MFI・OBV・A/Dラインとは?出来高系指標の計算方法・見方・基本の使い方

目次

出来高系の指標とは

出来高系の指標とは、価格だけでなく、「出来高(取引の量)」も使って、売買の勢いを測る、テクニカル指標の総称です。この記事では、代表的な3つ、OBV・A/Dライン・MFIを、まとめて解説します。

指標一言で言うと値の性質
OBV(オン・バランス・ボリューム)上昇した足の出来高を足し、下落した足の出来高を引いて、累積する累積値(水準に意味がない)
A/Dライン(蓄積・分散ライン)足の中での、終値の位置(高値寄りか、安値寄りか)で、出来高を足し引きして、累積する累積値(水準に意味がない)
MFI(マネー・フロー・インデックス)価格と出来高を掛けた「資金の流れ」で、RSIのような、0〜100の値を作る0〜100のオシレーター

FXでは、出来高に「ティックボリューム」を使うことが、一般的です。ティックボリュームは、一定時間に、価格が何回更新されたかを数えたもので、実際の取引量そのものでは、ありません。業者・ソフトによって、値が違うため、出来高系の指標は、FXでは、特に、慎重に扱う必要があります(詳しくは、「注意点」で説明します)。

図は、同じ価格と同じティックボリュームから、3つの指標を計算したものです。OBVとA/Dラインは、よく似た形になりますが、同じではありません。

OBV(オン・バランス・ボリューム)

OBVは、ジョセフ・グランビルが、1960年代に紹介したと、されています。終値が前の足より上がったら、その足の出来高を足し、下がったら、引くことを、繰り返して、累積します。

終値が前の足より上   → OBV = 前のOBV + 出来高
終値が前の足より下   → OBV = 前のOBV − 出来高
終値が前の足と同じ   → OBV = 前のOBV

値幅は、反映されません。1pipsの上昇でも、50pipsの上昇でも、「上昇した足」として、同じ出来高が、足されます。

A/Dライン(蓄積・分散ライン)

A/Dラインは、足の中で、終値が、高値寄りか、安値寄りかを、−1〜+1の値(CLV)にして、出来高を掛け、累積します。

CLV = ((終値 − 安値) − (高値 − 終値)) ÷ (高値 − 安値)
   終値が高値 → +1、終値が安値 → −1、真ん中 → 0

A/Dライン = 前のA/Dライン + CLV × 出来高

OBVは、前の足との比較だけを見ますが、A/Dラインは、その足の中での、終値の位置を見ます。そのため、終値が前の足より上でも、足の安値寄りで終われば、A/Dラインは、減ることが、あります。

MFI(マネー・フロー・インデックス)

MFIは、「出来高版のRSI」と、呼ばれることが、あります。典型価格(TP)に出来高を掛けた「資金の流れ」を、上昇した足と下落した足で、分けて、比を取ります。

典型価格(TP)= (高値 + 安値 + 終値) ÷ 3
資金の流れ(RMF)= TP × 出来高

TPが前の足より上 → 買いの資金の流れ
TPが前の足より下 → 売りの資金の流れ

MFR = 直近N本の「買いの資金の流れ」の合計 ÷ 「売りの資金の流れ」の合計
MFI = 100 − 100 ÷ (1 + MFR)

一般的な期間は14で、80以上を買われすぎ、20以下を売られすぎと見ることが、多いです(固定の基準では、ありません)。

計算例:OBV・A/Dライン・MFIを、手計算する

次の足が、あったとします(例の数値です。ティックボリュームは、足ごとの値とします)。

足高値安値終値ボリューム
1本目150.10149.90150.00100
2本目150.30150.05150.25180
3本目150.55150.25150.45240
4本目150.50150.25150.30150
5本目150.75150.40150.65300
6本目150.80150.50150.60160
7本目150.70150.30150.35260
8本目150.45150.15150.25200
9本目150.55150.20150.50150

OBVの計算(1本目を0として、2本目から計算します)

2本目:150.25 > 150.00(上昇) → 0 + 180   = 180
3本目:150.45 > 150.25(上昇) → 180 + 240 = 420
4本目:150.30 < 150.45(下落) → 420 − 150 = 270
5本目:150.65 > 150.30(上昇) → 270 + 300 = 570
6本目:150.60 < 150.65(下落) → 570 − 160 = 410
7本目:150.35 < 150.60(下落) → 410 − 260 = 150
8本目:150.25 < 150.35(下落) → 150 − 200 = −50
9本目:150.50 > 150.25(上昇) → −50 + 150 = 100

A/Dラインの計算(5本目と7本目を、式で示します)

5本目:CLV = ((150.65 − 150.40) − (150.75 − 150.65)) ÷ (150.75 − 150.40)
          = (0.25 − 0.10) ÷ 0.35 ≒ 0.429
      CLV × 出来高 = 0.429 × 300 ≒ 128.6   → A/D = 98.0 + 128.6 = 226.6

7本目:CLV = ((150.35 − 150.30) − (150.70 − 150.35)) ÷ (150.70 − 150.30)
          = (0.05 − 0.35) ÷ 0.40 = −0.75
      CLV × 出来高 = −0.75 × 260 = −195.0  → A/D = 173.2 − 195.0 = −21.8

MFIの計算(期間を4として、手計算します。実際の期間は、14が一般的です)

足典型価格(TP)資金の流れ(TP × ボリューム)前の足と比べたTP
1本目150.00015,000.0―
2本目150.20027,036.0上昇
3本目150.41736,100.0上昇
4本目150.35022,552.5下落
5本目150.60045,180.0上昇
6本目150.63324,101.3上昇
7本目150.45039,117.0下落
8本目150.28330,056.7下落
9本目150.41722,562.5上昇
5本目(2〜5本目の4本):
  買いの資金の流れ = 27,036.0 + 36,100.0 + 45,180.0 = 108,316.0
  売りの資金の流れ = 22,552.5
  MFR = 108,316.0 ÷ 22,552.5 ≒ 4.803
  MFI = 100 − 100 ÷ (1 + 4.803) ≒ 82.8

9本目(6〜9本目の4本):
  買いの資金の流れ = 24,101.3 + 22,562.5 = 46,663.8
  売りの資金の流れ = 39,117.0 + 30,056.7 = 69,173.7
  MFR = 46,663.8 ÷ 69,173.7 ≒ 0.675
  MFI = 100 − 100 ÷ (1 + 0.675) ≒ 40.3

まとめると、次のとおりです。

足終値OBVA/DラインMFI(4)
5本目150.65570226.682.8
6本目150.60410173.282.4
7本目150.35150−21.852.9
8本目150.25−50−88.450.0
9本目150.5010018.740.3

この例では、5本目の終値(150.65円)が、一番高く、その後、7本目まで下がる(150.35円)につれて、OBV・A/Dライン・MFIが、いずれも、大きく下がっています。OBVは、7本目に、前の足から、260の出来高を、一気に引きました。A/Dラインは、7本目の終値が、足の安値寄り(CLV = −0.75)だったため、大きく減っています。累積値の水準(570、226.6など)は、出来高の単位や、計算の開始位置で変わるため、水準そのものには、意味がありません。

他の指標との違い

OBVA/DラインMFI
計算の元終値の上下 × 出来高足の中の終値の位置 × 出来高典型価格の上下 × 出来高の比
値の性質累積累積0〜100
値幅の考慮なし(上下だけ)足の中の位置だけ典型価格の水準を反映
目安水準ではなく、方向水準ではなく、方向80/20
似た指標—OBVRSI

OBVとA/Dラインは、累積値のため、水準ではなく、「方向」と、「価格との食い違い」を、見る指標です。MFIは、RSIと、同じように、買われすぎ・売られすぎの目安として、使われます。RSI、フォース・インデックスについては、別の記事で解説しています。

基本の使い方

1. 価格と同じ方向に、動いているかを、確認する

価格が高値を更新しているとき、OBVやA/Dラインも、高値を更新していれば、「上昇に、出来高が伴っている」と、見る考え方です。図のように、価格の高値と、ほぼ同時に、OBVも、ピークをつけることが、多いです。

2. ダイバージェンスを見る

価格が高値を更新したのに、OBVが高値を更新しない場合、上昇の勢いが、弱まっていると、見る考え方です(逆も、同じ)。ただし、ダイバージェンスが出ても、すぐに反転するとは、限りません。ダイバージェンスについては、別の記事で解説しています。

3. MFIの80・20を、買われすぎ・売られすぎの目安にする

MFIが80以上なら、買われすぎ、20以下なら、売られすぎと、見る考え方です。ただし、図のとおり、MFIが80以上から下抜けても、価格が、その後、高値を更新することも、あります。20を上抜けた後に、反発しても、下落に戻ることも、あります。

計算例:MFIの20上抜けで、買う場合

MFIが20以下まで下がり、直近の安値が149.50円になったとします。直近高値は150.50円です。損切りは直近安値(149.50円)、利益確定は、直近高値(150.50円)とします(例の数値です)。MFIが20を上抜けた足の終値が149.85円、その後、MFIが50を上抜けた足の終値が150.10円でした。

安値の近く(149.62円)に、指値で買う場合

エントリー 149.62円、損切り 149.50円、利確 150.50円
リスク   = 149.62 − 149.50 = 0.12円(12pips)
リワード = 150.50 − 149.62 = 0.88円(88pips)
リスクリワード比 = 88 ÷ 12 ≒ 7.3

MFIが20を上抜けた足の終値(149.85円)で買う場合

エントリー 149.85円、損切り 149.50円、利確 150.50円
リスク   = 149.85 − 149.50 = 0.35円(35pips)
リワード = 150.50 − 149.85 = 0.65円(65pips)
リスクリワード比 = 65 ÷ 35 ≒ 1.9

MFIが50を上抜けた足の終値(150.10円)で買う場合

エントリー 150.10円、損切り 149.50円、利確 150.50円
リスク   = 150.10 − 149.50 = 0.60円(60pips)
リワード = 150.50 − 150.10 = 0.40円(40pips)
リスクリワード比 = 40 ÷ 60 ≒ 0.7
エントリー価格リスクリワードリスクリワード比
指値(安値付近)149.62円12pips88pips7.3
MFIが20を上抜け149.85円35pips65pips1.9
MFIが50を上抜け150.10円60pips40pips0.7

確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。50の上抜けを待つと、リスクリワード比は、1を下回るため、この場合は、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。指値は、149.62円まで下がらずに、反発すると、エントリーできません。また、安値を割り込むと、損切りになります。

注意点

1. FXの出来高は、ティックボリュームである

FXには、株式のような、すべての取引を集計した、出来高が、ありません。ティックボリュームは、価格の更新回数で、実際の取引量とは、一致しないことが、あります。業者・ソフトによって、値が違うため、同じ期間でも、OBV・A/Dライン・MFIの形が、変わることが、あります。他人のチャートと、そのまま比べないようにしましょう。

2. 累積値は、起点で変わる

OBVとA/Dラインは、「どの足から、累積を始めたか」で、水準が変わります。水準の高低ではなく、方向や、価格との関係を、見るようにしましょう。

3. 価格に、ほぼ同時に、動くことが多い

図のように、OBVやA/Dラインは、価格と、ほぼ同時に、動くことが、多く、必ず、先行するわけでは、ありません。ダイバージェンスも、出ないことが、多いです。

4. 買われすぎ・売られすぎが、続くことがある

強いトレンドでは、MFIが、80以上・20以下の状態が、続くことが、あります。「80以上=売り」と考えると、トレンドに、逆らい続けることに、なります。

たとえば、MFIが20を上抜けたところでの買いが、レンジ相場で、損失20pipsで、9回続くと、合計−180pipsの損失です。その後の1回の利益が、200pipsなら、合計は+20pips、110pipsなら、合計は−70pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。

5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意

急変動では、ティックボリュームも、大きく増え、OBV・A/Dライン・MFIが、急に動きます。その後、元に戻ることもあるため、注意が必要です。

6. 足が確定するまで、分からない

進行中の足では、終値・高値・安値・ティック数が、動くたびに、3つの指標の値も、変わります。確定後に判断しましょう。

初心者が間違えやすいポイント

出来高を、実際の取引量と、考える

FXで表示される出来高は、多くの場合、ティックボリュームで、実際の取引量ではありません。「出来高が多い=大口が、動いている」と、決めつけないようにしましょう。

OBVの水準で、判断する

OBVは、累積値で、起点によって、水準が変わります。「OBVが1万を超えたから、強い」といった、固定の基準は、ありません。

OBVとA/Dラインを、同じものと考える

OBVは、「前の足より、上がったか、下がったか」だけを見ます。A/Dラインは、「足の中で、終値が、どこにあるか」を見ます。同じ価格・出来高でも、値は、違います。

MFIが80以上になったら、すぐ売る

MFIが80以上は、「資金の流れが、買い優勢」という意味で、「売りのサイン」では、ありません。

検証せずに、使う

「MFIが20を上抜けたら買えば勝てる」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。

まとめ

  • OBV・A/Dライン・MFIは、価格と出来高を使って、売買の勢いを測る、出来高系の指標
  • OBVは、上昇した足の出来高を足し、下落した足の出来高を引いて、累積。A/Dラインは、足の中の終値の位置で、出来高を足し引きして、累積。MFIは、価格と出来高を掛けた資金の流れの比で、0〜100の値を作る
  • 例では、価格が下がるにつれて、OBV・A/Dライン・MFIが、いずれも、大きく下がった。累積値の水準には、意味がない
  • FXの出来高は、ティックボリューム。実際の取引量とは、限らず、業者・ソフトで違う
  • 例では、指値(7.3)、MFIの20上抜け(1.9)、50上抜け(0.7)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
  • 価格とほぼ同時に動くことが多く、買われすぎ・売られすぎが続くこともある
  • 単独では判断できない。必ず機能するわけではない

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。

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