フォース・インデックスとは
フォース・インデックス(Force Index:FI)とは、「前の足からの価格の変化」に「出来高」を掛けて、値動きの方向・大きさ・出来高を、1つの数値にまとめた、テクニカル指標です。アレキサンダー・エルダーが、紹介したと、されています。「大きな出来高を伴った、大きな値動きは、勢い(フォース)が強い」という考え方で、1本ごとの値は、ギザギザして、読みにくいため、移動平均(一般的にEMA)で、なめらかにして使うのが、一般的です。ゼロラインを境に、上なら、買いの力が優勢、下なら、売りの力が優勢と、見ます。
| フォース・インデックスの位置 | 一般的な見方(目安) |
|---|---|
| ゼロラインより上 | 買いの力が優勢(上昇に、出来高を伴っている) |
| ゼロライン付近 | 力が拮抗している(方向感が弱い) |
| ゼロラインより下 | 売りの力が優勢(下落に、出来高を伴っている) |

FXでは、出来高に「ティックボリューム」を使うことが、一般的です。ティックボリュームは、一定時間に、価格が何回変動したか(気配値が更新された回数)を数えたもので、実際の取引量そのものではありません。業者・ソフトによって、数え方や値が、違います。この点が、フォース・インデックスをFXで使うときの、最も大きな、注意点です(詳しくは、「注意点」で説明します)。
計算方法
フォース・インデックス(1本ごと)= (今回の終値 − 前回の終値)× 出来高
フォース・インデックス(N)= 上の値の、N期間EMA
エルダーは、短期の2期間EMAと、中期の13期間EMAを、使う方法を、紹介したと、されています。価格差を、円で計算するか、pipsで計算するかは、ソフトによって、違います(以下の例では、pipsで計算します)。
計算例:1本ごとの値と、3期間EMAを手計算する
次の終値とティックボリュームが、あったとします(例の数値です。最初の終値は、150.00円です)。
| 足 | 終値 | 前の足との差 | ティックボリューム | 1本ごとのFI |
|---|---|---|---|---|
| 1本目 | 150.00 | ― | 120 | ― |
| 2本目 | 150.15 | + 15pips | 180 | + 2,700 |
| 3本目 | 150.35 | + 20pips | 260 | + 5,200 |
| 4本目 | 150.25 | − 10pips | 150 | − 1,500 |
| 5本目 | 150.50 | + 25pips | 300 | + 7,500 |
| 6本目 | 150.60 | + 10pips | 170 | + 1,700 |
| 7本目 | 150.40 | − 20pips | 220 | − 4,400 |
| 8本目 | 150.20 | − 20pips | 280 | − 5,600 |
| 9本目 | 150.30 | + 10pips | 140 | + 1,400 |
2本目の計算は、+15pips × 180 = + 2,700です。同じ−20pipsの下落でも、7本目(ボリューム220)は−4,400、8本目(ボリューム280)は−5,600と、ボリュームが多いほど、値が大きくなります。
次に、この値を3期間のEMA(α = 2 ÷ (3 + 1) = 0.5)で、なめらかにします(初期値は、2本目の値とします。ソフトによって、初期値の扱いは、違います)。
2本目:EMA = 2,700(初期値)
3本目:EMA = 0.5 × 5,200 + 0.5 × 2,700 = 3,950.0
4本目:EMA = 0.5 × (−1,500) + 0.5 × 3,950 = 1,225.0
5本目:EMA = 0.5 × 7,500 + 0.5 × 1,225 = 4,362.5
6本目:EMA = 0.5 × 1,700 + 0.5 × 4,362.5 = 3,031.3
7本目:EMA = 0.5 × (−4,400) + 0.5 × 3,031.3 = −684.4
8本目:EMA = 0.5 × (−5,600) + 0.5 × (−684.4) = −3,142.2
9本目:EMA = 0.5 × 1,400 + 0.5 × (−3,142.2) = −871.1
| 足 | 1本ごとのFI | FI(3)(EMA) |
|---|---|---|
| 2本目 | + 2,700 | + 2,700.0 |
| 3本目 | + 5,200 | + 3,950.0 |
| 4本目 | − 1,500 | + 1,225.0 |
| 5本目 | + 7,500 | + 4,362.5 |
| 6本目 | + 1,700 | + 3,031.3 |
| 7本目 | − 4,400 | − 684.4 |
| 8本目 | − 5,600 | − 3,142.2 |
| 9本目 | + 1,400 | − 871.1 |
この例では、価格が6本目の150.60円で、高値になりました。1本ごとのFIは、7本目で、マイナス(−4,400)になり、FI(3)も、7本目で、マイナス(−684.4)に、転じています。そのとき、価格は、高値から20pips下がっています。9本目に、価格が10pips上がり、1本ごとのFIは、プラスに戻りましたが、FI(3)は、マイナスのままです。EMAでなめらかにすると、1本の動きに、振り回されにくくなります。
フォース・インデックスが示すこと
FI > 0 = 上昇(終値が前の足より上)の力が、強い
FI < 0 = 下落(終値が前の足より下)の力が、強い
値が大きい = 値動きが大きい、または、出来高(ティック数)が多い
価格の変化が、小さくても、出来高が多いと、値は、大きくなり、価格の変化が大きくても、出来高が少ないと、値は、小さくなります。「方向」「大きさ」「出来高」の3つが、混ざった値であるため、どの要素で大きくなったのか、元のチャートで、確認することが、大切です。
他の指標との違い
| フォース・インデックス | モメンタム | OBV | |
|---|---|---|---|
| 計算の元 | 終値の差 × 出来高 | 終値の差(N本前との差) | 出来高の累積(上昇なら加算、下落なら減算) |
| 出来高 | 使う(値幅も反映) | 使わない | 使う(値幅は反映しない) |
| ゼロライン | あり | あり(差の場合) | なし(累積値) |
| 平滑化 | EMAで、なめらかにするのが一般的 | しない(そのまま) | しない(そのまま) |
1期間のモメンタムに、出来高を掛けたものと、考えると、わかりやすいです。モメンタム、OBVについては、別の記事で解説しています。
基本の使い方
1. ゼロラインの上抜け・下抜けを、勢いの目安にする
FI(13)がゼロを上抜けたら、買いの力が優勢、下抜けたら、売りの力が優勢と見る考え方です。期間が長いほど、なめらかですが、そのぶん、遅れます。図では、価格の高値から、3本後に、FI(13)がゼロを下抜けています。
2. 短期のFI(2)で、押し目・戻りを見る
上昇トレンドの中で、FI(2)が、一時的に、ゼロを下回ったら、押し目の目安、下降トレンドの中で、FI(2)が、ゼロを上回ったら、戻りの目安、とする使い方が、紹介されることが、あります。ただし、必ず反転するわけでは、ありません。
3. 価格との、食い違いを、見る(ダイバージェンス)
価格が、高値を更新したのに、FI(13)が、高値を更新しない場合、上昇の力が、弱まっていると、見る考え方です。ただし、すぐに反転するとは、限りません。ダイバージェンスについては、別の記事で解説しています。
計算例:FI(2)のゼロ上抜けと、FI(13)のゼロ上抜けで、買う場合
直近の安値が149.30円で、下げ止まり、直近高値は150.10円だったとします。損切りは直近安値(149.30円)、利益確定は、直近高値(150.10円)とします(例の数値です)。FI(2)が、ゼロを上抜けた足の終値が149.65円、その後、FI(13)がゼロを上抜けた足の終値が149.85円でした。
安値の近く(149.40円)に、指値で買う場合
エントリー 149.40円、損切り 149.30円、利確 150.10円
リスク = 149.40 − 149.30 = 0.10円(10pips)
リワード = 150.10 − 149.40 = 0.70円(70pips)
リスクリワード比 = 70 ÷ 10 = 7.0
FI(2)が、ゼロを上抜けた足の終値(149.65円)で買う場合
エントリー 149.65円、損切り 149.30円、利確 150.10円
リスク = 149.65 − 149.30 = 0.35円(35pips)
リワード = 150.10 − 149.65 = 0.45円(45pips)
リスクリワード比 = 45 ÷ 35 ≒ 1.3
FI(13)が、ゼロを上抜けた足の終値(149.85円)で買う場合
エントリー 149.85円、損切り 149.30円、利確 150.10円
リスク = 149.85 − 149.30 = 0.55円(55pips)
リワード = 150.10 − 149.85 = 0.25円(25pips)
リスクリワード比 = 25 ÷ 55 ≒ 0.5
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 |
|---|---|---|---|---|
| 指値(安値付近) | 149.40円 | 10pips | 70pips | 7.0 |
| FI(2)のゼロ上抜け | 149.65円 | 35pips | 45pips | 1.3 |
| FI(13)のゼロ上抜け | 149.85円 | 55pips | 25pips | 0.5 |
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。FI(13)のゼロ上抜けを待つと、リスクリワード比は、1を下回るため、この場合は、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。指値は、149.40円まで下がらずに、反発すると、エントリーできません。また、安値を割り込むと、損切りになります。
注意点
1. FXの出来高は、ティックボリュームである
FXには、株式のような、すべての取引を集計した、出来高が、ありません。ティックボリュームは、価格の更新回数で、実際の取引量とは、一致しないことが、あります。業者・ソフトによって、値が違うため、同じ期間でも、FIの形が、変わることが、あります。他人のチャートと、そのまま比べないようにしましょう。
2. 1本の大きな動きで、値が突出する
図のとおり、大きな値動きと、多いティック数が、重なる足では、1本ごとのFIが、突出します。EMAで、なめらかにしても、その影響が、しばらく残ることが、あります。指標発表や要人発言の直後は、特に、注意が必要です。
3. レンジ相場では、ゼロライン付近を往復する
方向感のない、レンジ相場では、FIは、ゼロ付近を、上下に繰り返し、ゼロラインの交差も、増えます。
たとえば、ダマシの買いが、損失15pipsで、10回続くと、合計−150pipsの損失です。その後の1回の利益が、170pipsなら、合計は+20pips、90pipsなら、合計は−60pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
4. 値の大きさは、比較できない
FIの値は、価格の水準・出来高の単位・計算の単位(円かpipsか)で、変わります。通貨ペアや時間足が、違うと、値の大きさを、比べられません。「いくつ以上なら、強い」という、固定の基準は、ありません。
5. 期間で、見え方が変わる
期間を短くすると、反応は、速くなりますが、ダマシが、増えます。長くすると、なめらかですが、遅れます。
6. 足が確定するまで、分からない
進行中の足では、終値とティック数が、動くたびに、FIの値も、変わります。ゼロラインとの交差が、確定までに、入れ替わることがあります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
出来高を、実際の取引量と、考える
FXで表示される出来高は、多くの場合、ティックボリュームで、実際の取引量ではありません。「出来高が多い=大口が、動いている」と、決めつけないようにしましょう。
ゼロラインを上抜けたら、すぐ買う
ゼロラインの上抜けは、すでに、上昇が、始まったあとに、出ることが、多いです。買う位置が、高くなり、リスクリワード比が、下がりやすいことに、注意しましょう。
1本ごとのFIの大きさだけで、判断する
1本ごとのFIは、ギザギザして、大きく振れます。EMAで、なめらかにした値で、方向を、確認するようにしましょう。
値の大きさを、他の通貨ペアと、比べる
FIは、価格や出来高の単位で変わるため、通貨ペア間で、大きさを、比べられません。
検証せずに、使う
「ゼロラインを上抜けたら買えば勝てる」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- フォース・インデックスは、「前の足からの価格の変化 × 出来高」を、EMAでなめらかにした指標。ゼロより上なら買い優勢、下なら売り優勢
- FI = (今回の終値 − 前回の終値)× 出来高。一般的に、2期間と13期間のEMAを使う
- FXの出来高は、ティックボリューム。実際の取引量とは、限らず、業者・ソフトで違う
- 例では、価格が高値をつけた次の足で、FI(3)がマイナスに転じた。1本の動きで、振り回されにくくなる
- 例では、指値(7.0)、FI(2)のゼロ上抜け(1.3)、FI(13)のゼロ上抜け(0.5)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
- 1本の大きな動きで、値が突出する。レンジ相場では、ゼロ付近を往復する
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
