値が、(N ÷ 2 + 1)本前の位置に、出るため、「今」の判断には、遅れすぎます。

右端のDPOの値を、最新と思う

ソフトによっては、最新の足にも、値を表示するもの(異なる計算式)が、あります。その場合の値は、周期を調べる、本来の目的とは、別の意味を持つため、ソフトの定義を、確認しましょう。

周期が、ずっと続くと考える

周期は、変化します。過去の山の間隔が、18本でも、次の山が、18本後に、来るとは、限りません。

トレンドの指標と考える

DPOは、トレンドを、取り除いた指標で、トレンドの方向や、強さは、示しません。

検証せずに、使う

「周期から、次の谷を予想できる」と聞いても、実際の的中率は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。

まとめ

  • DPOは、価格から、移動平均(トレンド)を取り除き、周期的な上下動を、取り出す指標。主な目的は、山と谷の間隔(周期)の把握
  • DPO = (N ÷ 2 + 1)本前の終値 − 今回のN期間SMA。計算した値は、(N ÷ 2 + 1)本前の位置に、表示するのが一般的
  • 例(N = 6)では、DPOの山は4本目と10本目で、間隔は6本。価格の高値と、同じ位置
  • 最新の(N ÷ 2 + 1)本には、値がない。そのため、今の売買の判断には、向かない
  • 例では、指値(4.6)、短期の反発の確認(1.0)、DPOで谷を確認(0.3)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
  • 周期は、一定ではなく、計算式・表示位置は、ソフトで違う
  • 単独では判断できない。必ず機能するわけではない

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。

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