オーサム・オシレーター(AO)とは
オーサム・オシレーター(Awesome Oscillator:AO)とは、各足の「高値と安値の中間(中央価格)」の、5期間の単純移動平均と、34期間の単純移動平均の差を、ヒストグラム(棒グラフ)で表した、モメンタム系のテクニカル指標です。ビル・ウィリアムズが考案したと、されています。MACDと、似た形ですが、終値ではなく、中央価格を使うこと、単純移動平均(SMA)を使うこと、ゼロラインを中心に、棒グラフで表示することが、違いです。ゼロラインより上なら、短期の平均が長期の平均より上(上昇の勢いが優勢)、下なら、下(下落の勢いが優勢)と、見るのが、基本です。
アクセラレーター(AC)とは
アクセラレーター(Accelerator Oscillator:AC)とは、AOの値から、AOの5期間の単純移動平均を引いた、指標です。AOが「勢い」なら、ACは、その勢いの「変化(加速・減速)」を示します。AOが、まだ上昇していても、勢いが、弱まり始めると、ACが先に、低下しやすいと、考えられています。
| 指標 | 示すもの | 一般的な見方(目安) |
|---|---|---|
| AO | 勢い(短期と長期の平均の差) | ゼロより上=上昇優勢、下=下落優勢 |
| AC | 勢いの変化(AOの加速・減速) | ゼロより上=加速、下=減速。AOより、先に動きやすい |

図の棒の色は、前の棒より増えたら赤、減ったら青としています(色の付け方は、ソフトによって違います)。図では、価格が高値(52本目)をつけたあと、ACが、先にゼロを下抜けたのは3本後、AOがゼロを下抜けたのは8本後です。
計算方法
中央価格 = (高値 + 安値) ÷ 2
AO = 中央価格の5期間SMA − 中央価格の34期間SMA
AC = AO − AOの5期間SMA
期間(5・34・5)は、一般的な設定で、ソフトによって、変更できることが、あります。
計算例:期間2・5で、AOとACを手計算する
手計算を簡単にするため、AOは2期間SMAと5期間SMAの差、ACは、AOの3期間SMAとの差とします(例の数値です。実際は、5・34・5を使うのが、一般的です)。
| 足 | 高値 | 安値 | 中央価格 | SMA(2) | SMA(5) | AO | AOのSMA(3) | AC |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1本目 | 150.20 | 149.90 | 150.050 | ― | ― | ― | ― | ― |
| 2本目 | 150.45 | 150.10 | 150.275 | 150.1625 | ― | ― | ― | ― |
| 3本目 | 150.60 | 150.30 | 150.450 | 150.3625 | ― | ― | ― | ― |
| 4本目 | 150.55 | 150.25 | 150.400 | 150.4250 | ― | ― | ― | ― |
| 5本目 | 150.75 | 150.40 | 150.575 | 150.4875 | 150.350 | + 0.1375 | ― | ― |
| 6本目 | 150.90 | 150.60 | 150.750 | 150.6625 | 150.490 | + 0.1725 | ― | ― |
| 7本目 | 151.05 | 150.75 | 150.900 | 150.8250 | 150.615 | + 0.2100 | 0.1733 | + 0.0367 |
| 8本目 | 150.95 | 150.55 | 150.750 | 150.8250 | 150.675 | + 0.1500 | 0.1775 | − 0.0275 |
| 9本目 | 150.70 | 150.30 | 150.500 | 150.6250 | 150.695 | − 0.0700 | 0.0967 | − 0.1667 |
7本目の計算は、次のとおりです。
中央価格(7本目) = (151.05 + 150.75) ÷ 2 = 150.900
SMA(2) = (150.750 + 150.900) ÷ 2 = 150.8250
SMA(5) = (150.450 + 150.400 + 150.575 + 150.750 + 150.900) ÷ 5 = 150.6150
AO = 150.8250 − 150.6150 = 0.2100
AOのSMA(3) = (0.1375 + 0.1725 + 0.2100) ÷ 3 ≒ 0.1733
AC = 0.2100 − 0.1733 ≒ 0.0367
この例では、価格が7本目の151.05円で高値をつけました。AOも、7本目(+0.2100)がピークで、8本目から低下しています。ACは、8本目(−0.0275)で、先にマイナスになりました。AOが、マイナスに転じたのは、9本目(−0.0700)です。ACが、AOより、1本早く、ゼロを下抜けています。
AOとACが示すこと
AO > 0 = 短期の平均が、長期の平均より上(上昇優勢)
AO < 0 = 短期の平均が、長期の平均より下(下落優勢)
AC > 0 = AOが、平均より上(勢いが、加速している)
AC < 0 = AOが、平均より下(勢いが、減速している)
ACのゼロは、「AOが、自身の平均と、同じ位置」を示します。価格が上昇していても、勢いが弱まれば、ACはマイナスになります。
他の指標との違い
| AO | AC | MACD | |
|---|---|---|---|
| 計算の元 | 中央価格の5SMA − 34SMA | AO − AOの5SMA | 終値の12EMA − 26EMA |
| 移動平均 | 単純(SMA) | 単純(SMA) | 指数(EMA) |
| 表示 | 棒グラフ | 棒グラフ | 線(+ 棒グラフ) |
| シグナル線 | なし | なし(AO自身の平均を引く) | あり |
| 動きの速さ | やや遅い | AOより、速い | やや遅い |
AOは、MACDに近く、ACは、MACDのヒストグラムに近い考え方です(同じ計算では、ありません)。MACD、MACDのヒストグラムについては、別の記事で解説しています。
基本の使い方
1. AOのゼロラインの上抜け・下抜けを、トレンドの目安にする
AOがゼロを上抜けたら、上昇の勢いが優勢、下抜けたら、下落の勢いが優勢と見る考え方です。ただし、ゼロの上抜け・下抜けは、価格の転換から、かなり遅れて出ます。図のとおり、価格の高値から、AOのゼロ下抜けまで、8本かかっています。
2. 棒の色の変化・形で、勢いの変化を見る
ゼロラインより上で、棒が、減り始めたら、上昇の勢いが弱まった、ゼロラインより下で、棒が、増え始めたら(短くなり始めたら)、下落の勢いが弱まったと、見る使い方です。AOでは、「ゼロより上で、棒が3本続けて、減って、増えた」形(ソーサー)を、買いの目安とする見方も、あります(必ず、そうなるわけでは、ありません)。
3. ACで、勢いの変化を、先に見る
ACは、AOより、先に動きやすいため、「AOは、まだ上向きだが、ACは、すでに、下向き」という状態で、勢いの減速に、気づくことが、できる場合が、あります。ただし、ACは、動きが速い分、ダマシも、多いです。
計算例:ACの転換とAOのゼロ上抜けで、買う場合
直近の安値が150.00円で、下げ止まり、直近高値は151.00円だったとします。損切りは直近安値(150.00円)、利益確定は、直近高値(151.00円)とします(例の数値です)。ACが、下向きから、上向きに転じた(棒が減少から増加に変わった)足の終値が150.40円、その後、AOがゼロを上抜けた足の終値が150.70円でした。
安値の近く(150.15円)に、指値で買う場合
エントリー 150.15円、損切り 150.00円、利確 151.00円
リスク = 150.15 − 150.00 = 0.15円(15pips)
リワード = 151.00 − 150.15 = 0.85円(85pips)
リスクリワード比 = 85 ÷ 15 ≒ 5.7
ACが、上向きに転じた足の終値(150.40円)で買う場合
エントリー 150.40円、損切り 150.00円、利確 151.00円
リスク = 150.40 − 150.00 = 0.40円(40pips)
リワード = 151.00 − 150.40 = 0.60円(60pips)
リスクリワード比 = 60 ÷ 40 = 1.5
AOが、ゼロを上抜けた足の終値(150.70円)で買う場合
エントリー 150.70円、損切り 150.00円、利確 151.00円
リスク = 150.70 − 150.00 = 0.70円(70pips)
リワード = 151.00 − 150.70 = 0.30円(30pips)
リスクリワード比 = 30 ÷ 70 ≒ 0.4
| エントリー | 価格 | リスク | リワード | リスクリワード比 |
|---|---|---|---|---|
| 指値(安値付近) | 150.15円 | 15pips | 85pips | 5.7 |
| ACが上向きに転換 | 150.40円 | 40pips | 60pips | 1.5 |
| AOがゼロを上抜け | 150.70円 | 70pips | 30pips | 0.4 |
確認を重ねるほど、ダマシは減りやすくなりますが、エントリーが遅れ、リスクリワード比は、下がります(スプレッドや約定のずれは、考慮していません)。AOのゼロ上抜けを待つと、リスクリワード比は、1を大きく下回るため、この場合は、目標を広げるか、見送る判断も、必要です。指値は、150.15円まで下がらずに、反発すると、エントリーできません。また、安値を割り込むと、損切りになります。
注意点
1. AOのゼロラインは、遅れる
34期間の平均を使うため、AOは、価格の転換から、遅れて動きます。図のとおり、高値から8本後でも、価格は、すでに、大きく下がっています。
2. ACは、ダマシが多い
ACは、AOの変化を、さらに、見る指標のため、動きが、速く、ゼロ付近を、何度も往復します。棒の色が変わるたびに、売買すると、取引回数が増え、損失も、増えやすくなります。
たとえば、ACの転換での買いが、損失20pipsで、8回続くと、合計−160pipsの損失です。その後の1回の利益が、200pipsなら、合計は+40pips、120pipsなら、合計は−40pipsです。この数字は、あくまで例ですが、損失を、利益で取り返せるかは、状況によって変わります。環境認識については、別の記事で解説しています。
3. 棒の色は、「買い」「売り」の指示では、ない
棒の色は、「前の棒より、増えたか、減ったか」を示すだけです。色が変わっただけで、売買の判断を、しないようにしましょう。色の付け方は、ソフトによって、違います。
4. 設定・計算の違いで、見え方が変わる
期間や、中央価格を使うかどうかを、変えると、値は変わります。ソフトによって、標準の期間や、色の付け方が、違うことも、あります。他人のチャートと、そのまま比べないようにしましょう。
5. 指標発表や要人発言の直後は、特に注意
急変動で、大きな足が出ると、中央価格が、大きく動き、AOとACも、急に、変わります。その後、元に戻ることもあるため、注意が必要です。
6. 足が確定するまで、分からない
進行中の足では、高値・安値が動くたびに、中央価格も、AOも、ACも、変わります。棒の色や、ゼロラインとの位置が、確定までに、入れ替わることがあります。確定後に判断しましょう。
初心者が間違えやすいポイント
棒が赤になったら、買う
棒の色は、「前の棒との比較」だけで、上昇が続くことを、示すものでは、ありません。
ACを、AOより、優れた指標と考える
ACは、AOより、早く動きますが、そのぶん、ダマシも、多いです。どちらが、優れているかではなく、「何を、見たいか」で、使い分けるようにしましょう。
AOを、MACDと、同じと考える
AOは、中央価格のSMAの差で、MACDは、終値のEMAの差です。似た形でも、値や、タイミングは、違います。
ゼロラインを、価格の水準と考える
AOのゼロは、「短期と長期の平均が、同じ位置」で、価格が、高いか、安いかを、示すものでは、ありません。
検証せずに、使う
「ゼロラインを上抜けたら買えば勝てる」と聞いても、実際の成績は、通貨ペア・時間足・期間の組み合わせで変わります。自分で、確認しましょう。
まとめ
- AOは、中央価格の5SMAと34SMAの差を、棒グラフで表した、モメンタム系の指標。ゼロより上なら上昇優勢、下なら下落優勢
- ACは、AOから、AOの5SMAを引いた、勢いの変化(加速・減速)を示す指標。AOより先に動きやすい
- AO = 中央価格の5SMA − 34SMA、AC = AO − AOの5SMA。中央価格 = (高値 + 安値)÷ 2
- 例(期間2・5)では、価格が高値をつけたあと、ACが先にマイナスに転じ(8本目)、AOは、1本遅れて、マイナスに転じた(9本目)
- 例では、指値(5.7)、ACの転換(1.5)、AOのゼロ上抜け(0.4)の順に、リスクリワード比が下がる。指値は、エントリーできないこともある
- AOのゼロラインは遅れ、ACは、ダマシが多い。棒の色は、売買の指示では、ない
- 単独では判断できない。必ず機能するわけではない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の売買を勧めるものではありません。テクニカル指標の解釈は目安であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資の勧誘や利益を保証するものでもありません。取引は自己責任でお願いします。
